- 更新日 : 2025年8月29日
合同会社はやめとけと言われる理由は?デメリットや後悔しないための注意点を徹底解説
合同会社の設立を検討する中で、「合同会社はやめとけ」という声を聞き、一歩踏み出せずにいませんか。確かに、合同会社は設立費用が安く、手続きも比較的簡単なため、手軽に法人化できる魅力的な選択肢です。しかし、その手軽さの裏には、株式会社とは異なる特有のデメリットやリスクが存在します。
この記事では、「合同会社はやめとけ」と言われる具体的な理由を、メリット・デメリットの両面から徹底的に解説します。
目次
合同会社はやめとけと言われる理由
「合同会社はやめとけ」という言葉には、合同会社の仕組みに起因する理由があります。
理由1. 社会的信用度が低い
合同会社が怪しいと思われる理由は、株式会社に比べて社会的信用度が低いと見なされる点にあります。特に、決算公告の義務がないため、外部から経営状況を把握しにくいことが大きな要因です。
これにより、下記のような場面で不利に働く可能性があります。
- 金融機関からの融資
事業計画の信頼性に加えて、会社の透明性も審査項目になります。情報開示が義務付けられていない点が、高額融資の審査でマイナスに影響する場合があります。 - 大手企業との取引
合同会社は取引先や金融機関から信用面で慎重に見られることがあり、大企業との取引機会に影響を及ぼす可能性があります。 - 入札や許認可
事業によっては、参加条件に株式会社であることが含まれていたり、財務状況の透明性が求められたりする場合があります。
理由2. 資金調達の方法が限定される
事業の成長・拡大には資金調達が欠かせませんが、合同会社はその方法が限られます。
株式会社のように株式を発行して、広く一般の投資家から出資を募ることができません。資金調達は、基本的に社員(出資者)からの追加出資や、金融機関からの借入(融資)に頼ることになります。
将来的にベンチャーキャピタルからの出資や、大規模な資金調達による急成長を目指す場合、合同会社の仕組みは大きな足かせになるでしょう。
理由3. 利益相反や意思決定で揉めやすい
合同会社では、原則として「社員1人につき1議決権」が与えられます。
これは、少額の出資者でも経営に対して強い発言権を持つことを意味し、社員間の意見対立を招くリスクをはらんでいます。例えば、利益の配分や事業方針を巡って意見が割れた場合、意思決定が停滞し、経営が立ち行かなくなることも少なくありません。
複数人で共同経営する際には、事前に入念なルール作りをしておかないと、人間関係の悪化が事業の存続を脅かすことになりかねません。
理由4. 優秀な人材の採用が難しい
合同会社で働くことを検討する求職者にとって、会社の知名度や安定性は重要な判断材料です。一般的に、合同会社は株式会社よりも知名度が低く、小規模なイメージを持たれがちであるため、採用活動で不利になることがあります。
また、株式会社であれば導入できるストックオプションのような、株式を使ったインセンティブ制度がありません。これは、高いスキルを持つ人材にとって魅力に欠ける側面であり、合同会社に入社するデメリットの一つと言えます。
理由5. 事業承継やM&Aが複雑になる
会社の将来を考えたとき、事業承継やM&A(合併・買収)は重要な選択肢です。しかし、合同会社の持分を第三者に譲渡するには、原則として「他の全社員の同意」が必要になります。株式会社であれば株式を売却するだけで済みますが、合同会社では手続きが煩雑で、スムーズな事業承継やM&Aの妨げとなることがあります。将来的な出口戦略を描きにくい点は、大きなデメリットです。
理由6. 役員の追加・脱退の手続きが煩雑
事業の成長に伴い新しい経営メンバー(社員)を迎えたり、逆にメンバーが抜けたりすることもあります。
合同会社では、社員が1人でも退社(脱退)すると、定款の変更や法務局での変更登記が必要となり、その都度手間とコストが発生します。「合同会社を辞めたい」と考える社員が出た場合、その持分の払い戻し額の算定などを巡ってトラブルに発展するケースも少なくありません。
理由7. 節税メリットが期待できないケースがある
個人事業主から法人成りする大きな目的の一つが節税ですが、必ずしも大きな節税効果を得られるとは限りません。
法人化すると、赤字であっても原則として法人住民税の均等割(最低でも年間約7万円)が発生します。また、社会保険への加入が義務化され、個人事業主時代にはなかった事業者負担分の保険料が増えます。
個人事業として十分な利益が出ていない段階で法人化すると、これらの負担増によって、かえって手取りが少なくなる可能性も考慮する必要があります。
合同会社と株式会社の主な違い
ここでは、合同会社と株式会社との違いを比較してみましょう。合同会社は自由度が高い一方で、株式会社に比べて制約や外部からの見え方に違いがあることがわかります。
比較項目 | 合同会社 | 株式会社 |
---|---|---|
設立費用(法定費用) | 約6万円〜 | 約20万円〜 |
意思決定 | 原則、出資者(社員)全員の同意(1人1票) | 株主総会での多数決(持株数に応じる) |
利益の配分 | 定款で自由に決められる | 原則、持株数に応じて配当 |
役員の任期 | なし(定款で自由に設定することは可能) | 原則2年(最長10年まで伸長可) |
決算公告の義務 | なし | あり |
資金調達方法 | 社員からの出資、融資など | 株式発行による出資、融資、社債など |
