• 作成日 : 2025年3月3日

個人事業主がカーリースを活用するメリットは?経費や仕訳、審査通過のポイントを解説

個人事業主の仕事で車が必要になった場合、購入費用がかからないカーリースを活用するという方法もあります。購入費用が不要でリース料金を全額経費計上できる点などがメリットです。

本記事では、個人事業主がカーリースを活用するメリットについて解説します。カーリース料金の経費計上や仕訳、カーリース会社を選ぶポイントなども紹介します。

カーリースとは

カーリースとは、カーリース会社に毎月リース料金を支払うことで、一定期間車を利用できるサービスです。プランによって頭金が必要なケースもありますが、頭金なしのプランであれば初期費用は必要ありません。

カーリースの契約期間や選べる車、リース料金、リース期間終了の車の買取の可否などはリース会社によって異なりますが、さまざまなプランがあり幅広い選択肢が準備されています。

また、カーリースには個人向けと法人向けがあり、法人向けカーリースは法人だけでなく個人事業主も契約できます。ただし、個人口座を利用できるケースと屋号名義の口座が必要になるケースがあるため注意しましょう。個人事業主が業務用の車を個人名義でリースすることも可能です。

個人事業主がカーリースを活用するメリット

個人事業主がカーリースを活用する主なメリットは、以下の3つです。

  • リース料金全額を経費計上できる
  • 納税や車検などの管理手続きの手間が省ける
  • 購入に比べ少ない初期費用で車を調達できる

各メリットについて解説します。

リース料金全額を経費計上できる

メリットの1つ目は、リース料金全額を経費計上できることです。経費計上によって利益を抑えて節税できます。ただし、後述する「カーリースの車をプライベートで利用するケース」では全額経費計上はできないため注意しましょう。

車を購入した場合、耐用年数に応じた減価償却が必要です。普通自動車の耐用年数は6年、軽自動車は4年です。カーリースを活用すればリース料金の支払いごとに経費処理できるため、長期にわたる減価償却の会計処理をしなくて済みます。

納税や車検などの管理手続きの手間が省ける

メリットの2つ目は、納税や車検などの管理手続きの手間が省けることです。リースした車はリース会社が所有するため、納税や車検などの管理手続きはリース会社がしてくれます。忙しいときに手続きを避けられ、手続き漏れも防止できます。

また、プランによっては納税や車検の費用、自動車保険の保険料などもリース会社が負担してくれることもあるため、経理処理の負担も軽減できるでしょう。メンテナンスプランを選択すれば、車のメンテナンスの手間も省けます。

購入に比べ少ない初期費用で車を調達できる

メリットの3つ目は、購入に比べ少ない初期費用で車を調達できることです。車を購入する場合、代金を一括で支払うか一定金額の頭金を入れるため初期費用が高額になります。頭金なしのカーリースプランを選択すれば、初期費用なしで車を利用できます。

個人事業が軌道に乗るまでは、大きな出費を避け一定額の資金を手元に置いておくと安心です。カーリースをうまく活用して、キャッシュ・フローを適切に管理しましょう。

カーリースの車をプライベートでも利用できる?

カーリースの車をプライベートで使用しても問題ありません。ただし、恒常的に私用で車を使う場合、リース料金の全額経費計上はできなくなるため注意しましょう。経費となるのは事業のために使用した費用だけです。

車を仕事と家庭の両方で使用する場合、経費にできる金額は「家事按分」という方法を使って計算します。仕事で使う割合と家庭で使う割合でリース料金を分割し、仕事分だけを経費にします。

モデルケースを使って具体的にシミュレーションしてみましょう。リース料金を月額3万円、1ヶ月の2/3を仕事で使用し残りを家庭で使用する場合、料金の2/3(2万円)を事業のための費用とみなして経費計上します。

モデルケースでは車の使用日数を用いて家事按分しましたが、走行距離で計算しても問題ありません。

個人事業主はカーリースを経費にできる?

