- 作成日 : 2025年9月9日
ペーパーカンパニーの維持費は最低年7万円!設立から税金、解散までの費用を解説
ペーパーカンパニーの設立を考えるとき、年間の維持費はどれくらいかかるのか、という疑問はとても重要です。実は、事業活動が全くなくても、会社が存在するだけで最低限の費用が発生します。
この記事では、ペーパーカンパニーの維持費の具体的な内訳、特に税金である法人住民税について詳しく解説します。さらに、株式会社と合同会社の違い、費用を抑える方法、設立のメリット・デメリットまであらゆる疑問に答えます。
目次
そもそもペーパーカンパニーとは?
そもそもペーパーカンパニーとは、登記上は存在するものの、事業活動の実態がない法人のことです。
ペーパーカンパニーの多くは、節税対策、資産管理、許認可の維持、将来の事業への準備といった合法的な目的で設立・活用されます。一般的に、ダミー会社やゴーストカンパニーといった呼び方もありますが、必ずしも違法な目的で使われるわけではありません。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気のガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
会社設立時に決めることチェックリスト
「会社設立時に決めることチェックリスト」では、会社設立の基本事項や、株式会社・合同会社別の決めることチェックリストなどを、1冊にまとめています。
図解でカンタンにまとめており、完全無料でダウンロードいただけます。
補助金をまるっと理解!会社設立時の補助金ガイド
補助金の概要や各制度の内容に加え、会社設立直後の企業でも使いやすい補助金や実際の活用事例などについてまとめました。
「使えたのに知らなかった!申請が漏れてた!」といったことを防ぐためにも、会社設立時の資金調達方法の一つとしてお役立てください。
法人成り手続きまるわかりガイド
初めて法人成りを考える方に向けて、法人成りの手続きや全体の流れ、個人事業の整理方法など、必要な情報をわかりやすくご紹介したガイドです。
多くの個人事業主の方にダウンロードいただいておりますので、ぜひお気軽にご利用ください。
起業家1,040人への調査でひも解く!先輩起業家が一番困ったことガイド
マネーフォワード クラウド会社設立では、会社設立の経験がある方1,040名に対して、会社設立に関する調査を実施しました。
先輩起業家が悩んだ部分や、どのように会社設立を行ったかを、定量的に分析していますので、ぜひご活用ください。
ペーパーカンパニーの維持費は最低でも年間約7万円
ペーパーカンパニーの維持費は、利益がゼロであっても最低で年間約7万円かかります。これは、法人が存在するだけで課税される法人住民税の均等割によるものです。この税金は、会社の資本金の額や従業員数に応じて決まり、赤字かどうかに関係なく納税義務が発生します。
法人住民税 均等割の金額
資本金1,000万円以下、従業員50人以下の場合、法人住民税の均等割は以下のようになります。
- 都道府県民税:20,000円
- 市町村民税:50,000円
- 合計(最低額):年間70,000円
※東京23区内に本店がある場合は、都民税として70,000円
自治体によって税率が異なる場合がありますが、多くの場合は合計で年間7万円が最低ラインとなります。これが、ペーパーカンパニーを維持するための避けられない固定費です。
法人住民税以外に発生する費用
法人住民税以外にも、状況に応じて以下のような費用が発生する可能性があります。
ペーパーカンパニーの維持費を安く抑える方法は?
ペーパーカンパニーの維持費を安く抑える方法は、以下の通りです。
1. 税理士に頼まず自分で申告する
ペーパーカンパニーの維持費を最も効果的に削減する方法は、確定申告を自分で行うことです。取引が全くないゼロ申告の場合、会計ソフトを使えば比較的簡単に申告書を作成できます。税理士への依頼費用である年間10万円以上を完全に節約できるため、最も効果の大きい費用削減策と言えます。
2. 合同会社を選択する
設立時の費用だけでなく、長期的な運営費用を考えると、合同会社は非常に有利な選択肢です。株式会社と合同会社では、特に役員の任期に関する規定が維持費に大きく影響します。
| 項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 役員の任期 | 最長10年 | 任期の定めなし |
| 役員変更登記費用 | 10,000円(任期満了ごと) | 原則不要 |
| 設立費用(定款認証) | 約50,000円 | 不要 |
株式会社の場合、任期が満了するたびに同じ役員が続ける場合でも重任登記という手続きが必要で、最低1万円の登録免許税がかかります。一方、合同会社には役員の任期がないため、この登記費用が原則発生せず、長期的に見て費用を削減できます。
3. 役員の任期を長く設定する
株式会社を選択した場合は、役員の任期を会社法で定められた最長の10年に設定することで、登記費用の発生頻度を抑えられます。設立時に定款で役員の任期を10年と定めておけば、10年に一度しか役員変更登記の費用が発生しません。
ペーパーカンパニーの作り方から解散までの流れ
ペーパーカンパニーの作り方から解散までの流れは、以下の通りです。
1. 会社設立の手続き
