- 作成日 : 2025年3月7日
医療機器の取引に許可は必要?必要書類や手続きのまとめ
人々の健康や病気治療に関わるのが医療機器です。なお、医療機器取引は誰でもできるわけではなく許可を得る必要があります。
本記事では医療機器取引の許可について紹介します。「製造業」「製造販売業」「販売業」など、業種による許可の違い、申請から許可までの流れを確認しましょう。
目次
医療機器の取引に許認可は必要?
医療機器は「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等」と、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)で定義されています。
病院のレントゲン装置のようなものだけでなく、身近にあるコンタクトレンズや体温計など医療機器とされるものは、非常に多岐にわたっている点が特徴です。
なお、医療機器は人の健康や病気治療に深く関わるものになるため、取引に関しても許可が必要です。
医療機器取引の流れや許可について次章以降で確認しましょう。
医療機器取引の種類
医療機器取引には以下のようなものがあります。
- 製造業
- 製造販売業
- 販売業
- 貸与業
- 修理業
それぞれの特徴を押さえましょう。
製造業
医療機器を製造する業種のことです。製造業としての許可のみの場合、製造だけを行い、販売や貸与は行えません。
製造販売業
自社で製造した医療機器を市場に出荷することができます。他社製造の医療機器、輸入した医療機器を出荷することも可能です。ただし、出荷のみで医療機関などへの販売はできません。
また、製造販売業の許認可だけでは医療機器製造はできません。さらに、製造販売業者は製品に問題があった場合の製品回収も請け負うことになります。
販売業
医療機器製造販売業が出荷した医療機器を、医療機関などへ販売する業種です。医療機関への提案、使用法の案内なども行います。
貸与業
医療機器製造販売業が出荷した医療機器を医療機関などへ貸与する業種です。販売業同様、医療機関への提案、使用法の案内なども行います。
修理業
医療機器が破損・劣化した場合、本来の状態に戻すための修理を請け負う業種です。故障が発生しないよう、定期点検も請け負います。ただし、清掃や消耗品交換のみの場合、修理業の許可は不要です。
医療機器製造業の登録
医療機器製造業の登録について、必要書類と手続きの流れを押さえましょう。
必要書類
医療機器製造業の登録申請を行う場合、申請書類以外に以下の書類が必要です。
| 書類名 | 注意点 |
|---|---|
| 登記事項証明書(登記簿謄本) | 原本 申請日から6カ月以内に発行されたもの |
| 業者コード登録票 | 正式な申請前に提出する場合もある |
| 責任技術者の雇用契約書の写し または使用関係を証する書類 | 責任技術者が申請者の場合は不要 |
| 責任技術者・製造管理者の 資格を証明する書類 | 製造する医療機器の種類により、 証明書類が異なる |
| 製造所の場所を明らかにした図面 | 最寄り駅から製造所までの地図 建物の配置図 |
| 製造所の平面図 | 製造所の範囲が分かるもの |
| 他の製造業の許可登録を受けている場合は 該当する製造業の許可証・登録証 |
提出部数は自治体により異なりますので、事前に確認しましょう。
手続きの流れ
登録申請の手続きの流れは、以下の通りです。
- 登録要件や資格要件など、必要事項について確認するため、都道府県の担当者に事前相談します。
- 業者コードを取得します。
- 登録申請書を手数料とともに提出します。手数料は都道府県によって異なります。
- 都道府県による書面審査・実地審査が行われます。
- 問題がなければ、登録証が発行されます。
医療機器製造販売業の許可
医療機器製造販売業の許可について必要書類と手続きの流れを確認しましょう。
必要書類
医療機器製造業には、以下の3種類があります。
| 種類 | 製造販売できる医療機器 |
|---|---|
| 第一種医療機器製造販売業 | ・高度管理医療機器(クラス3、4) ・管理医療機器(クラス2) ・一般医療機器(クラス1) |
| 第二種医療機器製造販売業 | ・管理医療機器(クラス2) ・一般医療機器(クラス1) |
