• 作成日 : 2025年7月18日

50代女性の起業を成功させるには?おすすめの業種や始め方を解説

50代を迎え、「これからは自分らしく働きたい」「経験を活かして新しいことに挑戦したい」と考える女性が増えています。本記事では、50代女性の起業で成功しやすい業種や資金調達・事業計画のポイント、起業時に直面しやすい課題の乗り越え方を解説します。

50代女性の起業は増加傾向にある

かつては「定年後=引退」のイメージが一般的でしたが、近年は50代から起業を目指す女性が増加傾向にあります。これは公的な統計からも示唆されており、働き方の多様化や人生100年時代を見据えたキャリア設計の一環として、新たな挑戦を選ぶ50代女性が注目されています。

起業者全体における女性比率が上昇

中小企業庁の白書や関連調査から、近年起業に占める女性の割合が高まる傾向が示唆されています。男性中心とされてきた起業分野においても、女性が自らビジネスを立ち上げる動きが進んでいます。

50代女性の起業が目立ち始めている

総務省の「令和4年就業構造基本調査」などのデータからは、高齢層の就業意欲の高まりが示唆されており、50代女性の起業への関心が高まっていると考えられます。日本政策金融公庫の『女性による新規開業の特徴』によると、女性起業家の開業時年齢では40代が最多である一方、50代も20.1%を占め、30代(26.7%)に次ぐ年代となっています。50代は、子育てが一段落したり、長年の職務経験を持っていたりと、起業に必要な時間的・人的・知識的資源が比較的そろいやすい年代です。また、50代女性は家計にある程度余裕があることも多く、資金的にも起業に踏み切りやすい環境にあるといえます。

参考:令和4年就業構造基本調査
参考:女性による新規開業の特徴

起業意欲も高まりを見せている

日本政策金融公庫が実施した「2024年度新規開業実態調査」によると、2024年度における開業時の平均年齢は43.6歳とされている一方で、近年は50代・60代で開業する女性も増加傾向にあります。また、同機関がまとめた「女性の起業への関心」のデータでは、50歳代で開業したいと思ったとする女性も47.8%存在します。これは定年後も自分らしく働きたいという意識や、社会に貢献する活動を仕事として実現したいという思いの表れでもあります。さらに、50代は豊富な経験と人脈を持ち合わせているため、起業時に有利なスタートを切りやすいという利点もあります。

参考:「2024年度新規開業実態調査」
参考:女性の起業への関心

50代女性の起業で成功しやすい業種

50代女性が起業を目指す際は、自分の経験やスキル、ライフスタイルに合った分野を選ぶことが成功のポイントになります。無理なく始められ、かつ社会的ニーズが高い業種であれば、継続性や収益性も見込みやすくなります。ここでは、50代女性に向いている業種を解説します。

これまでの職務経験を活かせるコンサルティング業

会社員時代に得た専門知識やマネジメント経験を活かして、コンサルティング業やアドバイザーとして独立するケースは、50代女性の起業として多く見られます。たとえば、人事・労務・会計・営業・教育分野など、企業内で培った実務経験があれば、それを求める中小企業や個人事業主向けに支援するビジネスが展開できます。講師業や社外顧問として活動する場合もあり、比較的初期費用がかからない点も魅力です。近年はオンラインによるコンサルティングや講座運営も一般的になっており、在宅で活動できる業種としても人気があります。

趣味や特技を活かせるカルチャー教室や講座業

50代女性は長年培ってきた趣味や技術を教室ビジネスとして展開しやすい立場にあります。料理、手芸、フラワーアレンジメント、ピアノ、茶道・書道などの伝統文化、さらにアロマやハーブなどの自然療法などもニーズがあります。自宅の一室や地域のレンタルスペースを使って、無理なく小規模に始められるのが大きな特徴です。また、オンラインでのレッスンも普及しており、年齢や地域を問わず集客できる環境が整っています。「先生」としての立場は信頼も得やすく、自己実現と社会参加の両立ができる点も好評です。

