- 作成日 : 2025年3月27日
大阪で利用できる創業支援は?特定創業支援等事業や助成金・補助金について解説
大阪市で起業する場合、活用できる創業支援制度があります。創業時は何かとお金が必要になることも多いため、利用できる制度があるかどうか確認しておくことが重要です。
本記事では、大阪市で起業する際に利用できる創業支援や助成金・補助金について解説します。さまざまな創業支援が用意されているため、自分にあったものを見つけましょう。
目次
大阪市の特定創業支援等事業とは
大阪市で利用できる創業支援の1つとして、大阪市の特定創業支援等事業があります。特定創業支援等事業とは、国・自治体による支援事業で創業希望者や創業間もない方の支援を目的としています。また、地域における創業・起業を促進することで、日本全体の産業の活発化を目指しています。
特定創業支援等事業の支援内容は各自治体によって異なりますが、次のような内容が一般的です。なお、大阪市に限らず、大阪府下のほぼすべての市町村でも同様の特定創業支援等事業を実施しています。
- 経営の基礎知識に関してのセミナーの実施
- 専門家の派遣
- 個別の面談といったサポート など
証明書の交付対象者は、次のとおりです。
- これから創業しようとしている方
- 事業開始後5年を経過していない個人事業主、または法人の代表者
- 個人事業主として事業開始後に、法人成りした法人の代表者で、かつ事業開始後5年を経過していない方
特定創業支援等事業を受けた証明書の取得で受けられる優遇措置
大阪市の特定創業支援等事業を受けた証明書の取得で受けられる優遇措置について、解説します。優遇措置は、次の3つです。
- 登録免許税の軽減
- 創業関連保証の特例
- 日本政策金融公庫「新規開業資金」の貸付利率引き下げ
それぞれを詳しく見ていきましょう。
登録免許税の軽減
1つめの優遇措置が、会社設立時の登録免許税の軽減です。創業予定の方や、創業してから5年未満の個人の方が対象です。
株式会社または合同会社を設立する際には、通常登録免許税が資本金の0.7%かかるところ、0.35%に軽減されます。なお、会社設立時の登録免許税は資本金の額にかかわらず最低税額が定められており、株式会社の場合は最低税額15万円が7.5万円へ、合同会社の場合は最低税額6万円が3万円へ軽減されます。
創業関連保証の特例
2つめの優遇措置が、創業関連保証の特例を受けられる点です。対象者は、創業しようとしている方です。
具体的には、事業開始前に無担保・第三者保証人なしの創業関連保証枠の融資を申請する場合、前倒し(通常事業開始2ヶ月前のところを6ヶ月前から)での申し込みが可能になります。
日本政策金融公庫「新規開業資金」の貸付利率引き下げ
3つめが、日本政策金融公庫の融資制度において優遇措置を受けられる点です。日本政策金融公庫の「新規開業資金」の貸付利率が基準金利から0.4%引き下げられます。
なお、日本政策金融公庫「新創業融資制度」の自己資金要件充足も優遇措置として存在しましたが、2024年3月31日をもって、廃止となっていますので、ご注意ください。
大阪市が主体の創業支援
特定創業支援等事業以外にも、大阪市主体による創業支援があります。ここでは、中小企業の経営者・起業家を支援する機関「大阪産業創造館」が提供する創業支援について、解説します。代表的な支援は、次の4つです。
- 創業チャレンジゼミ
- あきない虎の穴
- 事業計画作成講座
- 起業サポート「チョイス!」
それぞれの支援制度について見ていきましょう。
創業チャレンジゼミ
「創業チャレンジゼミ」とは、事業のアイデア・やりたいことが決まっている方を対象としたセミナーです。起業する目標時期が1年以内の方を対象に、年3回(実施時期目安 5月、10月、1月)のセミナーを開催しています。創業チャレンジゼミに参加することで、次のようなメリットがあります。
- 起業についての基礎知識を学べる
- 自分のアイデアをビジネスプランにするために必要なことが理解できる
- 参加者を中心とした人脈を構築できる
- 客観的な意見をもらえる
講師は、常駐の中小企業診断士が担当します。受講中はもちろん、卒業後も相談やアドバイスを受けられる点も魅力です。
また、特定創業支援等事業に位置付けられているため、終了後に申請を行えば証明書が交付されます。
あきない虎の穴
「失敗しない飲食店開業をトータルサポート」というコンセプトのもと、飲食店開業を全面的にサポートするのが「あきない虎の穴」です。あきない虎の穴では、次のようなサポートを実施(実施時期目安:8月)しています。
