• 更新日 : 2026年1月26日

電子基板の金抽出は儲かる?個人と業者の採算性を解説

Point電子基板から金を抽出すれば、本当に儲かる?

個人が基板から金を抽出して儲けるのは現実的ではありません。

  • 金の含有量は極めて微量
  • 薬品処理は危険で非効率
  • 売却はスクラップが最適

スマホ1台の金は約0.032g(数百円)に過ぎず、薬品コストとリスクが利益を上回ります。

近年、電子機器の普及に伴い、廃棄されたパソコンやスマートフォンなどの基板から金を回収する「都市鉱山」ビジネスに注目が集まっています。中でも「電子基板から金を抽出すれば儲かるのでは?」と考える人は少なくありません。

本記事では、個人が金を取り出して収益化することは可能なのか、抽出方法や含有量の実態、金以外の貴金属の価値などを解説します。

電子基板から金を抽出して儲けることはできる?

電子機器に使われているプリント基板には金メッキされた接点が存在し、そこから金を回収することが理論上は可能です。しかし、含有量は非常に微量であり、手間やコスト、必要な技術を考えると、個人が基板から金を抽出して大きな利益を得るのは容易ではありません。ここでは、なぜ儲けにくいのかを見ていきます。

含有量が非常に少なく、利益につながりにくい

電子基板に含まれる金は主に接点やコネクタの表面にごく薄くメッキされたものに限られます。そのため、1枚の基板から採取できる金は非常に少なく、コストに見合いません。たとえば、スマートフォン1台から抽出できる金はわずか0.032g前後であり、市場価格にして数百円に過ぎません。また、PCのマザーボード基板30枚(重量15kg)を処理しても、得られる金はおおよそ2g程度とされています。これは鉱山で1トンの鉱石から採れる金の量とほぼ同じですが、30枚もの基板を収集し処理する手間を考えると、個人レベルでは効率が悪すぎるのが現実です。

個人での薬品処理はリスクが高い

基板から金を取り出すには、強酸などの薬品を使用する必要があり、化学的な知識や安全管理が欠かせません。王水などを使えば金は溶かせますが、有毒ガスが発生したり、廃液処理に法的制限があったりするため、一般家庭で行うには現実的ではありません。日本のPCショップや業者でも、金の回収作業を行わないのは、人件費や設備コストが金の価値を上回ってしまうためです。つまり、安全・コストの両面から見ても、個人による抽出は非常に非効率だと言えます。

スクラップ買取という現実的な収益方法

唯一、現実的に利益を得られる手段は、電子基板スクラップを専門の業者に売却することです。これらの業者は、金のみならず、銅や銀などの有価金属をまとめて精錬する技術と設備を備えています。そのため、金メッキ部品の含有価値に応じた適正な価格で買取を行っています。国内ではメモリ基板で1kgあたり約8,000〜9,000円、マザーボード基板でも1kgあたり約2,000円前後で取引される事例があります。危険な薬品を使うことなく、適切に処理された上で報酬を得られるため、スクラップとしての売却は現実的かつ安全な選択肢です。

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基板から金を取り出す方法と個人作業の課題は?

電子基板から金を回収する方法は確立されていますが、その工程は化学的に高度で、個人が安全かつ効率的に実行するには多くの障壁があります。

化学処理によって金を溶かし、還元して回収する方法が用いられる

電子基板から金を取り出す一般的な方法は、金メッキ部分を化学的に溶解し、金属として再度取り出す工程です。まず基板から金を含むコネクタや端子を取り外し、それらを強酸性の溶液に浸して金を溶かします。代表的な手法が王水による処理で、濃硝酸と濃塩酸を混合した溶液を用いて金をイオン化させます。その後、還元剤を加えることで溶液中の金を金属粒として沈殿させ、ろ過・洗浄・乾燥を経て回収します。理論的には成立していますが、工程管理は非常に繊細です。

強酸や有毒ガスを扱うため、高度な安全対策が欠かせない

金抽出に使用される薬品は危険性が高く、取り扱いを誤ると重大な事故につながります。王水は反応中に有毒なガスを発生させる可能性があり、塩酸や硝酸も皮膚や呼吸器に深刻な影響を与えます。そのため、十分な換気設備、防護具、耐酸性の器具が必要となります。これらを一般家庭で揃えるのは現実的ではなく、安全管理の面だけでも個人作業の難易度は非常に高いと言えます。

廃液処理や薬品使用には法的な制約がある

金を溶かした後に残る廃液には、重金属や強酸が含まれています。これらを適切に処理せず排出すれば、環境汚染につながり、法律違反となります。廃液は産業廃棄物として扱われるため、処理には専門業者や許可が必要です。個人が薬品を購入し、使用し、廃棄するまでを合法的に行うには高いハードルがあり、趣味や副業感覚で行えるものではありません。

簡易的な方法でも手間と時間に見合う成果は得にくい

市販の塩酸系洗剤と過酸化水素水を使って金メッキを剥離する簡易的な方法も知られていますが、この方法でも作業効率は低くなります。多数の基板を処理しても、数日がかりでようやく微量の金が得られる程度にとどまります。また、不純物が混ざりやすく、高純度の金として仕上げるには追加の精錬工程が必要になります。結果として、時間と労力に対する見返りは極めて小さくなります。

個人での金抽出は現実的ではなく、専門業者に任せるのが妥当

以上を踏まえると、基板から金を取り出す技術自体は存在するものの、個人が実施するには危険性、法規制、効率の面で多くの問題があります。専門業者であれば、専用設備と管理体制のもとで複数の金属をまとめて回収でき、商業的な価値を生み出せます。個人が同じことを行っても、費用対効果の面で見合う結果を得るのは難しく、現実的な選択肢とは言えません。

大規模リサイクル(都市鉱山)なら金抽出で利益が出る?

