- 更新日 : 2025年8月1日
ジムを開業・経営する方法は?必要な資格や初期費用、失敗しないポイントも解説!
トレーナーや選手の経験がある方、スポーツが得意な方は、経験や特技を活かしてジムを開業するのもよいかもしれません。今、特にパーソナルジムが話題となっており、成功すれば大きな利益を得られる可能性もあります。
今回はジムを開業する方法やメリット、開業までの流れや手続き、必要になる資金など、ジムの開業に役立つ情報をお届けします。
目次
ジムの経営は儲かる?儲からないと言われる理由は?
ジムの経営は儲からないと言われることがありますが、果たしてどうなのでしょうか?現状は、他の業種と同じく儲かっているジムもあれば儲かっていないジムもあります。
儲からないと言われているのは、初期費用が高く、回収までに時間がかかるなどの理由があるからです。しかし、ジムの現状を見ていくと、上手に経営すればジムは儲かることがわかります。ここでは、ジムの経営の現状について見ていきましょう。
ジムの市場規模
はじめに、ジムの市場規模を見ていきましょう。
経済産業省が公表している「特定サービス産業動態統計調査」には、さまざまな業種の売上等の情報が記載されています。その中にはフィットネスクラブの情報も公開されています。
2024年の「特定サービス産業動態統計調査」によると、フィットネスクラブ業界の売上高は、2022年が約2,682億円、2023年が約2,784億円、2024年が約2,910億円と年々増えてきています。フィットネスクラブの利用者も2022年が約2億1,041万人、2023年が約2億1,768万人、2024年が約2億2,660万人とこちらも年々増加しています。
また、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営している「J-Net21」が2023年に公表したフィットネスジム/パーソナルトレーニングの市場調査データによると、今後の利用意向において、全体の30.7%の人が「ぜひ利用したい」または「どちらかと言えば利用したい」と回答しました。このことは、今後さらなる需要が見込まれることを示しているといえるでしょう。
出典:特定サービス産業動態統計調査|経済産業省、「18.フィットネス」
市場調査データ フィットネスジム/パーソナルトレーニング|中小企業基盤整備機構
ジムの収益モデル
ジムの多くは、月額定額制をとっています。ジムの売上構造は「会員数×平均客単価×契約継続率」です。会員数と客単価、継続率の3つは、ジムの経営を行ううえでとても重要な要素です。
ただし、客単価を上げすぎて継続率が低くなってしまうと、売上は減ってしまいます。逆に客単価を下げすぎると継続率は高くなりますが、最終的な売上が減少する可能性もあります。つまり、バランスを考えたうえで3要素の数字を想定しなければいけません。
このほか、登録時に受け取る登録料収入などもあります。また、ジムに食堂や売店が設置されていれば、それらの売上もあります。
経費には、人件費や家賃、水道光熱費などの固定費と、仕入や広告宣伝費などの変動費があります。売上からこれらの経費を差し引いた残りが、ジムの利益になります。
ジム経営者の年収の目安
ジム経営者の年収は、店舗の規模や提供しているサービスの内容などによってさまざまです。儲かっているジムもあれば、儲かっていないジムもあります。
一般的には、ジム経営者の年収の目安は500万~1,000万円程度と言われています。
ジムを開業・経営する方法は?
ジムを開業する方法としては大きく分けて、「個人で起業する」と「フランチャイズに加盟する」という2種類があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
個人で起業する方法
個人開業では誰にも頼らずジムを一からつくりあげていきます。屋号名も自分で決め、独自の方法で経営し、設備や料金形態、集客などについても自分で考えて運営していきます。
後述するフランチャイズでは加盟金やロイヤリティを支払う必要がありますが、個人開業の場合はそれが不要となるため、開業資金やランニングコストを抑えられること、そして自由に自分のジムを経営・運営できることがメリットです。
一方で、フランチャイズ本部からのサポートが受けられないため、経営や運営の難易度が高いことと、独自のブランドで商売をしなければならないため、知名度が低く集客が難しいといったことがデメリットといえます。
フランチャイズに加盟する方法
フランチャイズ本部に加盟して加盟金やロイヤリティを支払い、本部のブランド名やノウハウを使って商売をする方法です。
大手企業や有名企業の看板を使えるため集客がしやすいことと、経営や運営のサポートが受けられるため未経験者でも成功できる確率が高いというのがメリットといえます。
一方で、フランチャイズ本部に加盟する際には加盟金を支払い、さらに毎月売上の一部をロイヤリティとして支払わなければならないため、開業資金とランニングコストが高額になることと、本部の方針やルールに従って運営しなければならないため、経営の自由度が低くなってしまうということがデメリットです。
ジムを開業・経営するまでの流れ・手続きは?
