- 更新日 : 2025年10月1日
自動車整備工場の事業計画書の書き方は?テンプレートを基に記入例、コツを解説
自動車整備工場を立ち上げるにあたっては、設備資金として多くのお金が必要です。自己資金ですべてカバーするのは難しいため資金調達に取り掛かることになると思いますが、ここでポイントとなるのが「事業計画書の作成」です。
当記事ではその書き方についてテンプレートを用いて解説していますので、ぜひ参考にしてください。
※事業計画書のテンプレートをお探しで当記事を訪れられた方は、こちらをご活用ください▼
目次
自動車整備工場を開業するための事業計画書とは?
自動車整備工場を立ち上げる場合、工場の外観・内装などの工事や機械・機器、備品類の準備が必要で、設備だけで1,000万円以上の資金が必要になることも珍しくありません。この資金に加えて人件費などの運転資金も備えておくことが望ましいとされています。
なかなか全額を自己資金から出すことは難しいため、外部から資金を調達する必要があるでしょう。ただし資金調達を成功させるには、資金を出してくれる相手方からの信用が必要です。創業融資を受けるのなら「全額の返済をしてくれるだろう」と評価してもらえなければ資金を得ることはできません。
ここで役立つのが事業計画書です。
事業計画書内で現実的な収支の見通しが立てられていれば、外部の方からの信用も獲得しやすくなります。特に創業期は実績がまだありませんので、事業計画書の作り込みが資金調達成功のカギを握ります。
自動車整備工場の事業計画書のひな形、テンプレート
事業計画書を作成するときは、ひな形やテンプレートを活用すると効率的です。下記のURLから自動車整備工場向けの事業計画書がダウンロードできますので、そちらのファイルも参考にしつつ作成を進めていただければと思います。
無料登録後のページにある「会社設立ナビ」にて事業計画書をダウンロードしていただけますので、ぜひお気軽にご利用ください。
自動車整備工場の事業計画書の書き方・記入例
事業計画書の書き方は自由です。そのため各社必要と思われる情報・計画を好きなフォーマットにまとめればよいのですが、これまでに書いたことがないという方は戸惑うこともあるでしょう。
そんなときはまず以下の項目について考えてみて、事業計画書の作成を進めてみましょう。
- 創業の動機・目的
- 職歴・事業実績
- 取り扱い商品・サービス
- 取引先・取引関係
- 従業員
- 借入の状況
- 必要な資金と調達方法
- 事業の見通し
テンプレートを基に、各項目の記載方法を解説していきます。
創業の動機・目的
多くの事業計画書では、冒頭に創業の動機や目的に関する記載欄が設けられています。基本的には審査に大きな影響を与えるものではありませんが、事業計画書に説得力を持たせるような背景を記載するとよいのです。
未経験の方が思い立って創業を決意したケースよりも、例えば「長年自動車整備工場の仕事に携わってきた」という事実を絡めつつ、なぜ自分で立ち上げることを考えるようになったのかを示した方が印象もよいのです。
また、自動車整備工場は若干の増加傾向があり、その意味では人気のある事業ということができます。そのため単に「自動車に関わる仕事がしたいから」と記入するのではなく、「〇〇市では自家用車の利用が多くニーズもあるから」といった書き方もできると計画内容にも説得力が持たせられます。
職歴・事業実績
職歴や事業実績に関する欄は、端的に必要な情報のみを記入していきます。これまでに取得した資格のすべてを記入したところで自動車整備工場の運営に関係がなければ審査にも影響しません。
そこで自動車整備士になるための国家資格を持っていることや、経営者としての能力があることをアピールできるよう「〇〇部長として現場対応だけでなく管理業務にも携わる」などと具体的に過去の実績を記入しましょう。
取り扱い商品・サービス
サービス、戦略の内容は力を入れて考えましょう。自動車整備工場の立ち上げですので「自動車の修理や点検」などが主なサービスであり、どの事業者でもこの点が大きく変わることはないでしょう。
ただ、戦略の面で他社との差別化を図ることが重要です。特に今後は自動車の保有台数が減少するといわれており、将来的に市場が縮小する可能性もあります。そんな状況になったとしても生き残れることをアピールしなくてはなりません。
長々と書くことはできませんが、抽象的すぎる表現だと内容が伝わりません。構想している戦略内容を端的に記載していきましょう。どのように新規顧客の獲得を目指すのか、顧客離れを起こさないための工夫、また、市場調査を行い需要があること・競合が少ないことなどが示せるとよりよいのです。
