- 作成日 : 2025年8月28日
まつエクサロンを開業するには?必要な資格や費用を解説
まつエクサロンの開業を検討している方にとって、必要な資格や手続き、費用などの情報は重要な判断材料です。この記事では、まつエクサロンを開業するために知っておくべき基本的な情報から具体的な手順まで、わかりやすく解説します。
目次
まつエクサロンの開業に必要な資格
まつエクサロンを開業するためには、技術的な資格と法的な要件の両方を満たす必要があります。
美容師免許の取得が必須
まつエクに関する施術を行うためには、美容師免許が法的に必要です。平成20年3月7日の厚生労働省通知(健衛発0307001号)により、「まつ毛エクステンション」が美容師法の対象となったため、無資格での施術は違法行為となります。
美容師免許を取得するには、美容専門学校(昼間部2年、夜間部2年、通信課程3年)を卒業し、美容師国家試験に合格する必要があります。すでに美容師免許を持っている方は、まつエクの技術習得のみに集中できます。
まつエクの技術研修
美容師免許を持っていても、まつエクの専門技術は別途習得する必要があります。多くのまつエクスクールでは、基礎コースから上級コースまで段階的に学習できるカリキュラムが用意されています。
技術研修では、まつエクの装着技術だけでなく、カウンセリング方法、衛生管理、アフターケアの指導なども学びます。研修期間は一般的に1〜3か月程度が多く、スクールや講座内容によって10万円〜50万円程度(通信講座では1万円〜10万円、通学では20万円〜60万円程度)が相場です。
管理美容師資格の取得
従業員を雇用する場合、管理美容師資格が必要になります。この資格は、美容師免許取得後3年以上の実務経験を経て、都道府県が実施する講習会を受講することで取得できます。
まつエクサロンの開業の流れ
事業計画の策定から実際の開業まで、体系的なアプローチが成功の鍵となります。
1. 事業計画の策定
まず、ターゲット顧客の設定、競合分析、収支計画を含む詳細な事業計画を作成します。立地選定では、ターゲット顧客の動線や競合店舗の分布を考慮し、最適な場所を選択することが重要です。
月間の目標売上高、客単価、来店頻度を基に収支計画を立て、初期投資の回収期間を算出します。損益分岐点は店舗の固定費・客単価・粗利率により変動しますが、一般的な月固定費110万円・客単価7,500円・粗利率80%の場合、施術数は月約180件~200件が目安とされています。
2. 保健所への届出
サロン開業前には、保健所に美容所開設届を提出する必要があります。この手続きは開業予定日の1〜2週間前に行い、施設の構造や設備が美容所の基準を満たしているかの検査を受けます。
届出に必要な書類は、開設届、施設の平面図、従業員の美容師免許証の写し、管理美容師資格証明書などです。自治体によって要件が異なるため、事前に管轄の保健所に確認することをお勧めします。
3. 設備・機材の準備
まつエクサロンに必要な設備は、施術用ベッド、照明器具、エクステンション、グルー、ツイザー、クレンジング用品などです。品質の高い機材を選択することで、顧客満足度の向上と施術効率の向上が期待できます。
また、衛生管理のための消毒設備、タオル類、空気清浄機なども必要です。これらの設備投資は、サロンの信頼性と顧客の安全性を確保するために重要な要素です。
4. スタッフの採用と教育
従業員を雇用する場合、美容師免許を持つ人材の採用と、サロン独自の技術・接客基準の教育が必要になります。採用時には、技術レベルの確認だけでなく、顧客対応能力やチームワークも評価項目に含めることが大切です。
新規スタッフには、サロンの施術方針、衛生管理規則、接客マナーなどの研修を実施し、一定の基準に達してから実際の施術を担当させます。
まつエクサロンの開業費用
開業費用は立地や規模によって大きく異なりますが、一般的な相場を把握しておくことが重要です。
初期投資の内訳
小規模なまつエクサロンの場合、初期投資は300万円から500万円程度が相場です。この金額には、物件取得費、内装工事費、設備・機材費、広告宣伝費、運転資金が含まれます。
