- 更新日 : 2025年8月4日
開業コンサルタントの選び方は?業界別(クリニック・飲食店)の費用相場や注意点を解説
飲食店や医院・クリニックを開業するなら、コンサルタントに相談することも検討しておきましょう。相談することで、客観的なアドバイスやノウハウの提供を期待できます。
ただし、開業コンサルタントに相談すると費用がかかる可能性がある点に注意が必要です。本記事でメリット・デメリットを比較した上で相談するか決めましょう。
目次
開業コンサルタントとは
開業コンサルタントとは、飲食店や医院・クリニックが場所の選定、必要機器導入、従業員採用、届出書類提出、宣伝・広告などを経て開業するまでのサポートをする人たちのことです。
開業コンサルタントのサポート内容
開業するためには、事業を始める場所の選定や集客予想、スタッフの確保、広告宣伝、資金調達など様々な事前準備が必要になります。開業コンサルタントのサポート内容は、開業前から開業後までこれらの準備を専門的に支援することです。
具体的には以下のようなサポートを行います。
- ビジネスモデルの構築
事業の基礎となる収益モデルや販売戦略、提供する商品やサービスの差別化戦略などを構築する業務です。 - 市場調査
事業がターゲットとするマーケット市場を特定し、市場動向や競合他社の調査を行い自社の強みや弱みをあらかじめ分析する作業です。 - 店舗の立地選定
事業の拠点となる店舗を立地する場所を選定する業務です。ビジネススタイルに最適な立地条件を分析し、最適な物件を選定することが目的です。 - マーケティング戦略の立案
市場調査の結果から、商品やサービスのブランド戦略の立案や、WebサイトやSNSを活用したPR活動の準備など、事業のプロモーション計画を作成する業務です。 - 事業計画書の作成支援
上記1.~4.までの計画を踏まえて事業を継続した結果、事業がどのように成長していくかを予想する財務計画や、計画に沿った予算付けの立案等を行います。 - 資金調達支援
事業計画書を立案した結果、運転資金や設備資金が必要になると判断された場合に、金融機関からの融資や投資家からの資金調達などを支援する業務です。 - 法人設立や許認可取得等のサポート
法人を設立する際の設立登記等の手続きや、許認可が必要な事業を行う場合の許認可取得、取引先と結ぶ契約書など法的文書の作成支援などを行います。 - 人材採用支援と社員教育のサポート
事業運営に必要な人材の採用支援や、採用後の社員教育プログラムの構築など人事全般のサポートを行う業務です。 - 開業後のサポート
開業後の経営状況を定期的に確認し、問題点や改善項目を見つけアドバイスを行う業務です。また、将来的な事業拡大に向けた長期経営戦略の策定支援なども行います。
有料と無料のコンサルタントの違い
開業コンサルタントは、有料と無料の種類に分けられます。
一般的に、コンサルタントを専業で行っている会社・業者は有料の開業コンサルタントに分類されます。有料の開業コンサルタントに相談した場合、部分的なサポートに限らず、開業までの全体図を描きながら動いてくれる点が特徴です。
また、業界の関連企業とのパイプを持っているコンサルタントに依頼すると、物件の選定や工事業者・医療業者の有力な情報提供も期待できるでしょう。
一方、本業外でのアドバイス・サポートを提供する医療メーカーやハウスメーカーなどが、無料の開業コンサルタントに該当します。無料の開業コンサルタントは、本業で報酬が発生する分、本業外に関するアドバイスなどは無料で行う点が特徴です。
無料の開業コンサルタントに相談すれば開業に関するコストは抑えられますが、専門ではないため有料に比べて知識やスキルが劣る可能性はあります。
業界別|開業コンサルタントの費用相場
次に、開業コンサルタントを利用する際の費用相場を、業界別に見ていきましょう。
クリニック・医院の開業コンサルタントの費用相場
サービスの提供内容にもよりますが、費用相場としては「100~200万円」であるといわれています。クリニック・医院の開業には、他の業種と比較して専門的な知識や医療業界特有の経験が必要です。
