- 更新日 : 2024年4月30日
創業と設立の違いは?順序はどちらが先?具体的な企業事例や使い方、法的手続きまで解説
「創業」は事業を開始した事実そのものを指し、「設立」は法務局への登記申請を行い法人として認められた法的な日付を指します。
- 創業は「事業の実態」、設立は「法的手続き」が基準
- 設立日は登記完了日ではなく「申請日」となる点に注意
- 一般的には創業が先だが、最初から法人設立も可能
履歴書では、実態に合わせて書き分けます。個人事業主としての開始は「開業(創業)」、法人化した時点は「設立」と記載することで正確な経歴が伝わります。
企業の沿革やプロフィールで目にする「創業」と「設立」。どちらも事業の始まりを指す言葉ですが、登記(法的な手続き)を行っているかどうかという点が異なります。
本記事では、混同しやすい創業と設立の正確な定義や使い分け、さらに創立・開業・起業との違いについて、実在する企業の事例を交えて解説します。
目次
創業と設立の違いは?
「創業」と「設立」の決定的な違いは、法的効力を持つ手続き(登記)に基づいているかどうかです。事業の実態としてのスタートか、法律上の組織としてのスタートかという観点で区別されます。
| 項目 | 創業 | 設立 |
|---|---|---|
| 定義 | 事業を開始したこと | 法人登記が完了したこと |
| 基準 | 事実・実態 | 法律・手続き |
| 対象 | 個人事業主・法人 | 法人のみ |
| 重視される場面 | 企業の歴史、沿革、老舗アピール | 税務、契約、法的手続き |
創業とは?
創業とは、個人・法人を問わず、事業活動を実際に開始した時期や事実そのものを指します。法的な手続きは必須要件ではありません。「事業を始めた」という事実そのものを指します。
- 個人事業主としてお店を開いた日
- 新しいサービスや商売をスタートさせた日
設立とは?
設立とは、会社を法人として登記し、組織としての法的手続きが完了した時点を指します。法務局への登記申請書類を提出した日が設立日となります。
参考:商業・法人登記|法務局
英語表現におけるニュアンスの違いは?
英語での表現を見ると、そのニュアンスの違いがより明確になります。
- 創業:Founding
- 設立:Establishment
「Founding」の方が広い意味を持ち、ゼロから事業を興すプロセス全体を指す言葉として使われます。
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似た言葉「創立・開業・起業」との違いは?
「創業」や「設立」と似た言葉に、「創立」「開業」「起業」があります。それぞれの言葉が持つニュアンスと、使われる場面の違いを整理しました。
| 用語 | 意味 | よく使われる場面 |
|---|---|---|
| 創業 | 事業を開始すること(プロセス重視) | 企業の歴史、老舗企業の紹介 |
| 開業 | お店や商売を始めること | 個人事業主、飲食店、クリニック |
| 起業 | 新しく事業を起こすこと(行動重視) | ベンチャー、将来の目標 |
創立とは
「創立」は、組織を初めて作り上げた時に使われます。もっとも一般的な例は学校法人や団体です。「創立記念日」や「創立100周年」といった表現は、学校法人が組織された日を起点としています。
開業とは
「開業」は、お店や商売をスタートさせることを指します。 特に税務署への手続きにおいて、個人事業主のスタートは「開業(開業届)」と位置づけられています。法人が使っても間違いではありませんが、一般的には「店舗オープン」や「個人事業主」に対して使われる言葉です。
起業とは
「起業」は、「新しく事業を起こす」というアクション自体に焦点を当てた言葉です。 「創業」が過去の事実に使われることが多いのに対し、「起業」は「将来起業したい」「起業家を目指す」のように、未来の話や個人の意思・決意を表す際によく使われます。
創業と設立の正しい使い方・例文は?
就職・転職活動の履歴書や、会社のWebサイト(企業概要)に記載する際は、事実に基づいて正確に使い分けることが信頼に繋がります。
会社の沿革・プロフィールでの書き方
企業の歴史を説明する際は、「創業」と「設立」の両方を記載するのが一般的です。特に歴史ある企業の場合、個人事業として長く活動した後に法人化するケースが多いため、両方書くことで企業の厚みを伝えられます。
- 「A社は1950年創業の老舗メーカーです」
- 「個人商店として創業し、5年後に法人化して会社を設立しました」
履歴書(職歴・自己PR)での書き方
自身の経歴として記載する場合、個人事業主だったのか、法人化したのかによって書き分けます。一般的に、職歴欄では「設立」と書く方が、対外的な信用度は伝わりやすい傾向があります。
- 個人事業主として始めた場合
「20XX年 ○○事業を開業(または創業)」 - 法人化した場合
「20XX年 株式会社○○を設立」 - 法人化した後に代表になった場合
「20XX年 株式会社○○を設立 代表取締役に就任」
参考:ハローワークインターネットサービス – 履歴書・職務経歴書の書き方
創業日と設立日の順序はどちらが先?
日本の企業の多くは、まず個人事業主としてビジネスを始め(創業)、事業が軌道に乗ってから法人化(設立)するというステップを踏みます。 そのため、「創業日」の方が「設立日」よりも古い日付になるケースが一般的です。
約6割の起業家が個人事業主から会社を設立
株式会社マネーフォワードは、会社設立の経験がある方1,040名を対象に、会社設立の意思決定に関する調査を実施しました。
調査結果によると、会社設立前に個人事業主として事業を行っており、法人成りの形で会社を設立したのは全体の57.8%でした。個人事業主としての事業経験がないまま、最初から法人を設立したのは42.2%となっています。
また、会社設立からの年数別に見ると、個人事業主から法人成りをした割合が最も高いのは設立2から3年以内の企業で、75.2%でした。次いで設立1年以内の企業が68.5%となっており、近年会社を設立した企業ほど、まずは個人事業主として創業し、その後に会社を設立するステップを選ぶ傾向があることが読み取れます。
出典:マネーフォワード クラウド、先輩起業家が一番困ったことは?【会社設立の意思決定調査】(回答者:会社設立の経験がある方1,040名、集計期間:2024年1月)
創業日と設立日が異なるケースは?
