- 作成日 : 2024年11月21日
事業承継のセミナーはある?主な開催団体や受講メリットを解説
事業承継セミナーは、事業承継について学べる場です。近年、中小企業庁も事業承継に力を入れており、積極的にセミナーを開催しています。ここでは、事業承継セミナーを開催している団体や受講のメリット、セミナーの選び方などを解説します。
目次
事業承継のセミナーを開催している主な団体
事業承継セミナーとは、経営者や後継者向けに経営課題の一つである事業承継のポイントを解説する場です。日本国内では中小企業の経営者の高齢化が進み、後継者不足が課題となっているため、中小企業が保有する技術力や雇用を次世代に引き継ぐことを目的としたセミナーが開催されています。
近年、政府だけでなく、中小企業庁も事業承継の支援に注力しており、23の都道府県でも事業承継ネットワーク事業を展開中です(※2024年11月5日時点)。
ここでは、事業承継セミナーを開催している以下の主な団体を紹介します。
- 商工会議所
- 中小企業大学校
- 株式会社日本M&Aセンター
- 一般社団法人事業承継協会
商工会議所
商工会議所とは、地域経済や活気のある地域づくりのために、中小企業をサポートする機関です。なお、全国には515の商工会議所を設けています(※2024年11月5日時点)。商工会議所でも事業承継セミナーを随時開催中です。東京商工会議所の場合、事業承継の成功事例、事業承継の失敗事例、M&Aの基本などのセミナーを実施しています。
参考:日本商工会議所
中小企業大学校
中小企業大学校は、中小企業の持続的な人材育成をサポートする公的な機関です。全国9カ所に設置されており、経営者や後継者などを対象にさまざまな研修を行っています。公的な助成金制度も設けられており、利用者にとって適正な受講料でセミナーを受講できるのが特徴です。
中小企業大学校では、過去にキャンパスやオンライン上で経営者や後継者候補などを対象に事業承継セミナーを開催しました。なお、2023年度の事業承継セミナーについては、参加費無料で対応しました。
参考:中小企業大学校 | 独立行政法人 中小企業基盤整備機構
株式会社日本M&Aセンター
株式会社日本M&Aセンターは、M&A関連の総合的な支援を実現する民間企業です。弁護士や公認会計士などの専門家が多数所属し、事業者に応じて適切なアドバイスなどを提供しているほか、事業譲渡や売却の案件情報も紹介しています。
日本M&Aセンターでも事業承継セミナーが開講されています。30年以上にわたり蓄積された実績から、M&Aや事業承継について学べるセミナーです。参加費無料・オンライン配信のセミナーも多数開講されており、補助金やM&Aに関する疑問など、さまざまなニーズに対応したセミナーを受講できます。
参考:M&A・事業承継の成約実績No.1【日本M&Aセンター】
一般社団法人事業承継協会
一般社団法人事業承継協会とは、中小企業の経営者向けに事業承継の重要性について普及を行っている団体です。事業承継の専門家を育成するプログラムも実施しており、事業承継士資格取得講座や事業承継プランナー資格取得講座も随時開講しています。経営者や後継者を対象に、全国のさまざまな場所で事業承継に関するセミナーも開講中です。
事業承継セミナーを受講するメリット
事業承継セミナーに参加する主なメリットを紹介します。
知識を得られる
事業承継セミナーに参加する最大のメリットは、事業承継に関する知識を得られることです。将来的に事業承継を検討していても、知識が全くない状態では、事業承継のハードルが高くなりがちです。
事業承継に取り組む前に、どのような手続きが必要で、どのような税金の負担が生じるのかなどといった基礎的なことを押さえておくことは重要です。事業承継セミナーには実践的なものもあり、基礎的な知識を学んでから専門的な知識を習得するものもあります。
経験談を聞ける
事業承継セミナーでは、経営者やM&Aを多数携わった経験者などが講師として登壇することがあります。講師から実際の経験談を聞くことができることも事業承継セミナーに参加するメリットの一つです。事業承継のケースは多岐にわたっているため、セミナーに参加することで、自社の状況に近い事例についても話を聞ける可能性があります。
相談ができる
事業承継セミナーでは、講師である専門家などに直接質問や相談できる機会が設けられていることがあります。専門家から直接話を聞けるため、自社の課題解決に役立つ話を聞けることもあるでしょう。会場参加型のセミナーでは、同じ悩みを抱えた経営者や後継者候補などが集まるため、相談事を共有できるのもメリットの一つです。
事業承継セミナーを選ぶポイント
事業承継セミナーは、さまざまな団体が多様なテーマで実施しています。数ある事業承継セミナー中から、自分に合ったセミナーを選ぶにはどこに注目するべきなのでしょうか。事業承継セミナーを選ぶための2つのポイントを紹介します。
自分のレベルに合っているか
自分の理解レベルよりも高いセミナーを受講した場合、内容を理解できないなどの懸念が生じる可能性があります。一方、自分の理解レベルより低いセミナーを受講すると、新たな知識を得ることができず、参加する意義がなくなるでしょう。
事業承継セミナーを受講する場合、目的意識を明確にすることが重要です。そのうえで、自分が事業承継に対してどの程度理解しているのかを把握し、理解度レベルに応じたセミナーを受講するようにしましょう。事業承継の基本を学びたい場合は、無料セミナーもおすすめです。
テーマはどうか
先述のとおり、事業承継セミナーは多様なテーマで実施されていますが、自分が入手したい情報を得られそうなテーマのセミナーに参加することをおすすめします。例えば、後継者不足に悩んでいる場合は後継者選定の方法、事業承継の手順を知りたい場合は事業承継のやり方などに関するセミナーに参加しましょう。
セミナーのターゲットも参考になる要素です。セミナーによっては、中小企業者向け、飲食店のオーナー向けなど、対象者が明確になっているので、該当しているかどうかも確認してみましょう。
事業承継セミナーに参加する際の注意点
事業承継セミナーに参加する際の注意点を3つ取り上げます。
必要な情報を得られない可能性がある
参加する事業承継セミナーの選択を誤ると、必要な情報をセミナーから得られないこともあります。セミナーによってはカリキュラムが公開されていることもあるため、参加する前に詳細を確認して目的に合ったセミナーか確認しましょう。
インプットだけで終わることがある
事業承継セミナーは知識を養ううえで一定の意義があります。しかし、知識を得たからといって、それがすぐに実践に結びつくとは限りません。実践的な内容を学びたい場合は、事業承継の経験者や専門家が講師を務めるセミナーなどを検討しましょう。
事業承継がうまくいくとは限らない
事業承継セミナーは、受講しただけで満足しないようにしましょう。セミナーを受講しても、学習した内容どおりに事業承継を進められないことも考えられます。セミナーで学習した内容ばかりに固執せず、専門家に相談するなど別の手段も検討しましょう。
事業承継セミナーをうまく活用しよう
事業承継に関する情報は、事業承継セミナーからも入手できます。セミナーには初心者向けの内容もあるため、事業承継になじみがない方にもおすすめです。多種多様なテーマで開催されているため、自分の目的やレベルに合ったセミナーを受講して、事業承継の知識を確かなものにしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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