- 更新日 : 2025年8月29日
日本政策金融公庫から個人事業主が融資を受けるには?限度額、必要書類を解説
日本政策金融公庫は、個人事業主に対して融資を行っています。創業時に利用できる「新規開業・スタートアップ支援資金」や、幅広い業種・用途で使える「一般貸付」、さらに事業承継やM&A、海外展開など特定の目的に対応する制度もあり、ニーズに応じて選択できるのが特徴です。
本記事では、個人事業主が日本政策金融公庫から融資を受ける際の限度額や審査準備のポイントをわかりやすく解説します。
目次
日本政策金融公庫から個人事業主が融資を受けるには?
日本政策金融公庫の融資は、法人だけでなく個人事業主も利用できます。設備投資や運転資金など、事業に必要な資金を借り入れることが可能で、申込にあたっては所定の書類を提出し、審査を受ける必要があります。
個人事業主が利用できる主な融資制度には、創業時の資金調達を支援する「新規開業・スタートアップ支援資金」や、幅広い業種・用途で利用できる「一般貸付」などがあります。
また、事業の成長段階や目的に応じて、事業承継・M&A、海外展開、環境対応などを対象とした制度も整備されています。複数の制度が用意されているため、自身の事業内容や資金ニーズに最も適したものを選ぶことが重要です。
個人事業主が日本政策金融公庫から受けられる融資限度額
日本政策金融公庫の融資制度にはそれぞれ上限額が設けられており、制度の種類によって限度額が異なります。
例えば、創業時の資金調達を目的とする「新規開業・スタートアップ支援資金」では、融資限度額は最大7,200万円(うち運転資金は4,800万円)と定められています。
一方で、幅広い用途に対応する「一般貸付」では、運転資金・設備資金の上限は4,800万円ですが、取扱商品や業種の変更に伴う設備投資などを対象とした「特定設備資金」の場合は7,200万円まで利用可能です。
個人事業主が日本政策金融公庫から融資を受けるコツ
個人事業主が日本政策金融公庫から融資を受けるためには、事前の準備が必要です。以下では、スムーズに融資を受けるために知っておきたいコツを見ていきましょう。
事業計画をしっかりとたてる
融資審査では、事業の安定性や継続性を示すことが求められます。そのため、多くの制度で「創業計画書」や「事業計画書」の提出が必要です。
計画書には、売上や経費の見込みを根拠のある数字で記載し、将来の見通しについても実現可能性を示すことが大切です。信頼性のある計画を提示できれば、審査を有利に進められる可能性があります。
自己資金を用意する
十分な自己資金があると信用力が高まるため、融資を受けやすい傾向にあります。
自己資金が少なくても申請可能ではあるものの、返済能力に疑問を持たれやすいため、融資決定は難しいと考えられます。必要な自己資金の目安が公表されているわけではありませんが、総資金の2~3割程度を確保しておくと安心です。
支払うべきものに未払いや滞納がない
公共料金や税金、クレジットカードやローンなど、支払うべきものを日頃からきちんと支払っておくことも大切です。
未払い・滞納がある場合は、信用情報に記録され、日本政策金融公庫でも確認可能です。その場合、審査に不利に働く可能性があります。日頃から健全な支払い実績を積み重ねておくことが、融資の信頼性につながります。
面談での質問にきちんと回答する
融資審査は書類だけでなく、職員との面談も含まれます。事業の目的や方針、将来の見通しを自分の言葉でわかりやすく説明できるよう準備しておきましょう。
場合によっては事務所や店舗、工場などの現場確認が行われることもあるため、訪問を受けても差し支えない状態に整えておくと安心です。
個人事業主が日本政策金融公庫から融資を受ける流れ
個人事業主が日本政策金融公庫で融資を受ける場合の、一般的な流れは次の通りです。
- 問い合わせ・相談
- 申し込み・書類提出
- 面談
- 審査
- 結果通知・融資
- 返済
日本政策金融公庫の融資を希望する場合は、専用ダイヤルにて問い合わせができます。予約をすることで、支店の窓口やオンラインでの相談も可能です。申し込みをする場合は、インターネットを使うと便利です。
提出書類と面談から、融資の審査が行われます。融資が決定した場合は契約手続きを行う必要があるため、公庫職員の案内に沿って進めましょう。契約手続きが完了したら、指定口座に融資金額が入金され、返済開始となります。
