- 更新日 : 2025年8月22日
クレープ屋を開業する方法は?キッチンカー(移動販売)の注意点も解説!
キッチンカーでの移動販売や店舗での販売など、さまざまな営業形態が選択できる点からクレープ屋の開業を検討している方もいるのではないでしょうか。そこで気になるのが、開業準備についてです。
資格や営業許可はどうやって取ればいいのか、使える助成金や補助金の種類、そして、単独で開業する場合とフランチャイズで開業する場合のメリット・デメリットをご紹介します。これからクレープ屋の開業を検討したい方はぜひご覧ください。
目次
クレープ屋を開業する方法は?
クレープ屋を開業する際、「個人で開業」するか「フランチャイズに加盟して開業」するかを選択する必要があります。それぞれのメリットとデメリットを確認してみましょう。
個人で開業する方法
個人で開業する場合は、店舗で運営するか、キッチンカーを利用するか、メニューや販売価格はどうするかなど、すべて自分自身で決定する必要があります。
個人で開業するメリット
個人で開業するメリットは自分の好きなように経営ができるという点です。店舗、キッチンカーなどの営業形態はもちろんですが、営業時間や価格、メニューも自分の好きなように決めることができます。「自分の理想のお店がある」「まずは小規模から始めてみたい」という場合に向いています。
個人で開業するデメリット
メリットと似ていますが、自分で全て決定しないといけない点は個人で開業するデメリットといえるでしょう。
経営が順調な場合は問題がないかもしれませんが、売上が下がってくると、メニューや移動販売の場所などを見直す必要が出てくる場合もあります。個人で開業している場合、改善策も全て自分で考えなければなりません。
また、クレープ屋は小規模から始められるため、競合店が多いのもデメリットといえます。他店との差別化を図るのが難しい点にも注意してください。
フランチャイズに加盟する方法
クレープ屋のフランチャイズに加盟して開業する方法もあります。フランチャイズのメリット・デメリットもご紹介します。
フランチャイズ加盟のメリット
フランチャイズ加盟のメリットは経営のノウハウを本部から指導してもらえる点です。立地や設備についてのアドバイスはもちろん、レシピや接客などについても指導してもらえます。また、希望があれば、物件や調理器具の調達についても紹介してもらえる場合があります。加盟するフランチャイズを検討する際は、どの程度まで指導してもらえるかも確認してください。
資金の準備はできるけれども、「どうやって店を経営したらいいのかわからない」という方に向いている営業形態といえるでしょう。
フランチャイズ加盟のデメリット
フランチャイズ加盟のデメリットは自由度が少ない点です。レシピや店舗・キッチンカーの内装はフランチャイズ本部の方針に従う必要があります。自分で決定することが少ない点はメリットでもありますが、レシピや内装を自分で考えてみたいという方には向いていないかもしれません。
また、フランチャイズに加盟する場合は、加盟料や売上に応じてロイヤリティーを支払う必要があります。この点もデメリットといえるでしょう。
クレープ屋を開業するまでの流れは?
