• 作成日 : 2025年2月20日

ネイルサロンの開業には許認可・営業許可が必要?違法となるケースも解説

ネイルサロンを開業するにあたって、基本的に許認可を得る必要はありません。しかし、提供するサービスの内容によっては、営業許可が必要な場合もあります。

本記事では、ネイルサロンの開業を検討している方向けに、どのようなときに許認可が必要なのか、また開業の際に必要な届出や注意点について解説します。興味を持った方は、ぜひ参考にしてください。

ネイルサロンの開業時に許認可は不要

結論から述べると、ネイルサロンの開業に必要な資格は存在しません。ネイルサロンを開業する際とくに許認可は必要なく、理論上は誰でも気軽にネイルサロンを開けます。

ネイルサロンは、開業のハードルの低さに対して利益率が高いのが特徴です。また、狭いスペースでも作業ができるため、自宅でネイルサロンを開くケースもあります。

ネイルサロンの開業時に保健所の営業許可が必要なケース

ネイルサロンは、特別な資格を取得せずに開業できます。ただし、施術内容によっては保健所の営業許可が必要です。

以下では、どのような施術を実施する際に営業許可が必要になるのか、解説します。

あん摩マッサージ指圧師にマッサージを行ってもらう場合

あん摩マッサージ指圧師とは、主に指圧やマッサージを用いて身体の不調の改善や体力回復、健康増進を図る職業です。主な活動として、医師の処方に従って患者のリハビリ治療を行う、スポーツ施設で運動後の疲労除去のために施術するなどが挙げられます。

ネイルサロンによってはサービスでマッサージを行うケースもありますが、無資格で実施すると50万円以下の罰金に処せられます。あん摩マッサージ指圧師の資格は、文部科学大臣、または厚生労働大臣が認定する学校や養成施設で3年以上学び、国家試験に合格することで取得が可能です。

美容師免許を用いてまつ毛エクステを施術する場合

まつ毛エクステを施術する場合は、美容師免許が必要です。以前はとくに免許を取得する必要はありませんでしたが、まつ毛エクステ用の接着剤の健康被害が増えたため、美容師免許を有していることが施術を実施する条件になりました。

美容師免許を持たずにまつ毛エクステを行った場合、30万円以下の罰金を課せられる可能性があります。健康被害が発生すると、さらに罪が重くなります。

美容師免許を取得するためには、厚生労働大臣または都道府県知事の指定する美容学校に入学し、卒業してから国家試験に合格しなければなりません。

自宅ネイルサロンが違法となるケース

ネイルサロンは、その気になれば自宅でも開業が可能です。しかし、自宅でネイルサロンを開業した結果、違法となる場合もあります。

どのようなケースが違法と判断されるのか、具体例を以下で取り上げるため、順番にチェックしていきましょう。

賃貸借契約違反となるケース

賃貸借契約違反とは、賃貸借契約書で定められた条件に違反することです。自宅でネイルサロンを営業する場合、あらかじめ営利目的で部屋を利用するとオーナーや管理会社側に伝えなければなりません。

もし許可を得ずネイルサロンを勝手に開業してしまうと、契約違反になってしまい、最悪の場合契約を解除されてしまいます。

消防法違反となるケース

消防法違反とは、火災の予防や鎮圧などを目的に、防火や消防上必要な規制を定めた法律のことです。自宅を店舗として利用する場合、事前に防火対象物使用開始届出書を管轄の消防署に提出しなければなりません。

提出期限は、営業を開始する7日前です。この届出は賃貸のみならず、持ち家でネイルサロンを開業する場合も必要です。

なお、防火対象物使用開始届出書は、市の消防署の消防課や公式サイトで入手できます。

建築基準法違反となるケース

ネイルサロンを開業するにあたって、内装に手を加える場合があります。賃貸の場合、内装を変えるときはオーナーや管理会社から許可を得なければなりません。

無許可で内装を変更すると、オーナーや管理会社との間でトラブルが発生するほか、建築基準法違反になる可能性もあります。開業に必要な建築基準を満たしているか否かは、素人が判断するのは困難なため、必ず専門家にチェックしてもらいましょう。

税金に関する違反となるケース

開業を目的に賃貸契約をする場合、消費税が課されます。もし住居として借りた賃貸でネイルサロンを開業してしまうと、本来払うはずの消費税を払っていないため、脱税とみなされてしまいます。

消費税の納付が遅れると追加徴税を課せられ、余計な出費を強いられるため、ネイルサロンの経営に影響が出かねません。税金関連のお金は払い忘れが発生しやすいため、注意が必要です。

