- 作成日 : 2016年11月25日
中小企業の何割が黒字企業? 中小企業が生き残るために必要なこと
現状として中小企業のうち何割が黒字の企業なのか、あるいは中小企業の倒産理由から長期間にわたって企業を存続させるにはどんなことを意識していく必要があるのかをご紹介してきます。
目次
中小企業のうち黒字を出している割合は?
2008年のリーマンショック以後、アベノミクスの影響もあり、日本経済は景気が上向きであると言われています。それは大企業に限らず、中小企業においても同じことが言えます。
2016年版の中小企業白書によれば、2016年現在の中小企業の経常利益水準は過去最高であるという調査結果も出ています。
しかし、全ての中小企業が利益を残せているとは言えません。中小企業の中でも高い水準で利益を上げられている企業と、依然としてリーマンショック前の水準を回復できていない企業に二分化されているのも事実です。
国税庁の調査によると、平成26年度の利益計上法人は87万6,402社であるのに対して、欠損法人が172万9,372社と大きく上回っています。割合でいうと黒字の法人は33.6%ということになります。
もちろん、これには大企業の決算も含まれていますが、中小企業の数は全体の約99.1%を占めることから、中小企業の黒字割合も約3割程度であることに変わりないと言えるでしょう。
中小企業の生存率とその要因とは
中小企業の黒字割合が3割であるという数字から分かるように、企業として利益をあげることはそれほど容易なものではありません。もちろん赤字が続くと、企業の存続自体が難しくなってきます。
企業の生存率(どれだけの会社が起業後に継続して事業を行っているのかを表す割合)を見てみると、10年後には3割、さらに20年後には5割近くの会社が淘汰されているというデータもあります。
図1: 企業の生存率について(2011年中小企業白書より抜粋)

(出典:中小企業白書 2011)
この数値はあくまでも会社数から算出した一つのデータです。企業の数をベースにするのではなく、事業所数をベースにして考えるとその生存率はより厳しい数字になるのかもしれません。
いずれにしても中小企業が長期的に存続していくことは難しいことであるには間違いないでしょう。
では、中小企業が存続していくために必要な事とは何でしょうか。それを考えていくには、過去の失敗の要因から学ぶことが最善です。
過去に倒産した企業のその倒産理由から、企業経営についてのリスクを確認していきましょう。
図2: 平成27年度の原因別倒産社数(中小企業庁の倒産状況調査より抜粋)

(出典:倒産の状況|中小企業庁)
倒産理由1: 販売不振
倒産理由として、全体の三分の二以上を占めて圧倒的に多かったのは販売不振、すなわち売上が立たないということです。当然ながら、売上がない限りは、企業は存続できません。
市場の変化や技術革新などにも対応して、安定した売上を計上し続けることが大前提です。
倒産理由2: 既往のしわよせ
倒産理由として二番目に多いのは、既往のしわよせによるものです。すなわち、企業として徐々に業績が悪くなっていき、それが積み重なって倒産に至ったということです。
厳しい状況に陥った時には、現状を打開するような新たな一手が必要となることを表しています。
倒産理由3: 連鎖倒産
得意先が倒産してしまい、その影響で売上が減少したり、あるいは仕入れを行うことができずに、自社も倒産してしまうというのが連鎖倒産です。これは、取引先が特定の企業に集中していることが原因になります。
特定の取引先に依存せずに、常に新規顧客や仕入先を確保することでリスクを分散させることが重要です。
倒産理由4: 過小資本
どれだけ収益性の高い事業であっても、資本が欠乏した状態では偶発的な事象が起こると、すぐに事業が継続できなくなってしまいます。利益が出た時には、新たな投資をする事も重要ですが、財務状態を強固にするための内部留保も必要です。
倒産理由5: 放漫経営
経営者の意思決定の失敗や経営者自身の資金繰り困難により倒産を引き起こす事もあります。
特に中小企業の場合は、経営者の一つのミスが致命傷になりかねません。事業上・事業外にかかわらず経営者としての自覚を持っておかなければなりません。
その他にも、図2に記載があるような在庫や売掛金の回収、さらには代表者の死亡や自然災害などの理由も考えられますが、基本的には上記で挙げた5つの要因に集中しているようです。
まとめ
最後に、今回のポイントをもう一度確認していきましょう。
・長期的に企業を存続させるためには、市場が変動しても安定的な売上をあげられる事が重要である
・企業の停滞期においては、現状を打開する一手が必要になる
・連鎖倒産を防ぐためには、特定の取引先に依存せずに、常に新規顧客や仕入先を確保することでリスクを分散させる
・偶発的な事象が起こっても耐えられるように、自己資本を高めておく
・特に中小企業の経営者は、事業上・事業外にかかわらず経営者としての自覚を持っておく
今回確認したようなリスクを常に意識しておき、外的な環境の変化にも対応できる企業体制を整えておくことで、企業を長期間にわたって存続させることが可能になると言えるでしょう。
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