- 更新日 : 2026年3月12日
役員の登記のやり方とは?変更や再任、忘れた場合も解説
取締役や監査役の就任・退任・重任などを法務局に届け出る義務的な手続きです。
同人が再任される重任でも登記は必須です。特に任期を最長10年に延ばしている非公開会社は、更新忘れによる過料(罰金)のリスクが高いため注意が必要です。
取締役や登記されている会社役員の氏名や住所、役職などに変更が生じたら、法務局へその内容を届け出なければなりません。「役員登記」は、変更されてから原則2週間以内の申請が法律で義務付けられているためです。
しかし、「どんな時に登記が必要?」「自分でできる?」あるいは「うっかり任期満了後の登記を忘れてしまった」といった疑問を持つ方もいるでしょう。
この記事では、役員登記の基本から、ケース別の必要書類、そして登記を忘れた場合の対処法までをわかりやすく解説します。
目次
会社の役員登記とは?
役員登記は、取締役や監査役の氏名、住所、役職に変更が生じた際や、任期が満了した際に行う公示手続きです。 実務上、メンバーが変わらない場合でも「重任」「再任」「留任」といった形態に応じた適切な登記申請が求められます。
会社の重要情報を最新に保つことで、取引先等の第三者が信頼して確認でき、取引の安全性が担保されます。
そもそも役員登記はなぜ必要?
役員登記の内容は「登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)」として誰でも取得できる公開情報になります。ここに記載された情報が正確であることが、会社の信用の土台です。登記が現状と食い違っていると、代表権の有無等を巡る紛争や表見代表のリスクが高まるため、速やかな更新が重要です。
登記の対象となる「役員」とは?
会社法で定められ、登記が必要となる役員は、主に「取締役」「代表取締役」「監査役」(会社の設計によっては会計参与・会計監査人等を含む)が対象です。 これらの役員は、会社の経営や監督において重要な役割を担うため、その氏名などが法的に公示されます。
- 取締役:会社の業務執行に関する意思決定を行う役員です。株式会社には必ず1名以上置かなくてはなりません。
- 代表取締役:会社を代表して、法的な契約などの行為を行う権限を持つ取締役です。登記事項証明書には、氏名に加えて住所も記載されます。なお、住所の開示は、申出により登記事項証明書等で非表示にできる制度が導入されています。
- 監査役:取締役の職務執行が正しく行われているかを監査する役員です。会社の規模によっては、設置が義務付けられていない場合もあります。
代表取締役以外の取締役・監査役は氏名のみ登記事項で、住所は登記事項ではありません。
どんな時に役員登記が必要になる?
役員登記が必要になるのは、役員の構成や情報に何らかの変更があった時です。 具体的には、以下のようなケースが挙げられます。
- 新任:新たに取締役や監査役が就任した
- 重任(留任):役員が任期満了後、引き続き同じ役職に就任した
- 再任:一度退任した後、期間を空けて再び同じ役職に就いた
- 辞任:役員が自らの意思で役職を辞めた
- 退任:任期満了をもって役員を辞めた
- 解任:株主総会の決議によって役員を辞めさせた
- 死亡:役員が亡くなった
- 氏名・住所変更:結婚などで役員の氏名が変わった、または役員が引っ越した
いつまでに登記を申請すべき?(原則2週間以内)
役員変更の登記は、変更が生じた日から2週間以内に、本店所在地を管轄する法務局へ申請しなくてはなりません。 この「変更が生じた日」とは、たとえば株主総会で役員選任が決議されてそれに基づいて就任承諾があった日や、役員が辞任届を提出した日などを指します。
2週間という期間は短いため、変更が決まったら速やかに手続きの準備を始めることが大切です。期限徒過の場合は、過料(100万円以下)の対象になり得ます(登記懈怠)。
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役員の法人登記はどう進める?
