1. 開業届作成ソフト「マネーフォワード クラウド開業届」
  2. 開業届の基礎知識
  3. 開業届を提出後、開業したらやっておくべきことは?
  • 更新日 : 2021年6月11日

開業届を提出後、開業したらやっておくべきことは?

開業届を提出後、開業したらやっておくべきことは?

事業をはじめるには、開業届だけでなく、事業の形態に合わせて、事業所や商品などの準備が必要です。また、商売を開始するための準備ももちろん重要ですが、開業届以外の書類上の手続き、書類以外の事業に間接的に関わる手続きも進めていく必要があります。

この記事では、開業届を提出後、あるいは提出前後に進めておきたい、開業に関連する「やっておくべきこと」を紹介します。

開業届以外で状況に応じて必要な税務署での手続き

税務署での手続きは、開業届だけではありません。開業届以外の手続きも必要に応じて行います。便宜上、開業届提出と同時に進めることの多い手続きを確認しておきましょう。なお、これらの手続きは開業後でも問題ありません。

所得税の青色申告承認申請

所得税の青色申告(一定水準の確定申告を行うことで青色申告の特典を受けられる)の承認を受けたいときに、申請書を提出します。原則、承認を受けたい年の3月15日までが提出期限ですが、開業日が1月16日以後のときは、開業から2カ月以内に申請を済ませれば問題ありません。

青色事業専従者給与の届出

青色申告を選択する人で、青色事業専従者の給与を必要経費にしたいときに届け出ます。青色事業専従者とは、青色申告者の15歳以上(その年の12月31日時点において)の配偶者や親族のうち、事業に専従している人のことです。通常は経費にできない親族等への給与について、経費として承認を受けるために届出を行います。提出期限は、「所得税の青色申告承認申請」と同様です。

所得税の棚卸資産の評価方法の届出

「商品」などの棚卸資産は、所得税では原則、期末に一番近い取得原価をもって(最終仕入原価法により)評価します。「所得税の棚卸資産の評価方法の届出」は、事業開始時、または開始後に最終仕入原価法以外の評価方法を選択したいときに行う届出です。提出期限は、変更したい年度分の確定申告の期限日(基本的には3月15日)です。

所得税の減価償却資産の償却方法の届出

所得税の減価償却は、法定償却(基本的に定額法)が原則です。償却方法の届出は、建物など一部定額法の規定がある固定資産以外で、定率法や生産高比例法などの償却方法を選択したいときに行います。提出期限は、棚卸資産の評価方法の届出と同様です。

源泉徴収税の納期の特例に関する届出

従業員から徴収した源泉徴収税の納付は、給与支払日の翌月10日です。通常は、毎月納付する必要がありますが、常時雇用する従業員(給与を支給する人員)が10人未満の場合、年2回にまとめて納付できる特例があります。特例を適用する場合に届出が必要ですが、提出期限は特にありません。届出の翌月支払の給与から適用になります。

税務署以外での手続き

税務署での手続きは、所得税に関連した手続きになります。開業の事実があれば、状況に応じて、税務署以外での手続きも必要です。

個人事業税(地方税)の事業開始の届出

開業後、一定の所得(1年で290万円)を超えると、個人事業税を納めなければなりません。個人事業税は、所得税(国税)とは異なり地方税になるため、開業届とは別途、地方自治体への事業開始等の届出が必要です。東京都は事業開始から15日以内が期限ですが、自治体によって申告期限も書類の様式も異なります。

人を雇う場合は労働保険の手続き

一部の例外を除き、人を雇う場合は、規模や業種を問わず、事業者は労働保険に加入する義務を負います。労働保険とは、労災保険と雇用保険のことです。

労災保険に関しては、保険関係成立届(成立日の翌日から10日以内)を労働基準監督署に、概算保険料申告書(成立日の翌日から50日以内)を労働基準監督署等に提出します。雇用保険に関しては、雇用保険適用事業所設置届(設置日の翌日から10日以内)と雇用保険被保険者資格取得届(取得日の翌月10日まで)をハローワークに提出します。

なお、上述した労働保険の手続きは、両保険を一元的に扱う一般的な事業者について説明したものとなります。

取引の準備

事業を開始して、すべてを現金でやり取りするのは難しい部分もあります。取引を円滑にするために、事業用の口座を用意したり、事業用のクレジットカードを作成したりすることが多いです。

事業用銀行口座の準備とメリット

取引の額が大きくなると、現金取引では確認に手間がかかりますし、金額を誤る可能性もあります。やり取りを証拠として残せるうえ、遠隔地でもお金のやり取りができる点で、銀行口座は便利です。事業を開始したら、事業用の銀行口座も開設しましょう。

個人の銀行口座を使えますが、あえて事業用に銀行口座を作る理由は以下のとおりです。

  • 事業用と個人の私的利用を明確に分けられる
  • 仕訳に手間がかからない(個人用は私的な部分も事業主貸などで仕訳が必要)
  • 屋号付きの口座なら信頼にもつながる

