• 作成日 : 2025年2月20日

フランチャイズ開業で日本政策金融公庫の創業融資を受ける方法は?

起業や開業の際、必要な資金を融資してくれる制度である日本政策金融公庫の創業融資は、フランチャイズでも利用可能です。以下では、起業や開業を検討している方向けに、創業融資を利用する流れや審査のポイントなどについて解説します。

また、創業融資以外の資金調達の方法も取り上げるため、ぜひ最後までご覧ください。

日本政策金融公庫の創業融資とは

日本政策金融公庫の創業融資とは、起業や事業のスタートアップを支援するための制度です。無担保、無保証で利用できる、金利が低めに設定されている、長期間の返済期間を設定できることなどが特徴で、現在は以下の3種類が存在します。

  • 新規開業資金
  • 女性、若者/シニア起業家支援資金
  • 再挑戦支援資金

新規開業資金は国民生活事業、女性、若者/シニア起業家支援資金と再挑戦支援資金は、中小企業事業に分類されます。

詳細情報は、以下の記事をご参照ください。

フランチャイズは創業融資の審査が厳しいとされる理由

創業期は営業の実績も乏しく、融資を受けるのが困難です。そのような方を支援するための制度が、日本政策金融公庫の創業融資です。

しかし、フランチャイズの場合、審査を通過するのは簡単ではありません。具体的な理由は、以下のとおりです。

未経験でもフランチャイズオーナーとして開業できる

創業融資の審査において、重視される項目は複数ありますが、そのなかの1つが事業経験です。事業経験があれば、事業を成功させるための知識やノウハウなどが身についていると判断されるためです。

逆に経験がないと、不確定要素が大きくなり、融資を受けるハードルが高くなってしまいます。同業種で5年以上勤務した経験があれば、融資審査でも高く評価してもらえるでしょう。

加盟金や初期費用によって借入金額が高額になる

フランチャイズのデメリットの1つが、加盟金や保証金の存在です。金額は企業の規模によって異なりますが、加盟金は100万〜300万円、保証金は100万〜1,000万円が相場です。

そのため、通常の起業よりも初期費用がかさむ可能性があります。初期費用がかさめば、その分借入金額も高くなってしまいます。

高額な融資を受けるためには、なぜその融資額が必要なのか、また金額が妥当なのかを論理的に説明しなければならず、そのハードルは決して低くありません。

FC本部の財務状況も考慮する必要がある

フランチャイズの場合、本部の財務状況も重要です。万が一本部が破産した場合、融資したフランチャイズ加盟店も影響を受けるためです。

過去に本部で金融事故が発生していると、加盟店として融資を受けるのは困難になるでしょう。

フランチャイズの創業融資を受けるまでの流れ

以下では、フランチャイズの創業融資を受けるまでの流れについて取り上げます。それぞれの工程のポイントも詳しく解説するため、順番にチェックしていきましょう。

融資を申し込む

まず、日本政策金融公庫の最寄りの支店で申し込みを行います。その際、借入申込書を提出しますが、この書類は日本政策金融公庫の公式サイトからダウンロード可能です。

融資の金額や希望の返済期間などが決まっていない場合は、事前に担当者に相談することもできます。なお、現在ではインターネットでの申し込みにも対応しているため、まとまった時間が確保できない場合はインターネットから手続きを進めるのがおすすめです。

必要書類を揃える

創業融資を受けるにあたって、以下の書類を用意しなければなりません。

  • 創業計画書
  • 本人確認書類
  • 確定申告書(個人事業主の場合)
  • 決算書(法人の場合確定申告書と一緒に用意する)
  • 登記簿謄本(法人の場合)
  • 許認可証の写し(許認可証が必要な業種の場合)
  • 設備資金の見積書(設備資金で融資を受ける場合)

いずれも重要な書類ですが、事業経験がない場合はとくに創業計画書に記載された内容が審査において重視されます。また、融資を受ける金融機関によって必要書類は異なるため、事前に確認しておきましょう。

担当者と面談する

申し込みが終わったあとは、担当者と面談を行います。具体的な日時は電話、または面談通知が郵送されて通知されます。

注意点として、面談当日までに必ず自分が作成した書類の内容の見直しを行ってください。面談は提出書類の内容に沿って行われ、創業計画を理解しているか、自分の強みと弱みを理解しているかなどをチェックされます。もし面談での会話の内容と書類の内容が一致しない場合、審査に不利に働く可能性が高いです。

なお、面談の際の服装はとくに指定はありませんが、最低限のビジネスマナーに沿ったものにしましょう。

審査結果の通知を受ける

審査を無事に通過すると、担当者から連絡があったあとに借用証書をはじめとする書類が郵送されます。連絡が来るのは、面談や実地確認から1週間程度ですが、繁忙期は連絡が1週間以上遅れる場合もあります。

