作成日 : 2025年9月16日

立ち飲み屋を開業するには？失敗しない準備の手順から儲かる秘訣まで徹底解説

監修：中田宏樹（不動産証券化協会認定マスター / 2級ファイナンシャル・プランニング技能士）

省スペースで開業できる立ち飲み屋は、飲食店経営を目指す方にとって魅力的な選択肢です。しかし、何から準備すればよいのか、具体的な手順や必要な資金が分からず、一歩を踏み出せない方も多いでしょう。

この記事では、立ち飲み屋の開業で失敗しないためのポイントを明確にし、コンセプト設計から資格取得、物件選び、そして儲かる仕組み作りまで具体的に解説します。

立ち飲み屋の事業計画書・創業計画書のテンプレート

立ち飲み屋の事業計画書・創業計画書のテンプレートを無料で提供しています。ぜひご自由にダウンロードして活用ください。

無料でダウンロードする

立ち飲み屋を開業するメリット
- 省スペースで始められる
- 回転率が高い
立ち飲み屋が儲かる仕組み
立ち飲み屋オーナーの月収の目安
立ち飲み屋を開業するための具体的な手順
立ち飲み屋の開業でよくある失敗事例
立ち飲み屋の開業に成功するための秘訣
- お客様を惹きつけるメニュー戦略
- オンラインとオフラインを組み合わせた集客術
立ち飲み屋の開業を実現するために

立ち飲み屋を開業するメリット

立ち飲み屋の開業には、他の飲食店にはないメリットがあります。

省スペースで始められる

立ち飲み屋を開業する最大のメリットは、小さなスペースで始められる点です。一般的なレストランに比べて客席用のスペースが少なく済むため、都心部でも比較的家賃を抑えられます。厨房設備もコンパクトにでき、初期投資である物件取得費や内装工事費を圧縮可能です。

回転率が高い

立ち飲み屋のビジネスモデルは、顧客の滞在時間が短く、回転率が高い点が特徴です。席数が限られていても、お客様が次々と入れ替わることで効率的に売上を伸ばせます。仕事帰りに一杯だけといった短時間利用の需要を取り込みやすく、特に人通りの多い立地では強みを最大限に発揮し、安定した収益基盤を築くことが可能です。

立ち飲み屋が儲かる仕組み

立ち飲み屋が儲かる秘訣は、その収益構造にあります。利益率の高いドリンク類を売上の中心に据え、フードは調理に手間がかからず、原価を抑えられるスピードメニューを中心に構成します。これにより、人件費と原材料費をコントロールし、店全体の利益率を高めるのです。常連客を増やして売上を安定させ、無駄な経費を徹底的に削減することが重要です。

立ち飲み屋オーナーの月収の目安

立ち飲み屋オーナーの月収は、店舗の規模や立地、経営手腕によりますが、立ち飲み屋の月収は30万円から70万円が一つの目安とされています。

この収入を実現するには、売上から家賃、人件費、そしてメニューの仕入れ原価などを差し引いた利益を最大化する経営が求められます。

立ち飲み屋を開業するための具体的な手順

ここでは、立ち飲み屋の開業準備を計画的に進めるための具体的なステップを解説します。

1. コンセプト設計と事業計画の策定

まず、どんなお店にしたいのか、コンセプトを具体化します。ターゲット顧客、店の雰囲気、価格帯、看板メニューなどを決めましょう。コンセプトが決まったら、売上目標や資金計画を盛り込んだ事業計画書を作成します。

立ち飲み屋の事業計画書・創業計画書のテンプレート

立ち飲み屋の事業計画書・創業計画書のテンプレートを無料で提供しています。ぜひご自由にダウンロードして活用ください。

無料でダウンロードする

2. 開業に必要な資格の取得と届出

立ち飲み屋の開業には、以下の資格や届出が必須です。

食品衛生責任者
飲食店の営業許可を受けるために必ず必要な資格です。各都道府県の食品衛生協会が実施する講習会を受講すれば取得できます。
防火管理者
店舗の収容人数が30人以上の場合に必要となる資格です。規模に応じて甲種または乙種の講習を受ける必要があります。
深夜における酒類提供飲食店営業の届出
深夜0時以降もお酒を提供する場合、管轄の警察署へ提出が必要です。

