• 作成日 : 2025年9月16日

レンタカー事業を開業するには?儲かるって本当?許可取得から失敗しないポイントまで解説

インバウンド需要の回復や国内旅行の活発化に伴い、レンタカー事業のニーズは着実に高まっています。しかし、「本当に儲かるのか」「失敗したらどうしよう」といった不安から、一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、レンタカー事業のリアルな収益性から、失敗を回避するための具体的な手順、必要な許可や資格、避けるべきリスクまで詳しく解説します。

レンタカー事業のリアルな実態

レンタカー事業を始めるにあたり、誰もが気になるのが収益性です。成功すれば安定した収益源となりますが、計画の甘さが原因で撤退を余儀なくされるケースも少なくありません。ここでは、事業の収益構造と、成功と失敗を分けるポイントを解説します。

レンタカー事業の利益率

レンタカー事業の利益率は、車両の仕入れ価格、稼働率、料金設定、固定費など多くの要素に左右されます。一般的に、車両の減価償却費や保険料、駐車場代、人件費、広告宣伝費などが主な経費です。粗利益率は比較的高く見えますが、これらの経費を差し引いた営業利益率は、事業規模や運営方法によって大きく変動します。黒字化を実現するには、緻密な収支計画とコスト管理がポイントです。

レンタカー事業は本当に儲かるのか

「レンタカー事業を開業すれば儲かる」という言葉は、半分正しく、半分は誤解を生む可能性があります。市場の需要は確かに存在しますが、競合との価格競争は激しく、差別化が図れなければ継続的に収益を上げるのは困難です。

成功している事業者は、特定の顧客層、例えばファミリー、高級車志向、アウトドア好きなどに特化したり、手厚いサービスを提供したりするなど、独自の強みを持っています。単に車を貸すだけでは、安定した収益確保は難しいと認識しておくべきです。

レンタカー事業で失敗するパターン

レンタカー事業の失敗事例には共通点があります。最も多いのが、資金計画の甘さによる運転資金のショートです。車両の維持費や予期せぬ修理費、閑散期の売上減少を考慮していないと、すぐに経営は行き詰まります。また、集客計画の欠如、ずさんな車両管理によるトラブル、利用客とのコミュニケーション不足も失敗につながる典型的なパターンです。これらの失敗事例から学び、事前に対策を講じることが重要です。

レンタカー事業で開業するためのステップ

レンタカー事業を始めるには、定められた手順に沿って準備を進める必要があります。ここでは、開業までの全体像を6つのステップに分けて具体的に解説します。

1. 事業計画の策定

まず、どのようなレンタカー事業を展開したいのか、コンセプトを明確にします。ターゲット顧客、車両のラインナップ、料金体系、競合との差別化戦略などを具体的に落とし込んだ事業計画書を作成しましょう。

2. 資金調達

自己資金で不足する分は、日本政策金融公庫の創業融資や自治体の制度融資などを活用して資金を調達します。リアルな収支シミュレーションが、融資審査においても説得力を持ちます。

3. 営業所と駐車場の確保

レンタカー事業を行うには、営業所と車両を保管する駐車場が必須です。営業所は、利用者が訪れやすい場所であると同時に、運営上の利便性も考慮して選びます。駐車場は、営業所から直線距離で2km以内に確保する必要があります。自宅兼事務所として開業することも可能ですが、その場合も設置基準を満たしているか、事前に管轄の運輸支局に確認することが大切です。

4. 自家用自動車有償貸渡業の許可申請

レンタカー事業は、国土交通省の許可事業です。管轄の運輸支局へ「自家用自動車有償貸渡業許可申請書」と、貸渡約款や料金表などの添付書類を提出します。申請から許可が下りるまでには、約1ヶ月程度の期間を要します。書類に不備があるとさらに時間がかかるため、行政書士などの専門家に相談するのも一つの方法です。

5. 車両の準備と「わ」ナンバー登録

事業の核となる車両を準備します。新車、中古車、リースなど、事業計画と資金状況に合わせて最適な方法を選びましょう。許可が下りたら、準備した車両をレンタカーとして登録するため、管轄の陸運局でナンバープレートを事業用の「わ」ナンバー(または「れ」ナンバー)に変更する手続きを行います。この手続きをもって、正式に車両を貸し出せるようになります。

