• 更新日 : 2026年1月26日

定款の目的とは?書き方・業種別の例・変更手続きを解説

Point定款の「目的」は、なぜ重要視される?

定款の目的は、会社の事業範囲と信用を決める必須事項です。

  • 会社法で記載が義務
  • 事業範囲の基準になる
  • 信用・許認可に直結

定款の目的を具体化することで登記補正や許認可の手戻りを防げる可能性が高まります。

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会社を設立する際に欠かせない「定款」は、法人の基本ルールを定める重要な書類です。その中でも「定款の目的」は、会社がどのような事業を行うのかを明確に示す中核的な項目であり、会社法によって記載が義務付けられています。

本記事では、定款の目的の意味や法的位置付けに始まり、書き方のポイント、業種別の記載例、目的を変更する際の手続きなどを解説します。

定款の「目的」とは?

会社を設立する際、定款は企業の基本情報を定めた書類です。その中でも定款の「目的」は、会社がどのような事業を行うのかを定める項目であり、法律上も必ず記載が必要な要素です。

定款の目的は「会社の事業内容を示す基本情報」

定款の目的とは、会社が営む事業の内容を定款の中で明記する項目です。たとえば、アプリ開発会社であれば「アプリケーションの開発・販売」といった事業内容が該当します。これは、会社が「何のために存在しているのか」「どのような事業を行うのか」を明確に社会に示す役割を果たします。

この目的は、法人登記を通じて一般にも公開される情報であり、会社の事業の看板とも言える位置付けです。取引先や金融機関が会社の信頼性を判断する際にも、定款の目的は重視されます。

会社法第27条が定める「絶対的記載事項」の一つ

定款の目的は、会社法第27条で定められた「絶対的記載事項」に含まれます。これは、定款に必ず記載しなければならない項目であり、省略すると定款そのものが無効になる重大な要素です。

会社法が定める絶対的記載事項には、①目的、②商号、③本店所在地、④設立に際して出資される財産の価額またはその最低額、⑤発起人の氏名または名称および住所の5項目があります。これらはいずれも省略が許されず、記載されていなければ会社設立の登記手続きが進められません。

参考:会社法第27条|e-GOV

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定款の目的が会社にとって重要な理由は?

定款の目的は、会社の事業方針や対外的な信用に直結する大切なものです。この項目をどのように定めるかによって、取引の信頼性や許認可の取得、経営戦略の明確化などに影響を及ぼします。以下では、定款の目的がなぜ重要とされるのか解説します。

社会的信用を高め、対外的な説明責任を果たすから

定款の目的は、会社が「どのような事業を営んでいるのか」を対外的に示すものであり、会社の信頼性を支える情報となります。これは、登記事項証明書にも記載されるため、金融機関や取引先、行政機関などが会社を評価する際の重要な判断材料になります。

また、定款の目的は登記簿という公開情報にもなり、誰でも閲覧が可能です。よって、「この会社は何を目的として設立されたのか」「どのような業務を遂行する会社なのか」が社会的に明示されることになります。目的が明確で適切であるほど、対外的な説明責任を果たすことができ、会社に対する信頼度が自然と高まります。

経営判断の基準となる事業活動の指針となるから

定款の目的は、会社の活動範囲と将来的な経営判断の基準を提供するものです。経営陣にとって、定款に定められた目的を確認することは、新たな事業を始めるかどうかの判断や、投資の適否を見極める上で不可欠です。

たとえば、新規事業を検討する際に、それが現在の定款の目的に含まれていない場合、事業を始める前に定款の変更と登記手続きが必要になります。このように、定款の目的は将来にわたる事業展開の方向性にも関わる、経営戦略上の羅針盤として機能します。

経営の自由度を確保しながらも、法令順守や社会的説明責任を果たすために、定款の目的は慎重かつ戦略的に設計することが望まれます。

定款の目的の正しい書き方・注意点は?

定款の目的は、会社の事業内容を法的に示す記載事項であり、書き方次第で会社の印象や実務に影響を与えます。内容は自由に決められる一方で、抽象的すぎたり、過度に広げすぎたりすると不都合が生じます。ここでは、押さえておきたい書き方の基本と注意点を整理します。

具体的で分かりやすい事業内容を記載する

定款の目的は、実際に行う事業内容が第三者にも理解できるよう、具体的かつ明確に記載します。抽象的な表現では、会社が何をするのかが伝わりにくく、信用判断の妨げになります。たとえば「各種コンサルティング業務」とするよりも、「経営戦略に関するコンサルティング業務」のように分野を特定した方が、事業内容が明確になります。事業の対象やサービスの内容を言葉として表現する意識が大切です。

目的の範囲は広げすぎず実態に合わせる

定款の目的は数に制限はありませんが、将来の可能性を考えて過剰に列挙すると、会社の実態が見えにくくなります。事業目的が多すぎると、登記や金融機関の審査で本業が不明確と判断される場合もあります。現在行う事業とその周辺分野に絞り、必要になった段階で追加や変更を行う考え方が一般的です。

許認可と法令への適合を確認する

許認可が必要な事業では、関係法令に沿った文言を定款の目的に含める必要があります。介護事業などでは、法律名を含む表現が求められることがあります。また、株式会社は営利法人であるため、非営利目的や違法な事業を目的として記載することは認められません。定款の目的は、常に法令に適合し、営利性を備えた内容になっているかを確認する姿勢が求められます。

【業種別】定款の目的の記載例は?