個人事業主が日本政策金融公庫に提出する必要書類
融資の申し込みに必要な書類は、融資の種類によって異なります。例えば、創業融資である「新規開業・スタートアップ支援資金」の主な必要書類は次の通りです。
事業を行う上で保管している申告書類などに加えて、新たに作成が必要な創業計画書・企業概要書や、取り寄せが必要な見積書などもあります。問い合わせの際に必要な書類についてしっかりと確認し、スムーズな提出を目指しましょう。
個人事業主が日本政策金融公庫から融資を受ける際に役立つテンプレート
日本政策金融公庫から個人事業主が融資を受ける場合には、専用フォーマットの資料を作成・提出しなくてはなりません。ここでは、融資時に必要な資料と事業計画のフォーマットをご紹介します。
創業計画書・企業概要書
日本政策金融公庫から融資を受ける多くの場合、専用の創業計画書、または企業概要書が必要です。
創業計画書は、新たに事業を立ち上げる方が提出する計画書です。一方、企業概要書は、既に事業を営んでいる方が提出します。企業の沿革や事業内容、取引先などの記載が必要です。
事業計画書のテンプレート
これまでを振り返り今後どのように展開していくかを考えるために、融資の申請を決める前に自分でも事業計画書を書いてみることをおすすめします。
事業計画書を作成するには、既存のテンプレートを使うと便利です。空欄を埋める形のため、自身の事業について考えを深められるとともに、抜けや漏れの防止にもなります。以下からダウンロードして、ぜひご活用ください。
日本政策金融公庫から融資を受けたい場合は問い合わせてみよう
日本政策金融公庫は、個人・法人を問わず融資を受けられる金融機関です。創業融資である「新規開業・スタートアップ支援資金」や用途や業種に幅広く対応している「一般貸付」のほか、事業の内容や方向性に合わせた融資制度が豊富に用意されています。詳細を知りたい場合は、専用ダイヤルから気軽に問い合わせてみましょう。民間の金融機関の融資制度とも比べながら、自分に合った融資制度を見つけてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
起業時の創業融資の種類とは?制度の違いや自己資金の目安を解説
起業時の創業融資は、新事業立ち上げに必要な資金を支援する制度です。起業に際して資金調達は最初の一歩であり、実際にどのような制度があるのか、審査を通すためのポイントなどを押さえておく必要があります。 本記事では、日本政策金融公庫や自治体、銀行…
詳しくみる自己破産後の資金調達方法は?日本政策金融公庫の再挑戦支援資金などを解説
自己破産は法的に認められた債務整理のスキームであり、事業や生活の再建のための具体的な手法です。事業を立ち上げたものの頓挫してやむを得ず自己破産をしたという人は少なくありません。 本記事では、自己破産後の資金調達の方法や成功させるポイントなど…
詳しくみるブラック扱いでも日本政策金融公庫で融資を目指すには?他の資金調達ルートも解説
日本政策金融公庫の融資審査では、信用情報機関に延滞や債務整理などの登録がある、いわゆる「ブラックリスト」状態の方は、融資の審査に通りにくくなります。しかし、信用情報の見直しや改善、自己資金の強化、事業計画の精度向上を図ることで、融資の可能性…
詳しくみる女性起業家におすすめの資金調達方法は?成功のポイントやジャンルを解説
近年、女性起業家の割合は増加傾向にありますが、資金調達は男性に比べて障壁が高いといわれているのが現状です。ただし、日本政策金融公庫からの融資や国や地方自治体から支給される補助金・助成金の活用など資金調達方法は多く存在します。 本記事では、女…
詳しくみる合同会社でも資金調達はできる!融資・補助金・出資の活用法を解説
合同会社は、少人数での設立が可能で、運営の自由度が高い会社形態として注目されています。株式会社に比べて設立費用や管理コストを抑えられる一方、資金調達の面では制約があることも否定できません。 それでも、公的融資や補助金、クラウドファンディング…
詳しくみる債券発行による資金調達の方法は?メリットや流れなどをわかりやすく解説
債券発行は、企業が銀行融資に依存せず、投資家から直接資金を調達できる手段の一つです。本記事では、債券発行の仕組みや、公募債と私募債の違い、発行の流れ、メリット・デメリットを解説します。また、少人数私募債を活用した中小企業の成功事例を紹介し、…
詳しくみる