- 作成日 : 2025年8月29日
薬局を開業するには?必要な準備や費用を解説
地域医療の重要な担い手である薬局。自らの手で理想の薬局を立ち上げることは、薬剤師にとって大きなやりがいと可能性に満ちた挑戦です。
この記事では、開業までの準備のスケジュールや気になる開業資金など、知っておくべき情報をまとめました。
目次
薬局の開業とは?
薬局開業とは、医薬品の調剤や販売を行う薬局を新たに設立することを指します。薬局は医療機関と連携しながら、地域住民の健康を支える重要な役割を担います。
薬局開業には薬剤師の資格有無によって大きく2つのパターンがあり、それぞれ異なる要件と手続きが必要です。
薬剤師資格がある場合
薬剤師資格を持つ場合、自身が管理薬剤師として薬局を運営できます。この場合、薬局開設許可申請を行う際に、開設者と管理薬剤師が同一人物となるため、手続きがスムーズに進みます。
薬剤師資格者の開業では、調剤薬局として医療機関からの処方箋に基づく調剤業務を中心に据えることが可能です。また、一般用医薬品(OTC医薬品)の販売も行えるため、幅広い事業展開が期待できます。
薬剤師資格がない場合
薬剤師資格を持たない場合でも、薬局開業は可能です。ただし、必ず管理薬剤師を雇用する必要があります。管理薬剤師は薬局の運営に関する全責任を負い、医薬品の管理や調剤業務を監督する重要な役割を担います。
この場合、開設者は経営面に集中し、薬剤師である管理薬剤師が専門的な業務を担当する分業体制となります。管理薬剤師の確保は開業の成功に直結するため、信頼できる人材の確保が重要です。
薬局開業に必要な準備
薬局開業を成功させるためには、事前の綿密な準備が欠かせません。ここでは開業に向けた主要な準備項目について詳しく解説します。
事業計画の策定
開業前に、詳細な事業計画を作成することが重要です。立地選定、競合分析、収益予測、資金調達計画などを含む包括的な計画を策定しましょう。
立地選定では、医療機関との距離、住宅地の人口密度、交通アクセスなどを考慮します。特に調剤薬局の場合、近隣の医療機関との連携が収益に直結するため、慎重な立地選定が必要です。
資金調達
薬局開業には相当な初期投資が必要です。自己資金だけでは不足する場合、金融機関からの融資や投資家からの出資を検討する必要があります。
日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金や、地域の信用金庫・銀行の事業融資などが利用できます。融資申請時には、事業計画書の提出が必要となるため、説得力のある資料作成が求められます。
許可申請の準備
薬局開設許可申請に必要な書類の準備を進めます。申請書類には、開設者の資格証明書、管理薬剤師の薬剤師免許証、薬局の構造設備業務体制の概要などが含まれます。
また、薬局の構造設備は薬機法に定められた基準を満たす必要があります。調剤室、待合室、相談室の設置、適切な換気設備、セキュリティ対策などが求められます。
人材確保
管理薬剤師をはじめとする薬局スタッフの確保は、開業準備の重要な要素です。管理薬剤師は薬局運営の要となるため、経験豊富で信頼できる人材を選定することが重要です。
調剤事務スタッフについても、レセプト業務や患者応対など専門的な知識が必要となるため、経験者の採用や事前研修の実施を検討しましょう。
薬局の開業費用
薬局開業に必要な費用は、立地や規模によって大きく異なりますが、一般的な費用項目と相場について説明します。
初期投資費用
薬局開業の初期投資は、物件や設備規模により数百万円~3,000万円程度と大きく幅があります。都心部の中規模店舗では1,000万円~2,000万円が目安となるケースが多いです。
主な初期投資項目には、物件取得費用(敷金・礼金・仲介手数料)、内装工事費、設備購入費、初期在庫費用などがあります。
設備・機器費用
薬局運営に必要な設備・機器の購入費用は、物件規模や什器の内容によって500万円~1,000万円程度が一般的です。調剤台、分包機、薬品保管庫、レセプトコンピューター、各種測定機器などが必要となります。
近年では、電子薬歴システムやオンライン服薬指導システムなど、IT関連設備への投資も重要になっています。これらのシステム導入により、業務効率化と患者サービスの向上が期待できます。
運転資金
開業後の運転資金として、3か月から6か月分の運営費用を確保することが推奨されます。人件費、家賃、光熱費、医薬品仕入れ費用などを含めて、月額200万円から500万円程度の運転資金が必要です。
