• 更新日 : 2025年2月20日

コテージを経営するには?メリットや費用、許認可・資格、始め方などを解説

コテージの経営には、使用していない期間に収益を得られるというメリットがあります。しかし、始め方がわからない、経営にかかる費用やデメリットが気になるという人もいるでしょう。

本記事では、コテージ経営の始め方やメリット・デメリットを解説します。コテージ経営にかかる費用や必要な許認可、失敗しないためのポイントも紹介します。

コテージ経営とは

コテージ経営とは、所有するコテージを使用していない期間に旅行者や短期滞在者に貸し出すビジネスのことです。コテージは一棟貸しで居住設備も整っているため、家族や仲間などでリラックスして過ごせるでしょう。自然が豊かな場所や観光スポットの周辺などに多く、休暇中の拠点としての役割も果たします。

特徴を理解するために、コテージと同じように旅行者などの宿泊施設として利用されるロッジやヴィラ、貸別荘との違いを解説します。

コテージとロッジの違い

ロッジとは、山小屋のような雰囲気を持つ木造の建物です。寝具やお風呂、トイレなど宿泊するための必要最低限の設備は設けられていますが、コテージと比較して居住設備は簡素です。登山などアウトドア活動、自然とのふれあいを重視する人におすすめします。

一方、コテージはオシャレで整った居住設備や家具なども準備されていて、建物内でより快適に過ごせます。

コテージとヴィラの違い

ヴィラは、広い建物や高級な設備が揃ったワンランク上の宿泊施設です。プールや庭があったり、ホテルのような接客係がついたりすることもあります。リゾート地などに多く見られ、利用料金は高くなりますが、ゆったりと快適で贅沢な時間を過ごせるでしょう。

一方、コテージの建物や居住設備はヴィラほど豪華ではありませんが、手頃な価格で家庭的な雰囲気やアウトドア感覚、カジュアルな雰囲気を味わえます。

コテージと貸別荘の違い

貸別荘とは、一戸建ての建物を一棟貸しできる宿泊施設です。貸別荘の建物には、コテージやヴィラを含めてさまざまなタイプがあります。ヴィラのように高級感があり贅沢な作りの建物から、古民家をリフォームした庶民的な建物などさまざまです。

貸別荘の1種類と言えるコテージには、「自然豊かな場所にある」「基本的な居住設備が整っている」「カジュアルな雰囲気でリラックスして過ごせる」などの特徴があります。

コテージ経営のメリット

コテージ経営の主なメリットは、以下の通りです。

  • コテージを使用していない期間に収益を得られる
  • コテージにかかる費用を経費にして節税対策ができる
  • 一棟貸しの場合は比較的メンテナンスが簡単

各メリットについて解説します。

コテージを使用していない期間に収益を得られる

コテージ経営のメリットの1つは、使用していないコテージを宿泊施設にすることで収益を得られることです。別荘としてコテージを所有していても、自己使用は年に数回から数十回程度で、未使用期間が大半というケースが多いでしょう。そのままではメンテナンスなどに費用がかかるだけですが、貸し出すことで収益が発生します。

立地がいい物件、居住設備が充実した物件などは、うまく集客すれば高い収益も期待できます。ホテルや旅館などの宿泊施設と比較して、オリジナリティーがあるため魅力を感じる人も多いでしょう。

コテージにかかる費用を経費にして節税対策ができる

メリットの2つ目は、コテージにかかる費用を経費にして節税対策ができることです。個人で使用している場合、コテージの維持費は自己負担になりますが、個人事業主としてコテージ経営すれば宿泊業運営に要する費用は経費にして節税できます。

経費にできる主な費用は、人件費・清掃費・管理費・水道光熱費通信費のほか、建物や設備のメンテナンス費などです。

一棟貸しの場合は比較的メンテナンスが簡単

メリットの3つ目は、一般的なコテージは一棟貸しであるためメンテナンスなどが比較的簡単なことです。複数の顧客に対応しなければならないホテルなどと異なり、一棟貸しで一組の顧客対応のみであるため、事前準備や宿泊後の清掃、メンテナンスなどが容易です。また、部屋数も少なく設備も限定されるため、作業量もあまり多くないでしょう。