- 飲食店開業において必要な基礎知識を学べるセミナーの開催
- 実店舗でのロールプレイングや実地研修
- 業者や金融機関の紹介 など
実店舗でのロールプレイングで店舗運営を実際に体験できたり、現役の飲食店経営者や専門家による開業に関するアドバイスを受けられたりするなど、多くのメリットがあります。
対象者は、飲食店の開業を3年以内に考えている方です。こちらも特定創業支援等事業に位置付けられているため、終了後に申請を行えば証明書が交付されます。
事業計画作成講座
事業計画作成講座では、実際の事業計画の作成方法について学びます。講座では、金融機関の協力のもと、融資審査側の視点からの具体的なアドバイスを得られます。
また、作成した事業計画を融資担当者に対して発表し、アドバイスを直接受けられる点もメリットです。事業計画に賛同してもらえれば、そのまま融資申込もできます。
事業計画作成講座も講座修了後に特定創業支援等事業修了の資格証明書を得られます。
※実施時期目安は、6月と11月を予定
参考:大阪産業創造館 融資が必要な人のための事業計画作成講座
起業サポート「チョイス!」
起業サポート「チョイス!」とは、起業の準備を進めたものの不安が残る方や、起業後にさまざまな課題を感じている方などを対象としたサポート講座です。セミナー受講を通して課題解決へ導きます。
起業サポート「チョイス!」には、創業前コースと創業後コースの2つがありそれぞれ対象者が異なるため注意しましょう。
<対象者>※記載の条件をすべて満たす方になります
■ 創業前コース
- 大阪市内で起業を考えている方、起業準備中の方
- 起業アイデアがあって、起業支援が必要な方
■ 創業後コース
- 事業開始後5年を経過していない個人事業主、または法人の代表者
- 中小企業基本法第2条の定義に該当する中小企業者の経営者である
- 経営支援が必要な方
- 大阪市内に住所・本店または事業所がある
<実施時期目安>
- 随時(予約制)
起業サポート「チョイス!」でも、特定創業支援等事業修了の資格を得られます。終了後に申請を行って証明書を交付しましょう。
大阪商工会議所が主体の創業支援
大阪商工会議所が主体の創業支援について、解説します。主な創業支援は、次の2つです。
- 大商開業スクール
- 個別相談指導
大商開業スクール
大商開業スクールとは、創業の基礎からビジネスプランのブラッシュアップまでを幅広く学べる全5回の集中講座です。大商開業スクールでは、次のようなテーマのもと学んでいきます。
- ビジネスプランの作成
- 会計知識と収支計画の立て方
- 創業時に必要な手続きと税金
- マイビジネスプラン・創業計画書のチェック
- ビジネスプラン・創業計画書、商品プレゼン等の見える化 など
ビジネスプランの作成からプレゼン演習までを通じて、アイデアの実現を目指します。こちらも特定創業支援等事業に位置付けられています。
※開催時期は、例年秋ごろ開催(全5日間)
個別相談指導
大阪商工会議所では、大阪市内で創業を予定(希望)している方を対象に、個別相談指導も実施しています。相談員と面談を1ヶ月以上にわたって行い、経営や人材育成、財務、販路開拓の4分野すべてに関する相談指導を実施します。
※面談は計4回、1回30~45分
大阪市で創業する場合に活用できる助成金・補助金
大阪市で創業する場合に活用できる助成金・補助金について、解説します。
大阪起業家グローイングアップ補助金
大阪起業家グローイングアップ補助金とは、将来の大阪経済を担う有望な起業家を支援する制度です。
補助金の対象は、次の要件をすべて満たす方です。
- ビジネスプランコンテストの優秀提案者(優勝および準優勝者)
- 大阪府内の事業者または大阪府内で起業しようとする方
補助金の額は、補助対象経費の2分の1以内で、補助金限度額は100万円または50万円です。
大阪市で受けられる創業支援を把握しておこう
大阪市で起業する際に受けられる創業支援には、さまざまなものがあります。なかでも、大阪市の特定創業支援等事業は大阪市に限らず、大阪府下のほぼすべての市町村で実施されており、経営の基礎知識を学べたり、個別の面談といったサポートを受けられたりするなど、メリットの多い支援です。
また、特定創業支援等事業を受けて証明書を取得すると、登録免許税の軽減や創業関連保証の特例など、多くの優遇措置を受けられるため、ぜひ活用を検討しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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