• 更新日 : 2025年10月21日

製造業に必要な許認可とは?業種別の一覧と取得手順を全解説

製造業で事業を始めるには、事業内容に応じた「許認可」の取得が法律で定められています。しかし、その種類は食品から機械、化学製品まで多岐にわたるため、ご自身の事業に何が必要なのかわからず、事業計画を立てにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、製造業に必要な許認可を業種別に網羅した一覧から、申請のタイミング、具体的な手続きの流れ、さらには事業運営で注意すべき法律問題まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。計画的な準備を進め、スムーズな事業開始を実現するために、ぜひご活用ください。

目次

製造業における許認可とは?

製造業における許認可とは、国や地方公共団体が、事業者が定められた人的・物的・衛生・安全等の基準を満たしていることを確認し、事業の実施を許可・免許・認可・承認・登録・届出といった手続で法的に位置づける仕組みです。これにより製品の安全性や品質が担保され、生活・環境の保護が図られます。

制度や要件は製品・工程ごとに異なるため、事業開始前に自社に必要な手続きを漏れなく確認することが不可欠です。

なぜ事業に許可や届出が必要なのか?

目的は主に国民の安全・衛生の確保と社会的秩序の維持です。たとえば、食品製造なら衛生基準で食中毒を予防し、化学物質を扱う工場なら公害・労働安全等の基準で周辺環境や従業員の安全を確保します。

これらの基準への事前適合性を行政が確認することで、消費者・地域住民が安心できる環境が維持され、事業者にとっても法令順守と社会的信用の裏付けになります。

事業に必要な許認可の調べ方

事業にどの許認可が必要かを把握する最短ルートは、事業所所在地の所管窓口へ事前相談することです。たとえば、食品なら保健所、化粧品・医薬品・医療機器なら都道府県の薬務課が窓口です。計画中の品目・工程・設備図を持参し、必要な手続きと着手可能時期(事前協議や施設検査の有無、待機期間)を確認しましょう。

また、行政書士に相談すれば、関連法や条例の横断チェック、申請書類の作成・代行まで一気通貫で支援を受けられます。加えて、商工会・商工会議所、よろず支援拠点等の公的相談も有効です。

許可・免許・登録・届出などの違いは?

手続き名称は法令ごとに意味合いが異なりますが、実務イメージは次のとおりです。認可/承認/指定等が使われるケースもあります。

種類 概要 具体例(製造業)
許可 法令で一般的に禁止されている行為を、特定の要件を満たす場合に限り行政庁が解除する行為。審査があり、許可がなければ事業を開始できない。 医薬品製造業許可、高圧ガス製造許可、危険物製造所設置許可 など
免許 特定の資格を持つ者に対して、一定の行為を行う能力を公に証明し、その行為を許可するもの。人的要件が重視されることが多い。 酒類製造免許
登録 法令で定められた一定の事項を、行政庁に備えられた帳簿に記載する手続き。拒否されることは少ないが、登録が事業開始の要件となる。 毒物劇物製造業登録、医療機器製造業登録 など
届出 事業者が行政庁に対し、法令で定められた事項を一方的に通知する行為。原則として受理され、事業者は通知後に事業を開始できる。 電気用品製造事業届出、ばい煙発生施設設置届出 など

知らなかったでは済まされない無許可営業のリスク

必要な手続きを経ずに操業すると、営業停止・許可取消・業務改善命令や回収命令などの行政処分の対象となり、刑事罰・過料のリスクも生じます。たとえば、食品営業許可を受けずに食品を製造すれば食品衛生法違反、化粧品の無許可製造は薬機法違反となり、懲役・罰金等が科され得ます。

また、改善命令・業務停止命令への不履行は別途処罰の対象です。善意・無知は原則として免責とはならないため、操業開始から逆算した事前協議(所管窓口)とスケジュール設計を行い、必要な許可・免許・登録・届出を確実に整えてください。

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 【業種別】製造業に必要な許認可とは?

