- 作成日 : 2025年3月27日
個人経営のコンビニは法人化すべき?メリット・デメリットや方法を解説
コンビニを経営するなら個人事業主、法人どちらのほうがよいのでしょうか。両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、個人事業主としてコンビニを経営されている方、あるいはこれからコンビニの開業を考えられている方のために、法人化のメリット・デメリットや法人設立までの流れについてご紹介します。
目次
個人経営のコンビニは法人化すべき?
コンビニは個人事業主でも経営することは可能です。しかし、状況によっては株式会社や合同会社といった法人として経営したほうがよい場合もあります。まずは法人化を検討すべきケースについて考えてみましょう。
個人事業主のフランチャイズ加盟と法人契約の違い
コンビニを経営する場合、個人もしくは株式会社や合同会社などの法人が大手コンビニフランチャイズ本部とフランチャイズ契約を締結するのが一般的です。特に街で見かける大手チェーンのコンビニは大多数がこの方式で運営されています。
多くのフランチャイズ本部では、個人でも法人でもフランチャイズ契約が可能です。ただし、一部のコンビニチェーンでは法人のみを対象とした契約プランを用意している場合もありますので、そのプランで契約したい場合は法人化する必要があります。
コンビニチェーンはエリアを拡大するため、法人個人問わずフランチャイザーを募集しています。特にこれから開業される方は、まずは個人としてフランチャイズ契約を締結してから法人化するといった流れでも問題ありません。
コンビニオーナーが法人化を検討すべきタイミング
個人事業主のコンビニオーナーが法人化を検討すべきタイミングとしては、所得が増えたときが挙げられます。個人事業主は所得税を支払わなければならず、税率は5~45%の範囲で所得(売上から経費を差し引いたもの)に応じて決まる累進課税が導入されています。一方、法人の場合は法人税が科せられ、税率は原則として23.2%です。
所得が低いうちは所得税のほうが税率は低いものの、所得が高くなると法人税のほうがむしろ税率が低くなるという逆転現象が起こります。所得が800万円を超えている方は法人税のほうが安くなる可能性があります。
また、新しい店舗を展開する際も、法人化を検討するタイミングです。詳しくは後述しますが、融資を受ける際、人材を採用する際には法人のほうが有利です。複数の店舗を経営することで所得金額も上がる可能性があります。
法人化を検討すべきタイミングについては以下の記事でさらに詳しくご紹介しています。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気のガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
会社設立時に決めることチェックリスト
「会社設立時に決めることチェックリスト」では、会社設立の基本事項や、株式会社・合同会社別の決めることチェックリストなどを、1冊にまとめています。
図解でカンタンにまとめており、完全無料でダウンロードいただけます。
補助金をまるっと理解!会社設立時の補助金ガイド
補助金の概要や各制度の内容に加え、会社設立直後の企業でも使いやすい補助金や実際の活用事例などについてまとめました。
「使えたのに知らなかった!申請が漏れてた!」といったことを防ぐためにも、会社設立時の資金調達方法の一つとしてお役立てください。
法人成り手続きまるわかりガイド
初めて法人成りを考える方に向けて、法人成りの手続きや全体の流れ、個人事業の整理方法など、必要な情報をわかりやすくご紹介したガイドです。
多くの個人事業主の方にダウンロードいただいておりますので、ぜひお気軽にご利用ください。
起業家1,040人への調査でひも解く!先輩起業家が一番困ったことガイド
マネーフォワード クラウド会社設立では、会社設立の経験がある方1,040名に対して、会社設立に関する調査を実施しました。
先輩起業家が悩んだ部分や、どのように会社設立を行ったかを、定量的に分析していますので、ぜひご活用ください。
個人経営のコンビニを法人化するメリット
個人事業主のコンビニオーナーが法人化することで、主に以下のようなメリットが得られます。
社会的信用が上がる
組織として事業を営む法人のほうが社会的信用を得やすいでしょう。銀行で融資やローンを利用する場合でも、多くの資金を借り入れられるため、審査に通過しやすいと言われています。また、人材を採用する場合でも、法人として募集したほうが「しっかりとした企業が経営している」という印象を与えられ、有利に働く可能性があるでしょう。
節税効果が得られる
前述の通り、所得金額が高ければ個人事業主として所得税を支払うよりも、法人として法人税を支払ったほうが税負担を軽減できる可能性があります。また、計上できる経費の幅が広がり、住居費や出張手当、生命保険、福利厚生費なども計上することが可能です。
消費税の納税が2年間免除される
新たに法人を設立する場合、設立1期目と2期目は免税事業者となる可能性があります。インボイス制度が導入され、特に免税事業者がインボイス登録事業者となった場合、負担が重くなります。期間限定ではありますが、法人化によって税負担を軽減することが可能です。ただし、この措置はその課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者が対象となります。なお、基準期間(前々事業年度)のない新設法人の設立1期目および2期目の扱いは原則として資本金の額で判定されます。
個人経営のコンビニを法人化する際の注意点
