- 作成日 : 2025年7月18日
主婦におすすめのプチ起業とは?人気の業種や始める準備について解説
「家事や育児と両立しながら、自分のペースで働いてみたい」「好きなことを活かして収入を得たい」そんな思いから、プチ起業を始める主婦が増えています。短時間・低資金で始められる点からも挑戦しやすく、在宅でできるビジネスや、家庭のスキルを活かせる仕事が人気です。一方で、起業に関する知識や収益への不安を抱える方も少なくありません。
この記事では、主婦に人気の起業分野や扶養内の働き方、始める際の準備などを紹介します。
目次
主婦によるプチ起業が増えている
近年、家事や育児の合間を活用して小規模なビジネスを始める主婦が増加しています。短時間勤務や副業的な起業は、女性の社会参加の新たな形として注目されており、市場の規模も年々拡大しています。ここでは最新の市場動向や、背景について詳しく見ていきます。
主婦を含む女性の起業が増加傾向
主婦を含む女性の起業は着実に増えています。日本政策金融公庫「2024年度新規開業実態調査」では、「女性の開業割合は25.5%」であり、新規開業者の約4人に1人が女性であるなど、女性の起業は活発化しています。
出典:~「2024 年度新規開業実態調査」アンケート結果の概要~
主婦層が多く含まれていることも特徴となっています。また、35歳以上で結婚や出産後に起業を始めるケースが多くを占めています。
短時間で働けるプチ起業が主婦に人気
最近では、フルタイムではなく週20〜35時間程度で事業を営む「プチ起業」が主婦に広まっています。この形態は女性比率が高く、副業や在宅ワークと組み合わせやすいため、働く人の約6%が副業を持つ中でも、女性の副業実施率は男性を上回っています。初期費用を500万円未満に抑えて開業する例も多く、小資本で気軽に始めやすい環境が整っています。
家庭との両立を求める働き方の変化
主婦によるプチ起業が広がった背景には、家庭と仕事を両立したいという主婦の働き方へのニーズが影響しています。起業を検討する女性の主な理由は「収入を増やしたい」ことが最多であり、「家事と仕事を両立させたい」「ゆとりを持ちたい」という回答も多く見られます。政府や自治体は女性の起業を支援していますが、一方で「起業のアイデアがない」「知識やノウハウ不足が不安」という声も少なくありません。こうした課題を解決するため、各種研修やネットワークづくりを通じたサポートが今後の課題となっています。
主婦に人気のプチ起業の業種
主婦が取り組むプチ起業には、自宅や日常生活を起点としたビジネスが多く見られます。家庭との両立がしやすく、自身の得意分野や経験を活かせるという点で、特定の分野に人気が集中しています。ここでは、主婦に支持されているプチ起業の主な業種と、背景にあるニーズや傾向を解説します。
個人向けのサービス業(料理・掃除・美容関連)
日本政策金融公庫の調査によると、主婦を含む女性の新規開業者に最も多いのが「個人向けサービス業」で、パートタイム起業家では21.9%を占めています。この分野には、飲食や美容、家事代行といった生活に密着したサービスが含まれており、日常の中で培ったスキルをそのまま活かせる点が特徴です。料理が得意な方はお弁当やお菓子の販売を、掃除や片付けが得意な方はお掃除代行業を、といったように、自身の経験がそのまま事業につながるケースが多く見られます。
また、美容や健康関連でも、アロマセラピーやネイルケア、リンパマッサージなどを学び、自宅の一室を活用して開業する例が多く、限られた時間と空間でリピーターを獲得する主婦も増えています。これらのサービスは、対面による信頼関係や丁寧な対応が求められるため、細やかな気配りができる主婦に向いている分野といえます。
ハンドメイドやネット販売など小売業
個人向けサービス業に次いで人気なのが、ハンドメイド作品やセレクト雑貨などを扱う小売業です。公庫の調査では、新規開業者のうち9.0%がこの分野で起業しており、minneやCreemaといったハンドメイドマーケットプレイスを利用するケースが目立ちます。クラフトや手芸が好きな主婦にとって、育児や家事の合間に作品を製作し、ネット上で販売できる環境は大きな魅力です。
2023年のCtoC‑EC市場全体は約2兆4,817億円に達しており、その中でハンドメイド関連のクラフト商品も成長が続いています。量産品では得られない温もりやストーリー性を求める消費者の支持を受け、自分のペースで無理なく働ける点が好まれています。職場を一時的に離れていた主婦が、自己実現の一環として「好きなことを仕事にする」場として選ぶ傾向があります。
家事・育児経験を活かしたサービス(家事代行・整理収納など)
主婦ならではの強みとして、家事や育児のスキルを活かしたビジネスも堅調です。家事代行やベビーシッター、整理収納サービス、育児相談といったサービスは、主婦経験を持つ起業家にとって取り組みやすく、利用者にとっても信頼感のある提供者となります。たとえば、育児中のママ向けに自分の経験をもとにベビーグッズのセレクト販売や育児アドバイスを行うサービスなどは、共感を得やすく、継続的なニーズも見込めます。
