- 作成日 : 2025年3月21日
二回目の創業融資を受けるには?審査のコツや事業計画書の書き方を解説
日本政策金融公庫の創業融資は、二回目も受けることが可能です。ただし、審査が厳しくなる可能性があり、事情によっては審査に通らないかもしれません。また、追加融資の申し込みで提出する書類は異なり、事業計画書の書き方も変わることに注意が必要です。
本記事では、二回目の創業融資を受ける際のコツや手続きの流れ、注意点などを解説します。
目次
二回目の創業融資は受けられる?
日本政策金融公庫の創業融資は、新たに事業を始める人、または事業開始後税務申告を2期終えていない人に向けた融資制度です。原則として無担保・無保証人で、最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)まで融資を受けられます。
創業融資は、二回目の融資も可能です。ただし、初回融資よりも審査が厳しくなる可能性があります。
詳しくみていきましょう。
日本政策金融公庫は二回目の融資も受けられる
日本政策金融公庫の創業融資は二回目の追加融資も可能ですが、融資の時期や申込者の条件などにより、審査に通るかどうかは変わります。
目安として、融資を受けてから1年以上経過し、3割以上を返済している場合は追加融資を受けられる可能性が高いといえるでしょう。
融資を受けて1年未満の場合は返済実績が浅く、追加融資の確率は低くなります。ただし、可能性はゼロではないため、一度相談してみるとよいでしょう。
初回融資より審査は厳しい
二回目の審査は、初回融資のときよりも厳しくなる可能性があります。初回よりも返済能力が低下していれば、審査に落ちることも考えられるでしょう。
追加融資を申し込む理由について聞かれることが多いため、明確に説明できるようにしておくことが大切です。
ただ「事業の運転資金が足りなくなった」というだけではなく、足りなくなった理由を説明できるようにして、返済できる根拠も示さなければなりません。
資金繰り表や事業計画書を作成し、わかりやすく説明できるようにしておきましょう。
審査の期間は初回融資よりも短い傾向
二回目の融資は審査が厳しくなるものの、審査期間は短くなる傾向にあります。申込者の情報確認が不要になるためです。また、初回よりも提出する書類は少なくなるでしょう。
初回融資からまだそれほど期間が経過していない場合、面談も免除される場合があります。
ただし、完済から3年程度経過している場合は利用履歴が削除されることもあるため、改めて基本情報の申告と必要書類の提出を求められる場合があるでしょう。
初回の返済途中でも二回目の創業融資を受けられる?
返済期間中に追加融資を受ける場合、審査は厳しくなる傾向にあります。新たに融資することで借入総額が増えるためです。追加融資を受けられるかどうかは、申込者の返済能力によるでしょう。
経営が赤字の場合や他社からの借入が増えているといった事情があると、審査に通過することは難しくなります。支払いを滞納していることも、審査に通りにくくなる要因のひとつです。
審査を通過するためには、返済能力をアピールできる書類を準備しておくとよいでしょう。
二回目の創業融資は最短いつから受けられる?
二回目の追加融資は、初回の融資から最短いつから受けられるかは、決まりがありません。期間に制限はないものの、残債を3〜5割程度返済している状態が望ましいでしょう。
また、少なくとも1年以上の間隔をあけることがベストです。返済実績を確認できるとともに、決算期(個人事業主の場合は確定申告期)を更新することで、審査がしやすいためです。
個人事業主は確定申告後、3月決算の会社の場合は、4月や5月に申し込むとよいでしょう。確定申告書や決算書を使いながら経営状況を説明できるのもメリットです。
二回目の創業融資が通りやすい条件
追加融資の審査に通るには、現在の事業実績が重要なポイントとなります。
特に審査に通りやすいのは、以下のような事情がある場合です。
- 現在の事業が順調で、事業拡大などで資金が必要になった
- 毎月順調に返済している
- 他社からの借入がない
- 実績に基づいた事業計画書を作成できる
現在の事業が好調であり、さらに事業を拡大するという目的は、審査に有利になる事情といえます。事業拡大によりさらに業績アップが期待でき、返済能力があると判断されやすいでしょう。
順調に返済しており、少なくとも借入額の3割は遅滞なく返済していることが必要です。
カードローンや消費者金融からの借入がないことも重要です。金利の高い借入がある場合、追加融資を借り換えに利用されるのではないかと思われる可能性があるでしょう。
