- 作成日 : 2024年6月6日
取締役会非設置会社の定款作成方法は?記載内容や注意点も解説
取締役会非設置会社の定款とは、会社設立時に作成する文書で、一人会社など取締役会を設置しない会社の経営的なルールを定めるものです。定款には商号や事業目的、株式の発行数、譲渡制限などの項目を記載します。本記事では、取締役会非設置会社の定款の概要や記載内容、定款変更の手続きの方法などについて解説します。
目次
取締役会非設置会社の定款とは?
取締役会非設置会社とは、取締役会を設けずに、会社の意思決定を株主総会や取締役、代表取締役により行う株式会社です。
通常、株式会社では取締役の設置が法律(会社法326条1項)で義務付けられています。しかし、取締役会の設置については、上場企業など一部の株式会社を除き企業が自由に選択することが可能です。
そして、取締役会非設置会社の定款とは、会社設立の際に作成される重要な文書であり、取締役会を設置しない会社の組織・運営規則が記載されています。
取締役設置会社の定款との違いは?
取締役会非設置会社と取締役会設置会社の定款には、権限において違いがあります。
取締役会非設置会社の定款においては、別途定めを設けない限り、すべての取締役が会社の業務を執行する権限を持てます(会社法348条1項)。
一方で、取締役会設置会社では定款の記載に関わらず、業務を執行する権限を持つのは、取締役会によって選ばれた代表取締役や業務執行取締役のみです。
取締役会非設置会社の定款テンプレート
会社を円滑に運営するためには、定款を正確に作成することが必要です。
マネーフォワード クラウド会社設立では、取締役会非設置会社の定款テンプレートを無料で利用でき、定款を簡単かつ正確に作成できます。
ミスなくスムーズに定款を準備したい方にはおすすめです。
取締役会非設置会社の定款テンプレートは以下のサイトからダウンロードしてみてください。
取締役会非設置会社の定款の記載内容は?
取締役会非設置会社の定款に記載する事項としては、会社の商号や事業目的、本店所在地などが挙げられます。また、株式発行数や譲渡についての項目も忘れずに記載しましょう。そのほか、資本金の金額や事業年度、発起人の設定についても明記してください。
本項では、取締役会非設置会社の定款の記載内容を大きく分けて3つ紹介します。
総則
定款の総則部分では、会社の商号(名称)や事業目的、本店所在地、公告方法を明記する必要があります。
特に、商号や事業目的、本店所在地については、記載がないと定款全体が無効になる「絶対的記載事項」に該当しますので、設立前に法務局や公証役場での確認を推奨します。
株式
定款には、株式に関する重要な事項を規定します。特に、株式の譲渡制限は、会社の経営権を保護するために欠かせません。
会社設立当初は、社外の方から経営に関与されないよう、株式の譲渡に制限を設けることが一般的です。そのため、未上場企業の多くは、発行するすべての株式に譲渡制限を定めている「非公開会社」です。
また、株式の譲渡を承認する主体として「代表取締役」または「株主総会」のいずれかを選択する必要があります。これにより、会社の意向に沿った株式の移動が可能です。
さらに、株主の権利行使の基準日を定款で定めます。通常、基準日は決算日と合わせるため、期末日が基準日である旨を規定するのが一般的です。
附則
定款には、附則として、以下の内容を記載します。
- 資本金の金額
- 最初の事業年度
- 発起人の設定
- 発起人の署名・押印
また、発起人が金銭以外の現物で出資する場合、現物出資の内容や価額を明確にする必要があり、定款にその旨を規定しなければなりません。
取締役会非設置会社の定款を作成する際の注意点
取締役会非設置会社の定款作成時には、以下3つの注意点があります。
- 監査役を置ける
- 株式の取得は株主総会の承認が必要
- 本店所在地は町名地番までは記載しなくてもよい
取締役会非設置会社は、監査役の設置義務はありません。監査役の設置は任意ですので、定款に記載があれば監査役も設置できます。
また、株式の取得については、株主総会の承認が求められます。定款で定めることで、株主の譲渡を承認されたものとみなすことも可能です。