| 第三種医療機器製造販売業 | ・一般医療機器(クラス1) |
許可申請の際は、申請書以外に以下の書類が必要です。
| 書類名 | 注意点 |
|---|---|
| 登記事項証明書 (登記簿謄本) | 原本 申請日から6か月以内に発行されたもの |
| 業者コード登録票 | 正式な申請前に提出する場合もあります |
| 製造販売責任者の資格を証明する書類 | 薬剤師など |
| 事務所の場所を 明らかにした図面 | 最寄り駅から製造所までの地図 建物の配置図 |
| 事務所の平面図 | 事務所の範囲が分かるもの |
| 組織図 | |
| 保管設備に関する図面 | |
| 製造販売業の許可証の写し | すでに製造販売業の許可を受けている場合、 取得している全ての製造販売業許可証の写し |
提出部数は自治体により異なりますので、事前に確認しましょう。
手続きの流れ
許認可申請の手続きの流れは、以下の通りです。
- 許可要件や資格要件など、必要事項について確認するため、都道府県の担当者に事前相談します。
- 業者コードを取得します。
- 許可申請書を手数料とともに提出します。手数料は都道府県によって異なります。
- 都道府県による書面審査及び実地調査が行われます。
- 問題がなければ、許可証が発行されます。
医療機器販売業の許可や届出
医療機器販売業の場合、「一般医療機器」であれば、手続きは不要です。ただし、一般医療機器であっても「特定保守管理医療機器」の場合、そして「高度管理医療機器」の場合は許可が必要になります。
管理医療機器を扱う場合
管理医療機器販売業の届出の場合、自治体が定めた申請書類以外に「営業所の平面図」を添付してください。営業所ごとの届出が必要です。
なお、管理医療機器販売業の届出を保健所で受け付ける自治体もあります。事前に必ず確認してください。
上記以外にも、必要に応じて他の添付書類が必要な場合があります。詳しくは届出をする自治体のホームページなどで確認しましょう。
高度管理医療機器や特定保守管理医療機器を扱う場合
高度管理医療機器や特定保守管理医療機器の許可申請の場合、自治体が定めた申請書類以外に「登記事項証明書」、「営業所管理者の資格を証明する書類」および「営業所の平面図」を添付してください。営業所ごとの申請が必要です。
管理医療機器同様、高度管理医療機器や特定保守管理医療機器の許可申請を保健所で受け付ける自治体もあります。事前に必ず確認しましょう。
必要に応じて他の添付書類が必要な場合がある点も管理医療機器と同じです。
医療機器修理業の許可
医療機器修理業の許可申請をする場合、申請書以外に必要な書類は以下の通りです。手数料と一緒に提出します。事業所ごとに許可申請が必要です。
なお、清掃のみ、消耗部品交換のみの場合は、申請は不要です。
| 書類名 | 注意点 |
|---|---|
| 登記事項証明書(登記簿謄本) | 原本 申請日から6カ月以内に発行されたもの |
| 責任技術者の雇用契約書の写し又は使用関係を証する書類 | |
| 責任技術者の雇用契約書の写し又は使用関係を証する書類 | |
| 構造設備の概要一覧表 | |
| 事業者の構造設備に関する書面 | 案内図、建物の配置図、事業所の平面図、保管設備の詳細図、修理用機械器具一覧表、試験検査用機械器具一覧表 |
| 他の試験検査機関もしくは 試験検査設備所有者との契約書(写) あるいは利用証明書 |
他の申請同様、提出部数は自治体により異なりますので、事前に確認しましょう。
医療機器は取引の種類によって許可が違う!どの申請が必要か押さえておこう!
医療機器の許可は業種により申請書類が異なります。また、都道府県や保健所など申請先が異なる場合もありますので事前に確認しましょう。営業所・事業所ごとに申請が必要な場合もありますので、気をつけてください。
各都道府県では、申請の前に事前相談も受け付けています。申請条件を満たしているかだけでなく、必要書類についても確認できますので、申請時に不備がないよう事前相談を利用してください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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