- 更新日 : 2026年3月17日
訪問美容を開業するには?開業届の書き方や資格、保健所の届出、助成金を解説
訪問美容は店舗不要で開業できますが、保健所への届出と税務署への開業届が必須です。
- 施術対象は外出困難者に法的に限定される
- 初期費用50万円〜、損害賠償保険も予算化
- 自治体の「福祉理美容券」登録で集客支援
Q. 開業届の職業欄の書き方は?
A.「訪問美容業」と記載し、納税地は自宅住所、屋号にはサービス名を記入します。
訪問美容を開業するためには、美容師または理容師の免許に加え、管轄の保健所への届出が求められる場合があります。また税務署への開業届の提出が必要です。店舗を構える必要がないため低資金で始められますが、対象顧客が法律で限定されている点や衛生管理のルールを正しく理解しておく必要があります。
この記事では、訪問美容の開業に必要な具体的な手続き、資金の目安、活用できる助成金、そして失敗しないためのポイントについて詳しく解説します。
目次
訪問美容を開業するにはどのような資格と条件が必要か?
訪問美容を行うには、美容師または理容師の国家資格が必須であり、施術対象者は「疾病や介護などで理美容所に来店できない方」に限定されます。
訪問美容は誰に対しても行えるわけではなく、美容師法施行令第4条に基づき、対象者が厳格に定められています。無資格での施術や対象外の顧客への施術は違法となるため、法令遵守が求められます。
必須資格と推奨される民間資格
訪問美容の開業に必須なのは「美容師免許」または「理容師免許」のみですが、高齢者や要介護者の身体に触れるため、介護関連の知識が強く推奨されます。
必須資格以外に、多くの自治体や事業者が推奨しているのが「介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)」や、各団体が認定する「認定福祉美容介護師」「ヘアメイクセラピスト」などの民間資格です。これらを取得することで、寝たきりの方への施術スキルや緊急時の対応力が身につき、施設や家族からの信頼獲得につながります。
施術対象者の法的制限
訪問美容の対象者は、基本的に「疾病その他の理由により、理容所・美容所に来ることができない者」に限られます。
具体的には、介護が必要な高齢者、障害を持つ方、怪我や病気で療養中の方、およびその家族(乳幼児の育児中など自治体により規定が異なる)が対象です。健常者に対して自宅でカットを行うことは原則として認められていません。ただし、山間部などの理美容所がない地域では例外が認められる場合があります。
- 疾病その他の理由で来店が困難な人への施術
- 婚礼その他の儀式に参列する人への、儀式直前の施術
- そのほか、都道府県・保健所設置市・特別区の条例で定める場合
受注時は「対象者要件に該当するか」を必ず確認し、判断に迷う場合は保健所へ必ず相談しましょう。
訪問美容の開業に必要な届出や手続きの流れは?
開業前には活動エリアの保健所への届出が、開業後には税務署への開業届の提出がそれぞれ必要になります。
訪問美容は店舗を持たない場合でも、公衆衛生の観点から保健所の管轄下に置かれます。また、事業として継続的に収入を得る場合は、税務署へ個人事業主としての届出を行わなければなりません。
保健所への届出と衛生管理
訪問美容を開始する前に、管轄の保健所に事前相談を行い、必要な届出を提出しなければなりません。
多くの自治体では、訪問美容を行う事業者に対して「届出」を義務付けています。提出書類には、従事する美容師の免許証の写しや、消毒設備の確認などが含まれます。
また、携行する道具(ハサミ、タオル、消毒用エタノールなど)の衛生管理についても指導が入ります。地域によっては届出が不要な場合もありますが、トラブル防止のため必ず事前に確認しましょう。
税務署への開業届の提出
事業を開始してから1ヶ月以内に、所轄の税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。
開業届を提出することで、正式に個人事業主として認められ、屋号付きの銀行口座が開設できたり、最大65万円の控除が受けられる「青色申告」が可能になったりします。手続きは無料で、国税庁のサイトから書類をダウンロードするか、e-Taxを利用して自宅から提出することも可能です。
※青色申告特別控除(最大65万円)を受けるには、青色申告承認申請や帳簿付け等の要件があります。
開業資金や年収はどれくらいか?
開業資金は車両や道具を含めて50万〜100万円程度が目安で、年収は地域単価・稼働日数・施設契約の有無により大きく変動します。
店舗型美容室の開業資金(1,000万円前後)と比較すると、訪問美容は低資金で始められるのが最大の特徴です。固定費が少ない分、利益率は高くなりますが、移動時間が発生するため1日の施術人数には限りがあります。
開業資金の内訳と節約ポイント
主な初期費用は、移動用の車両費、ポータブルシャンプー台などの道具代、広告宣伝費、保険料です。
すでに自家用車を持っている場合は、道具代と広告費で数十万円程度からスタートできます。特に重要なのが「訪問理美容専用の損害賠償保険」への加入です。万が一、施術中に利用者に怪我をさせたり、訪問先の家財を破損させたりした際に備えるため、年間数千円〜数万円程度の保険料を見込んでおく必要があります。
料金相場と収益性
訪問カットの料金相場は3,000円〜5,000円程度で、出張費を別途設定する場合もあります。
店舗を持たない分、家賃や光熱費がかからないため、売上の多くを利益に残せます。しかし、「訪問美容は儲からない」と言われる原因の一つに、移動時間のロスがあります。効率よく収益を上げるためには、個人宅だけでなく、一度に複数人の施術が見込める介護施設や病院との契約を目指すのが一般的です。
訪問美容で活用できる助成金や補助金はあるか?
