- 更新日 : 2026年3月18日
LLC(合同会社)とは?意味や株式会社との違い、メリット、設立費用などを徹底解説
LLC(Limited Liability Company)とは、米国発祥のモデルを導入した日本の「合同会社」のことです。出資者全員が有限責任を負いつつ、株式会社より自由な運営が可能です。
- 設立費用は約6万円からと株式会社(約20万円~)に比べ安価
- 所有と経営が一致するため、意思決定が迅速
- 出資比率に関わらず、貢献度に応じた利益配分が可能
費用を抑えたスモールスタートならLLC一択です。将来的に上場を目指す段階で、株式会社へ組織変更も可能です。
LLC(Limited Liability Company)とは、日本で「合同会社」と呼ばれる法人形態の一種であり、出資者全員が有限責任社員で構成される組織のことです。2006年の会社法施行により導入されて以来、その設立費用の安さや経営の自由度から、AppleやGoogleなどの巨大IT企業の日本法人をはじめ、スタートアップやフリーランスの法人成り(個人事業主からの法人化)の選択肢として急速に普及しています。
本記事では、LLCの基礎知識から株式会社との決定的な違い、メリット・デメリット、設立手順までをわかりやすく解説します。
目次
LLC(合同会社)とは?
LLCとは、「Limited Liability Company」の略称で、アメリカの州法で認められている会社形態をモデルに作られた、日本における「合同会社」を指します。
出資者全員が「有限責任」(会社が倒産しても出資額以上の責任を負わない)である点が特徴です。近年では増加傾向にあり、2020年の年間設立件数は約3万3,000社に達しています。
有限責任とは?
「有限責任」とは、万が一会社が倒産した際に、出資者が出資した金額以上の責任(借金の返済など)を負わなくてよいという仕組みです。 これに対し、個人事業主などは個人の財産まで返済義務が及ぶ「無限責任」となる場合があります。LLCはリスクを限定して事業を行える点が大きな特徴です。
参考:有限責任と無限責任について教えてください。 | ビジネスQ&A | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
LLCを選んでいる企業は?
個人起業家や小規模事業者はもちろん、世界的な大企業も日本での法人形態としてLLCを選んでいます。
- 大手外資系企業:Apple Japan、Google、Amazon Japanなど
- 小規模事業者:フリーランスの法人化、飲食店、美容室、ITエンジニアなど
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LLC(合同会社)と株式会社の違いは?
LLCと株式会社の最大の違いは、所有と経営が一致しているか、分離しているかという点です。具体的な違いを6つのポイントで解説します。
| 比較項目 | LLC(合同会社) | 株式会社 |
|---|---|---|
| 所有と経営 | 一致 | 分離 |
| 設立費用 | 約6万円~ | 約20万円~ |
| 役員の任期 | なし | あり(原則2年、最長10年) |
| 利益配分 | 自由に設定可能 | 出資比率に応じる |
| 決算公告 | 義務なし | 義務あり |
| 代表者の肩書き | 代表社員 | 代表取締役 |
1. 設立費用
初期費用を抑えたいならLLCが有利です。
株式会社の設立には約20万円〜(登録免許税や公証人の手数料)がかかりますが、LLCは約6万円〜で設立可能です。これは、LLCでは公証役場での「定款認証」が不要(手数料約5万円の節約)であり、国に納める登録免許税も安く設定されているためです。
2. 所有と経営の関係性
LLCは株主総会が不要で、スピーディーな経営判断が可能です。
- LLC(合同会社):出資者(社員)=経営者です。「所有と経営が一致」しているため、出資者同士の話し合いだけで迅速に意思決定ができます。
- 株式会社:出資者(株主)と経営者(取締役)が別の「所有と経営の分離」が原則です。重要事項の決定には株主総会が必要です。
3. 利益配分の自由度
LLCなら、出資額が少なくても貢献度が高い人に多くの利益を配分できます。
株式会社は原則として「出資比率(持ち株数)」に応じて配当が決まります。一方、LLCは定款で定めることで、出資比率に関わらず自由に利益配分を決めることができます。「資金はないが技術がある人」と「資金はあるが技術がない人」が組む場合などに適しています。
4. 役員の任期
LLCは役員の重任登記が不要で、ランニングコストと手間が省けます。
株式会社の役員には任期(原則2年、最長10年)があり、任期満了のたびに「重任登記」という手続きと費用が必要です。一方、LLCにはそもそも「役員」という概念がなく、経営者(社員)に任期はありません。そのため、定期的な登記手続きや費用が発生しません。
5. 決算公告義務
LLCは決算公告の掲載費(年間数万円〜)がかかりません。
株式会社は毎年、決算内容を官報などで公表する「決算公告」が義務付けられていますが、LLCにはこの義務がありません。※ただし、資本金の減少や合併、解散などの特殊なケースでは公告が必要です。
6. 代表者の肩書きは
株式会社のトップは「代表取締役」ですが、LLCでは法律上「代表社員」となります。ただし、名刺上の表記に法的制限はないため、対外的にはわかりやすく「社長」「CEO」「代表」といった肩書きを併記するのが一般的です。
LLC(合同会社)とLLP(有限責任事業組合)の違いは?