ここからは、ジムを開業・経営するまでの流れや手続きについて見ていきましょう。
ジムの経営コンセプトを決める
ジムを開業・経営するためには、まず経営コンセプトを決める必要があります。
コンセプトとは簡単にいうと、どのようなジムにしたいかということです。コンセプトが決まれば、ターゲット層や提供サービスが決まり、ジムのアピールポイント決定やブランディング強化につながります。
例えば、ターゲット層が主婦層なのかOLなのか、会社帰りのサラリーマンなのかによって、営業時間や提供サービス、設備などが異なります。後の立地の設定や内装工事やマシンの導入にも関わってくることなので、最初にしっかりと経営コンセプトを決定することが重要です。
事業計画書を作成する
次に、事業計画を立てましょう。どのような形態のジムを開業するのか、どんなコンセプトを打ち出すのか、どのような客層を狙うのか、どれくらいの料金設定にするのか、どのように経営・運営していくかを決めます。
マネーフォワード クラウドでは、パーソナルジムで使える事業計画書テンプレートをご用意しています。無料でダウンロードいただけるので、ぜひカスタマイズしてご活用ください。
開業資金を調達する
開業資金についても考えなければなりません。ジムを開業するためにいくら必要なのかを試算し、資金を集める方法についても検討します。融資を受ける際には、事業計画書を作成して金融機関からの融資を受けなければなりません。
立地を選定し、物件を契約する
開業資金の目処が立ったら出店地域を選定し、物件を契約します。ジムの開業で重要なのは立地です。対象となる見込み客が多くいる地域で、かつ通いやすい場所を選ぶ必要があります。
内装工事やマシンの導入を行う
物件の所有者と賃貸借契約もしくは売買契約を締結したら、店舗をつくりあげていく工程に入ります。内外装工事を行い、設備や什器備品を導入していきます。同時にホームページやチラシを作成して集客も行わなければなりません。スタッフを雇うのであれば、採用活動や研修も必要です。
また、後述しますが税務署や市区町村役場や保健所、消防署への届出もしなければなりません。
集客や採用活動を行う
工事と手続きが完了したら、いよいよオープンです。SNSやインターネット、ポスティングなどの広告を使って集客を行います。また、同時にトレーナーなどの採用活動も進めていきます。
開業届などの書類を提出する
ジムを開業する際、特別な資格は不要ですが、自治体などに届出をしなければなりません。個人事業主の場合は税務署に「開業届」、都道府県税事務所に「個人事業開業申告書」を提出します。また、必要に応じて所管する消防署や都道府県庁、市区町村役場に届出を出します。
例えば、食品を扱う場合は「営業許可申請」、シャワー室を設置する場合は「公衆浴場法営業許可申請」を保健所に提出します。
ジムを開業・経営するために必要な資格は?
結論から言うとジムを開業する際には特に資格や免許は必要ありません。無資格でもジムを開業することは可能です。ただし、「日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー」や「NSCA認定パーソナルトレーナー」といったトレーナーの民間資格の取得や、フィジーク、フィットネス、ボディビルの大会に参加し、受賞すれば、見込み客から「知識がある人が指導してくれそう」「効果が得られそう」と思われ、集客が有利になる可能性があります。特に、パーソナルジムを開業する場合は、資格を取得されるのがおすすめです。
ジムを開業・経営するために必要な初期費用は?
