• 更新日 : 2025年8月4日

経営会議とは?目的や運営方法、議事録、あるべき姿などを解説

「会社の現状や立ち位置を確認する」「会社が直面する課題に対するソリューションを検討する」「経営戦略に関するテーマや経営上の命題に関してアイデアを出し合う」など、事業を遂行する上で、企業はさまざまな問題やチャレンジに直面します。そうした問題やチャレンジについて経営陣が一丸となって議論するための場が経営会議です。

本記事では、経営会議の目的や運営方法、さらには経営会議のあるべき姿など、経営会議の基本について解説します。

経営会議とは

経営会議の一般的な定義は存在しませんが、経営会議とは、会社の経営に携わる人による、会社の経営に関する意思決定や意見表明を行うための会議といってよいでしょう。英語では「Management Meeting」や「Executive Committee Meeting」と呼ばれます。より戦略的な内容を扱う場合は「Strategy Meeting」と呼ばれることもあります。

経営会議の目的

経営会議の目的は、企業の経営層や管理職等が集まって、組織の戦略的な方向性や経営方針を決定し、重要な意思決定を迅速かつ効果的に行うことです。

そこで、経営会議では会社の現況や喫緊の課題、各事業の進捗状況などを正確に把握し、参加者間で情報を共有します。この共有によって、現状分析に基づいた合理的な判断が可能となり、組織全体の課題解決や経営戦略の見直しや事業計画の修正などを議論できるのです。

さらに、経営会議は部門間の連携やコミュニケーションを促進したり、組織の一体感を高めたりする役割も果たします。各部門の報告や意見交換によって、より多角的な視点から意思決定がなされ、共通の目標に向けたアクションプランが選ばれます。

経営会議と取締役会の違い

経営会議と並んで、会社の経営に携わる人による会議として取締役会があります。経営会議と取締役会との違いは何でしょうか。まず、取締役会設置会社の場合、取締役会は法律で開催が義務づけられている一方、経営会議にはそれがありません。

例えば、取締役会設置会社の場合、取締役会は最低3カ月に1回以上開催して議事録を作成する必要があります。一方、経営会議の開催は任意で行われ、開催頻度なども自由に設定できます。また、話し合われる内容も経営会議の方がより自由でオープンです。

経営会議のメンバー構成

企業の規模や業種によって異なるものの、一般的な経営会議のメンバーとしては次に挙げるような会社の組織上の主要メンバーが想定されます。

  • 代表取締役や社長などの最高経営責任者及び取締役
  • 経営担当、財務担当など各分野の責任者
  • 執行役員や部門長等(営業、経理、人事、技術など各部門の責任者)
  • 必要に応じ、監査役や外部アドバイザー

経営会議の運営方法

経営会議を開催する以上は、できるだけ効率的で効果的な内容にすべきです。経営会議をただ何となく開催したり、惰性で開催し続けたりしないように注意する必要があります。

企業の業種や業態、または経営会議の参加人数などにかかわらず、実際に経営会議を運営するに際しては、以下のポイントを守ることが重要になります。

決められた頻度で定期的に開催する

第一のポイントは、経営会議を決められた頻度で定期的に開催することです。例えば、毎月第一金曜日に開催する、毎月10日に開催するなど、あらかじめ開催日を決めておきましょう。そうすることによって、経営会議の参加者が準備やリサーチなどの事前作業をするスケジューリングが可能になり、経営会議の内容をより濃くすることができるようになるからです。なお、開催の頻度は、月1回から始めてみて、様子を見ながら増減させるようにすると良いでしょう。

資料や議題を事前に共有しておく

第二のポイントは、経営会議の資料や議題を事前に共有しておくことです。資料や議題を事前に共有しておくことで、会議の参加者へ準備する時間的余裕を与え、結果的に会議の内容をより濃くすることができます。

特に経営戦略や人事、予算といった重要なテーマを会議のアジェンダとする場合、事前共有なしに実りのある議論を行うことは困難です。また、難しい内容のテーマであれば、参加者による事前の共有期間を長くすることを考えましょう。