事業用銀行口座の開設にあたって、悪用防止などを理由に、受付印のある開業届(控え)の提出を求められることがあります。開業届を出す際は、銀行口座開設などに備えて2部を作成し、うち1部には受付印をもらい、自分用の控えとして保管しておきましょう。

事業用クレジットカードの準備とメリット

交通費や事務消耗品の購入など、事業用の支払いに便利なのが、事業用クレジットカードです。カード会社で名称が変わることがありますが、一般的に、個人事業主や中小企業向けのものをビジネスカード、クレジットカード利用者が20人以上いるような大企業向けのものをコーポレートカードといいます。

クレジットカードに似たカードには、ビジネス用の銀行口座でデビットカードがあります。デビットカードは、手元に現金を用意する必要がない点ではクレジットカードと同じです。しかし、デビットカードは基本的に、利用後すぐに銀行口座から引き落とされる仕組みなので、口座残高がないと利用できません。

資金繰りの面においては、すぐに現金が出ていくと困ることもありますので、現金の支出を先延ばしにすることで資金繰りの調整がしやすいクレジットカードの方が使い勝手は良いでしょう。

事業用クレジットカードの選び方

ビジネス用のクレジットカードは、維持費としてかかる年会費や利用限度額などを比較して選びましょう。特に、クレジットカードを利用する機会が多いと予想されるときは、利用限度額をよく比較すると良いです。

なお、利用限度額はカード自体の限度枠であって、各事業者の限度額を保証するものではありません。同等の条件になるときは、ショッピング補償やチケットレスといった付帯されるサービスも確認しておきましょう。

確定申告の準備

開業したら、所得税などの税金を適切に納めるために、原則、毎年、税務署への確定申告が必要です(所得が一定以下のときは不要)。確定申告がスムーズに行えるよう、開業から確定申告の時期までに会計ソフトの準備を進めておきましょう。

会計ソフト(確定申告ソフト)の準備とメリット

会計ソフト(確定申告ソフト)は、会計処理を適切に行い、確定申告がスムーズに行えるソフトウェアです。個人向けの会計ソフトの多くは、確定申告書まで作成できるようになっています。

コンピューターにソフトをインストールするオンプレミス型を利用する場合は、購入後すぐインストールして使える状態にしておきます。クラウド型を使用する場合は、利用登録を済ませておきましょう。

会計ソフトを利用するメリットは、経理業務を大幅に削減できることです。個人事業主の場合、従業員や専従者を雇わないケースだと、経理まで事業主が担当することになります。これは本業にも影響してくるため、経理業務の負担が軽くなる会計ソフトはとても有効です。また会計ソフトなら、仕訳を入力することで、必要な帳簿書類も自動的に作成できます。

クラウド確定申告が便利!会計ソフトの選び方

会計ソフトには、オンプレミス型とクラウド型があります。機能性を重視するなら、インターネットのある環境なら基本的にどこでも使えるクラウド型が便利でおすすめです。

なお、クラウド型の会計ソフトを選ぶ際は以下の点に注意しましょう。

  • 対応しているデバイス(パソコンだけでなくタブレットなどに対応しているか)
  • サポート体制が充実しているか(初めてでも利用に問題ないか)
  • 仕訳の自動入力に対応しているか
  • ほかのサービスと連携できるか(サービスとの連携で自動的に処理を行ってくれるか)
  • セキュリティー体制に問題はないか

必要に応じて税理士に確定申告を依頼する

記帳業務も含め、税理士に確定申告を依頼することもできます。経理業務の負担が大きい、複数の所得があって申告が複雑といった場合は、税理士への依頼を検討してみるのも良いでしょう。税理士に依頼するメリットは、正確な申告ができることと、確定申告の手間を省けることです。

開業後に必要な手続きなどを見越して準備しておこう

事務所や商品の準備をして、開業届を出しても、事業をはじめるにはまだまだ不十分です。税務署や自治体などで状況に応じて必要な手続きを済ませる必要があり、取引を円滑にするための事業用の銀行口座やクレジットカード、確定申告のための会計ソフトの準備もあります。また、事業として維持していくには、資金調達や目標設定、マーケティング、リクルーティングなど、経営面での戦略も立てていかなければならないでしょう。

このように、開業前後にはしなければならないことが山積みです。当初の計画どおりスムーズに事業を開始できるよう、必要な準備は少しずつでも進めておきましょう。

よくある質問

開業届以外で状況に応じて必要な税務署での手続きは?

所得税の青色申告承認申請や、青色事業専従者給与の届出などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

税務署以外での手続きは?

個人事業税(地方税)の事業開始の届出や、人を雇う場合は労働保険の手続きがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

確定申告に必要な準備は?

確定申告がスムーズに行えるよう、開業から確定申告の時期までに会計ソフトの準備を進めておきましょう。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

マネーフォワード クラウド開業届で開業手続きをかんたんに

監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。