役員登記は、司法書士に依頼するほか、自社で行うこともできます。大まかな流れは、社内で変更を決議し、書類を準備して、法務局に申請するという4つのステップで進みます。
STEP1:株主総会などで役員変更を決議する
まず、役員の変更について、会社として正式な意思決定を行います。取締役の選任や解任といった事項は通常、株主総会の決議が必要です。あわせて、代表取締役の選定方法は会社の機関設計で異なります。
- 取締役会設置会社:取締役会決議(取締役会議事録を作成)
- 取締役会非設置会社:取締役の互選等(互選書・同意書等でも可)
これらの決定事項を証明する株主総会議事録や取締役会議事録を作成します。これが後の登記申請で不可欠な書類です。
STEP2:登記に必要な書類を作成・準備する
次に、法務局に提出するための書類一式を作成・準備します。 中心となるのは「役員変更登記申請書」です。これに加えて、前述の株主総会議事録や、変更内容に応じた以下の書類を揃えます。
- 新任・重任(取締役・監査役等):株主総会議事録、就任承諾書(本人実印)、就任者の印鑑証明書(原則3か月以内)
- 代表取締役の選定:取締役会議事録(取締役会設置会社)または互選書等(非設置会社)、代表取締役の就任承諾書(実印)+印鑑証明書
- 辞任:辞任届(会社到達日が分かる体裁が安全)
- 氏名・住所変更(住所は代表取締役のみ登記事項):住民票や戸籍の記載事項証明などの変更事実を証する書面
必要書類はケースによって異なるため、法務局のウェブサイトなどで事前に確認しましょう。
STEP3:管轄の法務局を確認し、申請書を提出する
書類がすべて揃ったら、会社の本店所在地を管轄する法務局へ申請します。 管轄の法務局は、法務局のウェブサイトで確認できます。申請方法は、窓口への持参、郵送、そしてオンライン申請の3つがあります。ご自身の都合に合った方法を選びましょう。
参照:管轄のご案内|法務局
STEP4:登録免許税を納付する
登記を申請する際には、登録免許税を納めます。
| 税額(株式会社) 資本金1億円以下:1万円/1申請(=1件) 資本金1億円超 :3万円/1申請(=1件) ※資本金額は申請時点の登記記録上の額で判断します。 |
登記件数の考え方
同一申請書で、複数の役員の就任・退任・重任・氏名/住所変更をまとめても、原則は1件分の課税です。ただし、登記の種類が異なるものは別件として加算されます(例:本店移転、商号変更、目的変更、取締役会設置/廃止など機関設計の変更)。
記載誤りの是正等の更正登記・抹消登記は別枠で1件2万円(資本金区分なし)。
例)資本金3,000万円の会社で、代表取締役1名の重任と取締役2名の退任を一括申請となり、1件=1万円です。
- 窓口・郵送:収入印紙で納付
- オンライン申請:電子納付(インターネットバンキング等)
役員変更の登記で必要な書類と費用
役員登記で準備する書類や費用は、変更の理由によって変わってきます。ここでは、よくある4つのケースごとに、主な必要書類と登録免許税を整理して紹介します。(資本金1億円以下の株式会社を前提とします)
| ケース | 主な必要書類 | 登録免許税 |
|---|---|---|
| 新任(新たに就任) | 登記申請書 / 株主総会議事録(選任決議) / 就任承諾書(実印) / 就任者の印鑑証明書(原則3か月以内) / (代表取締役を置く場合)取締役会議事録(取締役会設置会社)又は互選書(非設置会社) / 代表取締役の就任承諾書・印鑑証明書 | 1万円 |
| 重任(任期満了で再任) | 登記申請書 / 株主総会議事録(重任決議) /(代表取締役の重任がある場合は上記の決議書類・就任承諾書・印鑑証明書を準備) | 1万円 |
| 辞任(任期途中で辞任) | 登記申請書 / 辞任届(会社到達日が分かる体裁が安全) / (後任選任がある場合はその決議書類・就任関係書類) | 1万円 |
| 氏名・住所変更 | 登記申請書 / 変更を証する書面(例:氏名変更→戸籍抄本等、外国籍→公的身分証の氏名変更が分かる書面) | 1万円 |
役員が新たに就任する(新任)
新たな役員を迎える場合は、株主総会での選任決議と、就任者の就任承諾(実印)が必要。就任者の印鑑証明書を添付。代表取締役を置く場合は、機関設計に応じた取締役会議事録/互選書を添付が必要です。
役員が任期満了で再任する(重任)
重任の場合は、株主総会議事録に法務局に届け出た代表印を押印することで対応します。その場合、個別の就任承諾書や印鑑証明書は必要ありません。
役員が辞める(辞任・退任・解任)
役員が自らの意思で辞める「辞任」の場合は、本人の意思を証明する「辞任届」が必要です。任期満了で辞める「退任」の場合は、株主総会で後任者を選任した議事録などがその証明となります。解任は株主総会決議書類を添付します。
その他のケース(氏名・住所変更、死亡など)
氏名変更は登記が必要で証明書を添付します。住所変更登記は代表取締役のみ対象です。死亡による退任は、死亡の事実が分かる戸籍(除籍)謄本等を添付します。
役員の重任登記を忘れたらどうなる?