LLCと似た名称にLLPがありますが、LLPは「法人」ではなく「組合」です。LLPには法人格がないため、組合名義での契約や銀行口座開設ができません(構成員名義になります)。しっかりと会社として活動するならLLCが適しています。
LLC(合同会社)と有限会社の違いは?
2006年の会社法施行により、現在新たに「有限会社」を設立することはできません。かつての有限会社に近い「スモールスタート向けの法人」としての役割を、現在はLLCが担っています。現在存続している有限会社は「特例有限会社」と呼ばれます。
LLC(合同会社)を設立するメリット・デメリットは?
LLCを選ぶべきか迷っている方のために、メリットとデメリットを整理しました。
主なメリット:コストパフォーマンスと経営の柔軟性
LLCが個人事業主やスタートアップに選ばれる最大の理由は、コストパフォーマンスと経営の柔軟性にあります。
- 設立コストが安い:定款認証手数料(最大約5万円)が不要で、登録免許税も最低6万円で済みます。
- 維持費が安い:決算公告の義務がなく、役員の任期もないため、官報掲載費や登記費用が節約できます。
- 組織運営が自由:利益配分や組織ルールを定款で自由に設計できます。
主なデメリット:認知度と資金調達の制限
一方で、資金調達や信用面での制約があるため、事業規模拡大を目指す場合は注意が必要です。
- 株式上場ができない:上場を目指すには株式会社への組織変更が必要です。
- 資金調達の制限:株式を発行できないため、外部からの大規模な資金調達手段が限られます。
- 信用の壁:一般消費者には浸透していますが、古い商習慣のある業界や銀行取引の一部では、株式会社の方がスムーズな場合があります。
結局、LLC(合同会社)と株式会社のどちらを設立すべき?
会社を設立する場合、合同会社(LLC)と株式会社のどちらを選ぶべきでしょうか。ご自身のビジネスプランに合わせて、以下のチェックリストを参考にしてください。
株式会社がおすすめな人
- 社会的信用を最優先したい人
- 将来的に株式上場(IPO)を目指している人
- 投資家から出資を受けて、大規模に資金調達をしたい
- 求人採用に力を入れたい人
LLC(合同会社)がおすすめな人
- とにかく初期費用を安く抑えたい
- ランニングコスト(維持費)を節約したい
- 家族経営やフリーランスの法人成りなど、小規模で運営する
- BtoC(対消費者)ビジネスで、法人格の種類があまり重視されない
- 技術者同士の起業など、利益配分を柔軟に決めたい
LLC(合同会社)の設立手順は?
