- 更新日 : 2021年6月11日
開業届の控え・写しを紛失、再発行の仕方と確認・保存方法
個人事業主は、開業届の控え・写しの提出を求められることがあります。開業届を出したけれど控えを紛失している場合には、再発行してもらいましょう。本記事では、開業届の再発行の仕方や確認・保存方法について説明します。
目次
開業届は控えを保存しておこう
開業届の控えは後で使うことがあります。控えをもらったら紛失しないよう、すぐに保存しておきましょう。
開業届は個人事業主の証明になるもの
会社を設立したことは、法務局で登記事項証明書を取得すれば証明できます。一方、個人事業主は登記されるわけではないので、証明書がありません。個人事業主の証明書代わりに使われているのが、受領印のある開業届の控えです。
開業届の控えをもらう方法と保存方法
開業届の提出時に控え用の、コピーまたはもう一部作成した開業届を添付すれば、税務署で受領印を押して返してくれます。郵送の場合には、控えと一緒に返信用封筒を同封しておけば返送してもらえます。
開業届の控えは、確定申告書と一緒に保存しておくのがおすすめです。確定申告書用のファイルを作り、最初に綴じておきましょう。
控えをもらった時にスキャナで読み込んで、PDF化して保存する方法もあります。パソコンなどに保存しておけば、提出が必要になった時にすぐにプリントアウトできます。
e-Taxで開業届を出した場合の控えと保存の仕方
e-Taxを利用して開業届を提出した場合には、メッセージボックスに受信通知が届きます。送信した開業届のデータと受信通知をそれぞれプリントアウトし、控えとします。
メッセージボックスのメッセージは一定期間経過すると削除されます。プリントアウトするか、PDF化してパソコンなどに保存しておきましょう。
開業届の控えが必要になる場面とは?
開業届の控えを求められるのはどのような時か、具体的な場面を知っておきましょう。
屋号で銀行口座を作る場合
法人である会社は会社名義の銀行口座を作ることができますが、個人事業主の口座の名義は原則として個人名になります。ただし、銀行によっては、「屋号+代表者名」(例 〇〇商店 〇〇〇〇)の口座開設ができるところもあります。銀行で屋号付きの口座を作る時には、開業届の控えの提出を求められることもあります。
法人用のクレジットカードを作る場合
利用限度額が大きく、ビジネスをする上でお得な特典などがある法人用のクレジットカードを、個人事業主が申し込む際、開業届の控えの提出を求められるケースもあります。
事業資金の融資を受ける場合
事業資金の融資を受ける時には、確定申告書を提出するのが一般的です。ただし、開業時に融資を受ける場合には、確定申告書がありませんので、代わりに開業届の控えを提出します。
キャッシュレス決済を導入する場合
クレジットカードや電子マネー、QRコード決済などのキャッシュレス決済を導入したい場合、加盟店登録をしなければなりません。加盟店登録の際に、開業届の控えが必要になることもあります。
小規模企業共済に加入する場合
小規模企業共済は、主に個人事業主が掛金を積み立てることにより、将来、退職金代わりの共済金を受け取れる制度です。小規模企業共済の加入申込み時に確定申告書がない場合には、開業届の控えを提出します。
持続化給付金の申請で新規開業特例を受ける場合
2020年度新型コロナウイルスの影響により売上が大きく減少した個人事業主は、申請により最大100万円の持続化給付金の給付を受けられます。売上は原則として前年度と比較しますが、開業したばかりで前年度の売上がない個人事業主も、新規開業特例により給付対象となることがあります。新規開業特例を利用して持続化給付金を申請する場合には、開業届の控えが必要です。
開業届の控えを確認するには?
開業届の控えを求められていなくても、正式な開業日や開業届に書いた内容を確認したいということもあります。税務署に行けば、開業届の控えを確認できます。
税務署で閲覧できる
税務署の窓口に行けば、申告書等閲覧サービスにより、自分が過去に提出した開業届を無料で閲覧できます。ただし、書類を提出した税務署に出向かなければならず、他の税務署での確認や郵送による確認はできません。
閲覧した開業届のコピーはもらえませんが、紙などに書き写すことはできます。なお、スマホやデジカメなど、写した写真をその場で確認できる機器での撮影は認められていますが、動画の撮影は禁止されています。
閲覧のために必要なもの
税務署で開業届を閲覧する時には、本人確認があります。運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類を持参しましょう。
開業届の控えを再発行してもらうには?
