- 作成日 : 2022年12月16日
定年後に起業するシニア起業が人気?成功させる方法や注意点を解説!
これまで勤めてきた職場で再雇用してもらって働き続ける、別の会社に再就職する、完全にリタイアして余暇を楽しむなど、定年後の過ごし方はさまざまです。そうした中、最近では定年後に起業をする「シニア起業」をされる方が増えてきました。シニアの方が起業することにはさまざまな利点がある一方で、リスクも少なからずあります。
今回は定年後に起業するメリット・デメリットや事業を成功させるためのポイント、注意点などをお伝えします。
目次
定年後に起業するシニア起業とは?
シニアとは、定年を迎える年代から上の人のことを指します。多くの企業では60歳もしくは65歳が定年となっていますが、まだまだ元気で「働きたい」「社会と関わりを持ちたい」という方も少なくありません。また、平均寿命が延びる中で増税や年金支給額の減額などで可処分所得が減り、将来に不安を持たれているシニアの方もいるでしょう。そこで、注目されているのが定年後に起業する「シニア起業」です。
長年サラリーマンとして企業などに勤められてきた方が、第二の人生では「経営者」という立場になり、自分でビジネスを立ち上げてそれをまわしていく。これがシニア起業です。
定年後に起業するメリットは?
起業というとベンチャー企業やIT企業など、経営者が有能で若い方が多いイメージがあるかもしれません。しかし、シニアの方にはシニアの方にしかない強みがあります。ここからは定年後に起業するメリットについて考えてみましょう。
これまでの経験や人脈を活かせる
シニアの方にあって若い方にないもの。それはこれまでに培った経験や人脈です。40年近く社会人生活をしてきた経験の中で得たノウハウや知識、技術、あるいは仕事や日常生活で築いてきた交友関係は、起業する際には強力な武器になります。
例えば、営業畑を歩まれてきた方なら、起業をしても持ち前の営業力と人脈ですぐにお客様を獲得でき、事業を軌道に乗せられる可能性があります。経理や財務の経験があれば、しっかりと会社の状況を分析しながら地に足が着いた経営ができるでしょう。
年齢に関係なく働ける
定年後に再雇用をされたとしても、生涯働くことは困難です。いずれ職場を去る日が来ることもあるでしょう。一般的にシニアになれば、再就職は困難になります。
起業して自分が経営者として仕事をすれば、定年はありません。生涯現役で働き続けることができ、社会とのつながりや収入を保つことができます。
また、定年後にリタイアをして仕事をしなくなった結果、張り合いがなくなり、気力を失ってしまう方も少なくありません。適度に仕事を続けることで、心身の健康にもつながります。
定年後に起業するデメリットは?
さまざまなメリットがあるシニア起業ですが、デメリットも少なからずあります。ここからは、定年後に起業することで起こり得るデメリットについて考えてみましょう。
失敗したときのリスクが大きい
起業は必ず成功するとは限らず、起業には多かれ少なかれリスクが伴います。若い方であれば失敗したとしても他の事業に挑戦したり、再就職して一からやり直したりすることで挽回できる可能性もあります。しかし、シニアになるとできることが限られてくるため、挽回が難しいのが現実です。特に退職金を全て使ったり借金をしたりして起業した結果失敗した場合、取り返しがつかないことになりかねません。
再就職が難しくなる
再就職が難しくなってしまうのもシニア起業のデメリットでしょう。例えば、退職して起業をしたあとに「やっぱり前に勤めていた会社のほうがよかった」「会社員のほうが安定している」と思ったとしても、なかなか戻ることはできません。他の会社に就職するにしても採用される可能性は若い方と比較すると格段に低くなってしまいます。
特に、起業に失敗し財産を全て使ってしまったり借金をしたりした場合、再就職もままならなければ収入がなくなってしまいます。
定年後に起業を成功させる方法とは?