コテージの未使用期間が長いと建物や設備の劣化が進みますが、宿泊施設として稼働すると定期的なメンテナンスを行うため、資産価値の維持も期待できるでしょう。

コテージ経営のデメリット

コテージ経営の主なデメリットは、以下の通りです。

  • コテージの営業許可の取得手続きに時間と費用がかかる
  • コテージの清掃や宿泊客への対応が必要
  • コテージの集客に工夫が必要

各デメリットについて解説します。

コテージの営業許可の取得手続きに時間と費用がかかる

コテージ経営のデメリットの1つ目は、営業許可の取得手続きに時間と費用がかかることです。コテージ経営を行うには旅館業法に基づく都道府県知事から許可が必要です。許可取得のため事前相談や申請書の作成・提出・現地調査などが必要となるため、時間と手間がかかります。

また、取得手続きを行政書士など専門家に依頼する場合、手間は減らせますが費用はかかります。

コテージの清掃や宿泊客への対応が必要

コテージ経営のデメリットの2つ目は、コテージの清掃や宿泊客への対応が必要なことです。コテージ営業では、宿泊前の準備や到着後の顧客対応、宿泊後の清掃などが必要となります。

本業があり自分でできない場合は、専門業者などに清掃や管理などを依頼しなければなりません。自分で人を雇って対応する場合でも、人材募集や給与の支払いなどが必要です。また、コテージ経営にかかるコストにも注意が必要です。コストがかさむと赤字になることも考えられます。

コテージの集客に工夫が必要

コテージ経営のデメリットの3つ目は、コテージの集客に工夫が必要であることです。コテージ経営は小規模で広告にあまりお金をかけられないため、費用をかけずに集客する工夫が必要です。

具体的には、以下のような方法が考えられるでしょう。

  • 宿泊サイトやSNSを活用して宣伝広告する
  • 居住設備の拡充や食事などのサービスによりアピールポイントを準備する
  • 季節や曜日などによる閑散期の料金を下げるなど料金設定を工夫する
  • 宿泊予約サイトに掲載する など

コテージ経営にかかる費用

コテージ経営を行うには、事業を開始するときの「初期費用」と事業開始後の「運営費用」が必要です。各費用について解説します。

コテージの初期費用

コテージ経営にかかる主な初期費用は、以下の通りです。

  • (コテージを所有していない場合)コテージの購入費や登記費用
  • (コテージを所有している場合)リフォーム費用
  • 居住設備などの購入費
  • 旅館業許可の取得費
  • 温泉施設があれば温泉権利費用
  • 火災保険や賠償責任保険の保険料
  • 広告費 など

ローンでコテージを購入する場合、ローンの返済だけでなく、以下の運営費用を含めて資金計画を立てましょう。

コテージの運営費用

コテージ経営にかかる主な運営費用は、以下の通りです。

  • 人件費や清掃費、管理費
  • 水道光熱費、通信費
  • 建物や設備のメンテナンス費
  • 広告費 など

開業当初は十分に集客できないことも想定して、事前に半年から1年分くらいの運営費用を準備しておくと安心です。

コテージ経営に必要な許認可・資格

宿泊施設を運営するには、原則旅館業法に基づく「旅館業許可」が必要ですが、営業日数が年間180日以内なら「民泊」として都道府県知事への届出だけで済みます。それぞれのケースについて許認可の取得方法や要件を解説します。

コテージが旅館業法に該当する場合

コテージが旅館業法に該当する場合、同法に基づく「旅館業許可」の取得が必要です。都道府県知事に申請書を提出して許可を受けなければなりません。申請後に現地調査があり、審査に通らないと許可されないため、開業時期が決まったら早めに手続きしましょう。

申請の際には、以下の点に注意しましょう。

  • 第一種・第二種住居地域など立地に制限がある
  • 客室の延床面積の広さや設備など一定要件を満たさなければならない など

申請に必要な主な書類は、以下の通りです。

  • 営業許可申請書
  • (旅館業法第3条第2項各号に該当しないことの)申告書
  • 構造設備概要書申告書
  • 周辺の見取図
  • 建物配置図や各階平面図、正面図、側面図 など

