- 更新日 : 2026年1月20日
工務店の事業計画書の書き方・記入例は?資金調達や経営改善のポイントも解説
工務店の事業計画書は、競合対策・資金計画・強みの明示を意識して構成することが重要です。
- 受注から資金回収までに時間差あり
- 差別化戦略と地域分析を明記
- 資機材・外注費の根拠も必要
「設備・運転資金の内訳」と「売上・利益の根拠」が数字と実務経験に基づいて説明されていると、金融機関の評価が上がります。
工務店を開業する際、事業計画書は欠かせません。「工務店で独立したい」「自分の技術で稼ぎたい」と考えていても、計画がなければ行き詰まりやすく、資金調達も難しくなるでしょう。
この記事では、工務店開業を目指す方に向けて、事業計画書の書き方や資金調達の方法、経営改善のポイントを解説します。
目次
工務店の開業に必要な事業計画書とは
工務店を開業する際には、事業目的や提供するサービス、見通しを明確にしたうえで、事業計画書を作成することが重要です。特に建築業界は大手ハウスメーカーから地場の工務店まで、非常に多くの競合が存在します。さらに、少子高齢化やマンション人気による一戸建ての需要減、原材料費の高騰など、業界全体が厳しい状況です。そのため、綿密に計画を立てないと経営が行き詰まるリスクが高くなります。
また、工務店を開業するにあたっては、資機材の調達、人材の採用、外注先の確保などの体制づくりが必要です。しかし、代金の受け取りは建物を引渡した後になるので、開業直後はどうしても資金が不足に陥りやすく、融資を受けるなどの資金調達をしなくてはなりません。その際、事業計画書は融資の審査でも重要な書類となります。
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工務店の事業計画書の書き方・記入例
ここからは工務店の事業計画書の書き方や記入例を、テンプレートをもとにご紹介します。ぜひ以下を参考に事業計画書を作成してみましょう。
創業動機・目的
まずは「なぜ創業したいのか」「創業して何を成し遂げたいのか」という事業に対する意欲を書きましょう。「リタイアして3年経ち、だんだんと『社会参加したい』『社会のためになることをしたい』という思いが強くなってきた。そこで過去の経験が活かせる工務店を始めることにした。幸いにも熟練のスタッフが3人協力してくれ、事務所の確保もできた。」というふうに、具体的なエピソードや事業に対する意欲、創業しようと思ったきっかけや、創業に向けて取り組んできたことなどを記載しましょう。
職歴・事業実績
創業者のこれまでの経歴を簡単にまとめます。「○年○月 ○○大学卒業」「○年○月~ 株式会社○○に入社」というふうに履歴書の職歴欄のようなイメージでまとめれば問題ありません。また、アピールしたい実績があれば1行程度で簡潔に記載しましょう。
取扱商品・サービス
開業する工務店が取り扱う商品やサービスの内容、セールスポイント、競合・市場の状況などを記載します。
まず、サービス内容については、例えば、「一般家庭・小規模施設向けの内装工事」というニュアンスで、携わる事業について簡潔にまとめます。
次に、セールスポイント、販売ターゲット・戦略については、「自社にはどのような強みがあるのか」「どのような人にどのようにアピールするのか」を具体的に記載しましょう。競合・市場の状況については、主に営業地域の人口や開発状況、地域内で営業している他のハウスメーカーや工務店などの状況について記載します。
取引先・取引関係
販売先や取引先がすでに決まっている場合あるいは取引の見込みがある場合、具体的な名称やシェア、掛取引の割合、回収・支払いの条件(〆日と回収・支払日)について記載します。
工務店の場合、個人向けの住宅を建築することもあれば、事務所や店舗などの建築を依頼されることもあるので、販売先に関しては一般個人と法人に分類しましょう。また、工務店は資機材を仕入れるために多くの仕入先と取引するケースが多いので、一部の工程を外注する可能性もあります。外注先や仕入先についても明らかにしましょう。従業員を雇う場合、人件費の支払条件の記載も忘れてはなりません。
従業員
常勤役員、従業員、家族従業員、パート従業員の人数を記載します。なお、従業員については3ヶ月以上継続している雇用対象者の人数を記載しましょう。
借入の状況