まず、株式会社か合同会社かを選び、法務局で設立登記を行います。
- 基本事項の決定
商号(会社名)、事業目的、本店所在地、資本金額などを決めます。 - 定款の作成・認証
会社のルールブックである定款を作成します。株式会社の場合は公証役場で認証を受ける必要があります。 - 資本金の払込み
発起人の個人口座に資本金を払い込みます。 - 登記申請
必要書類を揃え、法務局に設立登記を申請します。申請が受理された日が会社の設立日となります。
2. 毎年の維持管理
会社を維持するためには、毎年の税務申告と、必要に応じた法務手続きが欠かせません。
- 決算・確定申告
事業年度終了後、2ヶ月以内に税務署などへ確定申告書を提出し、法人住民税の均等割などを納税します。 - 役員変更登記(株式会社)
役員の任期が満了した際には、法務局で変更登記を行います。
3. 不要になった場合の解散・清算手続き
ペーパーカンパニーが不要になった場合は、解散・清算の手続きを行うことで法人格を消滅させ、維持費の発生を止められます。この手続きには、解散登記、官報公告、清算結了登記など多くの段階があり、登録免許税や公告費用などで合計8万円程度の費用と、数ヶ月の期間が必要です。
ペーパーカンパニーを維持するメリット・デメリット
ペーパーカンパニーを維持するメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット|節税対策や資産管理に活用できる
ペーパーカンパニーを維持する主なメリットは、税務上の柔軟性と将来への備えにあります。
デメリット|費用と手間がかかる
一方で、ペーパーカンパニーには無視できないデメリットも存在します。
- 最低限の維持費
事業活動がなくても、法人住民税均等割(約7万円)と、場合によっては税理士費用が毎年必ず発生します。 - 事務手続きの手間
利益がなくても毎年の確定申告が義務付けられており、怠るとペナルティが課されます。 - 社会的信用の問題
事業実態がないことが分かると、金融機関からの融資が受けにくい、取引先から敬遠されるなどの可能性があります。 - 悪用のリスク
犯罪に利用されるのではないかという疑念を持たれやすい側面もあります。
ペーパーカンパニーの維持費を理解し、目的に合った活用を
この記事では、ペーパーカンパニーの維持費について、その内訳から節約方法、メリット・デメリットまで解説しました。
事業実態のない会社でも、法人住民税均等割として最低年間約7万円の費用がかかり、利益がゼロでも確定申告の義務があります。この休眠会社の費用を正確に理解し、株式会社と合同会社のどちらを選ぶか、専門家に依頼するかどうかを慎重に判断することが、無駄な出費を避けることにつながります。
ペーパーカンパニーは、正しく活用すれば節税や資産管理の強力な手段となります。メリットとデメリットを比較検討し、ご自身の目的に合った最適な選択をしてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会社設立の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
福岡市で会社設立する方向け!設立費用を抑える方法を解説
福岡市での会社設立をはじめ、日本で株式会社や合同会社を設立する際は、主に【①無料の会社設立サービスを利用して自分で進める、②専門家である税理士や司法書士に依頼する、または③法務局のサイトを参照しながら自分で手続きを行う】という3つの主な方法…
詳しくみる事業開始までに必要な5つの手続き
日本では毎年約12万社の会社が設立されています。現在起業の準備をされている方、いつか起業を考えられている方も多いのではないでしょうか。 一方で起業をしても10年後には3割の会社しか生き残らないともいわれています。 会社を存続させ成長を続ける…
詳しくみる決算月(決算期)はいつにする?会社設立時の決め方や変更方法をわかりやすく解説
会社の決算月は、法律などで特定の月にしなければならないという決まりはありません。日本では国や市区町村の会計年度にならい、3月を決算月と定める会社が多いです。 この記事では、会社設立時に決算月を決めるポイントや、設立後に決算月を変える方法につ…
詳しくみる新規事業に必要なビジネスアイデア – 実例や探し方を解説!
ビジネスアイデアは事業の未来を決める重要なものです。ビジネスアイデア1つで夢やビジョンが実現し、会社やご自身が大きく飛躍を遂げられる可能性もあります。しかし、ビジネスアイデアを考えるのは簡単ではありません。アイデアを現実的なビジネスプランに…
詳しくみる品川区で会社設立する流れ・ポイント!税理士や資金調達など
品川区での会社設立をはじめ、日本で株式会社や合同会社を設立する際は、主に【①無料の会社設立サービスを利用して自分で進める、②専門家である税理士や司法書士に依頼する、または③法務局のサイトを参照しながら自分で手続きを行う】という3つの主な方法…
詳しくみる法人化したら経営者の給与はどう設定する?支給方法や決め方のポイントを解説
法人化したら、経営者の給与設定が必要です。給与は役員報酬として受け取ることになり、経費にするためには決められた支給方法を選ばなければなりません。毎月給与として支払う場合、法人化から3ヶ月以内の決定が必要です。 本記事では、法人化したあとの経…
詳しくみる


