- 更新日 : 2022年7月25日
会社設立日はいつにすべき? 設立日の決め方や注意点
会社を設立する場合、明確に設立日を決める必要があります。自分の会社ですから、会社設立日をいつにするか「こだわり」のある人もいるでしょう。そして、この設立日は自由に決めることができるのです。
また、会社設立日をいつにするかによって、その後の会社経営にどのような影響があるのかを知りたいという人も多いかもしれません。そこで今回は、会社の設立日の決め方や申請手続き、ならびに決算日の決め方について解説したいと思います。
会社設立日とはどの時点か?
会社設立日は、会社の拠点(本店)を管轄する法務局に対して、設立の登記申請をした日です。法務局は、土日祝が休みなので、土日祝は会社の設立日とすることはできません。また、郵送で登記申請をした場合は、書類が法務局に到着した日が会社設立日となります。
会社設立日の決める際のポイント
冒頭で述べたように、会社設立日は自由に決めることができます。きっと中には、「縁起のいい日にしたい」と考える方もいらっしゃるでしょう。
例えば、暦において吉日と言われる「大安」、仕事始めや開店の日にいいとされる「一粒万倍日」、金運がよいとされる「寅の日」などがありますね。末広がりとして「8」がつく月日も縁起がいいとされています。
会社設立日により住民税の節税が可能
会社設立日として、キリのいい1日(ついたち)にしようと考える人も多くいると思います。しかし、2日以降にすることで、少し節税ができることをご存じでしょうか。
会社は、法人税に加え住民税(地方税)という税金も納めなければなりません。そして、住民税には均等割りといって、赤字であっても納めなければならない税金があります。
この均等割りは、地域によっても異なりますが、東京では資本金の額が1000万円以下で、従業員50人以下の会社の場合、均等割りは1年(12カ月)で7万円となっています。
そしてこの均等割りの計算では、設立日が1日ではなく月の途中の場合は、その月は切り捨てて計算されます。つまり、設立日を2日以降とすると設立初月は切り捨てられるので、設立初年度は11カ月として計算されるわけです(1事業年は12カ月の場合が前提)。
従ってこの場合、住民税均等割りは7万円ではなく、7万円×11/12=64,100円(100円未満切り捨て)となり、5,900円が節税できることになります。金額的には少額ですが、月の途中を設立日とすることで簡単に節税できます。
会社設立日と消費税との関係
消費税について、当初の2期間は売上に関係なく免税事業者となることは、多くの人がご存じだと思います。設立初年度に売上が1千万円を超えると、設立3年目から消費税課税事業者となります。
しかし、消費税の課税事業者の判定には「特定期間による判定」というものもあり、設立日から決算日までが12カ月の場合、上半期の6カ月で売上が1千万円かつ給与支給額が合計1千万円を超えると2期目(設立2年目)から消費税課税事業者となってしまいます。
つまり、この要件に該当してしまうと、消費税の課税事業者となるタイミングが1年早まるというわけです。
わざわざ、売上の機会を見逃すのは本末転倒ですが、設立後6カ月でこの判定に引っかかってしまいそうな場合、何かしらの対策をしてもいいのかもしれません。例えば、売り上げアップのためのキャンペーンを7カ月目以降に延期する、あるいは、取引先に納品の先延ばしの依頼をするなどです。
消費税の話は、直接、会社設立日と関係はないかもしれませんが、この「特定期間による判定」については、設立時点で知っておいた方がいいでしょう。
まとめ
「思い立った日が吉日」の勢いで、会社を設立するのも大切だと思います。しかし、上記で述べたように、設立日や決算日をいつにするかによって、得をしたり損をしたりする場合もありますので、注意しておきましょう。
よくある質問
会社設立日とはどの時点?
会社設立日は、会社の拠点(本店)を管轄する法務局に対して、設立の登記申請をした日です。詳しくはこちらをご覧ください。
会社設立日の決める際のポイントは?
会社設立日は自由に決めることができます。自分にとってこだわりがある日や縁起の良い日を選ぶと良いでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。
会社設立日による会社経営への影響は?
会社設立日により住民税の節税が可能であることや、消費税の課税事業者の判定に関わることがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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