役員の重任登記をうっかり失念すると、登記懈怠(とうきけたい)にあたり、裁判所から過料(行政上の金銭制裁)を科されることがあります。過料は刑罰ではなく前科もつきませんが、法定義務を怠った事実として信用面のリスクは残ります。なお、過料の対象は原則として登記申請義務を負う者(例:代表取締役等)です。気づいた時点ですぐに手続きを進めることが求められます。
役員の登記を忘れてしまう理由
失念の最大要因は任期の長さです。とくに非公開会社(株式譲渡制限会社)では、定款で最長10年まで任期を伸長できるため、「十年に一度」のタイミングを逃しやすくなります。決算や総会スケジュールの変更なども重なると、手続きが後ろ倒しになりがちです。
登記を怠った場合のペナルティ「過料」とは
登記義務に違反すると、会社法に基づき100万円以下の過料の対象となり得ます。過料の金額は、遅延期間や事情(故意・過失の有無、再発防止策の有無等)を踏まえ、裁判所が個別に判断します。過料は会社そのものに科されるというより、義務者(代表取締役等)に科されるのが基本です。
登記忘れに気づいたら、すぐにやるべきこと
登記忘れに気づいたら、一日でも早く登記申請を行うことが大切です。まずは、いつ任期が満了していたのかを定款や過去の議事録で正確に確認します。その上で、本来開催すべきだった時期の株主総会議事録などを準備し、速やかに登記を申請します。場合によっては、遅延の理由を説明する「上申書」を添付することもあります。
役員の法人登記は自分でできる?依頼すべき?
役員登記の手続きは、必要書類を揃えて法務局へ申請する流れのため、自社で完結させることも可能です。 ただし、任期管理のミスや書類の不備による過料リスクを避けるなら、司法書士(しほうしょし)への依頼が安心です。
自分で登記を行うメリットと注意点
自社で行うメリットは、登録免許税のみで済む点です。 法務局のホームページからテンプレートをダウンロードし、株主総会議事録や就任承諾書を正しく作成できる知識があれば対応できます。ただし、法改正や定款の解釈ミスがあると受理されず、補正の手間が発生します。
専門家(司法書士)に依頼すべきケース
本業が忙しく手続きに時間を割けない場合や、バックオフィスの担当者が不足している企業は、専門家への依頼をおすすめします。 特に「取締役会がある」「監査役を置いている」など、会社の機関設計が細かい場合、作成すべき書類も複雑になります。
また、数年分の登記をまとめて行う状態にあるなら、司法書士に任せることで任期計算のミスを確実に防ぐことができます。
司法書士への報酬の相場は、登記の内容にもよりますが、3万円~6万円程度が一般的です。書類作成から申請までをすべて任せられるため、時間と手間を削減できます。
役員登記を今後忘れないための3つの対策
一度登記忘れを経験したり、管理に不安を感じたりした場合、再発を防ぐための仕組みづくりが大切です。ここでは、役員の任期管理を徹底し、登記忘れを防ぐための具体的な3つの対策を提案します。
対策1:役員の任期満了日をカレンダーや管理ツールで共有する
最もシンプルで効果的なのは、役員の任期満了日をスケジュール管理ツールに登録しておくことです。Googleカレンダーや社内のグループウェアなどを活用し、任期満了の3ヶ月前などに通知が来るように設定しておけば、余裕を持って準備を始められます。
役員の任期を正しく計算し直してみる
役員の任期は「選任後〇年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」と定められており、計算が少し複雑です。この機会に、自社の役員全員の正確な任期満了日がいつなのかを、定款と過去の議事録を基に確認し、一覧表などで管理しておくと安心です。
顧問税理士などにリマインドを依頼する
顧問契約を結んでいる税理士や会計士がいる場合、決算申告のタイミングなどで、役員の任期について確認してもらうようお願いしておくのも良い方法です。専門家の第三者的な視点が入ることで、管理の精度が高まります。
役員の法人登記は期限内の手続きと正しい書類準備が大切
会社の役員登記は、法律で定められた手続きであり、会社の信用を維持する上で欠かせません。役員の就任や退任、任期満了に伴う重任など、変更があった際は、原則として2週間以内に法務局へ届け出る必要があります。
手続きを忘れると過料の対象となる可能性もあります。この記事で解説したケース別の必要書類や手順を参考に、ご自身の会社の状況に合わせて、正しく手続きを進めましょう。不安な場合は、司法書士などの専門家に相談することも有効な選択肢です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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