- 更新日 : 2023年12月12日
年収400万円の個人事業主と会社員は手取りが同じ?税金対策も解説
2025年(令和7年)提出 確定申告まとめ
▽まずはこの記事から
初心者から経験者まで、毎年多く読まれている記事です。確定申告の必要性、やり方、簡単に済ます方法についてまるっと解説しています。
「年収400万円」の個人事業主の年収と会社員の給与について、「手取り額はどちらが多いのか」「税金の負担に違いはあるのか」などは気になるところです。また、所得税の計算過程における控除などは、個人事業主と会社員とではどう違うのでしょうか?
この記事では、個人事業主が所得を計算する際の経費計上などについても解説しながら、会社員との違いに迫ります。
目次
「マネーフォワード クラウド確定申告」なら日々の取引入力→申告書の作成→申告作業が、オンラインで完結します。取引明細の自動取得と仕訳の自動作成に対応しており、手入力を減らしてカンタンに書類を作成。そのままスマホから提出することもできます。
PC(Windows/Mac)だけでなく、スマホアプリからも確定申告が可能です。
年収400万円の個人事業主と会社員は手取りが同じ?
一口に「年収400万円」と言っても、個人事業主でも会社員でも控除されるものがあるため、年収とはどの金額を指すのでしょうか?いろいろな考え方があるかと思いますが、ここでは次のように考えて個人事業主と会社員を比較します。
個人事業主(青色申告者)の年収について
ここでいう年収とは、必要経費がすでに差し引かれていますので、正確には「所得金額」であると言えます。
出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁、所得税青色申告決算書(一般用)【令和5年分以降用】
会社員の年収について
会社員の年収は、給与所得控除前の収入として源泉徴収票における「支払金額」を使います。したがって、ここでいう年収は課税部分のみが対象となっていますので、通勤手当など所得税が課税されないものは除かれます。
出典:[手続名]給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁、令和 年分 給与所得の源泉徴収票
会社員と個人事業主の年収比較
したがってこの記事では、個人事業主の青色申告特別控除前の所得が400万円、会社員の源泉徴収票の支払金額が400万円であることを前提として、両者の手取り額を計算します。
所得税は、個人の要件や生命保険料控除、医療費控除、住宅ローン控除などで税額が変わります。
例えば、35歳独身で扶養家族なし、他の控除も一切なく一人で事業をしている場合、
個人事業主の手取り額は約309万円、会社員の手取り額は約315万円で、会社員の方が手取り額が約6万円多くなります。
それぞれの計算の根拠となった金額は、以下のとおりです。
個人事業主は青色控除前の所得、 会社員は支払金額 | |||
個人事業主は青色申告特別控除額、 会社員は給与所得控除額 | |||
所得税の基礎控除額 (住民税は43万円) | |||
個人事業主は国民年金、 会社員は厚生年金 | |||
個人事業主の国民健康保険は 東京都世田谷区で計算 | |||
両方とも復興特別所得税を含む | |||
両方とも均等割5,000円、 税率10%で計算 | |||
会社員のみ | |||
約6万円差となる |
※の項目は途中の計算に使った額であり、差し引き手取額の計算には影響しません。
健康保険料は、会社員は会社と折半できますが、個人事業主は全額負担となります。両者の差が大きい部分です。
なお、国民健康保険料は自治体により変動するため、暫定的な計算とならざるを得ないところがあります。年金についても個人事業主は国民年金分だけですので、他に手当する必要があります。
この他、業種によって個人事業主には個人事業税という地方税がかかります。上記の個人事業主の個人事業税を支払う場合には、3~5万円(業種による)課税されます。さらに、年収がいくらであろうとも、消費税の課税事業者であれば別途消費税の支払があります。
年収400万円の個人事業主が支払う税金の種類は?