なお、借用証書は日本政策金融公庫と契約を結ぶ際に必要な書類です。内容に不備があれば再提出を指示されるため、抜けや漏れが発生しないようにしましょう。

指定の口座に借入金が入金される

契約手続きまで完了すると、指定の口座に借入金が入金されます。入金までの期間は、借用証書が日本政策金融公庫に到着してから3営業日程度です。

入金された金額が申し込んだ金額と一致しているか必ずチェックし、もし金額に不備があれば担当者に問い合わせてください。

フランチャイズの創業融資に必要な書類

フランチャイズの創業融資において、次の書類は必ず用意します。

  • 借入申込書
  • 事業計画書・創業計画書

それぞれの書類の詳細情報は、以下のとおりです。

借入申込書

借入申込書とは、読んで字のごとく融資の申し込みをするための書類です。借入申込書には、以下のような内容について記載します。

  • 申込人名
  • 申込金額
  • 借入希望日
  • 資金の使い道
  • 希望の返済期間
  • 担保・保証の条件

万が一記入を間違えた場合は、新しく書類を日本政策金融公庫の公式サイトからダウンロードし直す、もしくは二重線を引き、訂正印を押印してから内容を修正しましょう。

事業計画書・創業計画書

事業計画書、または創業計画書とは、創業の動機や資金調達の方法、どのようなサービスや商品を提供するかなどをまとめたものです。融資を受けるために用意する書類ですが、その過程で事業の内容をはじめ、メリットとデメリット、そして事業の特徴などを改めて把握できるようになります。

日本政策金融公庫の公式サイトでは、創業計画書のテンプレートが公開されているため、必要に応じて活用してください。

フランチャイズの創業融資にも使える事業計画書・創業計画書テンプレート

マネーフォワード クラウドでは、フランチャイズの創業融資にも使える事業計画書・創業計画書のテンプレートをご用意しております。無料でダウンロードできますので、ぜひお気軽にご利用ください。

フランチャイズの創業融資にも使える事業計画書・創業計画書のテンプレートはこちら

フランチャイズの創業融資の審査で重要なポイント

重要なポイントを押さえれば、フランチャイズが創業融資の審査を通過することは十分可能です。具体的なポイントを以下で解説するため、順番にチェックしましょう。

FC本部からのサポートを受けられるか

本部の存在が融資を受けるにあたって足かせになるケースもあれば、強力な追い風になるケースもあります。フランチャイズの特徴として、本部からノウハウを提供してもらえる、マニュアルに従って運営を行えるなどが挙げられます。

本部から手厚いサポートが受け、安定した経営ができることをアピールできれば、創業融資を受けられる可能性は高まるでしょう。

自己資金がゼロではないか

創業融資の審査において、自己資金の有無も重要なポイントです。自己資金は、事業に対する熱意の表れとみなされます。

自己資金がない場合、経済的な準備が不十分と判断され、審査に落ちるリスクが高まりかねません。また、融資の申し込み条件として、自己資金の金額が定められているケースもあります。

事業計画書・創業計画書が根拠にもとづく内容か

事業計画書・創業計画書の内容も重要です。書類を作成する際、どれだけ聞こえのよい言葉や数字を並べても、根拠がなければ審査する側の信頼は勝ち取れません。

大切なのは、現実的かつ客観的な視点で作成することです。また、よい点だけでなく事業の課題、課題を克服するためにどのような取り組みを行うかまで言及しましょう。

フランチャイズの創業融資以外の資金調達方法

創業融資を得られなくても、会社を設立するための資金の調達方法はほかにも存在します。以下では、創業融資以外の資金の調達方法について解説します。

銀行融資を受ける方法

フランチャイズの場合、個人事業主が融資を受けるより審査を通過する可能性が高いです。一度返済実績を作れば、信頼度を高められるため、次回以降の融資のハードルも下がります。

一方で、日本政策金融公庫の創業融資よりも、審査のハードルも金利も高く設定されている点に注意しましょう。

補助金や助成金を活用する方法

国や自治体から、補助金や助成金の支援を受けるのもおすすめです。補助金と助成金のメリットとして、融資の返済が原則不要な点が挙げられます。

借金返済のプレッシャーから解放されるのは、精神衛生的にもプラスです。ただし、補助金は後払いが基本のため、キャッシュフローが厳しくなる可能性があります。

また、補助金や助成金を受けるための準備と手続きに時間がかかりやすい点、審査や予算の制約などが原因で申請しても採択されない場合がある点にも注意しましょう。

フランチャイズ開業でも融資は受けられる

フランチャイズによる起業や開業でも、日本政策金融公庫の創業融資は利用できます。ただし、フランチャイズで事業を始めることがマイナスになる可能性がある点に注意が必要です。

資金調達の方法は創業融資だけではないため、自分には難しいと判断した場合はほかの方法も検討しましょう。


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