主婦スキルを活かす家事代行・生活支援サービス

家庭での生活経験を活かせる「家事代行」「シニアサポート」「買い物代行」などのサービス業も、50代女性に適した分野です。特別な資格がなくても始めやすく、地域密着でのサービス提供が可能です。近年は共働き世帯や高齢者世帯の増加により、家庭支援サービスの需要が高まっています。加えて、シニア層ならではの丁寧さや信頼感が顧客から支持を得やすく、口コミによる集客もしやすいのが特徴です。無理のない時間で仕事を組み立てやすく、健康維持にもつながる活動として注目されています。

健康志向を背景に広がるウェルネス系ビジネス

健康寿命への関心が高まる中、健康・美容分野のビジネスも50代女性に人気です。たとえば、ヨガ・ピラティスのインストラクター、食育アドバイザー、漢方アドバイザー、メンタルケアなど、資格を活かしたパーソナルなサービス提供を行えます。中高年女性ならではの共感力や安心感が強みとなり、同世代の女性を対象としたサービス展開もしやすいです。自分の健康にもつながる分野であり、長く続けやすい事業として選ばれています。

参考:PHI Pilates 資格認定養成コース
参考:上級食育アドバイザー資格 | 日本能力開発推進協会 (JADP)
参考:漢方アドバイザー | 一般社団法人日本技能開発協会
参考:メンタルケア心理士(R)認定試験について

自宅から始められるオンラインビジネス

インターネットの普及により、50代でも在宅でスタートできるビジネスが増えています。代表的なものとしては、ハンドメイド商品のネット販売、ブログやYouTubeを使った情報発信、有料メルマガや電子書籍の販売などがあります。BASEやSTORESなどの無料ECプラットフォームを活用すれば、低コストでネットショップを開設できます。また、Zoomなどを使ったオンラインセミナーの開催やスキルシェアサービスの活用も広がっており、時間や場所の制約が少ない働き方が可能です。自分のペースで無理なく事業を成長させられる点も50代女性に適しています。

フランチャイズで安心してスタートできる業種

起業が初めてで不安がある場合には、フランチャイズを活用するのも一つの方法です。配食サービス、学習塾、家事支援、パソコン教室など、初心者でも比較的始めやすい分野が多く、すでに実績のあるモデルを活用できるため安心感があります。フランチャイズ本部から研修や運営ノウハウの提供を受けられるほか、集客や宣伝の支援がある場合もあり、経営初心者でも軌道に乗せやすい点がメリットです。ただし、加盟金やロイヤリティが必要になるため、契約条件は慎重に確認し、自分に合った本部を選ぶことが大切です。

50代女性の起業で成功しやすい人の特徴

50代からの起業は、豊富な経験や人脈を活かせる強みがある一方で、体力や環境面での配慮も必要になります。成功している50代女性起業家には共通した特徴がありますので見ていきましょう。

経験を活かす発想ができる

50代までの人生経験を起業に反映できる人は、事業を軌道に乗せやすくなります。たとえば、長年の職務経験で得た専門スキルを生かしてコンサルティング業や講師業を始める、主婦としての知識を生活支援ビジネスに転用するなど、自身の過去を無駄にせず活用する姿勢が成功につながります。経験には「仕事としての実績」だけでなく、「人生の中で培った知恵や対応力」も含まれます。それを価値として届けようとする視点があるかどうかが大きな分かれ目です。

小さく始めて柔軟に対応できる

50代からの起業で成功している人の多くは、いきなり大きな投資をせず、スモールスタートから段階的に事業を育てています。無理のない規模で始め、失敗から学びながら改善を重ねていく柔軟さがあることが特徴です。最初から完璧な計画を目指すよりも、まずは行動し、市場の反応を見ながら進めるタイプの方が結果として長く続きやすい傾向があります。また、トレンドや社会の変化に応じてサービスを見直したり、デジタルツールを積極的に取り入れたりする姿勢も成功につながっています。

