- 更新日 : 2024年10月25日
事業承継に関する支援制度3選
事業承継に関する問題は後継者選びや遺産相続まで多岐に渡るために、問題が複雑化しやすく、深刻な問題に発展しがちです。
そのため経営者が事業承継の問題をひとりで抱えることになってしまい、事業承継を行なった後に取り返しのつかないトラブルに発展する可能性もあります。
問題が複雑化したり深刻化したりする前に、事業継承を計画する段階において気軽に相談することのできる窓口や制度を利用すれば、事業承継をスムーズに行なうことができます。
今回は事業承継に関する3つの支援制度を紹介します。
事業承継円滑化支援
事業承継円滑化支援は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下中小機構)が展開するポータルサイトです。
中小機構では、
・起業支援
・経営力の強化
・事業の拡大
・人材育成
・ファンド出資
・共済制度
など、さまざまな形で中小企業をサポートしています。
事業承継円滑化支援は、「経営力の強化」として経営者を支援するものです。
具体的な支援方法として、事業承継のパターンやポイントをまとめた情報サイトを開設しています。
事業承継の3つのパターンとして、
・親族内に後継者がいる親族内承継
・従業員に後継者がいる親族外承継
・後継者がいない第三者承継
についてのメリットデメリットがまとめられています。
また事業承継に関する体験談として、
・経営権の委譲が進展しないケース
・事業承継前に経営者の判断能力が悪化したケース
・後継者が取引先と良好な関係を築けていないケース
を紹介し、事業承継を適切に行なうためのポイントや改善点を解説しています。
また、事業承継に関するセミナーや研修を定期的に開催しています。
現在は事業承継しなければならない状況ではなくても、将来的に事業継承を行なわなければならない場合に気軽に参加できるセミナーは、忙しい経営者にとって効率よく有効な情報を得る場として活用することができます。
具体的に事業承継を行なうために個別相談したい場合は、中小機構の経営支援課など全国11か所で開設されている無料相談窓口を利用することができます。
事業承継円滑化支援の無料相談窓口では、弁護士や中小企業診断士などの専門家が事業承継に関するアドバイスや、情報提供を行なっています。
事業引継ぎ支援センター
事業引継ぎ支援センターは、経済産業省が運営する第三者継承(M&A)に特化した公的相談窓口です。実際には経済産業省の委託を受ける形で各都道府県の商工会議所などによって運営されています。
後継者がいない場合の事業承継の選択肢として第三者継承(M&A)という方法がありますが実際に取り組むとなると、
・会社をどのように譲渡したらいいのかわからない
・包括的な譲渡ではなく事業単位で譲渡したい
・M&Aで合併するのではなく株式交換や株式移転による子会社化したい
・交渉や契約の方法がわからない
というさまざまな問題や課題が浮き彫りになります。
事業引継ぎ支援センターは第三者継承(M&A)専門窓口となっているため、具体的な相談に応じてもらうことができます。
実際に事業引継ぎ支援センターが相手先と交渉することはありませんが、M&Aの専門会社や承継候補先企業などを紹介しています。
事業引継ぎ支援センターは経済産業省の委託を受けて商工会議所等が運営しているため公共性が高く、営利性が低いことが特徴となっています。
M&Aを実施する金融機関やM&A仲介会社への相談手数料を考慮すると、なかなか相談し難いと感じてしまうことも、事業引き継ぎ支援センターであれば気軽に相談することが可能になります。
そのため、セカンドオピニオンとして事業引継ぎ支援センターに客観的な意見を求めやすくなっているのが特徴です。
ミラサポの事業承継
中小企業庁が展開するミラサポでは、
・相続紛争や事業承継の専門家に相談できる窓口の開設
・事業承継に関する資金繰りや融資制度の提供
・事業承継に関する統計データの提供
を行なっています。
全国9か所の経済産業局が窓口となっており、事業承継に関する資金繰りまで相談できるのがミラサポの特徴となっています。
ミラサポ事業承継では資金面において、資金繰りに関する情報だけでなく、相続税や贈与税の猶予制度に関することまで、幅広い情報がわかりやすくまとめられています。

(出典:事業承継の資金繰り、相続税・贈与税の猶予制度の相談窓口|ミラサポ)
まとめ
会社や事業を永続していくだけでなく、従業員の雇用を守っていくためにも、事業承継は経営者にとって乗り越えるべき課題として成し遂げなければなりません。
事業承継を行なったあとに大きなトラブルになって廃業という事態になってしまう前に、あらゆる手を尽くすことが不可欠です。解決するための糸口を見つけたり、具体的な一歩を踏み出したりするために、これらの支援制度を積極的に活用してみましょう。
関連記事
・事業承継税制を活用して承継時の税負担を軽減
・事業承継について考えていますか?知っておきたい税制や評価方法
・中小企業の事業継承における問題とは
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
事業承継の関連記事
新着記事
法人の解散登記と清算手続き|必要書類から法務局での流れ、費用まで徹底解説
会社の経営状況の変化、事業承継の課題、あるいは事業目的の達成など、様々な理由で法人の解散や閉鎖を検討されることがあるでしょう。しかし、手続きが複雑で専門的な知識を要するため、「何から始めれば良いのか」「自分で手続きできるのか」といった疑問や…
詳しくみる資金調達スキーム完全ガイド|MBOからスタートアップまで!成長に導く秘訣を解決
企業の持続的な成長には、適切なタイミングでの資金確保が不可欠です。その鍵を握るのが、緻密に設計された資金調達スキームです。 本記事では、資金調達におけるスキームの重要性から、具体的な種類、そして自社に最適なスキームを選択するためのポイントま…
詳しくみる法人化したらクレジットカードは作るべき?おすすめの法人カードの選び方も解説
法人化に伴い、経費の管理方法や資金繰りなど、個人事業主の時とは異なる視点での対応が求められます。特に、日々の支払いに欠かせないクレジットカードの扱いは、法人化を機に見直すべき重要なポイントの一つです。 この記事では、法人化に伴うクレジットカ…
詳しくみるグループ経営とは?メリット・デメリットや経営戦略、成功事例まで徹底解説
現代の複雑化する経済環境において、企業が持続的な成長を遂げるためには、単独での事業展開だけでなく、複数の企業が連携し、一体となって価値を創造していくグループ経営が重要です。 本記事では、グループ経営の基本的な概念から、メリット・デメリット、…
詳しくみる創業支援付きオフィスの選び方|インキュベーション施設やレンタルオフィスを解説
創業期は、事業のアイデアを形にし、成長軌道に乗せるための最も重要な時期です。この時期のオフィスの選択と、そこで得られる創業支援は、単なる作業場所の確保以上の意味を持ちます。特にスタートアップにおいては、適切な支援体制の有無が、事業の成功を大…
詳しくみる3000万円の創業融資は可能?日本政策金融公庫の制度融資を活用するポイントを解説
「3000万円の創業融資を実現し、事業を軌道に乗せたい」と考える起業家の方にとって、資金調達は最初の大きなハードルです。高額に感じられるかもしれませんが、適切な準備と戦略があれば、3000万円の創業融資は決して不可能な数字ではありません。 …
詳しくみる