- 更新日 : 2026年1月21日
NPO法人とは?活動内容や仕組み、メリットを簡単に解説
NPO法人とは「特定非営利活動法人」の略称で、社会貢献活動を行うために都道府県などの認証を受けて設立された団体のことです。「非営利」という言葉から「無給で働くボランティア」と誤解されがちですが、実際には職員に給料を支払うことも、収益事業を行うことも認められています。
この記事では、NPO法人の仕組みや活動内容、株式会社との違い、設立のメリット・デメリットから作り方までをわかりやすく解説します。
目次
NPO法人とは?
NPO法人とは、社会的な課題の解決を目指す「特定非営利活動」を行う団体のうち、特定非営利活動促進法に基づいて法人格を取得した組織のことです。個人が集まっただけの任意団体とは異なり、法律上の権利義務の主体となることができます。
ここでは、NPO法人の定義や他の法人との違い、法人格を取得する意味について解説します。
社会貢献活動を行う「特定非営利活動法人」
NPO法人の正式名称は「特定非営利活動法人」であり、利益を構成員で分配しないことを前提とした法人です。NPOは「Non-Profit Organization」の略ですが、これは「利益を出してはいけない」という意味ではありません。
株式会社は利益を株主に配当として分配しますが、NPO法人は利益が出ても会員や役員で山分けすることは禁止されています。余剰利益は、次期以降の活動資金や事業拡大のために再投資しなければなりません。社会貢献という目的達成のために、利益をすべて事業に充てる義務があるのが特徴です。
ボランティア団体や一般社団法人との違い
NPO法人と他団体との主な違いは、法人格の有無と、設立時に求められる公益性の厳密さにあります。ボランティア団体(任意団体)は届出不要で手軽ですが、法人格がないため団体名義での契約ができません。
一般社団法人は、NPO法人と同様に非営利法人ですが、行政庁の認証が不要で、登記のみで設立できるため手続きがスピーディーです。また、事業内容も法律で限定されていません。対してNPO法人は、活動内容が法律上の20分野に限定され、不特定多数の利益に寄与することが必須であるため、より高い公共性が求められます。
法人格を取得する意味
法人格を取得する最大の意味は、団体そのものが法律上の人格を持ち、契約や資産保有の主体となれることです。任意団体の場合、事務所の賃貸や銀行口座の開設はすべて代表者個人の名義で行う必要があります。
NPO法人として法人格を持てば、団体名義で不動産契約を結んだり、口座を開設したりできるようになります。これにより、代表者が変わるたびに名義変更をする手間が省け、公私の財産も明確に分離されます。万が一のトラブル時も法人が責任を負う原則となるため、継続的な活動を行ううえで組織の基盤が大きく安定します。
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NPO法人の主な活動内容は?
NPO法人の活動として認められるのは、法律で定められた20種類の分野に該当し、かつ不特定多数の利益につながる事業だけです。どんな活動でも自由に行えるわけではなく、公益に資することが大前提となります。
ここでは、法律で指定されている具体的な活動分野や活動例、認定されるための条件について解説します。
法律で定められた20種類の活動分野
特定非営利活動促進法では、NPO法人が行う活動として以下の20分野を定めています。これらは、時代の変化とともに多様化する社会ニーズに応えるため、幅広く設定されているのが特徴です。
具体的には、保健・医療・福祉、社会教育、まちづくり、観光、農山漁村、学術・文化・芸術・スポーツ、環境保全、災害救援、地域安全、人権・平和、国際協力、男女共同参画、子どもの健全育成、情報化社会、科学技術、経済活動の活性化、職業能力開発・雇用拡充、消費者保護、団体の運営支援、条例で定める活動です。設立時には、自団体の活動がどれに該当するかを定款で定めます。
「保健・医療・福祉」から「まちづくり」まで
もっとも多くのNPO法人が取り組んでいる分野は「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」です。たとえば、高齢者向けの介護施設運営、障がい者の就労支援事業、訪問看護ステーションの開設などがこれにあたります。
次いで多いのが「まちづくりの推進」や「子どもの健全育成」です。地域の清掃活動や防災イベントの開催、空き家を活用したコミュニティ運営、放課後等デイサービスの提供などが代表例です。また近年は、「情報化社会の発展」として高齢者向けスマホ教室を行うなど、得意分野を活かして社会課題の解決に取り組む団体が増えています。
活動が認められるための条件
活動がNPO法人として認められるためには、単に20分野に当てはまるだけでなく、「不特定多数の利益に寄与すること」が必要です。活動の恩恵を受ける人が特定の会員や関係者だけに限定されず、社会に開かれていることが求められます。
また、宗教活動や政治活動を主たる目的としないことも絶対条件です。特定の公職者や政党を支持・反対することは禁止されており、暴力団の統制下にある場合も認められません。これらの要件を満たしているかは、設立時の所轄庁による認証審査で厳しくチェックされます。
NPO法人設立のメリット・デメリットは?
