- 更新日 : 2024年2月6日
非居住者でも日本で会社設立が可能!取締役が海外在住の場合に必要な書類は?
国内に住所を有しない場合は、非居住者に分類されます。以前までは、内国会社の全代表取締役が非居住者であれば会社設立はできませんでした。しかし、2015年にそれまでの取り扱いが廃止されたため、代表取締役全員が非居住者でも会社設立は可能です。
ただし、非居住者が会社設立する際にいくつか必要な書類が存在します。本記事で非居住者が会社設立する際の流れや必要な書類について確認していきましょう。
※なお、当記事は法務省の「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」を紹介する内容となっています。マネーフォワード クラウド会社設立を利用した方法は、日本在住かつ日本国内に住民票がある方の会社設立を想定しているため、海外居住者が役員や発起人となる場合の会社設立には対応していません。
目次
取締役が日本に住んでいなくても会社設立が可能に!
日本の所得税法上、国内に「住所」を持つか、現在まで引き続き1年以上「居所」を持っている「居住者」とそれ以外の「非居住者」に分類することができます。ちなみに、「住所」がその人の生活の中心がどこかを表したものであるのに対し、「居所」はその人が現実に居住している場所のことです。
今までは、「内国会社の代表取締役のうち最低1人は日本に住所を有していなければならない」という決まりがあったため、非居住者だけで会社設立することはできませんでした。しかし、2015年3月16日より従前の取り扱いが廃止されたため、現在では代表取締役の全員が海外に居住する「非居住者」であっても会社設立が可能です(民商第29号通知)。
参考|法務省 外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について
ただし、非居住者が日本で会社を設立する際には、いくつか必要な書類があります。本記事で詳しく確認していきましょう。居住者・非居住者問わず、会社設立全体の流れや費用については以下の記事をご参照ください。
なお、日本で会社設立する際には、日本人であることも必要ありません。ただし、ビザを取得していない外国人が日本で経営を行うためには「経営・管理ビザ」などの取得が条件です。
非居住者が会社設立する際の必要書類
非居住者が会社設立する際に必要となる3つの書類を開設します。
参考|法務省 外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について
資本金の払込証明書
株式会社設立の登記申請時に、発起設立の場合は出資の履行としての払込みがあったことを証明する書面の添付義務について会社法第34条第1項で定められています。発起設立とは、設立時の発行株式を発起人が全て引き受けることです。
「払込取扱機関に払い込まれた金額について設立時の代表取締役や代表執行役が作成した書面」と「払込取扱機関の預金通帳の写し又は取引明細表など」を組み合わせることで払込証明書として認められます。銀行口座の預金通帳や取引明細表には、金融機関の名称(支店名含む)、出資金の払込履歴、銀行口座の名義人の記載が必要です。
署名証明書またはサイン証明書
通常、会社設立時には発起人や取締役の印鑑証明書が必要となります。しかし、非居住者は日本で住民登録していないため、印鑑証明書の取得が不可能です。
署名証明書は、印鑑証明書に代わるものとして、海外在留の方に発行されます。内容は、申請者の署名(及び拇印)が確かに領事の面前でなされたことを証明するものです。
なお、署名証明書は日本国籍を有する方のみが申請できます。そのため、外国人が会社設立する際には、本国官憲が作成した書類(サイン証明書)で対応可能です。
外国語で作成された添付書面の翻訳
設立登記申請時に、外国語の書面を添付する際には全て日本語の訳文を添付しなければなりません。ただし、一部翻訳を省略できるケースもあります。
例えば、外国会社の株主総会議事録を添付するケースは、日本の営業所や代表者の登記と関係ない部分について省略可能です。また、変更の登記書面として登記事項証明書に相当する書面を添付するケースでも、変更に関係ない部分を省略できます。
契印の代わりとなる署名方法も
商業・法人登記の申請方法には、書面申請と電子証明書を要するオンライン申請の2種類があります。登記設立申請は、委任状があれば代理人以外でも申請可能です。
書面申請で会社設立の登記申請書が複数ページに及ぶ場合、各ページのつづり目にハンコを押印しなければなりません。この作業が契印です。契印には登記申請書に押印した印鑑と同一のものを使用します。
外国会社としての登記をしていない外国会社や印鑑を押印できない外国人の場合、以下の方法で署名することで代用可能です。
- 各ページのつづり目に署名(割サイン)
- ページの余白部分に署名
- 各ページの余白部分にイニシャルを自書
- 袋とじの部分(表紙と裏表紙の両方)に署名
非居住者の会社設立について理解できましたか?
