- 更新日 : 2024年4月22日
事業計画書の作成は代行できる?費用や相場、選び方を解説
融資を受ける場合などに求められる事業計画書の作成は代行してもらえます。事業計画書の代行は、日本政策金融公庫などで公開されている計画書の例を見てもうまく作成できないときに便利なサービスです。この記事では、事業計画書の作成代行の相場や依頼先、選び方、メリット・デメリット、自分で作成する場合のポイントを解説します。
目次
事業計画書の作成代行とは?
日本政策金融公庫や民間の金融機関などで融資を受ける場合、事業計画書の提出が求められます。また、補助金の申請などでも事業計画書の提出が必要になることがあります。
事業計画書の作成代行は、事業内容をヒアリングの上、事業者に代わって事業計画書を作成するサービスです。作成代行をする業者によっては、資金調達のアドバイスや審査時の面談のサポートを行っていることもあります。
事業計画書の作成代行の依頼先や選び方
事業計画書の作成は、事業計画書の作成代行を受け付けている個人の専門家や法人であれば依頼できます。依頼先として考えられる代表的な組織や専門家の特徴は次の通りです。
税理士 | 税の専門家で申告納税制度をサポートする役割を担っています。税理士に依頼するメリットは、税の専門家のノウハウにより、資金調達に効果的な事業計画書を作成してもらえることです。 |
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公認会計士 | 公認会計士は会計・監査の専門家です。財務情報の検証を主な仕事としており、企業分析に強みがあります。税理士登録を行えば税務業務も行えるため、複数の視点から事業計画書が作成できます。 |
弁護士 | 弁護士は法の専門家です。法廷での弁護や紛争予防などを主な仕事としています。法的な視点で事業計画書を作成してもらえるほか、サービスによっては契約時のサポートを受けられるのが特徴です。 |
中小企業診断士 | 中小企業診断士は、中小企業の経営状況について診断した上で、経営課題の助言を行う専門家です。中小企業の経営を診断するプロの視点で事業計画書を作成してもらえるメリットがあります。 |
民間コンサルタント | コンサルタントは、情報を収集・分析した上で、企業の抱える課題について改善策を提案する専門家です。事業計画書の作成を依頼したい場合は、経営コンサルや資金調達コンサルなど、経営や資金調達に知見のあるコンサルタントに依頼します。 |
商工会 | 商工会は、商工会法に定められた中小企業をサポートする組織です。主に町村の区域で活動を行っています。事業計画書作成のためのアドバイスやサポートを受けられます。 |
商工会議所 | 商工会議所は、商工会議所法に定められた中小企業をサポートする組織です。主に市の区域で活動を行っています。商工会同様、事業計画書作成のアドバイスなどが受けられます。 |
事業計画書作成のサポートを受けられる依頼先を紹介したところで、依頼先やサービスの選び方を紹介します。
【選び方】1.作成にどのくらい時間がかかるか
作成を依頼する専門家や会社によって、事業計画書作成にかかる期間は異なります。融資などのスケジュールもあるため、作成に要する時間やスケジュール上問題がなさそうかを確認しておきましょう。急ぎの場合は、作成期間が短くても丁寧に対応してもらえるサポートが充実しているところを選ぶのがおすすめです。
【選び方】2.実績はどうか
融資実績などが公開されていれば、これまでの通過率(採択率)や融資に成功した業種なども確認しておきましょう。実績が確認できないときは、経営革新等支援機関に認定されているかどうかも参考になります。経営革新等支援機関制度は、専門的知識や支援の実務経験が一定以上の個人や法人などを認定する制度です。
【選び方】3.作成の目的に合っているか
融資を受けるために事業計画書を作成するのか、補助金の採択に向けて事業計画書を作成するのか、作成の目的で重視すべき部分は異なります。作成の目的を満たせる専門家や機関であるかも確認しておきましょう。
事業計画書の作成代行の費用や相場
事業計画書の作成代行の料金体系には、固定報酬型、固定報酬+成功報酬型、完全成功報酬型があります。
固定報酬型では、事業計画書の作成に関する報酬額が決まっています。12万円~15万円程度が相場です。