製造業と一口にいっても、その事業内容はさまざまです。そのため、必要となる許認可も製造する製品によって大きく異なります。ここでは代表的な業種をいくつか取り上げ、それぞれにどのような営業許可や届出が必要になるのかを解説します。

① 食品を製造・加工する場合

食品を製造・加工して販売するには、原則として食品衛生法にもとづく「営業許可」(法52条)が必要です。公衆衛生の観点から、施設基準への適合やHACCPに沿った衛生管理計画、食品衛生責任者の設置等について、保健所(都道府県等所管)が確認・審査します。

なお2021年6月の制度改正で、許可業種の再編・基準の見直しと「営業届出」制度の創設が行われました。品目・工程や取り扱い形態によっては許可ではなく届出で足りるケースもあるため、最新の自治体要領で要件を必ず確認してください。

  • 菓子製造業許可:
    パン、ケーキ、クッキー、飴などを製造する場合
  • 食肉製品製造業許可:
    ハム、ソーセージ、ベーコンなどを製造する場合
  • 乳製品製造業許可:
    牛乳、チーズ、バター、ヨーグルトなどを製造する場合
  • 清涼飲料水製造業許可:
    ジュースやミネラルウォーターなどを製造する場合
  • ソース類製造業許可:
    ウスターソース、ケチャップ、マヨネーズなどを製造する場合

【主な申請窓口】 事業所の所在地を管轄する保健所

参考:営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報|厚生労働省

② お酒を製造する場合

お酒を製造するには、酒税法にもとづき、製造する品目ごとに酒類製造免許が必要です。免許申請は所轄税務署に提出し、国税局(長)が審査・付与します。租税確保の観点から、経営の継続性(資金計画・需要見込み)、適切な設備・衛生管理体制、製造技術・体制などが審査対象となり、他の許認可に比べて要件が詳細です。

主な品目区分の例:清酒、合成清酒、焼酎、ビール、発泡酒、果実酒、リキュール、スピリッツ、ウイスキー、ブランデー等。品目ごとに免許が分かれるため、計画段階で対象品目を明確にしておきましょう。

製造と販売の免許は別(小売・卸の酒類販売業免許)で、飲食提供を行う場合は食品衛生法の飲食店営業許可等が別途必要になります。

【主な申請窓口】 製造場の所在地を管轄する税務署

参考: 酒類の製造・販売業免許|国税庁

【参考】食品衛生法で営業許可が必要な32業種(食品・飲料・酒類)

2021年6月1日の食品衛生法改正により、32業種が再編されています。この改正では、新たに「食品の小分け業」や「液卵製造業」などが許可業種に追加されるなどの変更がありました。

1 飲食店営業 17 氷雪製造業
2 調理の機能を有する自動販売機により調理し、調理された食品を販売する営業 18 液卵製造業
3 食肉販売業 19 食用油脂製造業
4 魚介類販売業 20 みそ又はしょうゆ製造業
5 魚介類競り売り営業 21 酒類製造業
6 集乳業 22 豆腐製造業
7 乳処理業 23 納豆製造業
8 特別牛乳搾取処理業 24 麺類製造業
9 食肉処理業 25 そうざい製造業
10 食品の放射線照射業 26 複合型そうざい製造業
11 菓子製造業 27 冷凍食品製造業
12 アイスクリーム類製造業 28 複合型冷凍食品製造業
13 乳製品製造業 29 漬物製造業
14 清涼飲料水製造業 30 密封包装食品製造業
15 食肉製品製造業 31 食品の小分け業
16 水産製品製造業 32 添加物製造業

参照:〔食品関係〕営業許可業種(32業種)(令和3年6月1日以降)|徳島県徳島市保健所

③ 化粧品・医薬品・医療機器を製造する場合

人の健康や美容に直接関わる製品は、有効性・安全性を確保するため、薬機法による規制のもとで事前手続きが必要です。実務上は「製造(工場・工程の資格)」と「製造販売(上市主体の資格)」に分かれ、両輪での整備が前提になります。

  • 化粧品製造業許可:
    化粧水、シャンプー、ファンデーション、口紅、化粧石けんなどを製造する場合
  • 医薬品製造業許可:
    風邪薬や胃腸薬等の医薬品(製剤や包装・表示・保管のみを含む工程区分ごと)を製造する場合
  • 医療機器製造業登録:
    コンタクトレンズ、注射針、ペースメーカー等の医療機器を製造する場合
  • 医薬部外品製造業許可:
    薬用化粧品、染毛剤、育毛剤、薬用(殺菌)石けん等の医薬部外品を製造する場合