個人事業主はカーリースの料金を経費にできます。

所得税法では、個人事業主の必要経費は「収入を得るために直接必要な売上原価販売費、管理費その他費用」または「その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額」と定められていて、事業のために必要なカーリースの料金もこれに該当します。

個人事業主の所得税は、総収入金額から必要経費を差し引いた事業所得に対して課税されるため、カーリース料金を経費計上すれば所得税を抑えられます。

個人事業主の経費について詳しく知りたい方は、以下の記事を参照してください。

カーリース料金の勘定科目と仕訳

個人事業主がカーリースを利用する場合、カーリース料金の勘定科目を「リース料」として次の通り仕訳するのが一般的です。

(リース料金の仕訳・リース料金5万円)

借方貸方摘要
リース料50,000円現金50,000円自動車リース料

ただし「ファイナンス・リース取引」という形でカーリースした場合、原則として上記のように経費計上できません。ファイナンス・リース取引とはリース会社が借り手の代わりに車を購入し貸す取引をいい、名義はリース会社ですが実質的な所有者は借り手とみなされます。そのため、リース時に債務が発生し支払い時に債務と利息を返済したものとして仕訳が必要です。

一方、ファイナンス・リース取引以外の一般的なカーリースは「オペレーティング・リース取引」と呼ばれ、仕訳時はリース料金を経費計上するだけで済みます。

個人事業主のカーリースは個人か法人のどちらで審査を受けるべき?

個人事業主がカーリースする場合、個人向けか法人向けのどちらで審査を受けるべきでしょう。個人向けカーリースは個人として審査を受け、法人向けは法人として審査を受けます。リース料金の支払い口座を含めて、個人向けカーリースと法人向けカーリースの違いを確認しておきましょう。

(個人向けカーリースと法人向けカーリースの違い)

個人向けカーリース法人向けカーリース
契約者個人法人・個人事業主
支払い口座個人名義の口座法人口座(個人事業主であれば屋号名義の口座)
審査の対象者個人法人・個人事業主

個人向け、法人向けのどちらで審査するかは、次の点を確認して総合的に判断しましょう。

  • プライベートと仕事の車の使用割合
  • リース料金の支払いに使用したい口座
  • 個人向けプラント法人向けプランの比較
  • 審査の通りやすさ

個人向けの場合、個人の年収や信用情報など基に審査されます。法人向けは、事業の経営状況や財務状況が審査のポイントです。個人・法人の各状況を確認しどちらか通りやすいかを判断しましょう。

個人事業主がカーリース会社を選ぶポイント

自分に合ったカーリースを利用するには、どのカーリース会社を選ぶのかが重要です。カーリース会社を選ぶ主なポイントは、以下の通りです。

  • 事業目的に合った車種が見つけられるか
  • 料金設定が適切か(または低料金か)
  • 管理手続きなど手間が省けるプランやサービスが充実しているか
  • 必要な車の整備やメンテナンスが簡単に受けられるか

事業目的に合った車種を見つけるには、取り扱い車種の多いリース会社や希望する車種に強いリース会社がいいでしょう。車の管理などに時間をかけたくないなら、車検や定期点検、自動車保険料などがセットになったプランのあるリース会社を選びましょう。会計処理も楽になります。

インターネットで比較検討することも大事ですが、ある程度候補を絞ったら複数のリース会社から見積もりを取りましょう。選択材料となる料金の相場やさまざまなプランの情報なども取得できます。

カーリースの仕組みやメリットを理解して有効活用しよう

カーリースとは、毎月リース料金を支払って一定期間車を使えるサービスです。リース料金全額を経費計上できる、初期費用無しで車を調達できる、車の維持・管理の手間が省けるといったメリットがあります。

車は必要だが高額の投資を避けたいと考える個人事業主は、仕組みやメリットを理解したうえでカーリースの活用を検討してみましょう。


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