電子廃棄物を大量に処理できる設備と技術を持つリサイクル工場では、金などの貴金属を抽出して一定の利益を出すことが可能です。ただし、そこには莫大な初期投資と継続的な運用力が必要であり、小規模事業や個人では実現が困難です。ここでは、事業としての可能性とその裏にある課題を解説します。

大規模処理なら採算が取れる可能性があるが、設備投資は巨額

都市鉱山と呼ばれるリサイクル事業では、電子基板を破砕し、金・銀・銅・パラジウムなどの貴金属を分離・回収する大規模な処理が行われます。日本国内にもこのようなリサイクルプラントが存在し、効率的な回収が可能となっています。しかし、そのような工場を建設・運営するには数十億円規模の投資が必要とされ、採算を取るには大量の電子基板スクラップを日々処理し続けなければなりません。つまり、実際の鉱山開発にも匹敵するほどの設備と継続的な投入資源が求められる事業といえます。

技術革新によって金抽出の効率は今後向上する見込み

近年では、環境負荷が少なく、コスト効率にも優れた新しい金抽出技術が登場しつつあります。その一例が、乳清(ホエイ)を利用したバイオ系の金回収法です。ある海外研究チームの報告によれば、廃棄マザーボード20枚から金を抽出する際、この方法を用いると、得られる金1ドル相当に対して、処理コストはわずか2セントとされています。従来の化学薬品よりも環境にやさしく、商業的に実行可能であると評価されています。こうした技術が実用化されれば、都市鉱山事業の収益性はさらに高まる可能性があります。

設備の整わない地域では、深刻な健康被害が発生している

先進的な設備がない発展途上国では、人力による危険な金回収が行われているのも現実です。アジアやアフリカの一部地域では、廃基板を焼いたり酸に漬けたりして金や銅を手作業で取り出す人々がいます。しかし、こうした方法は有毒ガスや劇薬に対する十分な対策がされておらず、作業者の健康被害が深刻な問題となっています。それにもかかわらず、得られる金の量は少なく、労働の対価としては低い水準にとどまっています。これは、リサイクル事業の持つ負の側面を示しており、適正な設備と管理体制がなければ、利益以前に人命や環境に悪影響を及ぼす危険性があるという事実を浮き彫りにしています。

規模と技術の両立が利益の鍵を握る

都市鉱山として電子基板から金を抽出する事業は、十分な規模と技術があって初めて利益を生み出せる分野であると言えます。高度な設備と安全管理体制が整った大規模工場であれば、資源の回収と商業的な利益を両立させることが可能です。しかし、個人や小規模の取り組みでは、採算性だけでなく、安全性や環境への影響の面でも大きな課題が残されており、簡単に真似できるビジネスモデルではありません。

今後の技術革新が収益性をさらに押し上げる可能性はあるものの、それを実現できるのは限られた設備と資本を持つプレイヤーに限られるのが現状です。

基板に含まれる金以外の貴金属や素材の価値は?

電子基板には金以外にも市場価値の高い金属が複数含まれており、それらを総合的に回収すれば、金単体では赤字となる採算性を補える可能性があります。専門業者が複数の金属を同時に回収する理由も、こうした「複合回収の価値」にあります。

銀やパラジウムなども収益を支える貴金属

基板には金のほかに、銀やパラジウムといった貴金属も含まれています。銀はリレーやスイッチの接点、はんだ材料に使用され、パラジウムはコンデンサなどの小型電子部品に含まれます。特にパラジウムは価格が高く、金以上の価値を持つこともあり、回収すれば金に次ぐ収益源となり得ます。これらを合わせて回収すれば、1kgあたりの基板価値は格段に向上します。

銅は基板中に豊富に含まれ、安定した回収対象

銅は電子基板における配線や回路の材料として広範に使われており、量の多さから見て安定した価値を持つ金属です。基板1枚あたりで見ても、金よりも銅のほうが回収可能な重量は大きく、スクラップの売却価格においても銅の含有率は重視されます。金属買取業者は、銅・金・銀・パラジウムの総合含有量を見て価格を算定しているため、銅を見逃しては採算の判断を誤ることになります。

レアメタルの含有が採算性を左右することもある

さらに、基板にはインジウム・タンタル・錫・ニッケルなどのレアメタルが使用されています。これらは携帯端末や薄型ディスプレイに欠かせない素材で、国際的にも需要が高い希少資源です。回収技術が確立していれば、これらのレアメタルも重要な収益源となり、金回収だけでは難しい採算性を補完できるケースもあります。

複数金属の回収が前提なら採算ラインに届く可能性がある

金以外の貴金属や素材を同時に回収する体制が整っていれば、基板リサイクルは採算が合う可能性が高まります。特に専門業者が行うような多金属同時処理では、1kgあたりの回収価値が数千円に達することもあります。個人レベルでは難しくとも、多金属回収を前提としたスキームであれば、金抽出を中心としたリサイクル事業も現実的なビジネスとして成立しえます。したがって、採算を考える上では「金だけ」でなく、「金+他金属の複合価値」で判断する視点が欠かせません。

金抽出は個人では困難だが専門業者なら可能

電子基板から金を抽出することは理論的には可能ですが、個人で行うにはコスト・危険性・法規制などの障壁が多く、収益化は難しいのが実情です。一方で、専門業者による大規模かつ多金属同時の回収処理であれば、金以外の貴金属や素材の価値も活かして採算を取ることが可能です。スクラップを安全かつ適切なルートでリサイクルに出すことこそ、現実的かつ有効な資源活用の方法といえるでしょう。


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