計画的に準備を進め、早めに取得しておきましょう。

3. 開業資金の計画と調達

立地や設備の条件次第では、300万円程度の初期費用で始めることも可能ですが、一般的には400万〜500万円、多くの場合は1,000万円近くの費用も想定されます。

自己資金で不足する分は、日本政策金融公庫の創業融資や、地方自治体の制度融資などを活用します。融資審査では事業計画書の説得力が問われるため、綿密に作成しましょう。自身のブログなどで開業への想いや計画を発信し、熱意を伝えるのも一つの方法です。

4. 物件探し

初期費用を抑えるには、居抜き物件の活用が非常に有効です。前の飲食店の内装や設備を流用できるため、工事費用と準備期間を大幅に削減できます。

物件を探す際は、立地や広さだけでなく、厨房設備や給排水、排気などの状態を専門家と一緒に細かく確認することが重要です。また、前の店の評判も調査し、もしマイナスイメージがあれば払拭する戦略も考えておきましょう。

立ち飲み屋の開業でよくある失敗事例

魅力的な立ち飲み屋ですが、計画不足から失敗に至るケースも少なくありません。よくある失敗事例から、成功のための対策を学びましょう。

コンセプトの曖昧さ
誰に、何を、どのように提供するのかが不明確だと、メニューや内装に一貫性がなくなり、お客様の心に響きません。ターゲット顧客を絞り、店の個性を明確にすることが重要です。
立地選定のミス
ターゲットとする客層がいない場所や、人通りが極端に少ない場所では集客に苦労します。駅からの距離や周辺の環境を徹底的に調査しましょう。
資金計画の甘さ
開業資金だけで手一杯になり、開業後の運転資金が不足するケースは非常に多いです。最低でも3ヶ月分、できれば半年分の運転資金を用意しておくと安心です。
集客の軽視
美味しい料理と良い雰囲気だけでは、お客様は来てくれません。SNSでの発信や地域との繋がり作りなど、開店前から計画的に集客活動を行う必要があります。

立ち飲み屋の開業に成功するための秘訣

立ち飲み屋の成功事例には、お客様を惹きつける共通の秘訣があります。

お客様を惹きつけるメニュー戦略

繁盛している立ち飲み屋はメニューに明確な強みがあります。店の看板となる名物料理と、注文後すぐに提供できるスピードメニューをバランス良く揃えることが基本です。ドリンクもただ安いだけでなく、希少な日本酒やクラフトビールを揃えるなど、付加価値を意識しましょう。

オンラインとオフラインを組み合わせた集客術

店主の人柄や店のこだわりが伝わるSNSでの情報発信は、集客において重要です。また、一度来店してくれたお客様との会話を大切にし、居心地の良い空間を提供することで、リピーターや口コミの輪が広がります。オンラインとオフラインの集客を組み合わせ、お店のファンを増やしていきましょう。

立ち飲み屋の開業を実現するために

立ち飲み屋の開業は、情熱だけでなく、一つひとつの具体的なステップを着実にクリアしていくことで実現します。この記事で紹介した、コンセプト設計、資格取得、資金計画、物件探し、そして繁盛店に学ぶ成功の秘訣は、あなたの計画を強力に後押しするはずです。

失敗事例からリスク管理を学び、成功事例からヒントを得て、あなただけの魅力的なお店を創造してください。適切な準備と戦略があれば、立ち飲み屋開業の夢は、確かな成功へと繋がります。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修：中田宏樹（不動産証券化協会認定マスター / 2級ファイナンシャル・プランニング技能士）
1984年生まれ。大学卒業後、大手金融機関にて資産運用やファイナンス分野の新規事業企画、法人向けコンサルティングに従事し、多くの企業や個人の資産形成・経営支援に携わる。現在は、ファイナンシャルプランナーとして、保険・投資・相続を中心に、一人ひとりの人生に寄り添った資産形成をサポートする一方で、起業や独立を志す方に対する事業計画の策定、資金調達、経営基盤づくりまで一貫した包括的な支援や、大手企業に対する新規事業企画・開発、DX推進、マーケティング戦略策定などにも幅広く携わり、理論と実務の両面から成果創出に向け伴走支援している。
「数字の裏にある想いを大切に」「金融をもっと身近に、経営をもっと戦略的に」を信条に、金融・不動産・デジタルの知見を備えた実務経験に基づき、信頼と成果につながる実践的な情報を分かりやすくお届けします。