コンビニを法人化することでさまざまなメリットが得られますが、以下の注意点についても理解が必要です。
コストや手間がかかる
詳しくは後述しますが、法人を設立するためにはさまざまな手続きを行わなければなりません。必要書類を作成して公証役場や法務局に出向かなければならず、手間がかかります。また、法人登記をする際に支払う登録免許税などの手続きにサポートを受けた際には、司法書士などの専門家に報酬を支払う必要があります。
社会保険料の負担が増大する
法人化した場合、従業員の人数など、一定の条件を満たせば健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険に加入義務が生じます。健康保険と厚生年金保険は原則として労使折半で支払い、雇用保険は労使で負担割合が異なり、労災保険は事業主が全額負担します。これにより、毎月の費用負担が増大する可能性があります。
事務作業が増える
法人になった場合、法人税申告書や決算書を作成しなければなりません。所得税の確定申告書よりも複雑になるため、事務作業の負担も重くなります。法人税申告書や決算書の作成には専門的な知識が必要であり、税理士などの専門家に依頼するケースも生じます。
個人経営のコンビニを法人化する方法・流れ
コンビニを経営している個人事業主が法人化するまでには以下のような準備を行う必要があります。
会社の基本事項を決める
まずは事業の目的や称号、本店の所在地、資本金の額などの会社概要を決めます。また、どのようにコンビニを経営していくか、売上や経費、利益はどれくらい見込めるかといった事業計画を立てましょう。
定款を作成し認証を受ける
定款とは会社の基本的なルールを定めた文書です。上記で決定した称号、事業目的、本店所在地、設立に際して出資される財産の価格、発起人の氏名や住所などを記載します。作成後は公証役場で公証人による認証を受ける必要があります。
法人設立登記を行う
定款の認証を受けたあとは、法務局に出向いて法人設立登記手続きを行います。定款、登記申請書、登録免許税の収入印紙を貼付した台紙などの必要書類を準備します。
法人名義の銀行口座を開設する
法人登記が完了したら銀行で法人名義の銀行口座を開設しましょう。会社のお金を適正に管理できるようになる、会社の信用度が高まるなどのメリットがあります。
社会保険の加入手続きを行う
法人の場合は、従業員を雇用するなど一定の条件を満たせば、社会保険の加入が必須となります。所定の期日までに年金事務所や労働基準監督署、ハローワークに手続き書類を提出します。
法人化の詳しい流れや手続きについては、以下の記事でさらに詳しくご紹介しています。
コンビニが繁盛したら法人化も検討してみよう
法人化するためには手間や費用がかかりますが、節税効果が得られる、社会的信用が向上するなど、さまざまなメリットが得られます。特にコンビニ経営が軌道に乗って多くの利益が得られるようになった、多店舗展開を計画している、または従業員を雇用したいというオーナーは、法人化を検討されてみるのもいいかもしれません。
また、これからコンビニを開業される方は個人事業主からスタートされるかと思いますが、将来的には法人化することも視野に入れてみましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会社設立の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
赤字でも法人化は得?税金の免除やデメリット、タイミングをわかりやすく解説
事業が赤字でも、青色申告の繰越欠損金や社会的信用の向上を目的に法人化を選ぶケースはあります。適切に設計すれば、将来の税負担軽減や資金調達のしやすさといったメリットを活かせます。 一方で、赤字でも発生する地方税(均等割)や社会保険の強制適用な…
詳しくみる法人登記の印紙代はいくら?0円や半額にする方法も解説
法人登記の際には、収入印紙でも納付することができる「印紙代」と呼ばれる費用が発生します。この印紙代には、主に「定款の印紙税」と「登録免許税」があり、それぞれ性質が異なります。 特に、会社設立時にかかる紙の定款作成での印紙税4万円は、電子定款…
詳しくみる年収2,000万円で個人から法人化すると何が変わる?違いを解説
個人事業主が法人化を検討する目安は、年収2,000万円を超えたときです。法人化により計上できる経費が増え、節税できるなどのメリットがあります。ただし、社会保険への加入で負担が増えるといったデメリットもあることは把握しておきましょう。 本記事…
詳しくみるハンドメイド作家はいつ法人化すべき?売上目安としない方がいいケース
ハンドメイド作家の法人化は、売上が800万円を超えたら検討するケースが多いですが、個人事業主としてのメリットを活かす方が得策な場合もあります。 本記事では、節税や社会的信用度向上のポイント、そして法人化しない方がいいケースも含め、最新の法規…
詳しくみる土地活用の法人化とは?節税効果やデメリット、年収の基準、法人設立の手順
アパート経営や駐車場経営などで土地活用をしている個人は、所得が増えると所得税額の負担が気になってくるものです。土地活用の法人化も視野に入ってくるでしょう。土地活用の法人化は有効なのか、法人化のメリットやデメリット、法人化の手順などを解説しま…
詳しくみる法人化や法人登記にはいくらかかる?会社形態別の費用を解説
会社を設立して法人化するには、株式会社で約20万~25万円、合同会社なら約6万~10万円の費用がかかります。これらの金額は、ご自身で手続きを進める場合に必要となる法定費用の目安であり、司法書士などの専門家に依頼するかどうかで総額は変わります…
詳しくみる


