- 作成日 : 2025年9月16日
創業融資の申し込み期限はいつまで?事業開始後2年以内?廃止された制度と最新情報を解説
日本政策金融公庫の創業融資には、いつまでに申し込むべきかという明確な期限があることをご存知でしょうか。創業後の特定のタイミングを過ぎると、利用できなくなるため注意が必要です。
この記事では、創業融資はいつまで申し込めるのかという疑問に焦点を当て、具体的な期間、注意すべき制度の変更点、そして申し込みの準備について分かりやすく解説します。
目次
そもそも創業融資とは?
創業融資とは、主に日本政策金融公庫が新たに事業を始める方や事業開始後間もない方を対象に行う貸付制度です。民間の金融機関では実績がないと融資を受けるのが難しい一方、公庫の創業融資は事業計画を評価して資金を供給する点で、創業者にとって大きな支えとなります。
創業融資の申し込み期限はいつまで?
日本政策金融公庫の創業融資は、事業を開始してから2回目の税務申告を終えるまでが対象です。創業後何年以内という区切りではなく、正確には決算期を2回経過するまでと理解してください。
例えば、4月1日に創業し3月決算の法人の場合、約2年弱の期間が該当します。この期間を過ぎてしまうと、創業融資ではなく一般の事業資金融資として扱われるため、審査の観点が変わる点に注意が必要です。
新創業融資制度は廃止
多くの創業者に利用された「新創業融資制度」は、2024年3月末で廃止され、「新規開業・スタートアップ支援資金」という制度に統合されています。この変更で、以前はあった自己資金の要件(創業資金総額の10分の1)がなくなりました。
申込期間は税務申告が基準になる
申込期間の基準となる事業開始のタイミングは、法人の場合は設立登記日、個人事業主の場合は開業届の提出日が一般的です。そして、期間の終わりは2回目の税務申告、つまり決算を終えるまでと明確に定められています。創業から何年以内といった曖昧なものではなく、税務申告の回数が客観的な基準です。
創業融資の返済期間はいつまで?
創業融資の返済期間は、資金の使い道によって異なります。運転資金は原則10年以内、設備資金は最長20年以内(いずれも据置期間最大5年)が現在の基準です。
創業融資の審査や入金はいつまでかかる?
申し込みから面談を経て審査結果の通知までは、一般的に3週間前後かかります。また、契約書類の返送後、入金までの所要日数は通常1週間です。書類に不備があったり、面談の日程が合わなかったりすると、さらに時間がかかることもあります。
創業融資の申し込み手順
日本政策金融公庫の創業融資は、申し込みから入金まで全体で約1ヶ月から1ヶ月半が目安です。各段階での準備を丁寧に行うことが、融資の実現に繋がります。
1. 事前相談と情報収集
まず、日本政策金融公庫の窓口に電話するか、直接訪問して相談することから始めます。これは必須ではありませんが、融資制度の詳しい内容や、自身の事業が対象になるか、どのような準備が必要かを確認できるため、一度相談しておくとその後の手続きが円滑になります。
この段階では、どのような事業を始めたいのか、大まかな事業の概要を伝えられるようにしておきましょう。
2. 申込書類の準備
相談後、または自身で必要性を判断した場合、申込書類の準備に取り掛かります。書類は公庫のウェブサイトからダウンロードするか、窓口で受け取ります。
主に必要となる書類は以下の通りです。
- 借入申込書
- 創業計画書
- 履歴事項全部証明書(法人の場合)
- 自己資金の証明資料
- 設備投資の見積書
- 不動産の賃貸借契約書
- 許認可証の写し
これらの書類を不備なく揃えることが、審査をスムーズに進める第一歩です。
3. 面談
申込書類を提出してから1週間以内に、公庫の担当者から面談の日程調整の連絡が入ります。面談は公庫の支店で行われ、時間は30分から1時間程度です。
面談では、提出した創業計画書の内容に沿って、主に以下の点について質問されます。
- 創業動機
- 事業経験
- 商品・サービス
- 取引先
- 売上や利益の根拠
- 資金の使い道
- 自己資金
創業計画書に書いた内容と話に矛盾がないよう、自分の言葉でしっかりと説明できるように準備してください。担当者は計画の実現可能性だけでなく、事業主としての人柄や信頼性も見ています。
4. 審査・契約
面談後、1週間から2週間ほどで審査結果が電話および郵送で通知されます。
無事に審査を通過すると、融資決定の通知とともに契約に必要な書類一式が送られてきます。契約書の内容をよく確認し、署名・捺印の上、必要な書類(印鑑証明書など)を添えて公庫に返送します。
5. 融資実行
公庫が返送された契約書類を確認後、数営業日で指定した銀行口座に融資金が振り込まれます。これで一連の手続きは完了です。
入金後は、創業計画書に記載した資金の使い道に沿って、事業の準備を進めていくことになります。翌月または翌々月から返済が始まりますので、資金管理をしっかりと行いましょう。
創業融資についてよくある質問
創業融資を検討する際には、他にも様々な疑問が生じます。
創業融資はいくら借りられる?
創業融資でいくら借りられるかは、事業計画の内容や自己資金の額によって大きく変わります。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金では、融資限度額は7,200万円、うち運転資金4,800万円と設定されています。
しかし、これはあくまで上限であり、創業当初から満額を借りられるケースは稀です。現実的には、事業に必要な設備資金や運転資金をまとめた事業計画書を示し、妥当な金額が審査で決まります。
自己資金なしでも融資は受けられる?
創業融資を自己資金なしで申し込むのは、現実的には困難です。制度上の自己資金要件はなくなりましたが、審査では事業への熱意や準備状況を示すものとして自己資金の有無が重視されるためです。計画的に貯蓄した実績は、事業計画の信頼性を高めることにも繋がります。希望する融資額の2〜3割程度の自己資金を用意することが、審査を通過するための一つの目安です。
返済不要の創業融資はある?
返済不要の創業融資はありません。融資は借入金であり、定められた期間内に返済の義務があります。返済が不要な資金を希望する場合は、国や地方自治体が提供する補助金や助成金を探す必要があります。これらは特定の条件を満たすことで交付され、原則として返済の必要がありません。融資と補助金・助成金の違いを正しく理解し、自身の目的に合った制度を選択しましょう。
創業融資の期間を理解し、計画的に準備を進めよう
創業融資を成功させるには、申込期間を正しく把握することが重要です。日本政策金融公庫の場合、事業開始から2回目の税務申告を終えるまでという明確な期限があります。この機会を逃さないよう、早めに準備を始めましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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