さらに、本店所在地の記載方法にも注意しましょう。「最小行政区画(市町村)までの記載」か「具体的に町名・地番までの記載」かを選択できます。
町名・地番まで記載すると、同一市区町村内で本店移転をする際に変更登記が必要です。一方、最小行政区画までの記載にすれば、変更手続きを避けられます。
以上の点に気をつけて、取締役会非設置会社の定款を作成しましょう。
取締役会非設置会社へ移行する場合の定款変更について
取締役会・監査役会設置会社から取締役会非設置会社へ移行する際の定款変更について、以下の点に留意する必要があります。
- 原始定款の変更はできない
- 登記の有無によって手続きが異なる
まず、原始定款を直接変更することはできません。定款変更を行うには、株主総会を開催し、定款変更に関する「特別決議」を行う必要があります。
特別決議では、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。取締役会や代表取締役が独断で決めた定款変更は認められていません。
次に、登記の必要がない定款変更の場合、定款の変更が決定されたら、株主総会の議事録を据え置くだけで手続きは完了します。
一方、変更登記が必要な重要事項を変更する場合には、株主総会での特別決議から2週間以内に管轄の法務局に議事録を提出しなければなりません。
取締役会非設置会社の定款の作成方法を理解して、会社設立を円滑に進めよう
取締役会非設置会社の定款とは、会社を設立する際に、取締役会を設置しない会社の運営に関わる規定を記載した定款です。
会社の商号や事業目的、本店所在地だけでなく、株式の発行数や譲渡制限についての項目も記載します。また、取締役会を設置しない場合にも監査役を置ける点も考慮しておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
会社設立前にインボイス制度を理解しよう!新設法人・開業者向けに解説
個人事業主が会社設立をする場合、気になるのが消費税の納税についてです。 特に現在は納税していないという方の場合、免税事業者のまま企業を立ち上げたいのならば、何に気をつけるべきなのかを確認しておく必要があります。また、消費税納付は2023年1…
詳しくみるファクタリング会社開業に許認可は不要?貸金業登録が必要なケースも解説
許認可とは、特定の事業を行うために必要な申請手続きのことです。ファクタリング会社を開業する際は、財務局長または都道府県知事への貸金業登録という許認可が必要となるケースがあります。 本記事では、ファクタリング会社における許認可が必要・不要なケ…
詳しくみる会社設立の際、固定電話の番号は必要?
会社設立の準備として、多くの会社では固定電話の取得を考えます。なぜ、携帯電話が普及した現代においても、固定電話を取得する会社が多いのでしょうか。 今回は、会社設立時の電話番号の取得について、固定電話を取得した方が良い理由から、電話回線の種類…
詳しくみるフランチャイズのメリット・デメリットとは?ビジネスの仕組みもわかりやすく解説!
未経験でも比較的ハードルの低い開業方法として、フランチャイズが注目されています。本記事では、フランチャイズのメリットやデメリット、ロイヤリティの仕組みや相場、加盟店と本部の関係、直営店との違いなど、フランチャイズに加盟する前に知っておきたい…
詳しくみる法人の代表者変更登記の手続きは?必要書類や費用、注意点まで徹底解説
法人の代表者が変わったら、法務局へその変更を届け出る「代表者変更登記」が法律で義務付けられています。この手続きを怠ると、過料の制裁や取引上の不利益を被る可能性も否定できません。 この記事では、代表者変更登記の具体的な手続きの流れ、必要書類、…
詳しくみる立川で会社設立する流れ・設立費用を安くする方法!
立川での会社設立をはじめ、日本で株式会社や合同会社を設立する際は、主に【①無料の会社設立サービスを利用して自分で進める、②専門家である税理士や司法書士に依頼する、または③法務局のサイトを参照しながら自分で手続きを行う】という3つの主な方法が…
詳しくみる