NPO法人を設立することで、社会的信用の向上や税制優遇といった大きなメリットが得られますが、同時に事務負担や情報公開義務などのコストも発生します。組織化は権利と義務のセットであることを理解する必要があります。
ここでは、具体的なメリットとして得られる信用力や、デメリットとなる事務手続きについて解説します。
【メリット】社会的信用が得られ契約主体になれる
最大のメリットは、所轄庁の認証を経ることで社会的信用が高まり、法人名義での契約が可能になることです。NPO法人は情報公開が義務付けられているため、透明性の高い組織として行政や企業からの信頼を得やすくなります。
「法人名義」で契約主体になれる点も重要です。事務所の賃貸、銀行口座の開設、携帯電話の契約などをすべて法人として行えます。個人の信用情報に頼らず組織として契約できるため、運営基盤が安定します。また、ハローワークでの求人も法人として出せるため、優秀な人材を採用する際にも有利に働きます。
【メリット】税制優遇や助成金を受けやすい
NPO法人は、収益事業を行わない範囲であれば、原則として法人税が課税されません。また、所轄庁から「認定NPO法人」として認められると、寄付者が税制優遇を受けられるようになり、寄付金集めが強力に後押しされます。
さらに、行政や財団が公募する助成金・補助金は、申請要件を「法人格を持つ団体」や「NPO法人」に限定しているケースが多々あります。任意団体のままでは応募できない大型の資金調達が可能になる点も大きな魅力です。資金源の選択肢が増えることは、活動を長く続けるうえで非常に大きなアドバンテージとなります。
【デメリット】事務手続きや情報公開の義務が発生する
デメリットとして挙げられるのは、法律に基づく厳格な事務手続きと、運営コストがかかることです。毎事業年度終了後には、事業報告書や活動計算書などを所轄庁へ提出する必要があり、役員変更の際も届出が必須です。
さらに、NPO法人は情報の公開が義務付けられています。提出書類は内閣府のサイト等で誰でも閲覧できる状態になるため、財務状況や活動内容は常に社会の目にさらされます。ずさんな経理や運営は許されないため、バックオフィス業務を確実にこなす体制づくりが不可欠となります。
NPO法人の収入源は?給料は出る?