LLCは以下の4ステップでシンプルに設立可能です。
1. 基本事項の決定
まずは、会社名(商号)、本店所在地、事業目的、資本金の額、出資者(社員)を決定します。
会社名には必ず「合同会社」という文字を入れる必要があります(前後どちらでも可)。また、オフィス用の印鑑(代表者印)もこの段階で発注しておくとスムーズです。
2. 定款の作成
会社の憲法にあたる「定款」を作成し、紙または電子データ(PDF)で用意します。
LLCは公証人役場での認証が不要ですが、定款自体は必須です。紙の定款の場合は収入印紙4万円が必要ですが、電子定款(電子署名付きPDF)であれば印紙代は0円になります。
3. 資本金の払い込み
設立時社員の個人の銀行口座に、定款で定めた資本金を振り込みます。
まだ法人口座は作れないため、個人の口座を使用します。「誰がいくら払ったか」を通帳の明細で証明するため、預け入れではなく「振込」の手続きを行うのが一般的です。通帳の表紙と明細ページのコピーをとります(ネット銀行の場合はスクリーンショット等の明細データ)。
4. 登記申請
法務局へ設立登記申請書と必要書類を提出し、完了すれば会社設立となります。
基本的には申請日が「会社設立日」となります。ただし、土日祝日を設立日に指定したい場合は、直前の開庁日にその旨とともに登記申請書を提出する必要があります。現在は法務局へ持参する方法のほか、郵送や「法人設立ワンストップサービス」を利用したオンライン申請も可能です。登録免許税(最低6万円)はこのタイミングで納付します。
LLC(合同会社)の会社設立手続きで大変なこととは?
LLC(合同会社)を設立する際、どのような手続きに負担を感じる人が多いのでしょうか。
マネーフォワード クラウドが会社設立の経験がある方を対象に実施した調査によると、会社設立の手続きで最も大変だと感じた項目は「申請書類の作成」で、48.7%でした。次いで「会社設立のやり方・手続きを調べること」が44.9%と続いています。出資者同士で自由に経営ルールを決められるLLCですが、定款や登記申請書といった公的な書類の作成と、それに伴う情報収集に多くの人が苦労していることがわかります。
こうした手続きの負担を減らす手段として、会社設立サービスの活用が挙げられます。同調査で会社設立サービスを利用した主な理由を尋ねたところ、最も多かったのは「会社設立の書類作成がラクになると思ったから」で、46.3%でした。また、「会社設立費用が節約できると思ったから」が41.4%で続いています。設立費用が安いというLLCのメリットを最大限に活かしつつ、書類作成の手間を省くためにも、会社設立サービスの利用は有効な選択肢となります。
出典:マネーフォワード クラウド、会社設立で「大変さ」を感じた項目・会社設立サービス利用の主な理由【会社設立の意思決定調査】(回答者:会社設立の経験がある方1,040名、集計期間:2024年1月)
LLC(合同会社)についてよくある質問
最後に、LLC(合同会社)についてよくある質問とその回答をまとめました。
LLCも社会保険への加入は必要ですか?
はい、必要です。 LLCであっても株式会社と同様に法人の扱いとなるため、社長一人の会社であっても社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入義務が発生します。
LLCから株式会社に途中で変更できますか?
はい、可能です。 これを「組織変更」といいます。最初はコストの安いLLCでスタートし、事業が拡大して上場や大規模な資金調達が必要になったタイミングで株式会社へ変更するという方法は、非常に合理的で人気のあるステップアップです。
LLCと個人事業主の税金はどう違いますか?
LLCは「法人税」、個人事業主は「所得税」が適用されます。 一定以上の利益が出ると、累進課税(所得が増えるほど税率が上がる)である所得税よりも、税率が一定である法人税の方が節税メリットが出る場合があります。一般的に、課税所得が800万円〜900万円を超えるあたりが法人化検討のラインと言われています。
スモールスタートならLLC(合同会社)が最適解
LLC(合同会社)は、低コスト・低リスク・高自由度で起業できる非常に合理的な会社形態です。
「とりあえず費用を抑えて法人化したい」「自分ひとり、または少人数でスモールスタートしたい」という方には、LLCが一択と言えるでしょう。もし将来、事業が拡大して上場を目指したくなれば、その時点で株式会社へ組織変更することも可能です。まずはご自身のビジネスプランに合わせて、最適な形態を選んでみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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