物件取得費は、敷金・礼金・仲介手数料を含めて賃料の6〜10ヶ月分程度を見込んでおく必要があります。都市部中心部では月額賃料20万円〜50万円程度の店舗が多く見られますが、立地や施設規模によって上下幅が大きい点に留意が必要です。
設備・機材費の詳細
施術用ベッド(1台あたり10万円〜30万円)、照明器具(LED照明で5万円〜15万円)、消毒設備(5万円〜10万円)などの基本設備に加え、エクステンション材料費として月額5万円〜15万円程度の継続費用が発生します。
高品質な機材への投資は、施術時間の短縮と仕上がりの向上につながり、長期的な収益性の向上に寄与します。特に照明器具は、施術の精度に直接影響するため、品質の良いものを選択することが重要です。
運転資金の確保
開業後3〜6ヶ月間の運転資金として、月間の固定費(賃料、人件費、光熱費など)の3〜6倍程度を確保しておくことが安全です。まつエクサロンは顧客の定着に時間がかかるため、十分な運転資金の確保が事業継続の鍵となります。
広告宣伝費については、開業時に集中的に投資することで認知度向上を図り、その後は口コミやリピーターの獲得に重点を置くことが効果的です。
資金調達の方法
利用可能な制度としては、日本政策金融公庫の『新規開業・スタートアップ支援資金』や、信用保証協会付き融資、地方自治体の創業支援制度などです。これらの制度は、創業者にとって比較的低金利で融資を受けられるメリットがあります。
融資申請時には、詳細な事業計画書の提出が必要です。特に、市場分析、競合分析、収支計画については、現実的で具体的な数値を示すことが審査通過のポイントとなります。
まつエクサロン開業の成功ポイント
まつエクサロンの開業は、適切な準備と継続的な努力により成功の可能性を高めることができます。
技術力の向上と顧客満足度の追求
美容業界では技術力が直接収益に影響するため、継続的なスキルアップが不可欠です。新しい技術やトレンドに対応できるよう、定期的な研修や勉強会への参加を心がけましょう。
また、顧客一人ひとりの要望に丁寧に対応し、アフターケアまで含めた総合的なサービスを提供することで、リピート率の向上と口コミによる新規顧客獲得が期待できます。
衛生管理の徹底
まつエクサロンでは、目元という繊細な部位を扱うため、衛生管理の徹底が最も重要です。器具の消毒、タオル類の管理、施術環境の清潔性維持など、基本的な衛生管理を怠らないことが、顧客の信頼獲得と事業継続につながります。
定期的な衛生管理研修を実施し、スタッフ全員が同じ基準で衛生管理を行えるよう、マニュアルの整備と教育の継続が必要です。
効果的なマーケティング戦略
開業初期は認知度向上が最優先課題となるため、SNSを活用した情報発信、地域密着型のイベント参加、既存顧客からの紹介制度などを組み合わせた多角的なマーケティングが効果的です。
特に、施術前後の写真をSNSで公開することで、技術力の高さを視覚的にアピールできます。ただし、顧客の了承を得ることと、プライバシーの配慮は必須です。
開業には多くの準備と投資が必要ですが、美容師免許の取得、適切な事業計画の策定、十分な資金準備を行うことで、成功の可能性を大きく高めることができます。まつエク市場は今後も成長が見込まれる分野であり、質の高いサービスを提供することで、安定した収益を得ることが期待できるでしょう。
ポイントを押さえてまつエクサロンの開業を目指そう
この記事では、まつエクサロン開業に必要な「美容師免許」という必須資格から、必要な費用などを詳しく解説しました。
開業への道のりは、資格取得、資金計画、事業計画書の作成、そして保健所への届出など、やるべきことが数多くあります。しかし、一つひとつのステップを着実にクリアしていくことで、漠然としていた「夢」は具体的な「目標」へと変わっていきます。
特に、成功の鍵を握るのは「コンセプト設計」と「資金計画」です。どんなお客様に、どのようなサービスで喜んでいただきたいのかを明確にし、無理のない資金計画を立てることが、サロンを長く愛される場所に育てるための第一歩となります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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