- 更新日 : 2021年5月6日
定款の記載事項の要点まとめ
定款の記載事項には「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3種類が存在し、必ず記載が必要な記載事項については、記載がないと定款自体が無効となってしまうので注意が必要です。今回は定款の記載事項についてまとめました。
定款とは?
定款とは、会社の目的や組織、運営はもちろんのこと、構成員や株主の地位などを定めた会社の根本規則、またはその書面のことを指します。定款の作成とはつまり、設立する会社の最重要事項を定めることです。会社設立の手続き上、すべての会社に義務付けられていますので、定款の作成は必須事項です。
会社の設立時には、会社設立の手続きを具体的に進める立場である発起人が定款を作成します。作成された定款は、発起人全員の署名または記名捺印(なついん)がなされ、さらに公証人の認証を受けることになります。そこまで完成してはじめて、定款に効力が生まれます。この、会社設立時に最初に作られた定款のことを「原始定款」と言います。
原始定款、現行定款とは?
会社の定款には、原始定款と現行定款の2種類があります。
原始定款は会社の設立時に作る定款で、公証人の認証を受け、その効力が生じたものになります。
現行定款とは、現在効力のある定款のことを言います。事業を運営していくにあたり、定款の内容を更新していかなくてはなりません。更新する場合は、株主総会の決議で定款の変更を決定できます。最初に作られる原始定款に対して、随時内容を更新していく定款が現行定款ということになります。
会社の定款というのは必要に応じて変わっていきます。現行定款は商号や本店の所在地、目的や役員が変わったり、増資を実行したりするなど、会社の実情が変化していくため、それに合わせて内容も変えていくのです。
定款に記載する事項とは?
定款に記載する事項には、絶対に定款に記載しなければならない事項と、定款に定めておかないと有効化されていない事項、自主的に定款に記載する事項の3種類があり、それぞれ「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」と言います。
絶対的記載事項
絶対的記載事項は、定款への記載が必須なものです。記載すべき項目は法律により定められており、ここに漏れがあると、定款そのものが無効となってしまいます。
絶対的記載事項は、以下の項目です。
※ 発行可能株式総数は、会社法第27条で定められた絶対的記載事項には含まれませんが、原子定款に記載をしなかった場合、会社設立(登記)までの間に、発起設立の場合には発起人全員が同意したうえで、定款に追記をしなければなりません。
ただ、実際に定款を作成する場合には、絶対的記載事項以外の項目、相対的記載事項と任意的記載事項についても記載するのが一般的です。
相対的記載事項
相対的記載事項は、定款に記載しなくても定款自体の効力は有効ですが、定款で定めておかなければ規則として効力が認められない項目です。たとえば、現物出資がある場合に、その項目を定款に記載していなければ、認められないことになってしまいます。
ほかにも、「株式の譲渡制限に関する定め」や「取締役等の任期の伸長」「公告の方法」といった項目があります。
任意的記載事項
任意的記載事項は、記載がなくても定款が無効になるわけではありませんし、また、定款に記載しなくてもその効力が否定されるわけではありません。会社が、自主的に定款に追加した事項を任意的記載事項と言います。定款に記載されると、法で定められた手順にそって変更する必要があり、規則として強い拘束力を発するようになります。ここで追加される項目は、法律に定められた範囲であれば、どんな項目でも認められるようになります。
任意的記載事項は、「事業年度」や「株主総会に関すること」などさまざまです。これらの内容は定款に記載されていなくても規則として有効になる、定款に記載することによってより拘束力を高めるといった目的があります。
まとめ
定款の作成は会社法などの知識が必要なため、会社設立の一連の作業の中でも時間がかかるものです。一度作成すると、変更には法で定められた手順が必要となることも大きなポイントです。これらの特徴をしっかり頭に入れて、慎重に作成を進めてください。
よくある質問
定款とは?
定款とは、会社の目的や組織、運営はもちろんのこと、構成員や株主の地位などを定めた会社の根本規則、またはその書面のことを指します。詳しくはこちらをご覧ください。
定款に記載する事項とは?
定款に記載する事項には、「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3種類があります。詳しくはこちらをご覧ください。
原始定款、現行定款とは?
原始定款は会社の設立時に作る定款で、公証人の認証を受け、その効力が生じたものになります。一方、現行定款とは、現在効力のある定款のことを言います。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
定款の関連記事
新着記事
訪問看護の創業融資を成功させるには?自己資金の目安や失敗を避けるポイントも解説
訪問看護事業を軌道に乗せるためには、事務所の確保、人材採用、車両の準備、運転資金など、開業初期にまとまった資金が必要となります。そこで重要になるのが創業融資です。 この記事では、訪問看護事業での独立開業を目指す方が、創業融資をスムーズに受け…
詳しくみる創業融資面談の正しい服装とは?日本政策金融公庫・銀行のチェックポイントを解説
「創業融資の面談、何を着ていけば良いのだろう…」そんな不安を抱えていませんか?実は、融資面談における服装は、あなたが思う以上に審査担当者の印象を左右し、時には融資の可否にも影響を与える重要な要素です。 この記事では、男女別・業種別の具体的な…
詳しくみる不動産担保ローンで賢く資金調達!メリット・デメリットから審査のポイントまで解説
個人にとっても法人にとっても、事業の成長、夢の実現、あるいは不測の事態への対応など、様々な場面で重要となる資金調達。数ある選択肢の中で、不動産をお持ちの場合に有力な手段となるのが「不動産担保ローン」です。 この記事では、不動産担保ローンの基…
詳しくみる法人化の売上分岐点とは?節税シミュレーションやあえて法人化しないケースも紹介
個人事業主として事業が軌道に乗り、売上や利益が伸びてくると、次に考えるのが「法人化」ではないでしょうか。 一般的に、ある一定の所得を超えると、個人事業主として所得税・住民税を支払うよりも、法人化して法人税等を支払う方が税負担を抑えられるケー…
詳しくみる登録免許税が半額に?創業支援制度を活用した会社設立ガイド【2025年最新版】
「会社を設立したいけれど、初期費用はできるだけ抑えたい…」創業を目指す多くの方が抱える悩みではないでしょうか。特に、会社設立時に必ず発生する「登録免許税」は、決して小さな負担ではありません。しかし、自治体が提供する「特定創業支援等事業による…
詳しくみる法人の代表者変更登記の手続きは?必要書類や費用、注意点まで徹底解説
法人の代表者が変わったら、法務局へその変更を届け出る「代表者変更登記」が法律で義務付けられています。この手続きを怠ると、過料の制裁や取引上の不利益を被る可能性も否定できません。 この記事では、代表者変更登記の具体的な手続きの流れ、必要書類、…
詳しくみる