クリニック・医院を開業する際には、業界特有の知識や経験を熟知した医業専門のコンサルタントを選定しましょう。ただし、専門的なスキルを持っている分、他の業種のコンサルタントより費用相場が割高となるケースが一般的です。
飲食店の開業コンサルタントの費用相場
飲食店の開業コンサルタントの場合、一般的な集客調査や営業時間の選定等の他に、原価率の設定やそれに見合ったメニューの提案など、飲食店ならではのコンサルティングを受けることができます。
費用相場としては、小規模店舗の場合「100~300万円」、チェーン店の場合「150~1,000万円」程度であるといわれています。また、コンサルタントの知名度や提供を受けるコンサルティングサービスの内容の他にも、事業規模(小規模店舗、チェーン店など)、開業する地域(首都圏、地方など)によって費用相場が変動します。
失敗しない!開業コンサルタントの選び方
開業を成功させるポイントは、開業コンサルタントから質の高いサービス提供を受けられるかどうかです。次に、開業コンサルタントを選ぶ際のポイントを挙げてみましょう。
過去の実績は十分か
前章で紹介したクリニック・医院や建設業、産業廃棄物処理業などの開業には、許認可の取得が不可欠です。また、資金調達を成功させるためには精度の高い事業計画書の作成が必要になります。
開業コンサルタントを選ぶ際には、過去に許認可の取得手続きや事業計画書の作成を十分に行った実績があるか確認する必要があります。
専門分野の資格を保有しているか
開業コンサルタントが行う業務のなかには、専門分野の資格を必要とするものがあります。社会保険業務に関する手続きを行う社会保険労務士、人材採用時のアドバイスを行うキャリアコンサルタント、事業計画書の立案を支援する中小企業診断士やファイナンシャルプランナー、行政・税務手続きを行う行政書士や税理士などです。
開業コンサルタントを選ぶ際には、どのような専門的資格を有しているかを確認しましょう。
担当者とコミュニケーションが取りやすいか
開業時に行う業務は、起業家とコンサルタントが互いに意見を交わしながら、綿密に計画を組み立てていく作業です。そのため、開業コンサルタントを選ぶ際には、担当者とコミュニケーションを取りやすいという点が重要な判断材料になります。
担当者の人柄やアポイントの時間帯や長さ、サポートしてもらえる回数などを参考にコンサルタントを選ぶのがよいでしょう。
料金体系やサポート内容は明確か
開業コンサルタントに依頼する業務は、各種計画書の作成や市場調査、金融機関との折衝など非常に多岐に渡り、それに伴い費用負担も増加していきます。開業コンサルタントごとに料金体系は異なりますが、依頼した業務ごとに料金設定されているケースが一般的です。設定されている料金体系や、サポート内容が明確になっていることを必ず確認しましょう。
開業コンサルに相談するメリット
開業コンサルタント(コンサル)に相談することで、期待できるメリットは主に以下のとおりです。
- 客観的なアドバイスをくれる
- これまでのノウハウを活かせる
- 事業計画の精度が上がる
開業コンサルに相談する3つのメリットをそれぞれ確認していきましょう。
客観的なアドバイスをくれる
開業したての頃はまだ信頼できる従業員や取引先が不在で、1人で考えて決断しなければならない場面があります。開業コンサルに相談すれば、客観的な立場からのアドバイスをもらえるため、偏った判断を下しにくい点がメリットです。
また、開業コンサルからさまざまな選択肢の提示を受けることで、自分ひとりでは考え付かなかった企画や戦略発案につながるでしょう。
これまでのノウハウを活かせる
業者によっても異なりますが、一般的に開業コンサルは、開業や対象業界に関する知識や経験が豊富です。開業コンサルのこれまでのノウハウをいかすことで、開業を成功に導くことが期待できます。
また、自分だけでは掴めない情報を有している点も、開業コンサルに依頼するメリットです。飲食業や医療など、自分の専門分野に関する知識はあっても経営に関する知識・情報に乏しいという場合も、開業コンサルが役に立ちます。
事業計画の精度が上がる
