- 更新日 : 2024年9月6日
日本政策金融公庫から個人事業主が融資を受けるには?限度額、必要書類を解説
日本政策金融公庫は、個人事業主に対して融資を行っています。創業融資の「新規開業資金」や幅広く使える「一般貸付」、特定の目的を想定した融資など制度が豊富です。本記事では、個人事業主が日本政策金融公庫から融資を受ける限度額や、審査に通過するコツを紹介します。スムーズに融資を受けるために、ぜひ参考にしてください。
目次
日本政策金融公庫から個人事業主が融資を受けるには?
法人だけでなく、個人事業主も日本政策金融公庫で融資を受けられます。法人と同様に設備資金や運転資金の借入が可能であり、必要書類を提出して審査を通過しなければなりません。
日本政策金融公庫の融資制度
個人事業主が利用できる主な融資制度には、創業融資である「新規開業資金」やさまざまな用途や業種で利用できる「一般貸付」などがあります。このほか、事業の拡大や事業承継・M&A、海外展開や環境対策など、融資の目的別にさまざまな融資制度が用意されています。そのため、自分に合ったものを選択可能です。
個人事業主が日本政策金融公庫から受けられる融資限度額
日本政策金融公庫の多くの融資制度における限度額は、7,200万円です。ただし、利用する融資制度によって異なるため、希望する融資制度について確認しましょう。
たとえば、「新規開業資金」であれば7,200万円(うち運転資金4,800万円)です。「一般貸付」であれば、運転資金と設備資金では4,800万円、取扱商品や業種の変更に必要な費用である特定設備資金では7,200万円となっています。
個人事業主が日本政策金融公庫から融資を受けるコツ
個人事業主が日本政策金融公庫から融資を受けるためには、事前の準備が必要です。以下では、スムーズに融資を受けるために知っておきたいコツを見ていきましょう。
事業計画をしっかりとたてる
融資を受けるには、事業計画をたて、事業の安定性や継続性を公庫職員に示す必要があります。創業計画書や事業計画書を求められる融資制度が多いため、説得力のある計画書を作成しましょう。経費や売上は正確に記載し、将来的な見通しについては根拠のある数字やデータを示すことが大切です。実現可能な計画やその根拠を計画書に盛り込むことで、審査で有利になるでしょう。
自己資金を用意する
十分な自己資金があると信用力が高まるため、融資を受けやすい傾向にあります。自己資金が少なくても申請可能ではあるものの、返済能力に疑問を持たれやすいため、融資決定は難しいと考えられます。必要な自己資金の目安が公表されているわけではありませんが、創業資金総額の3分の1ほどを確保しておくと安心です。
支払うべきものに未払いや滞納がない
公共料金や税金、クレジットカードやローンなど、支払うべきものを日頃からきちんと支払っておくことも大切です。
クレジットカードやローンの未払い・滞納がある場合は、審査に通過することは難しいでしょう。クレジットカードやローンの支払い状況は個人信用情報機関から確認できるため、公庫職員も把握できます。過去に支払いのトラブルが見つかった場合も、融資の審査で不利になると考えられます。
審査への影響を少しでも減らせるよう、未払い・滞納や支払いトラブルのないよう心掛けましょう。
面談での質問にきちんと回答する
面談で質問にしっかりと回答し、事業の目的や方針、今後の見通しなどについてしっかりアピールしましょう。書類だけでなく、公庫職員との面談も踏まえて審査されます。そのため、事業について自分の言葉で詳しく説明や補足ができるよう、準備しておく必要があります。事務所や店舗、工場などの訪問を受ける場合もあるため、並行した準備が必要です。
個人事業主が日本政策金融公庫から融資を受ける流れ
個人事業主が日本政策金融公庫で融資を受ける場合の、一般的な流れは次の通りです。
- 問い合わせ・相談
- 申し込み・書類提出
- 面談
- 審査
- 結果通知・融資
- 返済
日本政策金融公庫の融資を希望する場合は、専用ダイヤルにて問い合わせができます。予約をすることで、支店の窓口やオンラインでの相談も可能です。申し込みをする場合は、インターネットを使うと便利です。
提出書類と面談から、融資の審査が行われます。融資が決定した場合は契約手続きを行う必要があるため、公庫職員の案内に沿って進めましょう。契約手続きが完了したら、指定口座に融資金額が入金され、返済開始となります。
個人事業主が日本政策金融公庫に提出する必要書類
融資の申し込みに必要な書類は、融資の種類によって異なります。一例として、創業融資である「新規開業資金」の主な必要書類は次の通りです。