特に開業初期は患者数が少なく、収益が安定しないため、十分な運転資金の確保が事業継続の鍵となります。
許可申請費用
薬局開設許可申請には、地域によって異なりますが、一般的に3万円前後の申請手数料が必要です。また、申請に必要な各種証明書の取得費用も発生します。
構造設備の適合性を確認するための事前相談や、申請手続きを専門家に依頼する場合は、追加費用も考慮する必要があります。
薬局開業の流れ
薬局開業は複数の段階を経て進められます。ここでは、開業決定から実際の営業開始までの具体的な流れを説明します。
事前準備・計画段階
開業の約1年前から準備を始めることが理想的です。この段階では、市場調査、立地選定、事業計画の策定、資金調達の準備を行います。
競合他社の分析や、周辺医療機関との連携可能性についても詳しく調査し、実現可能な事業計画を作成します。
物件確保・設計段階
開業の6か月前頃には、薬局の物件を確保し、内装設計を開始します。薬機法に適合した構造設備となるよう、専門業者と綿密な打ち合わせを行います。
この段階で、薬局の動線設計、待合室の配置、調剤室の設備配置などを決定し、患者にとって利用しやすい環境を構築します。
許可申請段階
物件の内装工事が完了に近づいたら、薬局開設許可申請を行います。申請から許可取得まで、通常1か月から2か月程度を要します。
申請時には、構造設備の確認検査が行われるため、薬機法の基準を満たしていることを事前に確認しておくことが重要です。
開業準備段階
許可取得後、医薬品の仕入れ、スタッフの採用・研修、各種システムの導入・設定を行います。また、近隣医療機関への挨拶回りや、地域住民への開業告知も重要な準備項目です。
保険調剤を行う場合は、地方厚生(支)局への保険薬局指定申請も必要となります。
営業開始
全ての準備が整ったら、いよいよ営業開始となります。開業初期は、患者や地域住民との信頼関係構築に重点を置き、丁寧な服薬指導と親身な対応を心がけることが重要です。
薬剤師が独立開業する場合のメリット・デメリット
薬剤師が独立開業を選択する際には、様々なメリットとデメリットがあります。これらを十分に理解した上で、開業の判断を行うことが重要です。
開業のメリット
薬剤師が独立開業する最大のメリットは、自分の理想とする薬局運営が実現できることです。患者一人ひとりに寄り添った丁寧な服薬指導や、地域密着型のサービス提供が可能になります。
経営面では、収益が直接自分の収入に反映されるため、努力次第で大幅な収入増加が期待できます。また、勤務時間や休日を自分で決められるため、ワークライフバランスの改善も図れます。
専門性の向上においても、様々な疾患や薬物療法に接する機会が増え、薬剤師としてのスキルアップにつながります。地域の医療機関との連携を通じて、医療チームの一員として活躍する機会も広がります。
開業のデメリット
一方で、独立開業には相応のリスクも伴います。経営責任が全て自分に集中するため、経営判断の誤りが事業の存続に直結します。特に医療制度の変更や競合他社の参入など、外部環境の変化への対応が重要になります。
初期投資や運転資金の確保に関する金銭的負担も大きな課題です。借入金の返済や設備投資により、当初は収入が不安定になる可能性があります。
業務面では、調剤業務だけでなく、経営管理、人事管理、在庫管理など多岐にわたる業務を担当する必要があります。これらの業務に対応するため、薬剤師としての専門業務に集中できない場合もあります。
また、開業後は24時間365日、薬局の責任者として対応する必要があり、精神的な負担も大きくなります。
地域の健康を支える薬局を開業しよう
薬局開業は、適切な準備と継続的な努力により、地域医療に貢献しながら安定した収益を得られる魅力的な選択肢です。
開業を成功させるためには、まず十分な市場調査と事業計画の策定が不可欠です。競合分析、資金計画、人材確保戦略を含む包括的な計画を立てることで、開業後の様々な課題に対応できる基盤を構築できます。
また、地域医療機関との良好な関係構築や、患者との信頼関係の醸成も重要な成功要因です。薬剤師としての専門性を活かしながら、地域住民の健康をサポートする姿勢を持続することが、長期的な事業発展につながります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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