人とのつながりを大切にできる

人間関係を丁寧に築いてきた50代女性は、その信頼関係を起業にも活かすことができます。かつての同僚や取引先、地域コミュニティでの知人など、これまでに築いてきた人脈が、起業の最初の顧客や応援者になるケースは多くあります。さらに、起業後も孤立せずに、同じ立場の仲間や支援機関とつながろうとする姿勢は、精神的な安定にもつながるポイントです。人に助けを求めたり、アドバイスを素直に受け入れたりする柔軟さが、結果として経営の幅を広げる要因になります。

学び続ける姿勢がある

起業の世界は、業種や規模にかかわらず常に変化しています。ITやSNSの活用は多くの業種で必須となっており、苦手意識を乗り越えて新しいことを学ぶ姿勢が成功につながります。50代で成功している女性起業家の多くは、必要に応じて講座やセミナーに参加し、わからないことを放置せず積極的に吸収しています。「もう年だから」と諦めず、「学べばできる」と考える前向きなマインドセットがあることが大きな特徴です。時代の変化に合わせてアップデートできる力が、継続的な成長の原動力となります。

50代女性起業家が直面しがちな課題と乗り越え方

50代で起業を考える女性は、豊かな経験や人脈といった強みを持っていますが、同時に年齢特有の課題に直面しやすいのも事実です。ここでは「健康・体力」「デジタル環境への適応」「家庭との両立」という3つの観点から、よくある悩みと乗り越え方を整理します。

健康と体力に配慮しながら働く

50代になると、加齢による体力の低下や健康不安が顕在化します。起業初期はやるべきことが多く、無理をして体を壊すケースも少なくありません。生活習慣病などのリスクが高まる年代でもあるため、定期的な健康診断を受け、不調の兆しには早めに対処することが欠かせません。業種選びも重要で、長時間の立ち仕事や重労働が必要な飲食業などは避け、自宅やオンラインでできる軽労働型のビジネスを選ぶことで、身体的な負担を軽減できます。

また、若いスタッフや外部委託サービスを活用して負荷を分散する、マネジメント業務に専念するなど、役割を明確にすることで体力に見合った働き方が実現できます。現代ではリモートワークやデジタルツールが発達しているため、在宅での起業も現実的です。何よりも「無理をしすぎない」意識を持ち、自分の体調に寄り添った事業運営が成功への近道になります。

デジタルスキルを習得し変化に対応する

現代の起業環境では、SNSやWebサイトの活用、キャッシュレス決済など、さまざまなデジタル技術が欠かせません。50代の女性にとって、これらのITツールに慣れることは一つの壁となることがありますが、「年齢的に難しい」と諦める必要はありません。基本的なパソコンスキルやSNSの活用法は、初心者向けの講座やセミナー、自治体のサポートで十分に習得可能です。最近では、シニア向けのスマホ・パソコン教室やオンライン講座も充実しており、地域の商工会議所でも個別指導が受けられる機会があります。

また、ITに強い知人や家族のサポートを受けることも一つの手段です。加えて、起業する分野によっては、市場ニーズや業界トレンドの変化にも目を向ける必要があります。例えば、ネットショップを始めるならSEOやSNSマーケティングの知識が欠かせませんし、飲食業ならばフードデリバリーやオンライン予約の導入も視野に入れたいところです。「知らないことを人に聞ける素直さ」を持ち、新しい知識を吸収し続ける姿勢が、変化に対応し、持続的に事業を成長させるための力になります。