【主な申請窓口】 事業所の所在地を管轄する都道府県の薬務課など

参考: 医薬品・医療機器|厚生労働省

④ 環境への配慮が必要な場合

工場からのばい煙・排水・騒音等が生活環境へ影響し得る事業は、環境関連法にもとづく届出・許可が必要です。実際には設備規模・地域指定・条例の上乗せ規制で要否が変わるため、計画段階で所管へ事前相談しましょう。

  • ばい煙発生施設の設置届出(大気汚染防止法):
    ボイラー、乾燥炉、焼成炉など規模要件を満たす設備を設置する場合
  • 特定施設の設置届出(水質汚濁防止法):
    有害物質・pH・COD 等の排水基準がかかる特定施設を設置する場合
  • 特定施設の設置届出(騒音規制法・振動規制法):
    プレス機・空圧機等の特定施設を設置する場合
  • 産業廃棄物の自己処理・委託処理:
    自社排出物を自社で処理する場合は処理“業”許可は不要ですが、産業廃棄物処理施設の設置許可/届出(焼却・破砕・脱水等)や大防法等の適合が必要です。他人の産廃を収集運搬・処分するには産業廃棄物処理業許可が必要です。

【主な申請窓口】 事業所の所在地を管轄する都道府県や市町村の環境担当部署等

参考: 大気汚染防止法の概要|環境省

⑤ 化学物質・危険物に関する許認可

爆発・火災・中毒等のリスクを伴う物質を扱う製造では、対象物質・設備規模・事業形態に応じて許可/登録/届出が求められます。下記は主要制度の整理であり、実際の要否は規模・地域条例で変動するため事前相談が確実です。

  • 毒物劇物製造業登録:
    毒物及び劇物取締法に基づき、毒物・劇物を製造する場合
  • 高圧ガス製造許可/届出:
    酸素、窒素、LPガス等の圧縮・液化による製造は規模で区分

    • 第一種製造者:一定規模以上は許可
    • 第二種製造者:小規模は届出
      なお、充てん・貯蔵・移送にも技術基準・保安検査等が及びます。LPガスの充てん・販売・一般消費者供給は液化石油ガス法の許可・登録・届出が別途必要です。
  • 火薬類製造営業許可:
    ダイナマイトや花火などの火薬類を製造する場合
  • 危険物製造所等の設置許可:
    ガソリンやアルコール類など消防法で定められた危険物を、指定数量以上で製造・貯蔵・取り扱う施設を設置する場合

【主な申請窓口】 事業所の所在地を管轄する都道府県や市町村、保健所、消防署等

⑥ 農林・動物関連の許認可

農業・畜産の基盤となる製品や動物の健康に関わる製品には、対象ごとに手続きが定められています。主な枠組みは次のとおりです。

  • 肥料生産業者届出・登録:
    特殊肥料(米ぬか、堆肥など)の生産を行う場合は届出が必要であり、普通肥料(化成肥料など)の生産を行う場合は登録が必要
  • 飼料・飼料添加物製造業者届出:
    飼料の製造・輸入・販売を行う場合
  • 農薬製造者登録:
    農薬の製造・輸入・販売を行う場合

参考:肥料の品質と安全性の確保|農林水産省

事業を始める前には、自社の製品や事業内容がどの法律に関わるのか、多角的に確認することが大切です。

製造業の許認可と会社設立の流れとは?

製造業の許認可を法人名義で申請する場合、原則として登記後に本申請します。一方で、実務では設立前から所管庁との事前相談が欠かせません。とくに図面(平面・断面・動線)や設備仕様、用途地域・消防・環境の適合性は、工事着手前に確認しておくとスムーズです。

設立準備と事前協議を並行し、要件充足の見込みを確認したうえで、登記→本申請→実地確認→許可交付の順で進めましょう。

1. 会社設立(定款の作成)

許認可の申請主体は法人(会社)であるため、先に会社設立の手続きを進めます。このときとくに注意したいのが、会社のルールブックである「定款」に記載する「事業目的」です。

