- 更新日 : 2021年12月30日
会社設立のメリットとデメリットとは
事業をはじめよう。そう決めたら、会社を設立するか個人事業主としてやっていくのか、どちらでやっていくのがいいのでしょうか? 2つの道があるというのは、そのどちらかに適した人がいるということです。
会社を設立すれば多くのメリットを受けられる代わりに、義務や責任が大きくなったり、デメリットが出てきたりします。
ここでは会社を設立するメリットとデメリットを説明します。その後で、会社を設立するべきか否かよく考えてみてください。
目次
会社設立のメリット
会社を設立したときのメリットは以下となります。
1.信頼を得られる
法人の方が個人よりも信頼が得られます。会社を設立する場合は、住所や代表者名、資本金の額、役員などを記述した必要書類を法務局へ提出し、登記しなければなりません。つまり、法人として社会に責任を持つことを意識し、準備をしてきたわけです。その分、信頼が得られるということです。特に法人を相手に取引を行う時には、重要なこととなってくるでしょう。
2.節税できる
法人税としての節税
個人事業の場合の所得税は累進課税となり、所得が増えれば税額が上がります。法人の場合は、800万円以下とそれ以上で法人税率は異なりますが、最大でも23%程度です。一方、個人事業主の場合の所得税率は、課税所得が900万円を越えると33%、最高税率は45%になります。細かくは個々の状況によりますが、年間所得が500万円を継続して超えるようであれば、節税の面からも法人にすることを検討しても良いかと思われます。
3.融資・資金調達を行いやすい
金融機関から融資を受けようとする場合、個人事業主はどうしても、個人のお金と事業のお金が曖昧になりがちですが、法人の場合は、財産管理が厳しくされているので、金融機関もどれくらいの資産を持っている会社なのかを判断しやすく、融資判断がしやすくなります。こうした条件がそろうことで、融資の可能性が広くなります。もちろん、だからといって、個人事業主は資金調達がしにくいというわけではありません。
4.決算月を自由に設定できる
個人事業の場合、事業年度は1月から12月までと決まっています。法人の場合は自由に事業年度の決算時期を設定でき、業務に合わせて忙しい時期と、決算事務をしなければならない時期をずらして選ぶことができます。
5.相続税がかからない
個人事業の場合は、その経営者が死亡すると財産すべてが相続の対象となります。法人の場合は、相続という概念が該当せず、相続税はかかりません。ただし、法人への出資(株式会社であれば株式)を売却する場合には、その譲渡益に課税されます。
会社設立のデメリット
次はデメリットについて、以下の3点を説明します。
1.赤字でも法人住民税がかかる
法人の場合は、利益に課せられる税金と、利益には無関係に課せられる税金があります。
赤字となった事業年度であっても、法人の場合、法人住民税均等割が課せられます(東京都の場合、年間7万円)。
2.社会保険へ加入しなければならない
法人は、健康保険と厚生年金保険に加入しなければなりません。この保険料は、個人事業主の場合に支払う国民健康保険と国民年金と比べて高くなります。
保険料は会社と本人が折半となるもので、従業員が多ければ多いだけ、その支払う給料が高ければ高いだけ、法人として支払うべき金額が高くなります。
3.設立・運営、解散に費用がかかる
会社を設立するためには、定款の作成、登記などが必要です。そのための諸経費として、最低でも20万円程度は必要となってきます。
さらに、解散時にも会社清算のための費用が必要となります。
まとめ
このように会社設立のときにはメリット、デメリットの両面があります。どちらがよいかはその事業内容によるため、一概に言えません。
詳細な税金や費用などの計算は、税理士・会計士に相談し、検討をしてみるとよいでしょう。最初に個人事業としてスタートし、後に法人化するといった方法もありますので、もっとも適切な方法を考えてみてください。
よくある質問
会社設立のメリットは?
信頼を得られる・節税できる・決算月を自由に設定できる・相続税がかからないといったメリットがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
会社設立のデメリットは?
赤字でも法人住民税がかかる点・社会保険へ加入しなければならない点・設立・運営、解散に費用がかかる点はデメリットです。詳しくはこちらをご覧ください。
会社設立でどれくらい節税ができるの?
法人税は、最大でも税率は課税所得に対して23%程度です。一方、個人事業主の場合の所得税率は、課税所得が900万円を越えると33%、最高税率は45%になります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
会社設立手続きの関連記事
新着記事
政治団体を活用した節税の方法は?個人で設立する手順や注意点を解説
仮想通貨や高額な資産を保有する個人の間で、政治団体の設立を活用した節税が注目されています。政治団体は、一定の条件を満たすことで贈与税や相続税の課税対象とならない特例があり、資金移動を非課税で行える可能性があります。しかし、その一方で政治活動…
詳しくみる親に仕送りすると節税になる?扶養控除の条件と活用法を解説
親に仕送りをしている方の中には、「この支援が節税につながるのか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。条件を満たせば仕送りは扶養控除の対象となり、所得税や住民税の軽減が期待できます。ただし、親の所得や生計状況などによって控除の適用可否…
詳しくみる小規模企業共済は節税にならない?損しないための制度活用術を解説
小規模企業共済は、個人事業主や中小企業の経営者が将来の廃業や退職に備えて資金を積み立てながら、所得控除による節税効果も得られる制度です。しかし、インターネット上では「節税にならない」といった否定的な意見も見られます。 本記事では、そうした誤…
詳しくみる所得税の節税はこうする!iDeCo・NISA・青色申告など全制度を解説
所得税の節税は、年収や働き方にかかわらず多くの人にとって実践できる対策の一つです。会社員であれば、年末調整だけでなく確定申告によって医療費控除や住宅ローン控除などの恩恵を受けることが可能です。個人事業主の場合は、経費の正確な計上や青色申告、…
詳しくみる合同会社で節税は可能?法人化で得られるメリットや注意点を解説
個人事業主として活動している中で、「節税のために法人化すべきか?」と考える場面は少なくありません。中でも合同会社は、設立費用が安く、運営も柔軟であることから、節税を目的とした法人化の選択肢として注目されています。 本記事では、合同会社の設立…
詳しくみる個人年金で節税する方法は?控除の仕組みや保険選びのポイントを解説
将来の生活に備えて老後資金を積み立てたいと考える方にとって、個人年金保険は有効な手段の一つです。なかでも、税制上の優遇措置である「個人年金保険料控除」を活用すれば、所得税や住民税の負担を軽減しながら効率よく資産形成を進めることができます。た…
詳しくみる