実際に、創業日と設立日が異なる企業の事例を紹介します。
ファーストリテイリング(ユニクロ)
- 創業:1949年3月
- 設立:1963年5月
ユニクロを展開するファーストリテイリングは、1949年に「メンズショップ小郡商事」として創業しました。その後、14年経過した1963年に資本金600万円で法人を設立しています。
リンガーハット
- 創業:1962年7月
- 設立:1964年3月
長崎ちゃんぽんで知られるリンガーハットは、1962年にとんかつ専門店「とんかつ浜勝」を創業したのが始まりです。その約2年後に株式会社として設立されました。
参考:沿革|リンガーハット
高島屋
- 創業:1831年(天保2年)
- 設立:1909年12月
老舗百貨店の高島屋は、江戸時代に京都で古着綿商を始めたのが創業です。その後、明治時代に入ってから「高島屋飯田合名会社」を設立しており、創業から設立まで約78年もの期間があります。
参考:沿革|高島屋
創業日と設立日が同じになるケースは?
最初から株式会社や合同会社などの「法人」としてビジネスをスタートさせる場合は、創業日と設立日が同じになります。
近年は資本金規制の緩和(1円から会社設立が可能)により、個人事業を経ずに最初からスタートアップとして法人登記するケースも増えています。
ビジネスの実務で重要視されるのは「設立日」
ビジネスの実務において、法的・税務的に重要視されるのは「設立日」です。創業日はあくまで自己申告の日付ですが、設立日は法的な権利義務が発生する基準点となるからです。
これから会社を作る場合、設立日をいつにするかは慎重に決める必要があります。
設立日=法務局への登記申請日
会社の設立日は、登記が完了した日ではなく、法務局に登記申請書類を提出した日です。 提出方法によって日付の扱いが異なるため注意が必要です。
- 窓口提出:提出したその日が設立日
- 郵送提出:法務局に書類が到着した日が設立日
- オンライン申請:申請データがシステムに到達した日(基本は申請日)
希望の設立日(大安や記念日など)がある場合は、その当日に確実に申請を行う必要があります。
設立日のタイミングで税金が変わる
設立日を決める際に見落としがちなのが、「法人住民税(均等割)」への影響です。 法人住民税の「均等割」は、会社が赤字であっても毎年支払う必要がある税金(最低年間7万円〜)ですが、これは設立月からの月割り計算となりますが、月の途中に設立した場合、つまり2日以降の設立の場合はその1か月分の均等割は切り捨てとなります。
無駄な税金を抑えたい場合は、毎月2日以降を設立日に設定することで、1か月分の均等割を節税することができます。
創業と設立の手続きの違いは?
「創業(個人事業の開始)」と「設立(法人の開始)」では、スタートに必要な手続きのハードルが大きく異なります。
個人の創業手続き
個人事業主として創業する場合、手続きは非常にシンプルです。
- 手続き:税務署へ「開業届」を提出するだけ
- 費用:無料
- 期間:即日完了
法人の設立手続き
一方、会社を設立する場合は、法務局での登記が必要となるため、いくつかのステップを踏む必要があります。
- 基本事項の決定:社名、事業目的、資本金、所在地などを決める。
- 実印の作成:登記申請に必要な会社の実印を作っておく。
- 定款の作成・認証:会社の憲法となる「定款」を作り、公証役場で認証を受ける(合同会社は認証不要)。
- 資本金の払い込み:発起人の個人口座等に資本金を入金し、証明を作る。
- 登記申請:法務局へ書類を提出する。
創業・開業時に活用できる公的な支援制度は?
最後に、これから事業を始める方が活用できる支援制度を紹介します。
日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
日本政策金融公庫は、小規模企業などの経営の成長や安定のための支援を行うことを目的とした政府系金融機関です。
日本政策金融公庫では、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方に向けて、「新規開業・スタートアップ支援資金」を提供しています。資金の使い道は、新規事業や事業開始後に必要な設備や運転資金と幅広く対応できます。融資限度は7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、担保や保証人の有無は相談の上で決定されます。
※日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、令和6年3月31日で取り扱いを終了しています。
認定経営革新等支援機関
認定経営革新等支援機関は、中小企業等についての専門的知識など一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関です。具体的には、税理士や公認会計士、中小企業診断士、商工会議所、金融機関などで認定を受けた人や団体があります。
経営相談、事業計画、専門的課題の解決などに利用できます。特に地域の商工会や商工会議所には各種の相談を受け付けている場合もあり、おすすめです。
参考:認定支援機関|中小企業庁、認定支援機関検索|中小企業庁
創業と設立の違いを正しく理解して手続きを進めよう
本記事では、「創業」と「設立」の違いを詳しく解説しました。
- 創業:事業を始めた日(歴史や沿革で重視される)
- 設立:法人登記をした日(法律や税金で重視される)
これから事業を始める場合、個人事業主としてスタートするなら税務署へ「開業届」を、法人としてスタートするなら法務局へ「設立登記」を行うことになります。 それぞれの言葉の意味を正しく理解し、目的に合わせた手続きや書類作成を行いましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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