• 更新日 : 2023年9月12日

個人事業開始申告書とは?開業届との違い、書き方と提出方法

個人事業開始申告書とは?開業届との違い、書き方と提出方法

個人事業主として事業を始めた時に提出しなければならない書類に、個人事業開始申告書があります。開業届だけでなく、個人事業開始申告書の提出も必要ということを知らなかった人も多いのではないでしょうか?

本記事では、個人事業開始申告書について、提出する意味や書き方などを説明します。これから開業される方は、ぜひ参考にされてください。

個人事業を開始した時に必要な手続きとは?

個人で事業を始めた時に必要となる主な手続きは、以下のようなものがあります。

開業届の提出

事業を開始した日から1カ月以内に、納税地の税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)を提出します。

事業により所得が発生すると、国税である所得税がかかります。国税に関する事務を取り扱うのは税務署であるため、税務署へ開業したことを知らせる開業届の提出が必要になります。

青色申告承認申請

個人事業主が確定申告をする時には、通常の申告方法である「白色申告」以外に、「青色申告」という方法を選ぶことができます。青色申告をするには定められた方式で日々の取引を記帳しなければなりません。その代わりに、税務上のさまざまな特典が受けられます。

青色申告をする場合には、開業日から2カ月以内に、「所得税の青色申告承認申請書」を納税地の税務署に提出しなければなりません。提出が遅れると、青色申告の開始が1年遅れてしまいます。

個人事業開始申告書の提出

個人事業を開始した時には、都道府県税事務所へ個人事業開始申告書(事業開始等申告書)を提出することになっています。

個人事業主には、地方税である個人事業税も課税されます。個人事業税の課税主体は都道府県なので、都道府県税事務所への届出が必要になります。

その他の手続き

家族を従業員にする場合には「青色事業専従者給与に関する届出書」、従業員の給与から源泉徴収した所得税の納税手続きを年2回に減らしたい場合には「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出します。

従業員を雇用する場合には、労働基準監督署やハローワーク、年金事務所でも手続きが必要になることがあります。

個人事業開始申告書とは

個人事業開始申告書は、事業を始めたことを都道府県に報告するために提出するものです。開業届との違いを知っておきましょう。

個人事業開始申告書と開業届の違い

開業届も個人事業開始申告書も、官公署に事業を開始したことを知らせる書類です。ただし、開業届は国税である所得税に関するもので、個人事業開始申告書は地方税である個人事業税に関するものになります。

なお、個人事業主の住民税については、税務署に開業届を提出していれば、別途市役所等への開業届は不要です。

個人事業税とは?

個人事業税は、法律で定められた、事業を行う個人事業主にかかる税金で、都道府県から課税されます。個人事業税がかかる事業と税率は次の表のようになっており、ほとんどの業種が課税対象になります。

分類税率業種
第一種事業
(37業種)
5%物品販売業、保険業、不動産貸付業、電気通信事業、駐車場業、旅館業、飲食店業、不動産売買業、製造業など
第二種事業
(3業種)
4%畜産業、水産業、薪炭製造業
第三種事業
(30業種)
5%医業、弁護士業、司法書士業、税理士業、コンサルタント業、デザイン業、理容業、クリーニング業など
3%あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復その他医業に類する事業、装蹄師業

個人事業税の計算方法

個人事業税は、次の計算式で計算します。

個人事業税=(所得金額-各種控除額)×税率

※所得金額=原則として所得税における事業所得及び不動産所得の計算と同
じですが、「青色申告特別控除」の適用はありません。
※各種控除額=290万の事業主控除など

上記から分かるように、個人事業税には290万円の事業主控除があります。そのため、所得金額が290万円以下の場合には税金が発生しません。
なお、事業を行った期間が1年に満たない場合には、290万円全額の控除は認められず、月割りした額になります。

個人事業税の申告・納税方法

個人事業税の課税対象になる場合、毎年3月15日までに、都道府県税事務所に所得等を申告する必要があります。ただし、所得税の確定申告を行っている場合には、別途個人事業税の申告をする必要はありません。
個人事業税は、自分で税額を計算するのではなく、都道府県から納税通知書が送られてくるしくみになっています。納税通知書が届いたら、納付書等により支払いを行います。