定年後の起業で大成功を収める人と失敗している人とでは、大きな違いがあります。成功している人には成功するなりの理由があるのです。
ここからは定年後の起業で成功する可能性を高めるためのポイントを3つご紹介します。
準備を入念に行い、事業計画をしっかりと立てる
何事も準備が必要です。航海するときにはしっかりと船の整備や食料、日用品の積み込みなどの準備をして、ルートや天候を見極めながら計画を立てなければなりません。起業もそれと同じです。準備や計画が不足していると、資本主義という荒波にすぐに飲まれてしまいます。
特に重要なのは事業計画です。事業の目的や理念、事業内容、商品やサービスの強み、売上の見込み、必要となる経費、想定される収益、資金調達計画などを文書として書き出してください。これが事業を運営する上での指針となり、金融機関から融資を受ける際には事業計画書の提出が求められます。
他にも物件を調達する、事業に必要な設備や備品をそろえる、商材や材料を仕入れる、集客して見込み客を獲得しておくなど、準備することはさまざまあります。
「段取り八分」という言葉がありますがまさにその通りで、入念に計画と準備を進めなければ成功はありえません。
自分の経験や知識、人脈を活かせるビジネスモデルを構築する
シニアの方の最大の武器は、ご自身の経験や知識、人脈です。これらを最大限に活かせるビジネスモデルを構築することで、有利なフィールドで戦うことができます。
例えば、営業の経験があるのであれば商社や営業代行サービス、コンサルタント会社を起業することで、ご自身のノウハウや人脈が活かせる可能性があるでしょう。出版社や新聞社で働いていた方なら、フリーランスのライターや編集者として仕事を請け負ったり、編集プロダクションを立ち上げたりすることで成功できるかもしれません。学校の先生をされていたのであれば、学習塾や習い事教室を開けば教師としての経験を活かすことができます。
このように、まずはご自身のこれまでの経験が最大限活かせる方向性で考えてみましょう。
リスクを取りすぎず堅実に経営を継続させる
シニア起業は、失敗すると取り返しがつかないことになりかねません。例えば、まったく未経験で知見もない業種で起業をすると失敗する危険性が高くなります。そのため、ある程度経験や知識がある業種で起業されることをおすすめします。
お店を開く場合は、いきなり広い物件で開業したり多店舗展開したりすると賃料や設備費がかかって赤字が続くおそれがあります。まずは自宅で開業する、一店舗でこぢんまりとした物件で徐々に顧客を獲得していくというようにスモールスタートを切り、軌道に乗ったら移転するか新店舗を構えるというように、徐々に規模を拡大していくことが、事業を長続きさせるポイントです。
定年後に起業するときの注意点は?
起業は、今後の将来を大きく分ける分岐点です。事業の成否によって老後の生活が大きく変わります。ここからは、シニア起業の際に注意すべきポイントについて見ていきましょう。
開業資金と老後資金を計算する
まず大切なのは「お金」について考えることです。「起業するためにいくら必要なのか」ということはもちろん、「老後暮らしていくためにはいくら必要になるのか」といったこともしっかりと計算しておきましょう。
退職金や貯金を全て事業につぎ込み、それでも足りず借金をして運転資金にまわした挙げ句、事業に失敗して路頭に迷うことになってしまったというケースもあります。老後に生活をしていくために必要な最低限の資金は残した上で開業しましょう。
家族や周囲の人に相談する
シニア起業は、ご自身の今後の人生はもちろん、ご家族や周囲の人にも大きな影響を与える可能性があります。配偶者や子どもがいきなり「明日から開業するから」と聞かされた場合、びっくりして不安に思われてしまいます。
繰り返しになりますが、起業はリスクがつきまとうものです。失敗すればご自身だけでなくご家族にも影響が及ぶ可能性が極めて高いでしょう。起業をするという意志が固まった段階で、ご家族や周囲の方に相談してください。
難色を示されるケースもあるかもしれません。その場合は起業したい気持ちや事業計画、今後の見通しなどを誠心誠意説明して合意を得られるよう心がけましょう。逆に相談することで起業に対して好意的に捉えられ、協力が得られる可能性もあります。
シニア起業で第二の人生を歩むこともできる
人生100年時代。第二の人生を「経営者」として自分で道を切り開いていくという生き方も魅力的です。起業すれば収入が得られ、社会との関わりを保ちながら、心身の健康にもつながります。サラリーマンとは違ったやりがいが感じられ、成功すればもうひと華咲かせることができます。老後の選択肢の一つとして、検討してみてはいかがでしょうか。
一方で、起業にはリスクが伴います。シニア起業で失敗すると取り返しがつかないことにもなりかねません。なるべくご自身の経験や知識が活かせる方向性を模索し、計画と準備をしっかりする。そして、ご家族や周囲の人からの理解を得て、老後が破綻しない範囲で事業を進めていくことが大切です。
失敗する要因をなくしていくことこそが、成功への近道です。今回の記事も参考にしながら、起業も含めて老後の人生について考えてみましょう。
よくある質問
定年後に起業するシニア起業とは?
定年退職をしたシニア層(60歳以上)の方が、第二の人生として起業をすることを指します。詳しくはこちらをご覧ください。
定年後に起業を成功させる方法とは?
ご自身の経験や知識、スキル、ノウハウが活かせる業種で起業すること、事業計画と準備をしっかりと進めることが大切です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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