- 更新日 : 2023年10月23日
会社経営者に必要なスキル9つ・知識5つ
会社のトップとして経営を行う会社経営者には、先見性や決断力といったスキルや、経営戦略やマネジメントなどに関する、幅広い知識が求められます。会社経営を志す方は、自身に適性があるかを見極め、足りないスキルや知識を積極的に吸収することが大切です。今回は、経営に必要なスキル9選と会社経営に必要な知識5つを解説します。
目次
経営者に必要なスキル9つ
会社のトップとして経営を行う経営者には、さまざまなスキルが求められます。
特に、経営環境が大きく変化している昨今、経営を安定させ、持続的に成長させることは容易ではありません。経営者として成功したい方は、自身に経営者としての資質が備わっているかをチェックしましょう。
ここでは、経営者に必要な以下の9つのスキルについて解説します。
- 先見性
- ヒューマンスキル
- 決断力
- 洞察力
- 教養力
- 論理的思考力
- テクニカルスキル
- 自己変革能力
- 確固たるビジョン・経営理念を描く力
先見性
先見性とは、状況の変化を見通す力のことです。
会社経営においては、状況変化を見通し、積極的に変化に対応する先見性が求められます。常に時代を先読みしていれば、不測の事態が発生した際にも、素早く対応できるでしょう。
特に、現代ではIT化やグローバル化、働き方改革など、環境がめまぐるしく変化しています。積極的に情報を収集し、常に先を見通して変化に対する先手を打つことが、経営者に求められるスキルの1つです。
ヒューマンスキル
ヒューマンスキルは、ビジネスを円滑に進めるために必要な能力です。具体的には、社内や取引先、顧客などと接するうえで必要な、以下のようなスキルのことを指します。
- コミュニケーション能力
- リーダーシップ
- 交渉スキル
- ヒアリング能力
- プレゼンテーションスキル
- コーチングスキル
経営は、経営者が1人で進められるものではありません。従業員や取引先、顧客といった関係者を巻き込みながら、企業を成長させていく必要があります。多様な関係者と信頼関係を構築するためには、高いレベルのヒューマンスキルが重要です。
決断力
経営者には、決断力も求められます。経営者は、さまざまな経営判断を下す立場です。経営者が判断しなければ、従業員は動けません。
時には、ビジネスチャンスを逃さないよう、大胆な決断を迅速に行うことも求められます。特に、ビジネスのグローバル化が進んでいる昨今、競合に負けないためには素早く意思決定を行う必要があります。
状況や物事を冷静に捉え、主観も大切にしながら、どのような選択をとるべきかを判断する決断力を持つことが大切です。
洞察力
経営者が冷静に適切な経営判断を下すためには、広い視野を持ち、物事の本質を見抜く洞察力も求められます。
洞察力とは、物事や人物を観察し、その本質や意図を見抜くスキルのことです。観察力が目に見える部分を発見できるスキルである一方、洞察力は目に見えない部分まで見抜けるスキルのことを指します。
経営者に洞察力があれば、課題にぶつかった際も、状況を冷静に分析して本質的な課題を理解し、適切な対応方法について考えられるでしょう。
教養力
経営者には、さまざまな分野の教養や知識も求められます。幅広い教養や知識を活かして経営判断を行ったり、周囲からの信頼を獲得できたりするためです。
経営者は、経営に限らず、歴史や文学、芸術など、さまざまな分野の知識を身につける必要があります。
さらに、単に知識を持つだけでなく、情報を取捨選択して本質を理解できる、独自の価値基準を備えることも必要です。自分なりの価値基準があれば、次から次へと入ってくる情報に流されることなく、必要な情報を正しく活用できます。
論理的思考力
論理的思考力も、経営者にとって必須のスキルです。
論理的思考力は、物事を体系的に整理し、筋道立てて考えられる能力のことです。自社を取り巻く複雑な環境を分析し、適切な判断を下すためには、論理的思考力が欠かせません。また、問題解決能力やプレゼン能力、コミュニケーション能力を高めるためにも、ベースとして十分な論理的思考力が必要です。
論理的思考力は、経営者に限らず、ビジネスパーソンに必要な基本スキルです。会社の代表である経営者には、さらに高いレベルの論理的思考力が求められます。
テクニカルスキル
テクニカルスキルとは、特定の分野の業務に必要な専門知識や専門技術のことです。
いくら経営に関する知識が豊富でも、現場について理解できなければ、課題の発見や適切な意思決定は難しいでしょう。現場のことを理解していない経営者は、社員からの信頼を獲得することも困難です。
経営者が現場に立つことは少ないため、「テクニカルスキルは必要ない」と考えている方も珍しくありません。しかし、組織全体についての理解が求められる経営者だからこそ、現場で求められるテクニカルスキルを積極的に吸収することが大切です。
自己変革能力
自己変革能力とは、現状に満足することなく、周囲の変化に柔軟に対応しながら改善を繰り返していくスキルのことです。
過去の成功やこれまでのやり方にこだわるのではなく、時代の変化に合わせて経営者自身が変わり、柔軟に変化に対応する姿勢が求められます。
自己変革能力に優れた経営者のもとには、常に成長を志すチャレンジ精神を持った人材が集まりやすいため、その積極的な姿勢が全社的に浸透するでしょう。
確固たるビジョン・経営理念を描く力
確固たるビジョンや経営理念を描く力も、経営者には重要です。
ビジョンや経営理念は、会社が進むべき方向性を示すものです。経営者が明確にビジョンや経営理念を示し、それを実現するために何をすべきかを打ち出すことで、ビジョンや経営理念の達成に向けて全社的に動けるようになります。
