- 作成日 : 2025年3月21日
法人閉鎖の流れや登記のやり方は?登記後に必要な手続きも解説
法人の閉鎖とは、法人としての活動を終了し、法的に存在しなくなる手続きのことです。適切な手続きを進めることで、法的なトラブルを避けることができます。
この記事では、法人の閉鎖手続きや清算結了登記の流れ、登記簿閉鎖の理由などを詳しく解説します。
目次
会社の閉鎖とは
休業との違い
会社の休業と閉鎖はニュアンス的に似ている印象を受けますが、内容的に異なります。休業とは、営業を一時的に停止する状態を指し、経済的な理由や季節的な要因などで行われることが一般的です。この場合、法人格は存続し、法的義務や権利が残るため、将来的に営業再開が見込まれています。
一方、閉鎖は法人の活動を完全に終わらせることを意味し、事業を再開する予定はありません。閉鎖後は法人の権利も義務も消滅します。
また、休業期間中は一定の手続きを経て再開ができますが、閉鎖の場合は清算や登記手続きが必要となり、再度法人を設立する場合には新たに申請を行うことになります。
会社を閉鎖するまでの流れ
会社を閉鎖する場合、法律にのっとった手続きを行うことが重要です。以下に、会社を閉鎖するための必要な手続きを、順を追って解説します。
1. 解散決議の開催
まず、株主総会または社員総会を開き、会社の解散を決議します。解散決議を決定するためには、定款に従った議決数(議決権の2/3の賛成)が必要です。議事録を作成し、後の手続きで必要となるので、記録しておきましょう。
2. 解散登記の申請
解散の決議が完了したら、解散日から2週間以内に法務局に解散登記を申請します。登記申請には、解散決議の議事録や定款の写し、申請書が必要です。
3. 清算人の選任
解散した会社は、債権者の保護のために清算手続きに入ります。そのため、清算人を選任することが必要です。株主総会で清算人を選び、その結果を議事録に記録します。
4. 清算手続きの実施
清算人は、残っている資産の売却や債務の支払いを行います。また、税務署、自治体の役所、都道府県税務署、年金事務所、ハローワーク、労働基準監督署など各機関に対し、会社が閉鎖したことを知らせる届出を提出します。会社の資産状況を把握するため、財産目録や貸借対照表の作成も忘れずに行いましょう。
5. 債権者保護のための手続き・解散確定申告
債権者保護手続きを行うために、官報公告や個別催告を実施し、弁済や残余資産の分配を行います。これらの手続きが終了したら、解散日までの確定申告書を作成し、税務署に提出します。
6. 清算結了登記
決算報告書を作成し、株主総会で清算事務報告の承認を得たら、法務局に清算結了登記を行います。
閉鎖に伴う法人の清算結了登記とは
清算結了登記とは、法人が清算手続きを完了した結果を法務局に登録する手続きです。法人格を正式に消滅させるための重要な手続きであり、適切に行う必要があります。この登記が完了すると、法人の法的としての存在が消滅し、全ての清算関係も終了します。
必要書類
清算結了登記には、以下の必要書類があります。
- 登記申請書
- 株主総会議事録
- 決算報告書
- 株主リスト
- 委任状
※ これは株式会社の場合の例です。法人の種類によって必要書類が異なる可能性があります。
費用
清算結了登記を行う際には、登録免許税として2,000円が必要です。
期限
清算結了登記の申請期限は、清算結了してから2週間以内です。
注意点
清算結了登記を行う際には、いくつかの注意点があります。まず、全ての債務が支払われていることを確認しましょう。また、全ての資産が適切に処理されていることも重視しましょう。さらに、登記申請前に登記簿に残っている必要な情報を確認し、正確な書類を提出することが求められます。
清算結了登記の完了後に必要な手続き
清算結了登記が完了すると、登記事項証明書(閉鎖事項全部証明書)が取得できるので、法務局以外の機関に対して清算結了の申請を行います。登記事項証明書(閉鎖事項全部証明書)を提出する機関は、以下の通りです。
- 税務署
- 都道府県税事務所
- 市区町村役場
- 年金事務所
- 労働基準監督署