固定報酬+成功報酬型は、固定報酬に加え、融資などに成功したときに成功報酬も発生する料金体系です。固定報酬は、固定報酬型と比べてやや低めに設定される傾向にあります。成功報酬部分の料金は、資金調達金額の1~3%程度が目安です。
完全成功報酬型は、融資などに成功した場合にのみ料金が発生する仕組みです。資金調達金額の3~5%が成功報酬の目安になります。
事業計画書の作成代行を依頼するメリット
事業計画書の作成代行を利用するメリットを紹介します。
メリット1.作成に時間を割かなくて済む
十数ページ以上に及ぶ事業計画書の作成やブラッシュアップには時間がかかります。事業規模などにもよりますが、20~50時間、場合によっては100時間以上費やして、ようやく完成することもあります。作成代行を利用すれば基本的に自社で作成せずに済むため、時間の節約になるでしょう。事業計画書作成以外のほかの業務にも注力できます。
メリット2.資金調達に強い
事業計画書の作成代行のサービスを提供する専門家や機関は、採択に関するノウハウを持っています。データをどのように扱うと効果的か、どのように構成すると相手に伝わりやすいか、計画に実現可能性があるかなどの重要なポイントを把握しているのが強みです。ポイントを押さえて丁寧に作り込んでもらえるため、資金調達の採択率を上げられる可能性があります。
メリット3.ビジネスプランを明確にできる
事業計画書の作成代行を利用すると、第三者の客観的な視点で作成してもらえます。見落としていた部分などを洗い出すことができるため、ビジネスプランの見直しができるほか、プランをより明確なものにできるでしょう。
事業計画書の作成代行を依頼するデメリット
事業計画書の作成代行を依頼するデメリットを紹介します。
デメリット1.コストがかかる
事業計画書の作成代行を利用するデメリットは、社内で作成する場合にはかからないコストが発生することです。サービスによっては、成功報酬が発生するものもあります。
成功報酬は、採択されたときに契約時に提示された報酬を支払う仕組みです。成功報酬は、資金調達額に対する割合(5%など)で決まっていることが多く、資金調達できた額の一部を成功報酬として支払うことになるため、全額を設備投資などの目的に充てられないデメリットもあります。
デメリット2.依頼先で仕上がりに違いがある
依頼する専門家や機関によって仕上がりの質が左右されるのもデメリットです。質のよくない事業計画書だと、計画書の仕上がりが原因で、融資が下りなかったり、補助金の採択が受けられなかったりする可能性があります。
事業計画書を自分で作成する場合のポイント、無料テンプレート
事業計画書は必ずしも作成代行サービスを利用して作成する必要はありません。社内でも作成できます。事業計画書を社内で、または経営者自ら作成するメリットはコストがかからないことです。作成代行を利用する場合に必要な固定報酬や成功報酬を気にせずに作成できます。
なお、自分で作成する場合は、金融機関などの第三者が目にすることを考慮して、要点を整理して作成することが重要なポイントです。また、事業計画書では実現可能性も重要視されるため、必要な情報は詳細に記載するようにしましょう。
数値を記載する際も注意が必要です。予想値などはその根拠が問われることがあります。数値が現実的であるか説明できるようにするためにも、根拠となるデータを集めておくことも重要です。
また、事業計画書を一から作成すると重要な部分が漏れてしまう可能性もあります。必要な事項が記載されたテンプレートや事業別のテンプレートを利用するのもおすすめです。
▼基本的な事業計画書はこちらよりダウンロードできます。
▼事業別のテンプレやパワーポイント形式のテンプレートもご用意しています。ぜひご活用ください。
必要に応じて事業計画書の作成代行の検討を
融資や補助金の申請などで必要な事業計画書の作成は代行サービスを利用して作成できます。業者のノウハウを持って手間なく事業計画書を用意できるのはメリットです。しかし、依頼することで十数万円、場合によっては資金調達額に対しても成功報酬が発生することがあります。事業計画書作成のアドバイスのみ受けることもできるため、自社のリソースに応じて利用を検討されるとよいでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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