上記のシミュレーションで個人事業主が支払った税金についてもまとめておきましょう。
シミュレーションでは細かな税金について触れませんでしたが、事業の種類についてはいろいろとあります。
【個人事業主の主な税金】
課税所得があるとき、所得に対し課税される | 国税 超過累進税率となっている | |
均等割:定額5,000円程度 所得割:課税所得に10%など | 地方税 | |
個人の事業に対し課税される | 地方税、業種により4~5% | |
基準期間において一定の課税売上高がある場合などに支払う | 国税、支払消費税が多い場合には還付が受けられる | |
事業で、土地、家屋などを所有している場合には都市計画税と併せて支払う 機械や設備などの償却資産がある場合には申告が必要 | 償却資産の合計が150万円未満なら課税されない | |
事業用の車両がある場合 | 軽自動車、バイクなども対象 | |
課税文書に貼付する収入印紙代 | 領収書は5万円以上で課税対象 |
これらのうち、個人事業主の必要経費となるのは個人事業税や固定資産税、自動車税、印紙税などです。ただし、固定資産や車両などは事業に利用しているものに限ります。
所得税について
上記の主な税金のうち、所得税について少し詳細を見ていきましょう。
所得税の税率は、分離課税を除くと5%から45%の7段階に区分され、計算のもとになる所得が多ければ多いほど所得税率が高くなる超過累進課税となっています。また、令和19年までの確定申告では、所得税に原則としてその所得税額の2.1%にあたる復興特別所得税を加算して申告納付することになっています。
個人事業税について
個人事業税とは、上の表にもあるように地方税の一つです。個人事業主が事業等を実施する上で行政サービスを利用していることに対する負担とされます。所得税の確定申告等の提出により事業税が課税され、次のような特徴があります。
- 地方税法等で定められた法定業種に対して課税(ほとんどの業種が該当)
- 青色申告特別控除の適用はないため、課税所得に加算
- 事業専従者給与(控除)額が控除できる
- 事業主控除(290万円)が控除できる
青色申告特別控除の適用がないため、年収400万円の場合、個人事業税が課税されることがあります。
個人事業主の税金についての詳細は、こちらの記事をご参照ください。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が知っておきたい"経費"のキホンや勘定科目を分かりやすく1つにまとめた「個人事業主が知っておくべき経費大辞典」を無料で用意しております。
税理士監修で、経費の勘定科目や具体例だけでなくワンポイントアドバイスもついているお得な1冊となっていますので、ぜひ手元に置きたい保存版としてご活用ください。
会社員にはない個人事業主の節税メリットは?
会社員にはできない個人事業主の節税のメリットをまとめておきましょう。ここでは青色申告者、必要経費、そして法人成りについて説明します。
確定申告で青色申告特別控除を利用できる
不動産所得、事業所得、山林所得のある個人事業主は、青色申告制度が利用できます。
青色申告制度とは、一定基準の帳簿を作成し、正しく所得税の申告をする人について、所得金額の計算などで有利な取扱いが受けられる制度です。青色申告者になると、種々の節税特典が受けられますが、その特典の筆頭が「青色申告特別控除」です。
不動産所得または事業所得のある青色申告者は、一般的には複式簿記で記帳し、その帳簿から作成した貸借対照表・損益計算書を確定申告書に添付して申告期限内に提出した場合に、原則として最高55万円が控除できます。
さらに、電子帳簿保存または電子申告を行っている場合には、10万円の控除を上乗せし、最大65万円の控除が受けられます。支払のない経費が最大65万円増えるのと同じ効果があります。
必要経費を計上できる
必要経費については、次のものが計上できます。
たとえば、借りている家の一室で事業をしている場合における家賃負担など、プライベートと業務の双方に関連する費用を家事関連費といいます。家事関連費は、業務上直接必要であることが明らかに区分できる場合には、業務に必要であった部分を必要経費にできます。
したがって、車両費、光熱費、交際費などの家事関連費においても、取引の記録をつけ、業務上に必要な区分わけを実施し、必要経費となるものは分別しましょう。必要経費の計上は、日頃のこまめな記録を残し、しっかり区分することで節税につながると思います。
法人を設立する
個人事業主が法人を設立することを「法人成り」と呼びます。
所得税は超過累進課税となっているので、課税所得がある程度大きくなってきたら所得税額が大きくなります。これに対して、法人税は税率が決まっているため節税の観点から有利になる場合もあります。資本金1億円以下の普通法人なら、年800万円以下の課税所得に対して法人税は15%となります。
法人成りには、法人設立の手続きが必要ですし、毎年の確定申告に際しても所得税より複雑になる上、赤字の場合でも地方税においては均等割といって税金が必要となります。
法人成りは一時的な節税のために実施するのではなく、先を見据えた事業計画の中で実施すると効果が大きいと言えます。
個人事業主の税金についての詳細は、こちらの記事をご参照ください。
個人事業主の節税には確定申告ソフトがおすすめ!
確定申告ソフトを利用して所得税の計算をすると、今まで見えていなかったことに気づくことがあります。売上や費用について月別の推移などを見ることができ、補助科目なども設定すると売掛金や買掛金の管理も楽になります。資金繰りの予定も立てやすくなります。
「確定申告ソフト」とされる大抵のソフトは、確定申告だけではなく、決算書を作成し、その決算書から確定申告書を作成してくれます。この確定申告ソフトの情報で電子申告するのが、もっとも手早く申告を済ませる方法です。
また、複式簿記に慣れていなくても、最近の確定申告ソフトは入力のサポートが充実していますので、まだ使っていない場合には一度試してみる価値はあります。
給与所得控除がない分、きちんと節税しましょう!