NPO法人の運営には資金が必要であり、職員に対して給料を支払うことは法律上も認められています。「ボランティア=無給」というイメージは誤りで、持続可能な活動のためには適切な対価と収益構造が欠かせません。
ここでは、NPO法人の主な収入源の内訳や給料のルール、収益事業の取り扱いについて解説します。
主な収入源は事業収入や寄付金など
NPO法人の収入源は、大きく分けて「会費」「寄付金」「助成金・補助金」「事業収入」の4つの柱で構成されます。会費は会員からの資金、寄付金は支援者からの援助、助成金は特定の事業に対する公的な支援金です。
なかでも重要なのが「事業収入」です。NPO法人は、介護サービスや物品販売、有料セミナーの開催など、自らの活動を通じて対価を得ることができます。実際に多くの団体が、不安定な寄付金だけに頼るのではなく、しっかりとした事業収入を確保して運営しています。これらをバランスよく組み合わせることが、経営安定のカギです。
職員への給料支払いは認められている
NPO法人の職員に給料を支払うことは、法律等のルールにおいて何の問題もありません。NPO法人にも労働基準法が適用されるため、雇用契約を結んだスタッフには最低賃金以上の給与を支払う義務さえあります。
「非営利」とはあくまで利益分配の禁止であり、労働対価としての給与支払いを禁止するものではないからです。ただし、役員(理事・監事)への報酬には「報酬を受け取る役員は総数の3分の1以下」という制限があります。役員報酬と職員給与は明確に区別されており、職員兼務役員として働く分の給与にはこの制限は適用されません。
営利目的の事業も実施可能
NPO法人は、本来の社会貢献活動(特定非営利活動)にかかる事業とは別に、活動資金を得るための「その他の事業」を行うことが可能です。たとえば、自然保護団体が資金稼ぎのために駐車場経営を行うケースなどがこれに該当します。
ただし、「その他の事業」を行うには、本来の活動に支障をきたさないこと、そして得た利益を必ず本来の活動に充てることが条件です。また、会計上は「本来事業」と「その他の事業」を明確に区分して管理する必要があります。なお、その他の事業や、本来事業であっても対価を得るものは税法上の収益事業とみなされ、課税対象となる点に注意しましょう。
NPO法人を設立するには?
NPO法人を設立するには、所轄庁(都道府県や指定都市)の認証と法務局への登記という2段階の手続きが必要です。株式会社のように資本金を用意すればすぐ作れるわけではなく、数ヶ月単位の準備期間を要します。
ここでは、設立に必要な認証の基準や、申請から登記完了までの具体的なステップ、期間と費用について解説します。
所轄庁の認証が必要
NPO法人の設立には、法律の要件を満たしていることを所轄庁に認められる「認証」が必要です。主な要件は、特定非営利活動を主目的とすること、社員(正会員)が10人以上いること、理事3人以上・監事1人以上の役員を置くことなどです。
所轄庁は、提出された定款や事業計画書などの書類をもとに、これらの基準に適合しているかを審査します。活動の実態まで踏み込んだ調査は少ないものの、書類上の不備があれば認証されません。宗教活動や政治活動を主目的としていないこと、暴力団との関わりがないことも重要な審査項目となります。
申請から設立登記までの流れ
設立手続きは、一般的に5つのステップで進めます。まず発起人会で定款などの原案を作り、設立総会で社員の承認を得ます。その後、所轄庁へ申請書類を提出し、受理されると審査期間(縦覧期間含む)に入ります。
審査を経て認証の通知が届いたら、2週間以内に法務局で設立登記を行います。登記が完了してはじめて、法人として成立します。なお、申請から認証までの期間中に、市民が書類を見られる「縦覧期間」があります。かつては1ヶ月でしたが、法改正により現在は原則2週間(自治体の条例により異なる場合あり)に短縮され、手続きが迅速化しています。
設立にかかる期間と費用の目安
NPO法人の設立には、準備開始から登記完了までトータルで3ヶ月から4ヶ月程度かかるのが一般的です。書類作成や意思決定に時間がかかるほか、所轄庁の審査期間があるため、株式会社よりも設立までの期間は長くなります。
一方で、設立時の法定費用は非常に安く済みます。株式会社の設立には約20万円以上の登録免許税等がかかりますが、NPO法人の場合、認証手数料も登録免許税も0円です。必要なのは住民票取得費や印鑑作成費などの実費のみで、自分で行えば数千円から1万円程度で設立可能です。ただし、専門家に代行を依頼する場合は別途報酬が発生します。
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こちらから自由にお使いいただけるので、ぜひご活用ください。
自分の活動がNPO法人に合うか確認しましょう
NPO法人は、社会的な信用を得て活動を拡大したい団体にとって最適な選択肢です。事務手続きの手間はかかりますが、契約主体となれる点や資金調達の幅が広がる点は、継続的な社会貢献を行ううえで強力な武器となります。
手軽さを優先するなら任意団体、スピードと自由度を重視するなら一般社団法人など、他の選択肢とも比較することが大切です。自分たちの目指すビジョンと照らし合わせ、NPO法人がベストだと判断したなら、まずは仲間を集めて設立準備を始めましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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