許認可が必要な事業を行う場合、その事業内容が定款の目的に明記されていないと、申請が受理されないことがあります。将来展開する可能性のある事業も含め、記載しておくとよいでしょう。

2. 許認可の申請要件の確認

許認可を取得するには、それぞれに定められた要件を満たさなければなりません。

要件は、概ね人的要件(責任者・資格・体制)、物的要件(施設・設備・衛生動線・区画)、財産的要件(自己資本・損害保険等)に大別されます。

業種により、衛生管理計画(HACCP)、GMP/GQP/GVP(薬機法)、ばい煙・排水・騒音振動の届出、公害防止管理者選任(対象規模)など横断法令も絡む場合もあります。申請前にこれらの要件をすべてクリアしている状態を整える必要があります。

3. 申請書類の作成と提出

要件が整ったら、申請書類を作成します。申請書のほかに、会社の登記簿謄本、定款の写し、事業計画書、施設の図面など、多くの添付書類が求められます。不備があると審査が長引く原因になるため、行政機関のウェブサイトなどで最新の様式を確認し、慎重に作成しましょう。書類がそろったら、管轄の行政窓口に提出します。

4. 審査・許可証の交付

申請書類が受理されると、行政庁による審査が始まります。審査の過程で、担当者が事務所や工場へ実地調査に訪れることもあります。審査にかかる期間は許認可の種類によって異なり、数週間から数ヶ月かかる場合も少なくありません。許可・登録・届出の別により、営業開始の可否タイミング(許可証交付日以降、受理後直ちに可 等)が異なる点に留意しましょう。

準備すべき書類と費用の目安

製造業の許認可の申請には、書類の準備と費用がかかります。 共通して求められやすい書類は以下のとおりで、実際は業種・自治体で追加を求められる場合もあります。

  • 申請書一式、登記事項証明書、定款写し、役員一覧
  • 施設図面(配置・平面・動線・給排気・給排水・防虫防鼠)
  • 工程フロー・原材料一覧・保管区画、管理規程(衛生/GMP 等)
  • 責任者の資格・経歴証明、必要に応じ保安・危険物関係の資料
  • 賃貸借契約書(賃貸の場合)

費用については、数千円〜数十万円と所管・区分で大きく変動します。その他、施設の改装・設備、計量器検定、防火設備等の付帯費も見込まれます。また、専門家(行政書士等)へ依頼する場合は報酬が別途発生します。

製造業の許認可申請でよくある質問

許認可の申請準備を進めていると、さまざまな疑問が出てくるのではないでしょうか。手続きをスムーズに進めるためには、あらかじめ疑問点を解消しておくことが大切です。ここでは、製造業の許認可申請に関して、多くの方が抱きがちな質問とその答えをQ&A形式でまとめました。

Q. 個人事業主でも許認可は取得できますか?

A. できます。多くの許認可は、法人格の有無を問いません。申請者が個人事業主であっても、法令で定められた人的要件(責任者・資格)や物的要件(施設・設備・動線)を満たしていれば取得可能です。

Q. 複数の許認可を同時に申請することは可能ですか?

A. 形式上は可能ですが、実務上は順番や前提関係に注意が必要です。

複数手続きを並行させる場合は、まず申請窓口で事前相談を行い、同時提出が認められるもの/完成後でないと受理されないものを切り分けてスケジュールを確認してみましょう。

許認可の種類によって申請窓口が異なる場合(例:食品は保健所、酒類は税務署)には、それぞれ別々に手続きを進める必要があります。

Q.賃貸の工場でも許可は取れますか?

A. 取れます。施設の所有形態は問われません。ただし、賃貸物件であっても、施設の構造や設備が許認可の基準を満たしている必要があります。内装工事などが必要な場合は、事前に物件オーナーの承諾を得ておきましょう。

Q.申請から許可が下りるまで、どれくらいの期間がかかりますか?