年収400万円の場合は、会社員に比べて個人事業主のほうが若干手取り額が少ないという結果になってしまいましたが、個人差がありますので注意しましょう。
個人事業主は、給与所得控除がない分、必要経費をしっかりとらえ、青色申告特別控除をはじめとする青色申告者の特典をフルに利用して節税をしましょう。
はじめての確定申告もラクラク安心に済ませる方法
確定申告がはじめての方や、簿記の知識に不安がある方、確定申告書類の作成を効率よく行いたい方は、確定申告ソフトの使用がおすすめです。
個人事業主向け会計ソフトの「マネーフォワード クラウド確定申告」は、確定申告の必要書類が自動作成でき、Windows・Macはもちろん、専用アプリも提供しています。
①取引明細は自動で取得
銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案
自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能
白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。
追加料金なしで確定申告以外のサービスが使える
有料プラン(パーソナルミニ・パーソナル・パーソナルプラス)に登録すると、基本料金だけで請求書や契約のサービスを含む11サービスを利用することができます。日々の業務や作業をまとめて効率化しましょう。
合わせて読みたいおすすめ資料
マネーフォワード クラウド確定申告では、さまざまなお役立ち資料を用意しています。 無料登録するだけで資料がダウンロード可能なので、ぜひ読んでみてください。会社員の確定申告 丸わかりガイド
青色申告1から簡単ガイド
個人事業主が知っておくべき経費大辞典
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
もっと読むよくある質問
年収400万円の個人事業主の手取りは?
青色申告特別控除前の所得が400万円の個人事業主の手取り額(35歳独身で扶養家族なし、他の控除は一切ないと仮定した場合)は、約309万円です。詳しくはこちらをご覧ください。
年収400万円の会社員の手取りは?
源泉徴収票の支払金額が400万円であった場合に上記と同条件で計算すると、手取り額は約315万円となります。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業主が支払う税金の種類は?
業種、売上高、固定資産保有、取引の内容などによって異なりますが、所得税、住民税、個人事業税、消費税、固定資産税、自動車税、印紙税などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
確定申告の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
個人事業主の税金の関連記事
新着記事
個人事業主は労働基準法が適用される?労働時間のルールや判断基準を解説
労働基準法は、労働者を守る法律です。原則として、個人事業主には労働基準法が適用されませんが、例外として適用されることもあります。個人事業主に労働基準法が適用される場合の判断基準や適用される場合の個人事業主の権利、個人事業主を保護する法律につ…
詳しくみる個人事業主は賃貸物件を借りられる?審査に通過するポイントも解説
個人事業主は、賃貸物件を借りるのが難しいといわれることがあります。実際に審査で落ちることもありますが、なぜ個人事業主は賃貸物件を借りるのが困難なのでしょうか。個人事業主が賃貸物件を借りるために押さえておくべきポイントや必要書類、事務所を開設…
詳しくみる個人事業主は消費者金融で融資を受けられる?デメリットや注意点も解説
個人事業主は、ビジネスローンやカードローンなどの消費者金融の融資を利用できます。ただし、融資を受けるには審査を通過する必要があるため、必ず借りられる訳ではありません。個人事業主が消費者金融で融資を受けるメリットやデメリットについて紹介します…
詳しくみる個人事業主がAmazonビジネスを利用するメリットは?必要書類や登録手順も解説
Amazonビジネスは、法人や個人事業主の購入者向けに拡充されたサービスです。個人のアカウントとは、ビジネスに特化している点で違いがあります。個人事業主がAmazonビジネスを利用するメリットは何か、登録時の必要書類や登録の手順もあわせて紹…
詳しくみる個人事業主が軽バンリースをするメリットは?黒ナンバーや審査についても解説
個人事業主が事業用に車を取得する方法として、カーリースを利用する方法もあります。自動車を購入するのではなく、カーリースを利用することにはどのようなメリットがあるのでしょう。個人事業主が軽バンをリースするメリットやデメリット、カーリース利用時…
詳しくみる個人事業主が妻を従業員として雇う手続きは?節税メリットや注意点も解説
個人事業主が妻を従業員として雇う場合、給与について問題になる可能性があります。妻を雇う場合、個人事業主の確定申告にどのような影響があるのでしょうか。個人事業主が妻を雇う場合の手続きや給与をいくらまで経費にできるのか、生計を一にしない家族の取…
詳しくみる