これらの事業は、時間の融通が利きやすく、少ない初期投資でも始められるため、家庭と無理なく両立したい主婦にとって理想的な選択肢となっています。自宅を拠点にすることで固定費を抑えられるのも大きなメリットです。さらに、口コミやSNSを通じて集客が可能な点も、主婦にとって参入しやすい環境を後押ししています。
このように、主婦のプチ起業は、ライフスタイルに合った分野で、自分のペースで働けることを前提にした選択が多く、低リスクで始められる点が成功の要因となっています。自宅や生活の延長線上で収益を生むモデルが中心となっており、今後もその傾向は続いていくと見られています。
プチ起業初期に直面しやすい課題と解決策
主婦がプチ起業を始めるとき、多くが直面するのが「情報・収益・集客」の3つの壁です。起業初心者にとって不安はつきものですが、それぞれの課題には対応策があります。
知識不足への不安
女性は男性に比べ、財務や仕入れ、販売に関する知識に不安を感じる割合が高いという調査があります。この不安は起業の足かせになりますが、自治体や金融機関のセミナー、商工会議所やよろず支援拠点などの無料相談を活用することで、必要な知識は段階的に補えます。また、オンライン講座や主婦同士の情報交換も効果的です。さらに、家族に起業の目的や予定を共有し、協力体制を整えておくことで、安心して準備が進められます。
収益に対する不安
「失敗して赤字になるのでは」といった金銭面の不安は大きな障壁になります。このリスクに備えるには、まず副業から始め、小さくテスト的に展開することが推奨されます。初期費用はできる限り抑え、自己資金の範囲で始めればリスクも限定できます。さらに、公的融資や補助金の活用により、負担を軽減することが可能です。月商目標や収支のシミュレーションを行い、収入ゼロの期間を想定して半年〜1年分の生活費を確保しておくと、安心して事業に集中できます。
集客の壁
商品やサービスの質が高くても、知ってもらえなければ売上にはつながりません。この課題を乗り越えるには、SNSを活用した情報発信が有効です。多くの女性起業家がInstagramやLINE公式アカウントを使い、顧客との接点を増やしています。さらに、ネットショップ開設やクーポン配布、紹介制度などを組み合わせると効果的です。
一方、リアルな集客では、マルシェや地域イベントへの出店、ママ友の紹介といった口コミが強力な武器になります。デジタルとリアルの両輪での工夫が、初期集客の安定につながります。
在宅で始める主婦のプチ起業に必要なツールと環境の整え方
主婦の方が家庭と両立しながらプチ起業を始めるうえで、「在宅でできること」は非常に大きなポイントです。在宅起業には場所の制約が少ない反面、自分で仕事環境を整える準備が欠かせません。ここでは、在宅での起業に必要なツールや環境構築のポイントを詳しく解説します。
パソコン・スマートフォンは最小限の必需品
在宅起業において、パソコンとスマートフォンは欠かせない基本ツールです。業種によってはスマートフォンのみでも対応可能な場合もありますが、作業の効率性や信頼性を考えると、ノートパソコンは準備しておくと安心です。文書作成や画像編集、会計処理、オンライン会議などをスムーズに行うには、ある程度のスペックが必要となります。
Wi-Fi環境も整えておくと作業効率が上がります。通信速度が遅いと、オンライン会議やECサイトの操作時に支障が出る可能性があるため、安定した回線の契約も検討しておきましょう。
作業スペースの確保と整理整頓
自宅の一角に専用の作業スペースを設けることは、仕事への集中力を高めるうえで大きな効果を発揮します。リビングやダイニングの一角でも問題ありませんが、業務用の書類や備品を整理しておける収納スペースも用意しておくと安心です。
また、作業机と椅子は長時間使用しても疲れにくいものを選ぶことが望ましく、できれば日中の自然光が差し込む場所を選ぶと、気分転換もしやすくなります。家庭内の生活空間と業務空間を明確に分けることで、仕事モードへの切り替えがしやすくなるという効果も期待できます。
業種に応じたツールと備品の準備
扱うビジネスによっては、パソコンやスマホ以外にも必要な備品があります。たとえば、ハンドメイド商品の販売を行う場合は、撮影用の照明や背景シート、梱包資材(封筒・ダンボール・緩衝材など)を揃える必要があります。また、写真編集用のアプリや販売プラットフォーム(minne、BASE、メルカリなど)の操作にも慣れておくことが求められます。
オンラインで講師業やカウンセリング業を行う場合は、Webカメラ付きのパソコンとヘッドセット、静かな環境を確保する工夫が必要です。ZoomやGoogle Meetなどのビデオ会議ツールの使い方に慣れておくことも大切です。
会計・スケジュール管理の仕組み