2015年3月16日より従前の取り扱いが廃止されたため、現在では代表取締役の全員が海外に居住する「非居住者」であっても会社設立できるようになりました。ただし、非居住者は住民登録していないため、印鑑証明書ではなく署名証明書が必要となるなど居住者の手続きといくつか異なる流れも存在します。
海外在住で今後会社設立を予定している方は、今回紹介した書類の取得方法などを設立前に再確認しておいてください。
※なお、当記事は法務省の「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」を紹介する内容となっています。マネーフォワード クラウド会社設立を利用した方法は、日本在住かつ日本国内に住民票がある方の会社設立を想定しているため、海外居住者が役員や発起人となる場合の会社設立には対応していません。
よくある質問
代表者が日本にいなくても会社設立は可能?
2015年よりこれまでの取り扱いが廃止されたため、代表取締役全員が非居住者でも会社設立可能です。詳しくはこちらをご覧ください。
非居住者が会社設立する際に必要な書類とは?
資本金の払込証明書、署名証明書、外国語で作成された添付書面がある場合は日本語訳文が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
契印の代わりになる署名方法は何?
特定の条件の下で、割サイン、余白部分への署名やイニシャルの自署、袋とじの部分に署名で代用することができます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
書類の関連記事
新着記事
創業融資の7つのリスク!後悔しない借入のコツ、審査落ちの対策を解説
創業融資にはメリットだけでなくリスクもあります。この記事を読めば、「創業融資のリスクは?」「審査落ちの対策がわからない」という悩みを解決できます。 本記事で、創業融資で想定可能なリスクや、創業後にオススメの補助金などについて確認していきまし…
詳しくみる法人化のリスクとは?後悔しないための対策、タイミングを徹底解説
個人事業主の中には、節税などのメリットを享受するために法人成りを検討している人もいるでしょう。ただし、法人化にもデメリットがあり、必ずしも得するとは限りません。 本記事では、法人化のリスクについて解説します。法人化して後悔しないための対策や…
詳しくみるレンタルオフィスでの創業融資は可能?審査のコツや補助金も解説
レンタルオフィスでも創業融資を受けることは可能です。ただし、金融機関の信頼を得るためにきちんとした創業計画書を準備しなければなりません。 本記事では、レンタルオフィスでの創業融資が可能かどうかについて解説します。レンタルオフィスで利用できる…
詳しくみる医療法人の資金調達方法は?一般企業と異なる点や注意点を解説
医療法人の資金調達は、一般企業とは異なる特徴を持ち、特有の制約や課題が伴います。医療機器の導入や施設の維持には、多額の費用が必要となるため、安定した資金調達手段の確保が不可欠です。 本記事では、医療法人の資金調達の重要性や一般企業との違い、…
詳しくみる違法な資金調達とは?ファクタリングの危険性や関連する法律なども解説
違法な資金調達は、企業や個人の信用を失墜させ、法的な制裁を招く危険な行為です。ファクタリングを装った詐欺や、補助金の不正受給など、巧妙化する手口に巻き込まれないよう注意が必要です。 本記事では、違法な資金調達の実態や安全な資金調達方法などに…
詳しくみる印鑑登録は法人登記と同時に行う?印鑑証明書を取得するまでの流れを解説
法人の印鑑登録とは、会社の実印となる代表者印を法務局に届け出て登録することを指します。原則として法人登記の際に代表者印を提出する必要があるため、法人の設立登記とあわせて印鑑登録を済ませることが一般的です。 この記事では、印鑑登録を法人登記と…
詳しくみる