- 直近2期分の申告決算書(申告している場合)
- 創業計画書(新たに創業する方や創業間もない方)
- 企業概要書(上記に当てはまらない方)
- 運転免許証またはパスポート
- 許認可証(飲食店など、許可・届出等が必要な事業を営んでいる場合)
- 購入する設備の見積書(設備資金の場合)
事業を行う上で保管している申告書類などに加えて、新たに作成が必要な創業計画書・企業概要書や、取り寄せが必要な見積書などもあります。問い合わせの際に必要な書類についてしっかりと確認し、スムーズな提出を目指しましょう。
個人事業主が日本政策金融公庫から融資を受ける際に役立つテンプレート
日本政策金融公庫から個人事業主が融資を受ける場合には、専用フォーマットの資料を作成・提出しなくてはなりません。ここでは、融資時に必要な資料と事業計画のフォーマットをご紹介します。
創業計画書・企業概要書
日本政策金融公庫から融資を受ける多くの場合、専用フォーマットによる創業計画書、または企業概要書が必要です。
創業計画書は、新たに事業を立ち上げる際に提出する書類です。一方、企業概要書は、企業の概要や事業内容、取引先などを詳細に記載した書類で、創業計画書とは異なり、はじめて日本政策金融公庫を利用する際に、取扱商品・サービス等の企業内容について、記入するものです。
事業計画書のテンプレート
これまでを振り返り今後どのように展開していくかを考えるために、融資の申請を決める前に自分でも事業計画書を書いてみることをおすすめします。
事業計画書を作成するには、既存のテンプレートを使うと便利です。空欄を埋める形のため、自身の事業について考えを深められるとともに、抜けや漏れの防止にもなります。以下からダウンロードして、ぜひご活用ください。
日本政策金融公庫から融資を受けたい場合は問い合わせてみよう
日本政策金融公庫は、個人・法人を問わず融資を受けられる金融機関です。創業融資である「新規開業資金」や用途や業種に幅広く対応している「一般貸付」のほか、事業の内容や方向性に合わせた融資制度が豊富に用意されています。詳細を知りたい場合は、専用ダイヤルから気軽に問い合わせてみましょう。民間の金融機関の融資制度とも比べながら、自分に合った融資制度を見つけてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
借金して会社設立することはできる?
会社設立のためには、登記にかかる費用のほか、事業のための設備投資など、資金が必要です。会社設立前に、どのようにして資金を調達するかが課題のひとつだといえるでしょう。例えば、資金調達の方法として融資を受ける方法がありますが、借金をして会社設立…
詳しくみる【駒場】会社設立時のポイント・支援情報・節約のコツ
駒場での会社設立をはじめ、日本で株式会社や合同会社を設立する際は、主に【①無料の会社設立サービスを利用して自分で進める、②専門家である税理士や司法書士に依頼する、または③法務局のサイトを参照しながら自分で手続きを行う】という3つの主な方法が…
詳しくみる新規事業に必要なビジネスアイデア – 実例や探し方を解説!
ビジネスアイデアは事業の未来を決める重要なものです。ビジネスアイデア1つで夢やビジョンが実現し、会社やご自身が大きく飛躍を遂げられる可能性もあります。しかし、ビジネスアイデアを考えるのは簡単ではありません。アイデアを現実的なビジネスプランに…
詳しくみる広告代理店の定款の書き方!事業目的の記載例・テンプレート
広告代理店の会社を立ち上げて起業する場合には、定款の作成が必要です。定款とは、会社を運営していくうえで欠かせない規約をまとめたもので、定款に盛り込む内容は会社法で定められています。広告代理店の会社を立ち上げる際の定款に記載すべき項目や書き方…
詳しくみる独立時の融資ではいくら借りられる?個人事業主が審査に通るコツなどを解説
独立・開業に必要な資金は、融資で調達可能です。個人事業主であっても、日本政策金融公庫や銀行融資などが活用できますし、実際に多くの事業者は融資により独立資金を準備しています。 ただし審査に通らなければ融資はしてもらえません。本記事にてコツ・ポ…
詳しくみる資本金1円で会社設立ができる?
理論上、現会社法では資本金が1円でも会社設立が可能です。実際、資本金1円での会社設立は現実的なのでしょうか。この記事では、資本金の概要や資本金1円で会社設立するメリット・デメリット、資本金以外に準備する必要がある会社設立の費用について解説し…
詳しくみる