限られた時間で効率良く進行する

第三のポイントは、限られた時間で効率良く進行することです。時間に制限を設けず、長々と議論をし続けることは絶対に避けましょう。時間をあらかじめ設定しておき、1時間なら1時間、2時間なら2時間のリミットを設定してメリハリをつけて進行するのがポイントです。

また、経営会議の参加者が多い場合などは、発言者の発言時間にあらかじめ制限を設けておくと良いでしょう。また、経営会議の開始時間は、参加者全員が順守しなければなりません。

決定事項や次のアクションを明確化した議事録を残す

第四のポイントは、経営会議の議事録や資料を残すことです。特に議事録を作成して関係者で共有することで、議論の争点が明確になり、発言者の意見や発言内容などを「見える化」できるようになります。

なお、最近は会議の内容をAIが音声認識して文書化してアーカイブにするサービスも用いられるようになりました。議事録を作成するスタッフがいない、または現在の議事録の内容に満足できていないといった場合は、利用を検討してみてもいいでしょう。また、議事録や資料も、紙ベースでの保管よりもデジタル化してアーカイブにする方が良いでしょう。

経営会議資料の効果的な作り方・サンプル

経営会議に、特別な資料の作り方があるわけではありませんが、効率的に議事を進め、かつ、会議を有意義なものにするためには工夫が必要です。

後述しますが、経営会議資料を効果的に作成するためには、まず「会議の目的とゴール」を明確に設定することが重要です。資料作成前に会議の主要メンバーと事前確認を行い、参加者の背景や期待される成果を把握します。

会議資料の構成においては、「ワンスライド・ワンメッセージ」となるよう、1ページに1つの重要なポイントのみを掲載しましょう。全体構成は「導入→現状分析→課題→対策→意思決定」という流れで整理し、各セクションの所要時間もあらかじめ見積もっておきます。

また、会議資料には視覚的な工夫をして、資料だけを見ても主張すべきポイントがわかるようにしましょう。

  • グラフや表を効果的に活用
  • 色使いは3色以内に制限し、強調箇所の表現を統一
  • オンライン会議も考慮して、フォントサイズはやや大きめに設定

なお、会議資料は会議の2日前頃までに関係者に配付し、会議参加者が準備できる環境を整備することで、会議本番の議論の質を高めやすくなります。なお、プレゼンター(発表者)がいる場合には事前に想定問答などの準備も依頼しておきます。

大まかな会議資料の構成案として次のような考え方もあります。

【第1部:導入・概要】表紙(会議名、日時、参加者)、アジェンダ(議題一覧と時間配分)、サマリー(重要ポイントの要約)を記載し、一目で概要がわかるように工夫します。

【第2部:現状報告】

財務報告(販売実績、予算対実績等)、関連部門からの報告(事実確認、問題提起等)を順次配置し、正しい現状把握を行います。

【第3部:分析・提案】

議題に対する考察や課題の認識、リスク分析と改善提案を設け、具体的な解決、選択肢の絞り込み等を記述します。

【第4部:意思決定】

意思決定内容、アクションプラン(担当者、期限、進捗管理)、次回以降の検討事項、質疑応答などを盛り込みます。ただし、1回の会議で解決せずに継続する案件も多々あります。

失敗事例から学ぶ!経営会議が形骸化する原因

ここでは、ありがちな経営会議の失敗例を2例挙げてみましょう。

  1. 新規プロジェクト立ち上げのための経営会議では、明確な目的設定とアジェンダが欠如していた。毎回3時間を超える会議でも決定事項がまとまらず、翌週も同じ議題で集まる悪循環に陥り、結果、プロジェクト開始が遅れてしまった。その結果、市場投入のタイミングを逃し、競合他社に先を越されて市場シェアが想定の半分以下に留まってしまった。
  2. 週次での経営会議は、社長の一方的な指示伝達の場となっていた。そのため、現場の意見が反映されず、従業員のモチベーションが低下し、離職率が高くなる結果となった。