取引先・取引関係
顧客の獲得も重要ですが、仕入や外注を行う場合の取引先が定まっていることも重要です。
取引先の確保ができていないと想定通りに運営ができないおそれもありますので、できるだけ起業前から特定の事業者との取引ができる状態を整えておきましょう。そして当該事業者の固有名詞を事業計画書にも記載し、支払い条件なども明記しておきます。
従業員
従業員に関する情報も記入しましょう。多ければよい・少なければよい、と一概に評価が分かれるものではありませんが、立ち上げ当初から人数が多いと資金ショートのリスクが上がりますし、必要な人員の確保ができていないと事業をうまく回せないリスクが上がってしまいます。
そこで事業内容に合わせて適切な人員を確保し、事業計画書に記載する必要があります。
なお、自動車整備工場においては少なくとも2人以上の従業員が必要で、1/4以上が自動車整備士の資格を持っていないといけません。さらに1人以上の自動車整備主任者の設置も欠かせませんので、この点には十分注意が必要です。
借入の状況
すでに借り入れをしている場合はその状況も伝える必要があります。もちろん審査においては借り入れのない方が有利ですし、逆に金利の比較的高いカードローンなどで多額の借金をしていると、借入額より大きな利益を出せる見込みが求められます。
審査に悪影響がおよぶこともありますが、個人的に多額の借り入れをしているというだけで資金調達ができなくなるわけではありません。何よりも重要なのは「ウソの情報を記載しない」ということです。
必要な資金と調達方法
資金調達をするためのツールとして事業計画書を作成する場合、「調達した資金は何のために使うのか」が明記されている必要があります。あいまいな記載だと「必要な資金を正確に把握できていないのではないか」と思われても仕方ありません。
そこで設備資金については見積もりなども行い、裏付けのある金額を記載するようにしましょう。
調達方法に関しても同様です。自己資金でいくら用意できるのか、どこからいくら調達する予定なのか、具体的な金額を記載しておきましょう。
事業の見通し
「事業の見通し」の欄では、売上高がいくらか、経費はいくらか、利益はいくら出せるのか、といった情報を根拠のある数字とともにまとめていきます。
立ち上げ前ですのでなかなか予測が難しい箇所もあるかもしれませんが、すべて想像で記入していくのではなく「実現可能性が高そうだ」と評価してくれるような書き方をしていかないといけません。
特に経費の見積もりは甘くならないよう注意してください。想定される経費は多めに計上しておきます。なお、創業後すぐに黒字にできる必要はありません。しばらく事業を継続して、黒字が安定的に出せる見込みがあると評価されればよいのです。
自動車整備工場の事業計画書のポイント
事業計画書の作成では「抽象的すぎる記載をしないこと」「具体的な数字で示すこと」「根拠のある情報を載せること」が意識しておきたいポイントです。
特に想定される利益の大きさに関しては「売上高や経費などがなぜその金額になるのか」が根拠を持って示せる必要があります。例えば日本自動車整備振興会連合会が公表している統計データを用いて算定してみたり、広告を活用するときは広告業者にその効果を予測してもらったり、必要な資金の大きさに関しても各社に見積りを出してもらっておけば記入する金額にも説得力が持たせられます。
その他、事業計画書の一般的なポイントに関してはこちらのページでも説明しております。
自動車整備工場の資金調達方法
資金調達の方法は融資以外にもいくつか考えられます。自己資金や友人・家族からの借入もそうですし、他には「補助金の活用」もチェックしておきたいところです。
例えば「事業承継・引き継ぎ補助金」や「事業再構築補助金」の活用です。自動車整備工場に関しては、事業の引き継ぎが上手くできず廃業してしまう例も昨今発生しています。新規に設備をすべて取り揃えるのも大変ですし、事業承継や事業再構築を視野に入れると補助金でいくらか資金を確保できるかもしれません。
整備工場の運営に必要な設備・経費を明記しよう
大きな資金を調達しようとするほど信用を得るためのハードルも高くなりますので、事業計画書も作り込まなくてはなりません。そこで「どの設備にいくら必要なのか」「維持費として経費はいくらかかるのか」など、具体的な金額を根拠とともに明記することに注意しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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