A. 許認可の種類や担当窓口によって異なりますが、一般的に申請から1ヶ月~数ヶ月程度を見込んでおくとよいでしょう。担当窓口が標準処理期間を示している場合には、その期間が目安となりますが、書類の不備や修正があるとさらに時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールで進めることが大切です。

許認可取得後に製造業者が気をつけるべきこと

許認可は、一度取得すればそれで終わりというわけではありません。事業を継続していくかぎり、法令を遵守し、許認可を維持していく責任があります。ここでは、見落としがちですが、事業運営において非常に大切な「許認可取得後」の注意点について解説します。

 忘れてはいけない更新手続き

多くの許認可には有効期間が定められており、事業を続けるには定期的な更新手続きが必要です。 有効期間の満了日が近づくと行政から通知が来ることが多いですが、それに頼らず自社でしっかりと期限を管理しましょう。もし更新を忘れてしまうと、許認可が失効し、無許認可営業の状態になってしまいます。

 変更があった場合の届出義務

申請内容に変更が生じた際は、手続き区分が制度ごとに異なります。代表者・役員、所在地、工場の増改築、設備変更、責任者(食品衛生責任者・薬機の責任者等)の異動などは、届出で足りる場合と事前の許可・認可が必要な場合があります。

これらの変更があったにもかかわらず対応を怠ると、過料などの罰則を受けたり、最悪の場合、業務停止や許可が取り消されたりするおそれもあります。

 M&Aや事業承継における許認可の注意点

会社の合併や事業譲渡(M&A)で事業を引き継ぐ際、許認可は自動的に引き継がれない場合があるため注意が必要です。 許認可によっては、譲渡人から譲受人への地位の承継手続きが認められているものもありますが、なかには、譲受人が新たに許認可を取り直さなければならないケースもあります。事業承継を検討する際は、許認可の引き継ぎについても法的な手続きを事前に確認しておくことが欠かせません。

 定期的な立入検査への備え

保健所や都道府県の担当部署は、許認可をあたえた施設に対して、定期的に、あるいは随時、立入検査を行う権限を持っています。 この検査では、施設が許認可基準を維持しているか、衛生管理が適切に行われているか、帳簿書類が正しく保管されているかなどがチェックされます。日頃から法令を遵守した運営体制を整え、いつ検査があっても問題ない状態にしておくことが、企業の信頼性を保つことにつながるでしょう。

許認可だけで大丈夫?製造業の契約と法律問題

許認可を無事に取得し、事業を開始した後も、法律に関する注意点は続きます。とくに製造業では、取引先との契約関係や、製造した製品に対する責任が重要になります。ここでは、事業運営においてとくに知っておくべき法律問題について解説します。

製造委託契約・OEM契約の注意点

他社に製品の製造を委託したり、逆に他社ブランドの製品を製造(OEM)したりする場合、「製造委託契約」や「OEM契約」を締結します。これらの契約では、以下の点を明確にしておかないと、後々トラブルに発展する可能性があります。

  • 仕様の明確化:製品の品質、数量、納期などを具体的に定める。
  • 知的財産権の帰属:製品のデザインや技術に関する権利がどちらに帰属するのかをはっきりさせる。
  • 検品と品質保証:納品された製品の検品方法や、不良品が発生した場合の責任分担を決める。
  • 秘密保持:製造過程で知り得た相手方の技術情報やノウハウを漏らさない義務を定める。

避けては通れない製造物責任法(PL法)とは?

製造物責任法(PL法)は、製造した製品の欠陥によって、他人の生命、身体、財産に損害が生じた場合に、製造業者が負うべき損害賠償責任について定めた法律です。 この法律では、被害者側はメーカーの「過失」を証明する必要がなく、「製品に欠陥があったこと」と「損害が発生したこと」の因果関係を証明すれば、賠償請求ができます。万が一の事故に備え、PL保険(生産物賠償責任保険)に加入しておくことが、リスク管理のうえで有効な対策となるでしょう。

出典:製造物責任(PL法)の概要Q&A|消費者庁

製造業の許認可は計画的に進めよう

この記事では、製造業を始める際に必要となる許認可について、業種別の一覧から具体的な取得手順、取得後の注意点まで詳しく解説しました。

製造業における許認可は、単に行政上の手続きというだけでなく、自社の製品の安全性と品質を社会に約束する重要な証といえます。 事業計画の早い段階で、自社に必要な許認可は何かを正確に把握し、計画的に準備を進めることが、スムーズな事業スタートと、その後の安定的な経営につながるでしょう。もし手続きの過程で不明な点があれば、専門家や管轄の行政窓口へ相談することから始めてみてください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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