ジムの開業を考えられている方にとって大きな関心ごとの一つは開業費用です。いったいどのくらいの費用でジムを開業できるのでしょうか?そしてどのような費用がかかるのでしょうか?ここからはジムの開業費用の目安と内訳について見ていきましょう。
ジムの開業費用の目安
ジムの開業費用は、さまざまな要素により異なります。例えば、店舗の規模や開業形態(個人開業かフランチャイズか)、立地や設備に影響を受けます。一般的には、小規模なジムであれば300~500万円、大規模なものだと2,000~3,000万円ほどが目安です。そのほかにも、フランチャイズの場合は加盟金が必要となり、相場は100~400万円程度です。
ジムの開業費用一覧
ジムの開業資金の内訳としては物件の取得費用、設備費用、工事費用、顧客管理を行うためのシステム費用、宣伝広告費などが挙げられます。加えてフランチャイズで開業する場合は、前述のとおり加盟金も必要です。
これらの費用は工夫することで抑えることもできます。例えば、設備費用は中古のマシンを購入する、自重トレーニングを中心としたジムを開業するといった方法で抑えることが可能です。廃業したジムの物件を使えば、工事費も抑えることができるかもしれません。
ジムを開業・経営するための資金調達方法は?
ジムを開業するための資金調達の方法としては「自己資金を使う」「融資を受ける」「フランチャイズの開業補助を使う」という3種類があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
自己資金
自分で貯めたお金を開業資金にあてるという方法です。自由にお金が使える、返済に追われることがないといったメリットがある一方で、資金を貯めるまでに時間がかかるというデメリットもあります。後述する融資を利用する場合においても、自己資金によって借り入れ限度額も変わってくるため、ある程度用意しておくことが大切です。
融資を受ける
銀行や信用金庫などの金融機関や日本政策金融公庫から融資を受けることでも開業資金を調達することができます。
ジムに限らず新しく事業を始める際に融資で資金調達をする経営者も多く、資金調達の方法としては一般的です。
すぐに開業資金が準備できる、自己資金がなくても開業できるというのがメリットといえます。一方で、審査があり基準を満たしていないと借り入れができないことと、毎月返済をしなければならず利子も支払わなければならないことがデメリットです。
フランチャイズの開業補助
フランチャイズで開業する場合、フランチャイズ本部によっては開業資金の支援を受けることも可能です。前述のとおり、有名店舗のブランドを使える、開業までのサポートが受けられる、経営や運営のノウハウを教えてもらえるなどのメリットも得られます。
加盟金やロイヤリティを支払う必要がありますが、特にはじめて開業される方はフランチャイズへの加盟も検討してみても良いかもしれません。
ジムの開業・経営で陥りやすい失敗は?
次に、ジムの開業・経営で陥りやすい失敗を見ていきます。
競合と差別化できていない
ジムの市場は拡大を続けています。そのため、競合他社との差別化ができていないと、集客や売上の低下につながります。
ジムを安定経営するためには、最新のトレーニング機器や独自の機器の設置、栄養指導などのサービスの提供などの独自性を出し、競合他社と差別化を図ることが重要です。
資金計画が不十分
一般的に、ジムの経営は軌道に乗れば原価率を抑えやすいと言われています。しかし、資金計画が不十分の場合は、ジム経営であっても資金不足に陥ることがあります。
資金不足に陥ると、必要な設備を導入できず、経営が失敗する可能性もあります。特に、開業当初は初期投資に係る融資の返済などもあるので、しっかりとした資金計画を立てることが重要です。
継続的な集客ができない
ジムの売上を維持するためには、継続的な集客が必須です。継続的な集客ができない要因の一つが、ターゲット層へのアピールがうまくできていない点です。
若年層や会社員などがターゲットであれば、SNSやインターネットなどを使って情報を発信します。高齢者であれば、新聞広告やポスティングなどを使うのも良いでしょう。ターゲット層や立地に応じた適切な方法で情報を発信しましょう。
田舎ならではのニーズに対応できていない
競合他社が少ない、広告料などの経費の金額が安いなどの理由で、田舎でジムを経営する人も増えています。しかし、田舎は都会に比べて人口が少ないため、その地域のニーズに対応しなければうまく集客ができません。
例えば、地域によっては都会のように運動不足の解消のニーズよりも、健康管理のニーズが高いケースもあります。このような場合、器具だけ置いたジムを設置しても、高い集客は期待できません。集客をするためには専用のトレーナーを付けることや、栄養管理のサービスを提供することなどが必要です。
このように、田舎ならではニーズに対応できるかどうかが成功のカギとなります。また、地域貢献を行うなど、地元の住民と仲良くしておくことも田舎では重要です。
ジムの開業・経営に成功するためのポイントは?