「小規模事業者持続化補助金」や、自治体独自の助成金制度を活用できる可能性があります。
訪問美容の開業そのものに対する国の一律の補助金はありませんが、販路開拓や事業継続を支援する制度は利用可能です。
小規模事業者持続化補助金の活用
チラシ作成やホームページ制作、ポータブルシャンプー台の購入などに「小規模事業者持続化補助金」が使える場合があります。
これは小規模事業者が経営計画を作成し、販路開拓に取り組む費用の一部(通常2/3、最大50万円など)を補助する制度です。商工会議所などのサポートを受けながら申請を行うため、事業計画の見直しにも役立ちます。
自治体による福祉理美容券の取扱い
多くの自治体では、外出困難な高齢者に「福祉理美容券(助成券)」を配布しています。
これを開業した訪問美容事業者が取り扱うためには、自治体の指定業者として登録する必要があります。登録されれば、自治体のホームページに事業者名が掲載されるなど、集客面でのメリットも大きいです。開業する地域の役所(高齢福祉課など)に問い合わせてみましょう。
訪問美容の開業届の書き方は?
職業欄には「訪問美容業」と記載し、納税地は自宅住所を選択するのが一般的です。
開業届は難しい書類ではありませんが、訪問美容ならではの記載ポイントがあります。後々のトラブルを防ぐためにも、正確に記入しましょう。
職業欄と屋号の決め方
職業欄には「美容業」「訪問美容業」と記載し、屋号にはサービス名を記入します。
屋号は必須ではありませんが、介護施設やケアマネジャーに営業を行う際、屋号があった方が信頼されやすくなります。「訪問美容○○」のように、サービス内容が一目でわかる名称をつけるのがおすすめです。
納税地と事業所の考え方
店舗を持たない場合、「納税地」は基本的に自宅の住所になります。
もし自宅とは別に事務所を借りている場合は、その住所を納税地(事業所)として登録することも可能です。バーチャルオフィスなどを利用する場合も、実際に事業を行っている実態があれば登録できるケースがありますが、保健所の届出住所と一致していることが望ましいでしょう。
訪問美容の開業届作成でハードルになるポイント
マネーフォワードが実施した調査において、開業届の手続き全体を通して最も面倒・ハードルが高いと感じた点について尋ねたところ、最も割合が高かったのは「青色申告などの関連書類の理解(必要性や違いの判断)」で、21.4%でした。次いで多かったのは、「記入内容の判断(職業欄の書き方、開業日の設定、屋号など)」で、20.2%でした。一方で、「書類の作成・入力作業」と回答した人は11.3%にとどまりました。
この調査結果から、開業届を作成する際、書類への記入作業そのものよりも、訪問美容という職業の正しい書き方や屋号の決め方、青色申告の仕組みを理解することに難しさを感じている人が多いことがわかります。訪問美容の開業に向けて開業届や青色申告承認申請書を提出する際、書き方や制度の理解に迷った場合は、ガイドに沿って入力するだけで書類が完成する開業届作成サービスを活用することで、疑問を解消しながらスムーズに手続きを進めることができます。
出典:マネーフォワード クラウド、手続きで「面倒・ハードルが高い」と感じた点【開業届に関する調査】(回答者:812名、集計期間:2026年1月実施)
訪問美容の開業で失敗しないために
訪問美容の開業には、美容師としての技術だけでなく、法令遵守と介護の視点が欠かせません。まずは管轄の保健所で最新のルールを確認し、税務署への開業届を提出して事業者としての基盤を整えましょう。初期費用を抑えつつ、助成金制度や自治体の福祉券などを賢く活用することで、地域に必要とされる訪問美容サービスとして安定した経営を目指すことができます。
そもそも開業届とは?
開業届は、正式名称が「個人事業の開業・廃業等届出書」で、個人が事業を始めたことを税務署に知らせるための書類のことです。
所得税を納める方法として、会社員の場合は毎月の給料から天引きされることが一般的です。一方、会社に属さず個人で事業をする場合は、自身で所得税を計算し、確定申告を行う必要があります。
開業届を税務署に提出すると、「個人事業主として所得税を納めます」と税務署に知らせることになります。それ以降、税務署は確定申告に必要な情報を事業主に通知し、また、事業主がきちんと申告・納税しているか管理します。
開業届は誰が提出する?
基本的に手続き対象者は本人となりますので、本人が税務署に対して、開業届を提出します。
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開業届の提出期限は?
開業届は、事業を開始した日(開業日)から1カ月以内に、事業所を管轄する税務署へ提出します。開業日といっても個人事業主の場合は、事業を始めた日があいまいなこともあるでしょう。この点については決まったルールがあるわけではなく、本人が「開業した」と考える日が開業日となります。
したがって、実質的には特に1カ月以内にこだわる必要はないと言えます。事業を始めた年の内に開業届を提出するようにしましょう。
開業届をネットで簡単に作成する方法
マネーフォワード クラウド開業届(サービス利用料0円)の場合、ソフトのインストールなどは一切必要なく、オンライン上でいくつかの質問に答えるだけで簡単に開業届の作成・提出ができます。
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e-Taxソフトで開業届を作成する際は、e-Taxソフトのインストールなどが必要です。
ソフトのインストールが不要でオンライン上で利用できる、マネーフォワード クラウド開業届のような開業届作成サービスは、デザインや使いやすさが初心者向けに設計されているのが特徴です。
開業届はスマホで電子申請・提出がラク!
開業届を提出するには、スマホで電子申告(e-Tax)・インターネット(e-Tax)・郵送・税務署の窓口に持参の4つの方法があります。
完全無料で使える「マネーフォワード クラウド開業届」で、フォームに沿って必要な情報を入力したのち、スマホから電子申告(e-Tax)が簡単にできます。
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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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