会社の業種によって、定款に記載すべき目的の書き方には一定の傾向や定型表現があります。具体的な事業内容に即した目的を記載することで、登記審査や許認可取得、取引の際の説明もスムーズになります。以下では、代表的な業種ごとに定款の目的の記載例とポイントを紹介します。

【IT業界】提供サービスに即した表現

IT関連企業では、「ソフトウェアの開発・販売」「クラウドサービスの提供」など、提供している技術やサービスの内容を具体的に記載します。たとえば、Web制作を主業とする会社であれば「各種ウェブサイトの企画・制作・運営」、アプリ開発企業なら「アプリケーションソフトウェアの開発・販売」などが該当します。IT業は多様化しているため、自社の強みやサービス内容を反映した表現が求められます。

【飲食業】業態に応じた記載

飲食業の場合、基本的には「飲食店の経営」と記載することが一般的です。より詳しく記載するなら「レストラン、喫茶店その他の飲食店の経営」といった業態別の表現が適しています。また、ケータリング事業や移動販売(キッチンカー)などを予定している場合は、それらも定款の目的に加えておくと事業の幅が明確になります。

【コンサルティング業】専門分野の明記

コンサルティング業では、「◯◯に関するコンサルティング業務」といった具合に、対象分野を具体的に記載するのが望ましいです。たとえば、「情報システムに関するコンサルティング業務」や「人材育成に関するコンサルティング業務」といったように、専門性が伝わる記述にすることで、事業内容の信頼性が高まります。

【物販・製造業】商品内容に即した表現

物販・製造業では、「衣料品の企画、製造、販売及び輸出入」「健康食品の販売及び輸出入」など、取り扱う商品に応じて具体的な内容を記載します。単に「商品販売業」などと書くよりも、何を扱っているのかが明確になるような記述が好まれます。多種多様な商品を扱う場合は、代表的なカテゴリを列記する方法もあります。

【建設業】工事種別を網羅的に記載

建設業では、定款の目的に「建築工事、土木工事、電気工事、消防施設工事等の請負・施工・設計・監理」など、取り扱う予定の工事種別を網羅的に記載するのが一般的です。建設業許可の取得にも関わる部分であるため、建設業法に基づく主要な工事区分を一通り列挙しておくことで、許認可申請時にも対応しやすくなります。

【介護・福祉業】は法令名を含めて表現

介護・福祉事業の場合、「介護保険法に基づく通所介護事業」「介護保険法に基づく訪問介護事業」など、根拠法令に基づいた記載が求められます。許認可申請の審査で定款の目的内容が確認されるため、法令名を含めた正確な表現が必要です。これは医療・福祉関連全般に共通しており、認可を得る上で避けては通れない要素です。

定款の目的変更が必要になるケースは?

会社は設立後も成長や環境の変化に応じて事業内容が変わります。その際、定款に記載された目的と実際の事業が一致していないと、実務や信用面で問題が生じます。ここでは、定款の目的変更が必要となる場面を整理します。

定款に記載のない新しい事業を始める場合

定款の目的に含まれていない事業を新たに開始する場合、事前に目的変更を行う必要があります。たとえば、飲食業のみを目的としていた会社が、ECサイト運営やコンサルティング業に参入する場合、定款に該当する記載がなければ、定款と実態が一致しない状態になります。

目的外の事業を行っても直ちに罰則が科されることはありませんが、契約締結や融資審査の場面で「定款に記載のない事業」として指摘される可能性があります。登記簿は公開情報であるため、取引先や金融機関からの信用維持という観点でも、定款の目的と事業内容を一致させておくことが重要です。

許認可を取得するために定款の目的変更が必要になる場合

建設業、介護・福祉事業、古物商など、行政の許認可が必要な事業では、定款の目的に該当事業が明記されていることが申請要件となります。定款に記載がない場合、事業を行う能力があっても許認可自体が認められません。

特に介護事業などでは、「介護保険法に基づく◯◯事業」といった法令名を含む定型的な表現が求められます。そのため、許認可申請を予定している場合は、申請前の段階で定款の目的を確認し、必要に応じて変更しておくことが不可欠です。

定款の目的変更を行う際の手続きの流れは?

定款の目的を変更する場合には、会社法に基づく正式な手続きを踏まなければなりません。以下に、一般的な手順をまとめました。

1. 株主総会の特別決議を行う

定款の目的変更には、株主総会での「特別決議」が必要です。これは、議決権を有する株主の過半数が出席し、その3分の2以上の賛成によって可決される形式です。変更内容を記載した議案を事前に通知し、適切な手続きを経て決議を行います。

2. 株主総会議事録を作成する

決議後は、株主総会の内容を記録した議事録を作成します。この議事録には、変更後の定款の目的を具体的に明記し、代表取締役の署名または記名が必要です。登記申請の際にはこの議事録が添付書類として求められます。

3. 登記申請書類を準備する

変更内容を反映した登記申請書を作成し、法務局へ提出します。必要書類は以下のとおりです。

  • 株主総会議事録
  • 登記申請書
  • 印鑑届出書(代表者の印鑑変更がある場合)
  • 登録免許税納付(3万円)

4. 法務局へ変更登記を申請する

株主総会の決議日から2週間以内に、会社の本店所在地を管轄する法務局へ登記を申請します。期限を過ぎると過料が科される場合があるため、注意が必要です。

定款の事業目的は会社の信頼性と発展に関わる

定款の事業目的は会社の信頼性や事業展開に直結する重要事項です。会社法で定められた絶対的記載事項として、会社設立時には必ず明確に定め、事業内容の変化に応じて適切に見直していくことが大切です。定款の目的を適切に設定・管理することで、社内外の信用を得て安定した経営基盤を築くことにつながるでしょう。


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