クレープ屋を開業するまでの流れは次の通りです。
- 開業方法を決める
- 事業計画を立てる
- 資金について考える
- 物件を選ぶ
- 内装・調理機器の決定
開業方法を決める
まずは、開業方法を決定します。
個人店か、フランチャイズか
フランチャイズの場合は加盟する会社を決定する必要があります。各社、加盟料やロイヤリティーに違いがありますので、しっかり比較してから決めましょう。
店舗型か、キッチンカーか
フランチャイズの場合は本部の方針に従うことになりますが、個人店の場合は店舗型にするか、キッチンカーにするかを自分で決定しなければなりません。また、店舗型にするのであれば、どの辺りに開店したいかもある程度決めておく必要があります。
事業計画を立てる
ターゲットを誰にするか(ファミリー層、学生など)、どのようなメニューをどの程度の価格で提供するかなどの事業計画を立てましょう。開業のためにかかる資金やどの程度の期間で回収できるかも考えておいてください。
特に、金融機関などからの融資を希望する際は、実現可能な事業計画があるかを問われますので、しっかりと考えて作成しましょう。
資金について考える
具体的に開業に動き出す前に資金計画をしっかり考えておきましょう。店舗型とキッチンカー、どちらの場合も、550~1,100万円程度はかかると見ておいてください。
あわせて、資金をどうやって調達するかも検討しなければなりません。資金調達の方法には「金融機関などからの融資」「補助金・助成金の活用」「自己資金」などがあります。
クレープ屋開業にかかる費用や資金調達については、後ほど詳しくご紹介します。
物件を選ぶ
店舗型で開業する場合は物件を選びます。集客に力を入れたいのであれば、駅近くなど人の集まりやすい場所を選ぶ必要がありますが、その分、家賃が高くなります。また、内装や調理器具の購入にかかる費用についても考えなければなりません。もし、物件費用を抑えたいのであれば、居抜き物件を検討しましょう。
キッチンカーで開業する場合はどのような車にするかを決めます。「普通車のバン」「軽自動車のバン」「軽トラック」などさまざまなタイプがありますので、販売スタイルや予算に応じて決めてください。
内装・調理機器の決定
物件が決まったら、内装や調理機器も決めていきます。フランチャイズの場合は、ある程度統一された内装や調理器具があることが一般的です。自分で考える必要がありません。
個人で経営するのであれば、自分の好きなように一から内装を作ることができます。また、調理器具も使いやすいものを選択することが可能です。
クレープ屋の開業に必要な資格は?
クレープ屋を開業する際に必要な資格・許可は以下の2つです。
- 食品衛生責任者
- 飲食店営業許可
食品衛生責任者
食品衛生責任者は、都道府県単位で行われる6時間ほどの食品衛生責任者要請講習会を受講すると取ることができます。費用は1万円程度です。
なお、調理師、栄養士、製菓衛生師の免許保有者は講習会を受講する必要はありません。申請だけで食品衛生責任者になることができます。
飲食店営業許可
飲食店営業許可は、店舗がある地域を管轄する保健所に提出します。申請の際は店舗の工事を始める前に図面を見てもらう事前相談が必要です。
ちなみに、飲食店営業許可を申請する際は食品衛生責任者の選任が必要ですので、先にそちらの資格を取得しましょう。
クレープ屋の開業にかかる費用は?
クレープ屋の開業にかかる費用の例を見ていきましょう。
※店舗型の個人店を開業する際の例でご紹介します。
| 費用の種類 | おおよその金額 |
|---|---|
| 物件に関する費用 | 150~300万円 家賃だけでなく、敷金・礼金・保証金、不動産会社への仲介手数料も必要です。 |
| 内装工事費用 | 300万円程度 居抜き物件をそのまま使う場合はほぼかかりません。 他の業種で使われていた物件を改装する場合は、壁紙・床だけでなく、水回りの工事も必要です。 |
| 調理機器関連費用 | 100万円程度 クレープを焼く機器が必要です。飲み物やアイスクリームも提供する場合は、それらを作る機器も準備してください。 なるべく安く抑えたい場合は中古の機器を購入しましょう。 |
| 備品関連費用 | 200万円程度 レジシステム、接客のための棚、テーブル・イス(飲食スペースを作る場合)などが必要です。 |
| 運転資金 | 100~200万円 開店したての時期は売上がそれほど上がらない可能性があります。 6カ月分程度の家賃、水道光熱費、材料費は準備しておきましょう。 |
クレープ屋の原価率
クレープ屋の原価率は、具体的な店舗やメニューによって異なりますが、一般的には30%〜40%程度が目安とされています。これは、クレープを作るためにかかる材料費(小麦粉、卵、砂糖、バター、フルーツ、チョコレート、クリームなど)と販売価格との関係を示します。
たとえば、1枚のクレープが500円で販売される場合、その原価が150円〜200円程度になることが多いです。原価率を低く抑えるためには、仕入れのコストを管理したり、無駄を減らす工夫が求められます。
ただし、店舗の立地や提供するクレープの種類、季節の変動により原価率は変動するため、実際の店舗での管理が重要です。
クレープ屋の開業に必要な資金調達方法は?