社会的信用度 | 株式会社に比べると低い傾向 | 高い |
上場(IPO) | できない | できる |
合同会社で後悔しやすい人の特徴
合同会社の設立後に「やめておけばよかった」と後悔する人には、いくつかの共通点が見られます。ご自身の事業計画と照らし合わせて確認してみてください。
外部からの資金調達を目指す人
将来的にベンチャーキャピタルや多くの投資家から資金を集め、事業を急拡大させたいと考えている人にとって、合同会社は不向きです。株式による資金調達ができないため、成長のスピードが制限されてしまいます。初めから大きなスケールを目指すのであれば、株式会社を選択する方が合理的です。
上場(IPO)を視野に入れている人
株式市場への上場(IPO)は、株式会社にしか認められていません。もし将来的にでも上場の可能性を考えているのであれば、最初から株式会社を設立すべきです。合同会社から株式会社へ組織変更することも可能ですが、手間とコストがかかり、遠回りになってしまいます。
共同経営のルール決めが曖昧な人
合同会社をひとりではなく、複数人で設立する場合、利益配分や権限、脱退時のルールなどを定款で詳細に定めておかないと、ほぼ確実にトラブルになります。「仲が良いから大丈夫」という安易な考えは危険です。対等な権限を持つからこそ、金銭や経営方針を巡る対立が深刻化しやすいのです。
合同会社の設立が向いているケース
もちろん、合同会社が全てのビジネスに適さないわけではありません。以下のようなケースでは、合同会社のメリットを最大限に活かせます。
個人事業主からの法人成り(マイクロ法人)
合同会社は設立コストが低いことから、マイクロ法人として選ばれるケースがあります。合同会社をひとりで設立すれば、意思決定で揉めることもなく、低コストで法人格のメリットを享受できます。
BtoC事業や店舗ビジネス
顧客が一般消費者であるBtoC事業(飲食店、美容室、小売店、Webサービスなど)では、運営会社が株式会社か合同会社かは、売上にほとんど影響しません。会社の信用度よりも商品やサービスの質が直接評価されるため、設立・運営コストの低い合同会社の利点が活きます。
役員が家族や親族のみで構成される会社
資産管理会社や、家族経営の小規模な事業を行う場合、意思決定の対立が起こりにくいため、合同会社は良い選択肢となります。気心の知れた身内だけで運営することで、社員間のトラブルのリスクを最小限に抑えながら、法人としてのメリットを享受できます。
合同会社に従業員として入社する場合の注意点
会社の設立だけでなく、従業員として合同会社で働くことを検討している人もいるでしょう。その際の注意点を解説します。
会社の規模や経営状況を確認する
前述の通り、合同会社は決算公告の義務がないため、外部から経営の実態が見えにくいです。入社を検討する際は、可能な限り会社の規模、業績、取引先などを調べ、安定性を確認することが大切です。面接の場で、経営方針や財務状況について率直に質問してみるのも一つの方法です。
自分のキャリアプランと合致するか見極める
合同会社は、経営者との距離が近く、幅広い業務を経験できる可能性があります。一方で、会社の知名度やキャリアパスの観点では、株式会社の方が見通しを立てやすい場合があります。将来的な転職も視野に入れた場合、合同会社での経験がどのように評価されるかを考え、自身のキャリアプランと照らし合わせる必要があります。
意思決定のプロセスを理解しておく
入社後に「話が違う」とならないよう、その会社の意思決定がどのように行われているかを理解しておくことは重要です。トップダウンで迅速に進むのか、それとも社員間の合議で時間がかかるのか。会社の文化やスピード感は、働きやすさに直結します。
合同会社を辞めたいと思った場合の対応
合同会社を辞めたいと思った場合の対応は、立場によって大きく異なります。
従業員が辞めたい場合
従業員が合同会社を辞める場合は、通常の会社員が退職する手続きと変わりありません。就業規則に従い、退職届を提出して手続きを進めます。会社の形態が合同会社であるからといって、特別な制約を受けることは基本的にありません。
社員(出資者)が辞めたい場合
出資者である社員が合同会社を辞めたい場合、持分の払い戻しを請求する権利がありますが、定款で一定の制限が設けられる場合もあります。他の社員全員の同意が必要になったり、持分の評価額を巡って争いになったりと、円満な退社が難しいケースも多いのが実情です。
合同会社の設立で後悔しないよう注意しましょう
「合同会社はやめとけ」という言葉は、合同会社が持つデメリットやリスクを的確に捉えたものです。特に、社会的信用度、資金調達、複数人での経営といった面で、株式会社に比べて制約が多いことは事実です。
しかし、全てのケースで合同会社が悪いわけではありません。個人事業主の法人成りや、BtoCの小規模ビジネス、家族経営など、その特性が事業内容と合致する場合には、設立・維持コストの低さが大きな利点となります。
最も重要なのは、ご自身の事業計画や将来のビジョンを明確にし、それに最も適した法人の形態を選択することです。目先の設立コストの安さだけで判断せず、本記事で挙げたようなデメリットを十分に理解した上で、後悔のない決断をしてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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