必要書類の作成には法律的な知識が必要なものもあるため、費用はかかりますが行政書士など専門家に依頼することをおすすめします。

参考:港区 旅館業の手続きについて

コテージが民泊(住宅宿泊事業)に該当する場合

コテージが民泊(住宅宿泊事業)に該当する場合、都道府県知事の許可は不要で、届出のみで営業できます。ただし、営業日数が180日以内という要件があります。180日を超えると、旅館業許可の取得が必要です。

民泊や営業日数に制限はありますが、旅館業許可取得より立地の制限や設備などの要件は緩いため、旅館業許可が取得できない場合は選択肢の1つでしょう。

コテージ経営の始め方

コテージ経営を始めるときは、営業開始前に以下の2つが必要です。

  • コテージ経営が可能な場所かどうかを確認する
  • 旅館業や民泊許可を取得する

それぞれについて解説します。

コテージ経営が可能な場所かどうかを確認する

最初に、所有する(または購入予定の)コテージの立地が、旅館業法(民泊の場合は住宅宿泊事業法や条例)が定める要件を満たしているかどうかを確認しましょう。近くに学校や児童福祉施設、図書館などがある場合、営業できない可能性もあります。

また、近隣の観光スポットの有無など一定の集客が見込める場所であるかどうかの見極めも重要です。

旅館業や民泊許可を取得する

次に、開業前に旅館業許可の取得申請(民泊の場合は届出のみ)を行います。以下の点に注意して申請しましょう。

  • 申請書類の準備には時間がかかる
  • 自治体によって異なるが、申請結果が出るまで2週間~1ヶ月程度かかる

コテージ経営に失敗しないためのポイント

コテージ経営に失敗しないための主なポイントは、以下の通りです。

  • コテージの立地やアクセスのよさを重視する
  • 閑散期を考慮した事業計画を立てる
  • 長期的な建物の維持・管理にかかる費用も考慮する

各ポイントについて解説します。

コテージの立地やアクセスのよさを重視する

失敗しないためのポイントの1つ目は、コテージの立地やアクセスのよさを重視することです。コテージの立地やアクセスのよさなどは、宿泊客の集客力に直結するためです。集客がうまくできないと、コテージ経営が成り立たなくなる可能性もあるでしょう。

立地については、宿泊者がリラックスでき非日常的な感覚を味わえるように、自然豊かな環境や魅力ある観光スポット近くの立地が適しています。また、顧客の多い都市部からのアクセスのよさも重要です。ここでいう「アクセスがいい」とは、以下のような要件を満たすことを指します。

  • 高速道路のインターチェンジなどから近い
  • 公共交通機関でコテージの近くまで行ける など

閑散期を考慮した事業計画を立てる

ポイントの2つ目は、閑散期を考慮した事業計画を立てることです。コテージ経営では稼働率によって収益が左右されますが、特定の季節や時期に稼働率が大きく下がるケース(閑散期)もあります。事業計画を立てるときは、閑散期を考慮して稼働率を予測しましょう。

また、閑散期の魅力を高めるために地元の特産品やイベントをSNSなどで発信したり、コテージの魅力をPRしたりするなど、閑散期の稼働率を上げるための対策も重要です。

長期的な建物の維持・管理にかかる費用も考慮する

ポイントの3つ目は、建物の維持・管理には一定の費用がかかりますが、リフォームや大型設備の更新など数年または数十年に一度、大きな費用負担が生じます。

事前に費用を積み立てるなど、長期的な視点で事業計画を立てましょう。

副収入を得るためにコテージ経営を検討してみましょう

コテージ経営とは、所有するコテージを宿泊客に貸し出すビジネスのことです。使用していない期間に収益を得られるなどのメリットがある一方、旅館業許可の取得やコテージのメンテナンスなどに手間と費用がかかるデメリットもあります。

自然の中でリラックスできるコテージの利用は、ホテルなどにはない魅力があります。一定の需要は見込まれるため、副収入を得たり、コテージを有効活用したりするためにコテージ経営を検討してみましょう。


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