6. 集客と運営準備

開業に向けて、ウェブサイトや予約システムの構築、SNSでの情報発信、チラシ配布など、事業計画に基づいた集客活動を開始します。同時に、車両の清掃マニュアル作成、顧客対応のフロー整備、緊急時対応の取り決めなど、日々の運営に必要な準備を整えます。スムーズなスタートを切るためには、開業日までに万全の体制を築いておくことが求められます。

レンタカー事業の開業に必要な許可と資格

レンタカー事業の開業には、運転免許以外の特別な資格は必須ではありません。しかし、事業を運営する上で根幹となる許可の取得と、人員に関する一定の要件を満たす必要があります。許可不要で始められるビジネスではないことを理解しておきましょう。

自家用自動車有償貸渡業許可の取得

レンタカー事業を行うには、自家用自動車有償貸渡業許可の取得が絶対条件です。無許可での営業はレンタカー業法違反となり、厳しい罰則が科せられます。許可を得るためには、人的要件、場所的要件、車両要件、保険要件などを満たす必要があります。これらの基準は、利用者の安全を守るために定められています。

参考:自家用自動車有償貸渡(レンタカー事業)許可申請等の手引き|国土交通省

整備管理者の選任

事業主自身やスタッフが、特別な資格を取得する必要はありません。ただし、整備管理者の選任は必須です。整備管理者になるには、自動車整備士の資格を持っているか、一定期間以上の実務経験を積んだ上で、地方運輸局長が行う研修を修了する必要があります。自社で対応できない場合は、外部に委託することも可能です。

レンタカー事業を成功に導くポイント

レンタカー事業には、事故や盗難、車両故障、閑散期の収益悪化など、様々なリスクが伴います。これらのリスクを事前に把握し、対策を講じることで、安定した事業運営が可能になります。ここでは、賢くリスクを回避し、事業を成功に導くためのポイントを解説します。

リスクを抑えるなら1台からスモールスタートする

開業当初から多くの車両を揃えるのは、大きなリスクを伴います。まずは需要が見込める車種を1台から2台程度で始め、顧客の反応や収益性を見ながら徐々に台数を増やしていくスモールスタートが賢明です。中古車を活用すれば、初期投資をさらに抑えることが可能です。レンタカー開業を1台から始めることは、低リスクで事業ノウハウを蓄積できる現実的な選択肢です。

事故や盗難に備える

レンタカー事業において、車両の事故、盗難、故障、利用客によるマナー違反は避けて通れないリスクです。これらのリスクに備え、対人・対物無制限はもちろん、車両保険にも手厚く加入しておくことが事業継続の生命線となります。また、貸渡約款に事故時の対応や利用者の負担について明確に記載し、出発前に丁寧に説明することで、トラブルを未然に防ぎます。ドライブレコーダーの設置も有効な対策です。

レンタカー業法違反に注意する

無許可営業はもちろん、運転手付きで貸し出す白タク行為は、道路運送法で固く禁じられている代表的なレンタカー業法違反です。また、許可を受けた営業所以外での車両の保管や、整備管理者を置いていないといった不備も指導の対象となります。法令遵守は、事業の信頼性を保ち、長期的に継続させるための大前提です。定期的に最新の法令情報を確認し、クリーンな運営を心がけましょう。

参考:レンタカー事業を経営する方へ|国土交通省

入念な準備でレンタカー事業の成功を目指しましょう

レンタカー事業は、入念な準備と計画があれば、個人でも十分に成功を目指せるビジネスです。まずは1台から始めるスモールスタートを検討し、着実に経験と実績を積むことが堅実な道と言えます。事業の根幹となる自家用自動車有償貸渡業許可の取得はもちろん、失敗事例から学び、事故や法律違反といったレンタカー事業のリスクを常に意識することが重要です。この記事が、あなたのレンタカー開業に役立つことを願っています。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事