さらに、ビジョンや経営理念をわかりやすい形で社内に発信する力も必要です。
経営者に必要な知識5つ
会社の代表として従業員を引っ張っていく経営者には、経営やマネジメント、法律など、さまざまな分野の知識も必要です。知識不足が原因で、思わぬトラブルに巻き込まれたり、経営が傾いたりするリスクもあります。
ここでは、経営者に必要な5つの知識について見ていきましょう。
- 経営戦略に関する知識
- 会計に関する知識
- 組織・人材マネジメントに関する知識
- マーケティングに関する知識
- 法律に関する知識
経営戦略に関する知識
経営戦略を立てるためには、前提として経営戦略に関する知識が求められます。
経営戦略とは、経営目標を達成するために示される方針や手段などのことです。
経営戦略には、絶対的な正解があるわけではありません。経営者は、自社が置かれた状況や自社の特性などをもとに、適切な戦略を策定する必要があります。
また、経営戦略は企業・事業・機能と3つの階層に分けられ、それぞれについて戦略を立てなければなりません。
そのため、経営戦略にはどのような種類があり、どのようなフレームワークを使って分析するのか、どのような手順で策定すべきなのかなど、経営戦略に関する幅広い知識が求められます。
会計に関する知識
会社経営を成り立たせるためには、会計に関する知識も身につけておく必要があります。
もちろん、会計の実務を行うのは会計担当者です。しかし、決算書を正しく理解し、自社の経営状況を客観的に理解するのは、経営者の仕事です。決算書を見て経営状況を理解するためには、会計に関する基礎知識が欠かせません。
特に、財務三表と呼ばれる貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書については、構造や読み方を正しく理解しましょう。
組織・人材マネジメントに関する知識
会社を引っ張る立場である経営者には、組織や人材マネジメントに関する知識も必要です。
マネジメントとは、組織の目標を実現するための戦略や仕組みを作り、組織を運営することです。
組織を動かすためには、人材のマネジメントも重要です。社員それぞれの性格や能力を見極め、それぞれがパフォーマンスを発揮できるよう人材配置を行ったり、モチベーションを高められるよう導いたりする必要があります。
マーケティングに関する知識
経営者がマーケティングに関する知識も身につけることで、戦略策定に役立ちます。
マーケティングとは、商品やサービスが売れる仕組みを作ることです。多くのターゲットに商品やサービスを使ってもらい、売上を確保するためにはマーケティングが欠かせません。
マーケティングには、以下のようにさまざまな手法があります。
- Webマーケティング
- SNSマーケティング
- コンテンツマーケティング
- メールマーケティング
- インフルエンサーマーケティング
また、マーケティング戦略を策定するためのフレームワークも複数存在します。
組織として売上を伸ばしていくためには、経営者自身がマーケティングについて正しく理解することが大切です。
マーケティングを学ぶためには、資格を取得するのがおすすめです。マーケティング検定やマーケティング・ビジネス実務検定など、マーケティングに関する資格には多くの種類があります。基礎を身につけた方は、資格取得に挑戦しましょう。
法律に関する知識
会社経営においては、関連する法律についての基礎知識も重要です。
各法律について、細部まで理解する必要はありません。しかし、それぞれの法律が何に関するものなのか、何が規制・禁止されているのかなど、基本的な知識は押さえておきましょう。
法律を理解しておけば、トラブルの発生を防いだり、判断や対応に困った際に、関係する法律をすぐに調べられたりします。企業を守ることにもつながるため、積極的に知識を身につけましょう。
特に、以下の法律については理解が必要です。
- 民法:契約や商取引、金融取引などについて理解する際に必要です。
- 会社法:会社の設立や組織運営、資金調達など、会社経営に関する基本的な事項が定められています。
- 労働法:労働者の権利について定められており、従業員を雇う以上理解が欠かせません。
- 税法:税金について定められており、適切な納税や税金対策のためには理解しておきましょう。
- 中小企業基本法:中小企業の経営者は、会社法と並んで理解が必要です。
- 下請法:他社や個人事業主などに外注する際は、下請法に従わなければなりません。
- 著作権法:自社商品やサービスが著作権を侵害しないよう、そして自社の著作権を保護するためにも理解が必要です。
- 事業に関する法律:そのほか、展開する事業に関連する各種法律についても学びましょう。
経営者に必要なスキルや知識を積極的に身につけよう
会社経営は簡単なことではなく、会社の代表である経営者には幅広いスキルや知識が求められます。先見性や決断力、論理的思考力といったスキルや、経営戦略やマーケティング、各種法律などに関する知識を身につけましょう。成功する経営者は、スキルや知識をアップデートする努力を怠りません。従業員や取引先、消費者から信頼される会社にするためには、経営者に必要なスキルや知識を積極的に身につけることが大切です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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