開業届の控えが手元にない場合には、再発行してもらう方法があります。提出した税務署に開業届のコピーを請求すれば、それが控えになります。
税務署で「保有個人情報開示請求書」を提出
税務署に「保有個人情報開示請求書」を提出し、開業届の開示請求をすれば、コピーをもらえます。コピーには受領印があるため、これを控えとすることができます。
手続きに必要なもの
開示請求の際に必要になるのは、以下のものです。
①保有個人情報開示請求書
用紙は国税庁のホームページでダウンロードできます。
②本人確認書類
運転免許証、健康保険の被保険者証、マイナンバーカードなどが必要です。
③手数料
開示請求には1件につき300円の手数料がかかります。開示請求書に300円の収入印紙を貼って納付します。
用紙の記入方法
開示請求書に、必要事項を記入して提出します。
「開示を請求する保有個人情報」の欄に「個人事業の開業・廃業等届出書」または「開業届」と記入します。
「求める開示の実施方法等」の欄は、窓口で請求する場合には「写しの交付」、郵送の場合には「写しの送付を希望する」にチェックを入れます。
再発行されるまでの期間
税務署の窓口で開示請求書を提出したら、30日以内に「開示・不開示の決定の通知」が郵送されてきます。同封されている「保有個人情報の開示の実施方法等申出書」を税務署の窓口に持参するか郵送すれば、開業届のコピーをもらえます。
郵送で請求することはできる?
「保有個人情報開示請求書」は、郵送で提出することも可能です。すぐに税務署に行けない場合は郵送で請求しましょう。
開業届を再提出して控えをもらう方法もある
「保有個人情報開示請求書」を提出して開業届の控え(コピー)をもらうには、1カ月程度がかかってしまうことがあります。一方、開業届を再提出すれば、すぐに控えを手に入れることができます。
開業届は重複して出してもかまわない
開業届の控えを手に入れるために、開業届を再提出する方法があります。開業届は、同じ内容で重複して提出しても問題ありません。再提出時にコピー(もしくはもう一部作成した開業届)を提出して受領印をもらえば、開業届の控えを手にすることができます。
開業届を再提出するメリット
開業届を再提出すれば、すぐに開業届の控えが手に入るというメリットがあります。開業届は記入するだけなので手間がかかりませんし、税務署に持参すれば、その日のうちに控えがもらえます。また開業届を出すのに手数料はかかりませんので、控えも無料で手に入ります。
開業届を再提出する場合の注意点
開業届を再提出すればすぐに開業届の控えが手に入りますが、開業から時間がたって開業届を再提出すると、開業日と受領印の日付が離れてしまい、見た目に違和感があります。また、当初に提出した内容と異なる内容を記載した場合などは、税務署から問い合わせが来る場合があります。
開業届を再提出しても通常は大きな問題になるようなことはありませんが、急がない場合には保有個人情報開示請求をして控えを手に入れた方が安心です。
開業届の控えは紛失しないように注意
開業届を出す時には、控えのもらい忘れのないようにしましょう。控えをもらい忘れた場合や紛失した場合、再発行してもらえますが、税務署に行かなければならないなど、余計な手間が発生してしまいます。また控えを受け取ったら、なくさないよう保存場所を決めておき、必要な時にすぐに出せるようにしておきましょう。
よくある質問
開業届の控えが必要になる場面とは?
屋号で銀行口座を作る場合や、法人用のクレジットカードを作る場合、事業資金の融資を受ける場合などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
開業届の控えを確認するには?
税務署の窓口に行けば、申告書等閲覧サービスにより、自分が過去に提出した開業届を無料で閲覧できます。詳しくはこちらをご覧ください。
開業届を再提出して控えをもらう方法も?
保有個人情報開示請求書を提出して開業届の控えをもらうには1カ月程度がかかることがありますが、開業届を再提出すればすぐに入手することができます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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