個人事業開始申告書の書き方と提出方法

個人事業主として開業したら、都道府県税事務所へ個人事業開始申告書を提出しましょう。申告書の記入方法や注意点を説明します。

個人事業開始申告書の書式と記入方法

申告書の書式は都道府県によって異なります。ここでは、東京都と大阪府を例に説明します。

【東京都の場合】

東京都 個人事業開始申告書

参考:東京都主税局:事業開始(廃止)等申告書
(記入例)https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shomei/03-b.pdf

(1)事業所の情報

事業所の所在地、電話番号、屋号、事業の種類を記入します。事業所の所在地が自宅住所と異なる場合で、事業所を納税地として税務署に届出している場合には、「所在地」の文字を〇で囲みます。

(2)事業主の住所、電話番号、氏名

事業主の自宅の住所と電話番号、氏名を記入します。

(3)開始年月日

開業した日付を記入します。

(4)事由等

「開始」に〇をつけます。

(5)申告日・申告者氏名・印

申告書の提出日を記入し、署名・捺印します。

(6)宛先の都税事務所

所管の都税事務所を記入します。

【大阪府の場合】

大阪府 事業開始・変更・廃止申告書

大阪府:事業開始・変更・廃止申告書

(1)申告日

申告書の提出日を記入します。

(2)宛先

所轄の府税事務所を記入します。

(3)住所、氏名、個人番号

自宅の住所、氏名、マイナンバーを記入します。なお、提出の際には番号確認書類や身分証明書が必要になります。

(4)開始・変更・廃止の別

「開始」にチェックを入れます。

(5)事務所(事業所)の名称又は屋号

屋号を使っている場合には記入します。

(6)事務所又は事業所の所在地

事務所・店舗等の住所(自宅開業の場合には自宅住所)を記入します。

(7)事業の種類

事業の種類を記入します。

(8)開始・変更・廃止年月日

開業の日付を記入します。

個人事業開始申告書の提出期限

申告書の提出期限も、都道府県によって異なります。例えば、東京都では開業日から15日以内、大阪府では開業日から2カ月以内となっています。

個人事業開始申告書を提出しなかったらどうなる?

開業届は出したけれど、個人事業開始申告書を出し忘れているという人もいるでしょう。個人事業開始申告書を提出していない場合にはどうなるのでしょうか?

期限までに提出していなくてもペナルティはない

個人事業開始申告書を提出期限までに出していなくても、罰則などはありません。期限を過ぎていても、気が付いたら出しておくようにしましょう。

個人事業税の課税対象になったら納税通知書が届く

開業したものの、個人事業開始申告書を出さなければならないことに気付かず、そのままにしてしまっていることも多いと思います。

個人事業開始申告書を出していなくても、確定申告することにより個人事業主の所得の情報は都道府県にも伝わります。個人事業税の課税対象になった場合には、事業主のところに納税通知書が届くしくみになっています。

個人事業開始申告書の提出の有無にかかわらず、事業所得が290万円を超えたら個人事業税を払わなければなりませんので、覚えておきましょう。

開業届だけでなく個人事業開始申告書も提出しよう

個人事業主が開業した時には、都道府県税事務所に個人事業開始申告書を提出するのも忘れないようにしましょう。個人事業開始申告書の様式や提出期限は自治体によって異なります。詳しいことは、各都道府県のホームページで確認してください。

よくある質問

個人事業開始申告書とは?

個人事業開始申告書は、事業を始めたことを都道府県に報告するために提出するものです。詳しくはこちらをご覧ください。

個人事業開始申告書の書き方と提出方法は?

個人事業主として開業したら、都道府県税事務所へ個人事業開始申告書を提出しましょう。詳しくはこちらをご覧ください。

個人事業開始申告書を提出しなかったらどうなる?

期限までに提出していなくてもペナルティはありませんが、個人事業税の課税対象になったら納税通知書が届きます。詳しくはこちらをご覧ください。


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