起業といっても在宅で行う以上、日常生活と業務の境界が曖昧になりがちです。そのため、スケジュール管理アプリ(GoogleカレンダーやNotionなど)を活用して、仕事の時間を明確に決めておくことが推奨されます。
また、開業届を提出する場合や副業収入が発生する場合には、会計記録も必要になります。クラウド会計ソフトを使えば、収支の記録から確定申告の準備まで効率的に管理できます。レシートの保管や取引の記録も、日頃から習慣化しておくと後で困りません。
家族との共有と理解を得る環境づくり
在宅で働く場合、家庭内の協力体制も成功のカギになります。仕事中に話しかけられたり、予定外の家事に追われたりしないように、あらかじめ「この時間は仕事に集中したい」と伝えておくことが大切です。家族との時間と仕事の時間をあらかじめ区切っておくことで、ストレスなく継続できます。
また、在宅であるがゆえに、家事や育児の合間に仕事が押し出されることもあります。そうしたときに無理なく対応できるよう、スケジュールに余裕を持たせたり、週ごとの目標を立てておくと、自分を責めずにバランスの取れた起業ライフが送れるようになります。
在宅プチ起業は、自分の暮らしに合ったスタイルで働ける柔軟性が魅力です。その反面、自ら環境を整え、仕組みを作ることが成功への第一歩となります。準備を怠らず、安心できる作業環境を整えることから始めてみましょう。
扶養内でできる主婦のプチ起業とは?税金と収入の境界線
主婦がプチ起業を検討する際、「扶養から外れないようにしたい」という希望を持つ方は少なくありません。税制や社会保険制度の仕組みを理解することで、扶養内でも安心して起業をスタートできます。ここでは、税金・社会保険における扶養の境界線と、枠内でできる起業のポイントを解説します。
扶養内の「税金」と「社会保険」は別の基準
まず知っておきたいのが、扶養には「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があることです。税金面では、配偶者控除の対象となる合計所得金額が「48万円以下」(年収に換算すると給与収入のみの場合は103万円以下)、配偶者特別控除の対象となるのは「133万円以下」(年収に換算すると給与収入のみの場合は201万円以下)です(夫の所得によって控除額は変動します)。事業所得の場合は、収入から必要経費を差し引いた「所得」で判断されます。
一方、社会保険の扶養は、健康保険と年金制度に関わるもので、一般的には「年収130万円未満」が基準となります。ただし、事業規模や従業員数などの条件によっては、年収106万円以上で社会保険への加入義務が生じるケースもありますので注意が必要です。この130万円は月収換算で約10万8千円であり、超えると健康保険や年金の保険料を自分で負担する必要が出てきます。
年間収入の目安を踏まえて起業を計画する
扶養の範囲内でプチ起業を続けるには、自分の年間売上や経費、所得をしっかりと見積もることが大切です。たとえば、ハンドメイド商品の販売やフリマアプリでの取引など、在宅でできるビジネスは少額から始めやすく、利益を抑えながらも一定の収入を得ることが可能です。売上が上がっても、必要経費を差し引いた「所得」で判断されるため、経費計上できる範囲を正しく理解しておくことも大切です。
たとえば、材料費や通信費、発送費など、業務にかかる実費は経費として認められる可能性があります。クラウド会計ソフトなどを活用して帳簿をつけておくと、確定申告の際にもスムーズです。
扶養内でできるプチ起業の例と注意点
扶養の範囲内でも始めやすい主婦のプチ起業としては、ハンドメイド商品の販売、ライターやデザインなどの在宅ワーク、家事代行のスポット受注、ブログやSNSでの広告収入などがあります。これらは自分の時間に合わせて働けるうえ、収益のコントロールがしやすいという利点があります。
ただし、収入が扶養の境界線に近づいている場合には、早めに税理士や市区町村の窓口で相談するのがおすすめです。誤って扶養を外れてしまうと、保険料や税負担が増え、結果として手元に残る金額が減る可能性もあります。
プチ起業に挑戦して自分らしい働き方を手に入れよう
プチ起業を始めようと考えている主婦の方にとって、今は絶好のタイミングです。家事や育児と両立しながら、自分のペースで収入を得られる働き方として、ハンドメイド販売や家事代行、在宅ワークなどが注目されています。起業に関する知識や集客への不安はあって当然ですが、自治体の支援制度やオンライン講座を活用することで、一歩ずつ前に進むことができます。小さく始めて大きく育てる、それが主婦のプチ起業の魅力です。あなたの持つ日常のスキルや経験を活かして、収入ややりがいを手に入れてみましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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