法人もしくは代表者個人の借入状況について記載します。借入先名(銀行名など)、借入区分、借入残高、年間返済額を記入しましょう。なお、事業に関する借り入れはもちろん、住宅ローンや自動車ローン、教育ローンなど、代表者のプライベートな借り入れについても明確にする必要があります。
必要な資金と調達方法
必要な資金については、事務所や機材などの調達に必要となる「設備資金」と事業を運営していくために必要となる「運転資金」に分類します。さらに「機器、備品費 ●●社 ●●万円」という書き方で、費用の名目と見積先、金額について記載しましょう。調達方法については「●●からの借り入れ ●●万円」というふうに、調達先と金額を明記します。必要資金と調達方法のそれぞれ合計額を算出し、両者が一致するように計画を立てましょう。
事業の見通し
売上高、売上原価、経費(人件費、家賃など)の見通しを記載しましょう。創業当初と創業1年後もしくは軌道に乗った場合の見通し金額を記載します。また、これらの見通しを算出するに至った根拠も明らかにしましょう。
工務店の事業計画書に使える無料テンプレート
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工務店を開業するときの資金調達方法
工務店を開業する際、銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受けるケースが一般的です。それ以外にも、次のような方法で資金を調達できます。
日本政策金融公庫の創業融資を活用する
日本政策金融公庫とは、国が100%出資している政策金融機関です。主に中小企業や小規模事業者、あるいはこれから創業する人向けの支援を行っています。特に創業融資は実績がない方でも審査に通りやすい、金利が低いなどのメリットがあるため、検討してみる価値はあるでしょう。
小規模事業者持続化補助金を活用する
国や自治体が提供する補助金や助成金を活用することも有効な方法の一つです。特に、全国商工会連合会が運営する「小規模事業者持続化補助金」は、補助上限が200万円で、新規販路の開拓や新商品の開発にかかる経費の2/3が補助されます。また、事業計画を作成する際に商工会議所からアドバイスを受けられることや、個人事業主でも利用可能である点も大きなメリットです。
工務店の資金調達を成功に導く事業計画書のポイント
最後に、工務店の事業計画書を作成する上で意識しておきたいポイントについてご紹介します。
自社の強みを明確に打ち出す
前述のように、少子高齢化や資材の高騰、競争の激化など、建築業界は非常に厳しい状況が続いています。また、トレンドの変化や技術革新が目まぐるしく、工務店は常にそれらに対応していかなければなりません。
「省エネ住宅」「高級感がある家」「ローコスト住宅」など、ハウスメーカーや工務店はそれぞれのカラーを打ち出しています。「誰を顧客にするのか」「どのような住宅や建築物を顧客に提供するのか」「自社の強みはどこにあるのか(サービス面や保証なども含めて)」など、自社のカラーや魅力を事業計画書にまとめましょう。
資金計画とその根拠は綿密に
特に工務店は、売上額が大きい分、資機材の調達費や人件費、外注費などの経費も多くかかる傾向があります。また、受注から売上が発生するまでの期間も長くなりがちです。そのため、資金計画を綿密に立てておかないと、遅かれ早かれ運転資金が不足し、資金ショートに陥るリスクが高まります。
「だいたいこれくらい売上が上がるだろう」「経費はこれくらいで済むだろう」といった漠然とした考えではなく、経費についてはできる限り仕入先や外注先から見積もりを取り、正確な金額を算出しましょう。売上に関しても、現実的な見込みを立てることが重要です。
工務店の事業計画書は開業後の経営改善にも活用できる
銀行や信用金庫、日本政策金融公庫などで融資を受ける場合や、補助金制度を利用する場合、事業計画書は必須です。融資や補助金支給の判断は、事業計画書の内容をもとに審査されるためです。
また、事業計画書が書類として残っていれば、「なぜ計画通りに事業が進んでいないのか」といった課題点を洗い出せるので、開業後に経営改善を行う際にも役立ちます。事業の発展にもつながるので、工務店を開業する際には、必ず事業計画書を作成しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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