ジムを開業するからには成功して多くの利益を手にして、長く経営を続けていきたいものです。そこで、最後にジムの開業に成功するためのポイントを4つご紹介します。
事業計画をしっかりと立てる
ジムに限らず、ビジネスを始めるにあたって事業計画は非常に重要です。せっかくジムを開業したとしても、売上が立たなかったり運転資金が枯渇してしまったりしては、事業を継続することができません。
なぜ開業するのか、どのようなコンセプトのジムを開業するのか、他のジムと比べてどのような優位性があるのか、将来性はあるのか、どれくらいの収益を見込めるか、そして計画が本当に実現できるものなのかを考えて事業計画書としてまとめてみましょう。
特に、融資を受ける場合は金融機関に事業計画書を提出して審査を受けなければならないため、事業計画の策定は必須です。
ターゲットに合わせた立地
ジムは店舗ビジネスであるため立地が非常に重要です。定期的に通う場所なので、いくらコンセプトが素晴らしく、サービスがいいジムでも、通いにくい立地にあったのでは集客が見込めません。
駅の近くや幹線道路沿いなど通いやすい状態であるのか、そのエリアの人口はどれくらいなのか、どんな人が住んでいるのか、見込み客はいるのか、どのような移動手段を使っているのかなど、さまざまなことを考慮しなければなりません。
そのうえで、物件の取得費用も鑑みながら物件選びを行う必要があります。
適切な値段設定
値段設定もジムを経営するうえでは重要です。会費が高すぎると当然会員が集まりにくくなります。逆に安すぎると出費が売上を上回り、利益がほとんど出なくなってしまいます。まずは周辺の相場を調査し、それからかけ離れないよう値付けする必要があります。
また、適正な値段を設定するためにも、ジム運営にかかる毎月のコスト(賃料や光熱費、人件費、設備費用など)を算出しておくことが大切です。
戦略的な集客
会員が集まらなければ売上は得られません。特に、開業直後のジムや個人経営のジムは知名度が低いため、積極的に集客を行う必要があります。集客の方法にはホームページやインターネット広告、SNS、チラシ、新聞・雑誌広告、看板など、さまざまなものがあります。
例えば、若年層向けのジムであればインターネットを使った集客方法が、中高年向けであればチラシや新聞、雑誌広告などの紙媒体の集客方法の方が効果はあるかもしれません。ただし、ネットだけ、チラシだけではなく、両方をバランス良く取り入れていくことが大切です。また、店舗ビジネスであるため看板や電柱広告なども使い、ジムがあることを周知させる必要があります。
加えて、集客媒体のデザインやキャッチコピーなどのクオリティも非常に重要となってきます。必要に応じてWeb制作会社や広告代理店などのプロの力も借りてみましょう。
ポイントを押さえてジム開業の成功という結果にコミットしよう
今回はジムを開業する方法や流れ、届出や費用についてご紹介しました。考えるべきことややるべきことが多くてハードルが高いと思われるかもしれません。しかし、人々の健康志向が強くなり、それにともなってジムの需要も伸びてきていますので、競合との優位性を打ち出せれば十分に成功する余地はあります。
ぜひ、今回ご紹介したポイントも意識しながら、ジム開業の成功という結果にコミットしてみましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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