- ハローワーク
これらの手続きを適切に行うことで、会社の閉鎖が完了します。
清算結了登記の完了以外に、法人登記簿が閉鎖される理由
法人登記簿が閉鎖される理由は、清算結了登記の完了だけではありません。他にも以下の理由があります。
法人解散登記後10年経過した場合
法人が解散登記を行った後、10年が経過すると自動的に法人登記簿は閉鎖されます。これは、事業活動を行わず、法人としての実態がない状態が10年間続いた場合に適用されます。
倒産した場合
倒産手続きの一環として法人の登記が閉鎖される場合もあります。破産手続きが開始されると、法人はその法的地位を失うことで登記簿が閉鎖されます。この場合、清算とは異なり、裁判所の手続きにのっとった異なる流れが必要とされます。
その他の理由
法人としての活動が継続していないにもかかわらず、必要な手続きが行われていないと、登記内容が更新されません。事実上活動していない法人は、その状態により登記簿が閉鎖される可能性があります。
会社を閉鎖するときは法人登記の清算手続きを忘れずに行おう
法人を閉鎖する際は、清算結了登記を含む一連の手続きを正確に行うことが不可欠です。法人登記の清算手続きは、解散決議から始まり、最終的な清算結了登記といった手順を踏む必要があります。手続きの期限も定められているため、閉鎖を決めた場合はスムーズに手続きが進められるよう余裕をもって準備しましょう。
法人登記の清算は、適切な管理と各種機関への手続きが必要となります。会社の閉鎖時は、法律にのっとった作業を行うために専門的な知識が求められます。他にもやるべき手続きが多岐にわたっているため、経験豊富な専門家のサポートを利用することをおすすめします。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
マンション経営のメリットとリスクは?初期費用や利回り、経費なども解説!
投資の1つとして人気が高いのがマンション経営です。安定した収入を得やすく節税にもつながる一方、空室リスクや資産価値が下がるなど、さまざまなリスクもあります。今回は、マンション経営で儲かる仕組みやメリット・リスク、マンション経営を始める方法や…
詳しくみる役員(取締役や監査役)の任期は10年?変更や登記についても解説!
取締役や監査役など、株式会社の役員には任期があります。一般的には、取締役の任期は「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」、監査役の任期は「選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する…
詳しくみるクリニック経営を成功に導くポイントは?患者数の低迷など、よくある悩みを解決!
医師や医療分野での起業に興味がある方の中には、クリニック経営に挑戦したい方も多いでしょう。医院を開業・経営するためには、黒字化のために患者数を増やしたり、看護師やスタッフをマネジメントしたりする必要があり、医療以外のさまざまな知識やスキルが…
詳しくみる経営者視点とは?経営者視点を養う方法
オーナー社長であっても、株主としてではなく、経営者の立場に立って、組織や事業の全体的な方向性や戦略を考えることは「経営者視点」に立っていると言えます。しかし、経営者視点は経営者のみに求められるものではありません。 この記事では、経営者視点の…
詳しくみる経営判断とは?経営判断の原則と迷った際の指針
経営者の仕事は経営判断といわれています。事業を行っていると常に判断が求められ、それを誤ると大きな損害を被ったり、顧客や従業員からの信頼を失ったりして、最悪倒産するおそれすらあります。 今回は経営者が押さえておくべき経営判断の原則や基準、迷っ…
詳しくみるBS経営とは?財務諸表の見方と経営分析との関係をわかりやすく解説
BS経営とは、経営管理の手法の一つで、貸借対照表(Balance Sheet)を重視した経営スタイルを指すものです。 この記事では、貸借対照表と他の財務諸表との違いをわかりやすく説明しながら、初心者でもわかるようにBS経営について解説します…
詳しくみる