実績に基づいた事業計画書を新たに作成することも大切なポイントです。初回融資では過去の実績がないため、予想に基づいた計画書の作成しかできませんでした。しかし、追加融資では、これまでの実績に基づいた事業計画書を作成できます。過去の実績を根拠に、融資の返済ができることを説明できるような計画書の作成が求められるでしょう。
二回目の創業融資で審査落ちする原因
二回目の追加融資で審査落ちするのは、主に事業がうまくいっていない場合です。次のような事情があると、融資を受けるのは難しくなります。
- 創業時の予想より売上が少ない
- 運営費が想定以上にかかって運転資金が不足している
基本的に、業績が悪化して運転資金が不足している段階で融資を申し込んでも、審査に通る可能性は低くなります。
現在の返済も滞るのではないかと危ぶまれてしまうでしょう。追加融資を受けるためには、経営状況を回復させる必要があります。
二回目の創業融資を受ける流れや必要書類
二回目の創業融資を受ける際の手続きの流れは、基本的に初回融資と同じです。ただし、必要書類は初回とは異なるものもあるため、よく確認しておきましょう。
ここでは、二回目の追加融資を受ける流れと、必要書類について解説します。
融資を受ける流れ
二回目の創業融資は、次の流れで行います。
- 窓口で相談する
- 借入申込書と必要書類を提出する
- 担当者と面談する
- 審査・入金
まず、日本政策金融公庫の担当者に相談し、追加融資が可能かどうかを確認します。その際は、融資を申し込む理由について聞かれる可能性があるため、説明できるように準備しておきましょう。
追加融資を受けられる可能性があれば、借入申込書と必要書類を提出します。面談では新たに作成した事業計画書をもとに、追加融資の必要性と今後の事業の展望について説明しましょう。
必要書類
追加融資の場合は資格証明書や許認可証など、初回に提出した書類は基本的に必要ありません。追加融資では、主に次の書類が求められます。
- 決算書:貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書
- 確定申告書(個人事業主の場合)
- 売上が確認できる書類:明細書、試算表、資金繰り表など
- 納税が確認できる書類:納税証明書、課税証明書
- 事業計画書
ほかに借入金がある場合は、返済予定表を提出します。融資の用途が設備投資の場合は、購入を予定している設備の見積書も提出してください。
準備に時間がかかる書類もあるため、必要書類は早めに確認しておきましょう。
二回目の創業融資を受ける事業計画書の書き方
追加融資では、事業計画書の作成も重要です。「なぜ改めて融資が必要なのか」がわかるよう、追加融資で投資する事業内容とその売上予想について、具体的な数字を示しながら作成します。利益が増加すること、融資を受けてから順調に返済できることがわかるように記載してください。
事業計画書の中で、特に重要なのは、以下の3つです。
- 販売戦略
- 財務計画
- 行動計画
販売戦略は、「なにを」「誰に」「どのように」販売していくのかを整理する項目です。具体的な商品・サービスについて、どのターゲットに、どのような販売方法で販売し、いくらの売上を上げるかを数字で示します。
財務計画は、事業計画を実行した際の財務諸表(CF・PL・BS)のシミュレーションです。いくらの売上が見込めるのか、追加融資の投資がどれだけのリターンを生み、何年で回収できるのかを数値化します。
行動計画は、いつまでにどのような行動をとるのかを明確にし、事業計画書の内容の実現可能性を示す項目、アクションプランです。
事業計画書のテンプレートは、以下のURLからダウンロードできます。ぜひご活用ください。
事業計画書の書き方については、以下の記事が参考になります。
日本政策金融公庫の融資は二回目、三回目も受けられる?何回まで?
日本政策金融公庫の創業融資に申し込み回数は定められておらず、事業内容によっては複数回の融資を受けることは可能です。
二回目以降でも、これまで滞りなく返済している実績があり、経営も順調であれば、審査に通る可能性は十分にあります。融資を受ける際は、追加融資が必要な理由をしっかり説明できることが審査に通るポイントです。
二回目の創業融資を受けることは可能
日本政策金融公庫の創業融資は、二回目の融資を受けることが可能です。これまで滞りなく返済しており、経営も順調に利益を上げているという事情があれば、審査に通りやすいでしょう。
申し込みは決算のあとが適したタイミングであり、決算書や事業計画書をもとに現在の経営状況や今後の事業の見通しを説明し、十分に返済できることをアピールしましょう。
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