クレープ屋を開業するために自己資金を準備しているという方も多いでしょう。しかし、それだけでは足りないという場合は他から資金調達する必要があります。主な資金調達の方法をご紹介します。
金融機関からの融資
銀行や信用金庫などから必要資金を融資してもらう方法です。融資の申し込みの際は事業計画なども確認されますので、実現可能な計画を立てておく必要があります。
日本政策金融公庫の融資制度を利用
民間の金融機関の場合、事業の実績がない人や非常に小規模の事業の場合、融資の申し込みを断られる可能性があります。もし金融機関の審査を通過する自信がない場合は、日本政策金融公庫の融資を検討しましょう。
日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、新たに事業を始める人や事業開始後おおむね7年以内の人が受けられる制度です。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、民間の金融機関よりも低金利で融資を受けられる可能性があります。
創業補助金・助成金
各自治体の創業補助金・助成金も確認してみてください。例えば、東京都の「創業助成事業」では、都内での創業を具体的に計画している個人又は創業後5年未満の中小企業者等のうち、一定の要件を満たす方が対象となっています。助成限度額は300万円(下限100万円)で、賃貸料や広告費、器具備品購入費に利用できます。
クレープ屋を開業するメリットは?
クレープ屋を開業するメリットを確認しておきましょう。
珍しさから買ってもらえる
クレープは自宅で簡単に作れるものではありません。珍しさもあり、販売していると買ってしまうという人が多いスイーツといえます。
話題になりやすい
珍しいトッピングや味で特徴を出すと、SNS上に写真付きで投稿される可能性が高くなります。話題になれば、集客にもつながります。
クレープ屋を開業するデメリットは?
クレープ屋を開業するデメリットも押さえておきましょう。
単価が低い
クレープは単価が低いため、大量に売らないと利益が出ません。
作る手間がかかる
クレープは注文を受けてから作るのが一般的です。一枚一枚生地を焼く手間やオーダーごとにトッピングを変える手間がかかります。
購入する年齢層が限られている
クレープは若い女性や子どもが好む傾向があるスイーツです。幅広い年齢を狙ったものではないため、店舗の立地やキッチンカーの場所によっては、売上がそれほど伸びない可能性もあります。
クレープ屋の開業向け事業計画書テンプレート(無料)
こちらから自由にお使いいただけるので、ぜひご活用ください。
キッチンカー(移動販売)で開業する場合の注意点は?
キッチンカーでクレープ屋を開業する場合の注意点をご紹介します。
調理機器について
店舗よりも限られたスペースで営業することも多いキッチンカーの場合、使う調理機器のサイズにも気を遣う必要があります。クレープ焼き器は店舗で使うものよりも小さいサイズを選択しましょう。
必要な資格について
クレープ屋を開業する際は飲食店営業許可申請が必要ですが、キッチンカーで移動販売する場合は特に注意が必要です。販売する地域それぞれで飲食店営業許可を申請する必要があります。都道府県をまたいで営業したいという場合は気を付けてください。
未経験からでも開業しやすいクレープ屋!ただし事業計画をしっかり立てよう
クレープ屋は店舗やキッチンカーといった営業形態を選択でき、比較的小さなスペースから始めることができます。そのため、飲食店の経営をしたことがない方でも開業しやすいという特徴があります。特にフランチャイズを選択すれば、内装や調理器具のことだけでなく、作り方まで指導してもらうことが可能です。
ただし、始めやすいからといっても、無計画で開業しても問題なし、というわけではありません。人が集まりやすい立地の選択は必須です。また、単価が低いため、回転を良くする努力も必要といえるでしょう。クレープ屋の開業を検討する場合は、事業計画をしっかり立てるようにしてください。
よくある質問
クレープ屋を開業する方法は?
店舗型で開業、キッチンカー(移動販売)で開業の2通りがあります。また、個人で開業するか、フランチャイズで開業するかも選択できます。詳しくはこちらをご覧ください。
キッチンカー(移動販売)で開業する場合の注意点は?
都道府県をまたいで営業する場合は、それぞれの地域で飲食店営業許可申請をする必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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