開業コンサルタントが持つノウハウには、事業計画書の作成に関するものも含まれます。会計・税務の知識が浅い方にとって、中長期的な事業収支や資金繰りの推移などを予想し計画を立てることは簡単ではありません。開業コンサルタントのノウハウを活かすことで、事業計画の精度を上げることができます。
開業コンサルに相談するデメリット
一方で、開業コンサルに相談してデメリットが生じることもあります。主なデメリットは以下のとおりです。
- 費用がかかる
- 意見に流されてしまう
開業コンサルに相談する場合の2つのデメリットを確認していきましょう。
費用がかかる
有料のコンサルに依頼する場合、費用がかかる点はデメリットです。独力で開業した場合と比べ、開業までのトータルのコストが高くなるため、予算を踏まえて依頼するか判断するようにしましょう。
また、高い金額を払ったからといって、必ずしも開業が成功するとは限りません。結果的に払った分、損することにもなりかねないため、注意しましょう。
意見に流されてしまう
開業コンサルに相談すると、意見に流されやすい点もデメリットです。本来、自分の理想とする形があったとしても、忙しさや知識のなさを理由にしてコンサルに任せっきりにしてしまうと、最終的に目指した事業の方向性とはかけ離れたものになるおそれがあります。
コンサルに相談する前に、あらかじめ自分の中で譲れない部分を整理しておくことが大切です。
開業コンサルタントに相談するなら料金を確認
開業コンサルタントに相談することで、客観的なアドバイスを受けられる点や、これまでのノウハウをいかして成功に導ける点がメリットです。ただし、有料コンサルタントを利用すると、費用がかかります。
開業コンサルタントに高い報酬を払ったからといって、必ずしも開業が成功するわけではありません。料金や内容を確認した上で開業コンサルタントへの相談を検討しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
事業的規模でない不動産所得がある場合も開業届の提出が必要?
不動産等の貸付けによる所得は、不動産所得となります。その貸付けが「事業」として行われているか否かによって所得の計算の仕方が異なるものの、いずれも開業届の提出が必要です。しかし、事業的規模でない不動産所得の場合、開業届の提出要否は迷いどころで…
詳しくみる枚方市の開業届の提出方法(ネット・郵送)税務署まとめ!
枚方市で開業届を提出する際は、枚方市の管轄税務署に提出する必要があります。 開業届は、事業所得や、不動産所得・山林所得が発生するような事業を開始をした方が、枚方市の管轄税務署に提出しなければならない書類です。 青色申告を開始する場合は、原則…
詳しくみる個人事業主・自営業・フリーランスの違いは?メリット・デメリットも解説!
事業を始めるにあたって、税金面などでは「個人事業主」「自営業」「フリーランス」のいずれがよいか迷うケースがあります。今回は、個人事業主、自営業、フリーランスとは何かについて解説しながら、それぞれのメリット・デメリットや個人事業主になれないケ…
詳しくみるケアハウスを開業する方法は?老人ホームを経営する上での注意点も解説!
ケアハウスのような介護施設の開業を目指すなら、指定申請や法人化などの必要な手続きを済ませましょう。初期費用や運営資金を集めるために融資を受ける準備を行うことも大切です。 介護施設には、デイサービスのような小規模経営、老人ホームのような大規模…
詳しくみる東大阪市の開業届の提出方法(ネット・郵送)税務署まとめ!
東大阪市で開業届を提出する際は、東大阪市の管轄税務署に提出する必要があります。 開業届は、事業所得や、不動産所得・山林所得が発生するような事業を開始をした方が、東大阪市の管轄税務署に提出しなければならない書類です。 青色申告を開始する場合は…
詳しくみるフリーランスの開業届ガイド!書き方・出さないのはOK?
フリーランスの個人事業主として仕事を開始する場合、自分次第でいつでも働き始められます。しかし「仕事を始めるにあたって開業届の提出は必要なのか?」「提出が必要な場合はどう書いたらいいのか?」と疑問に思っている方も多いでしょう。 そこで今回は、…
詳しくみる