ネイルサロンの開業時に必要な届出・申請

ネイルサロンを開業するにあたって、いくつか行うべき届出と申請があります。必要な届出と申請は、以下のとおりです。

これからネイルサロンを開業する予定がある方は、ぜひ参考にしてください。

個人事業主としてネイルサロンを開業する場合「開業届」

開業届とは、事業を始めたことを税務署に届け出る書類です。事業を始めてから1ヶ月以内に提出するのが望ましいですが、提出しなくてもとくにペナルティは課されません。

開業届を出す最大のメリットは、青色申告ができるようになり、税制優遇を受けられる点です。ただし、収支内訳書をはじめ、用意する書類が増えてしまうのが難点です。

ネイルサロンの開業届を書く場合は、職業欄にはそのままネイルサロンやネイルサービスと記入します。屋号は店舗の名前があれば店舗の名前を記載しますが、書かなくてもとくに問題はありません。

提出方法は窓口に持参するほか、郵送やオンライン提出などさまざまで、そのなかから自分に合ったものを選択してください。

法人としてネイルサロンを経営する場合「法人設立登記」

法人設立登記とは、設立する法人の本店所在地を管轄する法務局に対して、法人の設立目的や名称などの事項を登記申請することです。登記は取引の安全と円滑化が目的で、法的に認められることで契約や取引をスムーズに進行できるようになります。

登録が完了すると、法務局から登記事項証明書が発行されます。登記の内容は会社の根幹になるため、慎重に検討しましょう。なお、登記申請をした日が会社の設立日になります。

また、法人登記申請は設立時取締役をはじめとする調査が終了した日、もしくは発起人が定めた日から2週間以内に済ませなければなりません。怠った場合、罰金を課せられます。

ネイルサロンの開業届の詳細は、以下の記事をご参照ください。

ネイルサロンの開業時におすすめの資格

ネイルサロンを開業するにあたって、特別な資格は必要ありません。しかし、現在ではネイルに関するさまざま資格が登場しており、資格を取得すれば顧客からの信頼獲得にもつながります。

ネイル関連の資格のなかでも、とくにおすすめの資格は以下のとおりです。

JNECネイリスト技能検定試験

JNECネイリスト技能検定試験とは、ネイリストとしての正しい知識と技術の習得を目的とした検定試験です。最初の検定試験が実施されたのは1997年で、ネイリスト関連の資格のなかでは最も歴史があります。

級は1級から3級まであり、最も難易度が高いのが1級です。3級は誰でも受験できますが、2級と1級の試験はそれぞれ3級合格者と2級合格者しか受験できません。

試験は年4回実施され、実技試験と筆記試験の結果によって合否が決まります。

JNAジェルネイル技能検定試験

JNAジェルネイル技能検定試験とは、NPO法人日本ネイリスト協会が実施している検定試験です。ジュエルネイルを施すのに必要な知識、および技術を習得していることを証明するための資格です。

級は初級から上級の3段階で、試験は年1回実施されます。合否の判定は、実技試験と筆記試験の結果によって決まります。

JNAネイルサロン衛生管理士

JNAネイルサロン衛生管理士とは、安全で安心なネイルサービスの普及と公衆衛生の向上を目的とする資格です。ネイルサロンにおいて衛生管理は重要なポイントですが、顧客はそれを確認する術を持ちません。

JNAネイルサロン衛生管理士を取得することで、顧客が安心して利用できるようになり、集客やネイルサロンのイメージアップにもつながります。取得条件はJNA認定校で実施される講習会を受講し、確認筆記テストに合格することです。

講習会には定員があるため、申し込みはできるだけ早く行いましょう。なお、講習会が開かれる頻度は地区によって異なるため、日本ネイリスト協会の公式サイトで情報をチェックするのをおすすめします。

JNAフットケア理論検定

JNAフットケア理論検定とは、ネイリストがフットケアを施術するために必要な知識、および技術を有していることを証明するための資格です。顧客の美と健康に寄与する、健全なフットケアの普及を目的に作られました。

なお、受験資格は以下の資格のいずれかを所有している方に限られます。

  • JNECネイリスト技能検定試験:3級以上
  • JNAジェルネイル技能検定試験:初級以上
  • JNA国際ネイリスト技能検定試験:3級以上

試験は座学と筆記試験の2種類で、JNA認定校で随時開催されています。

ネイルサロンは基本的に許認可・営業許可がなくても開業可能

ネイルサロンは無資格、無許可でも気軽に開業できます。

しかし、施術内容によっては許可や資格が必要になるケースもあるため、開業前に自分のネイルサロンが、許認可が必要なケースに該当するかを確認しておきましょう。

また、とくに必須ではありませんが、個人事業主としてネイルサロンを開業する場合は、開業届を出すのをおすすめします。


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