- 更新日 : 2026年1月5日
取締役の辞任届とは?ひな形を基に書き方や手続き、登記の変更を解説
取締役辞任届は、取締役がその立場を退くときに提出する文書です。書き方に法律上の決まりはありませんが、辞任したことの証明やその後のトラブルがないようにするには、辞任の意思表示と作成名義人、辞任の日などが明確化されている必要があります。
ここで辞任届の作成ポイント、必要書類などをまとめていきます。
目次
取締役の辞任届とは?
取締役辞任届とは、ある株式会社で取締役となっている方が、その役職を降りることを示す届け出書のことです。「取締役を辞める」という意思表示を文書に記し、客観的にもその事実が示せるようにするため、作成します。
辞任届が必要なケース
辞任届が必要となるのは任期満了を待たず「辞任」するときです。
取締役の辞任届とは、株式会社の取締役が任期途中でその役職を降りる意思を示す文書です。会社と取締役の関係は「委任関係」であり、原則として双方はいつでも解約(辞任)が可能です。口頭でも成立しますが、法務局への変更登記には「辞任を証明する書面」として辞任届が必須となるため、実質的に作成は不可欠です。一方で、辞任ではなく任期満了や取締役が亡くなったときなどに辞任届は不要です。任期満了によるときは株主総会議事録に退任した旨が記載されますので、そちらで証明が可能です。亡くなったときに関しては本人が作成できませんし、死亡届などにより証明をします。
辞任と退任の違い
取締役の「辞任」と「退任」についてはしっかりと区別できている必要があります。
- 辞任:取締役など本人が自らその立場を退くこと
- 退任:任期満了、死亡、欠格事由への該当など、地位を失うことの総称
予定通りに取締役を降りる「退任」に対して、「辞任」という言葉は、まだ取締役として続けられるものの自分の意思で降りるときに使われます。
任期中に取締役が辞任する場合の必要書類
取締役に関する情報に変動があったとき、その会社は変更登記をしないといけません。これは法律上の義務です。そしてその登記申請をするにあたっては「変更登記申請書」を作成しないといけません。
また任期中は本来取締役として経営に携わることが想定されていますが、満了を待たずに辞めるときは、株主総会の決議を経ていません。そこで退任をするときのように株主総会議事録を辞めたことの証明書として使うことはできず、取締役自ら作成する「取締役辞任届」が必要です。
変更登記申請書
株式会社には、会社名にあたる「商号」や事業内容を意味する「目的」、その他「本店所在地」「資本金の額」「発行可能株式総数」なども登記しないといけません。登記をすることで社外の関係者にも当該会社がどんな会社なのかを示すことができ、これにより円滑な取引が図られています。
そして登記事項には「取締役の氏名」も含まれています。取締役の辞任があったのなら、取締役が減ったことを示すために登記を行う必要があります。その際の手続きで提出するのが「変更登記申請書」です。
取締役の辞任があってから2週間以内に申請を行わないといけないため注意しましょう。
変更登記申請書の作成に役立つテンプレートはこちらからチェックできます。
また、変更登記全般についてはこちらのページでも解説しています。
取締役辞任届
取締役辞任届については、上述の通り本人(取締役)の意思を客観的に示すために必要なものです。本人の意思に基づいて辞めたいときに提出するものですので、期限なども存在しません。
ただし、自由に辞めることができるとはいえ会社に損害が生じるようなタイミングで辞めるべきではありません。また委任契約に関するルールでも、不利な時期に契約を解除して損害が生じたときは損害を賠償しないといけないと定められています。
取締役は、会社に損害が生じない、事業に支障をきたさない時期に辞任届を出すべきといえるでしょう。
委任状(代理人申請を行う場合のみ)
取締役の辞任に際して必須となる書類は上の2つです。
ただし登記申請の手続きを司法書士などに依頼する場合、「委任状」が必要です。代理人に申請を任せたという意思を書面にして、申請書などとともに提出します。
参考:株式会社変更登記申請書(役員が辞任し新役員が就任する場合)|法務局、株式会社の役員変更の登記(オンライン申請)|法務局
取締役辞任届のひな形、テンプレート
取締役が辞任するときに作成する辞任届については、各社オリジナルのフォーマットをわざわざ備える必要はありません。ひな形やテンプレートも活用して効率的に作成を進めるとよいでしょう。
取締役辞任届の書き方
取締役辞任届の作成に難しいことはありません。以下の内容を参考にすればすぐに作成できるでしょう。
辞任の意思
本文には短くてもかまいませんので「取締役を辞める」との意思を明示する必要があります。書き方は自由で、辞任の理由などを記載する必要もありません。
例えば「私は、このたび一身上の都合により、令和〇〇年〇〇月〇〇日をもって貴社の取締役を辞任いたしたく、お届けいたします。」などと記載をします。
代表取締役が辞任するときは「貴社の取締役および代表取締役を辞任」と表現を変えることになります。
辞任する日付
「〇〇〇〇年〇月〇日」あるいは「令和〇年〇月〇日」などと、辞任届には辞任する日付を記載しましょう。西暦や和暦など書き方に決まりはありませんが、日付は明確にされていないといけません。
登記の期限が2週間以内とも定められていますし、その起算日にもなる”辞任した日”がわかるように記載しましょう。
辞任届の作成年月日
辞任届には、当該文書を作成した年月日についても記載をします。作成日と辞任の日は必ずしも一致するわけではなく、提出した日に辞めなければいけないわけではありません。
通常辞任する日付については本文に記載し、作成年月日についてはテンプレートにあるように住所や氏名と並ぶ形で添えて記載をします。
氏名、住所
辞任をする取締役自身の氏名および住所を記載します。これは誰が辞めるのかを表す非常に重要な情報です。事実とのずれがないように記載しましょう。
テンプレートにも記載してあるように、文書の下部に記載するのが一般的です。
押印
氏名の横には押印も必要です。
押印は確かにその人物が作成したと対外的に証明する目的で行われます。取締役であれば認印でもかまいませんが、代表取締役については印鑑登録をしている個人の実印または印鑑届をしている会社の実印を使用します。
※ケースにより異なりますので事前に確認が必要です。
会社名
辞めることになる会社名の特定も必要です。正式名称で「株式会社〇〇」などと明記しておきましょう。
取締役辞任届の作成ポイント
取締役辞任届の作成は簡単ですが、次に挙げるポイントは押さえておきましょう。
- 辞任の意思は明確に記載する
- 辞任届の作成日だけではなく、いつ辞任するのかを明確に記載する
- 辞める本人および会社を特定して記載する
- 必ず押印する
ポイントが押さえられていないと、辞任自体ができてもその後の変更登記の手続きが進められず困る可能性があります。
取締役辞任届の作成・提出には期間に余裕を持っておこう
取締役が辞任するときに作成する辞任届については、作成作業にそれほど時間をかける必要はありません。
しかし取締役の一方的な都合で急きょ辞めることは避けるべきです。会社に損害が生じるリスクがありますし、取締役本人も損害賠償を請求されるリスクもあります。また、2週間以内に変更登記申請もしないといけませんので、忙しくて手が回らない時期を避ける形で効力発生日を設定しておくとよいでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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