家庭との両立と支援体制を整える

50代女性は、家庭内でもさまざまな役割を担っていることが多く、家事・介護・配偶者の健康問題・子どもの独立など、複雑なライフイベントと起業準備が重なりがちです。起業によって生活リズムが変化し、家族との調整が必要になる場合もあります。こうした状況を乗り越えるには、まず家族に起業の目的やスケジュール、期待する協力内容をしっかりと説明し、共通の理解を得ることが重要です。たとえば、夫や子どもに家事の一部を担ってもらう、介護については兄弟姉妹で役割を分担する、必要に応じて外部の家事代行や介護サービスを活用するなど、「すべてを一人で抱え込まない」ことを意識しましょう。

また、精神的な支えとして、信頼できる起業仲間や先輩経営者の存在も大切です。女性起業家同士は共感しやすく、悩みや経験を共有し合えるため、起業家仲間づくりは孤独感や不安を和らげる効果があります。さらに、創業支援機関や地元のビジネス交流会などを活用し、困ったときに相談できる「外のネットワーク」を持っておくことも、長く事業を続けるうえで心強い支えになります。

50代女性起業家の資金調達・事業計画のポイント

50代での起業は、豊富な経験や人脈を活かせる反面、資金面や老後の生活とのバランスを考慮した慎重な準備が欠かせません。ここでは、資金調達と事業計画づくりにおけるポイントを解説します。

無理のない資金計画を立てる

50代で起業する際は、退職金や貯蓄を元手にする人も多いですが、老後の生活費を圧迫しない範囲で資金を投じることが基本です。日本政策金融公庫がまとめた「女性による新規開業の特徴」では、女性起業家の平均開業資金は約744万円とされていますが、実際には半数以上が500万円未満のスモールスタートで起業しています。まずは「最低限必要な初期費用」と「数ヶ月分の運転資金」を試算し、自己資金と外部資金のバランスを見極めましょう。開業後すぐに収益が安定するとは限らないため、半年から1年分の生活費を別に確保しておくと安心です。

参考:女性による新規開業の特徴

公的融資や補助金制度を活用する

資金が不足する場合には、日本政策金融公庫の「女性、若者/シニア起業家支援資金」などの公的融資制度を活用する方法があります。この制度は55歳以上の女性も対象で、通常の融資よりも低金利で利用できるほか、一定の要件を満たせば無担保・無保証人で借り入れも可能です。また、創業時に使える補助金としては、商工会議所が提供する「小規模事業者持続化補助金」や、自治体が提供する創業助成金などがあります。これらは返済不要の資金であり、販路開拓や設備投資費用の補填に役立ちます。申請には事業計画書の提出が求められるため、早めに準備を始めましょう。

参考:新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)
参考:小規模事業者持続化補助金について | 中小企業庁
参考:創業助成金(東京都中小企業振興公社)|融資・助成制度

事業計画書はわかりやすく現実的に

事業計画は、資金調達のためだけでなく、自分自身の「経営の地図」になります。計画書には「どんな商品・サービスを、誰に、どのように提供するか」「いくらで販売し、どれくらい利益が出るのか」を具体的に記載します。また、競合との差別化ポイント、開業初年度の収支予測、集客手段なども明示しておく必要があります。50代女性の事業には、これまでの経験や生活背景からくる「説得力のあるストーリー」があるため、それを盛り込むことで信頼性が高まります。書き慣れない場合は、商工会議所や創業支援センターなどの無料相談を活用すると良いでしょう。

50代から経験を活かして自分らしい起業に挑戦しよう

今、50代女性による起業が増えています。家事や子育て、職場での経験を経て、「自分の強みを活かして働きたい」と考える方が新たな一歩を踏み出しています。成功している方の多くは、スモールスタートで始め、人とのつながりを大切にしながら、学び続ける姿勢を持っていることが特徴です。起業には健康や家庭とのバランス、ITへの対応といった課題もありますが、工夫とサポートを活用すれば乗り越えられます。

「何か始めたい」と思った今こそが、行動のタイミングです。50代から人生の新しいステージを切り拓いてみましょう。


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