経営会議がうまくいかない理由として、まず会議の目的や意義が不明確であることが挙げられます。上記Aのケースでは、根本的な会議の目的が欠如していることから、時間の経過とともに本来の目的が変化したり、参加者間で共有されていない状況が続きました。

Bのケースでは、参加者間の「忖度」により、経営会議のメンバー同士が言うべきことが言えない状況に陥りました。さらに、適切な進行・調整役(ファシリテーター)の不在により、意見が出る仕組みが整備されていないことも失敗の大きな要因です。

いずれも、いくつかのマイナス要因が複合的に作用し、経営会議を形骸化させてしまった例と言えます。

経営会議をあるべき姿へ導くポイント

経営会議を開催する以上は、経営会議を可能な限り意義あるものにする必要があります。経営会議は、基本的には経営に携わる人が参加して開催されるので、経営会議を意義あるものにできなければ、時間や労力などの膨大なリソースの無駄遣いとなってしまいます。そうした無駄遣いを防ぐためには、以下に挙げるポイントを守ることが重要になります。

会議のゴールをあらかじめ決めておく

まず、経営会議のゴールをあらかじめ決めておくことが重要です。例えば、「不採算の米国孫会社A社の今後の取り扱いについて」がアジェンダであった場合、「米国孫会社A社の今後の取り扱いを①清算、②子会社B社との合併、③休眠の、いずれかにすることを選択する」という風にゴールの案を決めておくのです。ゴールを決めておかないと、アジェンダを巡っての議論が延々と繰り替えされ、堂々巡りする可能性が高くなります。

関係部署へのヒアリングを事前に済ませておく

また、会議のアジェンダに関連する部署へのヒアリングを事前に済ませておくこともポイントです。特に人事などのセンシティブなアジェンダを取り扱う場合、この点は非常に重要になります。

例えば、「カスタマーサポートチームに対する顧客満足度が低い件について」というアジェンダで議論をする場合、チームリーダーへヒアリングするとともに、チームメンバーにも可能な限り多くヒアリングする必要があります。そして、ヒアリングした内容については、会議の開催前に関係者全員で共有しておく必要があります。

闊達(かったつ)な意見交換を促す

また、会議の参加者に闊達な意見交換を促すことも重要です。例えば、社長がワンマンでがなり立てる上意下達式の「一方的議論」や、発言に対して軒並みネガティブな反応を示す「ネガティブ議論」などは避けたいものです。

参加者が自由闊達に発言して、それに対して前向きで建設的な反論が返ってくるといった「ポジティブな議論環境」が醸成されることが理想的です。また、参加者によるネガティブな発言や批判的意見などが出された場合なども、発言者にペナルティーを与えないといった配慮をすることも必要です。

決定したことは必ず実行する仕組みを作る

さらに、経営会議で決定したことは必ず実行する仕組みを作ることが肝要です。経営会議での決定事項は経営陣による意思決定であり、会社の総意です。会社の総意が実行されないと、コーポレートガバナンスにモラルハザードが生じ、会社の統治そのものに悪影響を与えかねないからです。

また、決定事項の未実行は経営会議そのものの権威性を失墜させ、経営会議に対する信頼を失わせることになりかねません。「経営会議で決定されたことは必ず実行される」という信頼感こそ、経営会議の権威性を保たせるのです。

経営会議での議論を企業経営に活かそう

経営会議の目的や運営方法、さらには経営会議のあるべき姿などの、経営会議の基本について解説しました。経営会議での決定事項は経営陣による意思決定であり、会社の総意であると上述しましたが、経営会議での決定事項は、実際に実行されてはじめて意味を持ちます。

経営会議において議論を尽くし、参加者全員の英知を結集して得られた「集合知」を実践する。経営会議での議論を実際の経営に活かすよう、常に心がけてください。


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