- 作成日 : 2025年4月24日
女性の起業におすすめの職種は?決めるポイントや起業方法について解説
女性に限らず、起業は自分の強みを活かして新しい価値を生み出せる魅力的な選択肢といえます。起業方法や職種選びは多岐にわたり、資金計画や経営知識の準備も必要です。
本記事では、女性が起業を考える際に知っておきたいおすすめ職種や、開業の流れ、リスクへの備え方をわかりやすく解説します。
女性の起業におすすめの職種ランキングTOP5
自分らしさを活かして働きたい女性にとって、起業は自分自身のライフスタイルや理想を実現する大きなチャンスです。近年はオンラインツールや自治体の女性向け創業支援策が充実し、ビジネスを始めるハードルは下がっています
ここでは、女性の起業におすすめの職種を日本政策金融公庫のデータを基に紹介し、それぞれの特徴や成功のポイントを解説します。
1. サロン経営
サロン経営は、美容室やネイルサロン、エステサロンなど多彩な形態をとれます。自宅の一部をサロンに改装して開業する場合、物件を新たに借りる費用や大がかりな改装費用を抑えられる点が魅力です。
開業にあたっては美容師免許やエステティシャン関連の資格が必要になるケースがありますが、業態によっては必須資格が不要なサロンも存在します。
【おすすめの理由】
- 美容や癒やしへのニーズは高く、リピーターがつきやすい
- 自宅開業で初期投資を大幅に抑えられる
【成功させるポイント】
- 顧客満足度を高める接客力でリピート客を獲得する
- 集客チャネルの活用:SNSや口コミサイトなどを活用して効果的に宣伝。特にInstagramやTikTokなど、ビジュアル重視の媒体は美容系との相性が良い
2. 自宅教室
自宅教室は、料理教室やピアノ教室、ヨガ教室など、自身のスキルや趣味をビジネスにできる比較的手軽な起業スタイルです。自宅を活用すれば、低コストで起業できる点が魅力といえるでしょう。
【おすすめの理由】
- 自宅を活用することで、家賃や施設使用料などの固定費を削減できる
- 好きなことを教えるスタイルのため、モチベーションを維持しやすい
【成功させるポイント】
- ターゲット層を明確にする:初心者向けか、上級者向けか、あるいは親子で参加できる教室なのかなど、方向性を定める
- マーケティング戦略:周辺地域へのチラシ配布、SNSによる集客、体験レッスンの導入など、アナログ・デジタル両面から認知度を高める
3. 家事代行業
家事代行業は、掃除や洗濯、買い物といった日常的な作業を請け負うビジネスです。特定の資格は不要であり、比較的早く立ち上げやすい職種のひとつといえるでしょう。もっとも、女性の起業に限らず多様な人々が取り組める業務であり、市場全体の需要は共働き世帯や高齢者世帯の増加により拡大傾向があります。
【おすすめの理由】
- 初期費用が低く、人手があれば拡大もしやすい
- 地域密着型で安定した顧客を獲得しやすい
【成功させるポイント】
- 信頼感の確保:家の中に入り込んでサービスを提供するため、信頼性の高いスタッフや本人の人柄が重要。
- 身元保証や損害保険加入:顧客に安心感を与える
- 口コミや紹介:地域のコミュニティを大切にし、利用者の満足度を高めることでリピーターや紹介につなげる
4. ネットショップ経営
ネットショップ経営は、オンライン上で商品やサービスを販売する形態です。自分でECサイトを構築する方法や、フリマアプリや大手ショッピングモールへ出店する方法があります。
在庫リスクを避けるために、ドロップシッピングや受注生産方式を活用する起業家も多く存在します。
【おすすめの理由】
- 地理的な制約がなく、全国・海外の顧客にアプローチできる
- 初期コストを抑えて起業でき、副業として始めるケースにも適している
【成功させるポイント】
- SNSでの発信:Instagram、X、YouTubeなどでの情報発信、自社サイト構築
- SEO対策の徹底:自社サイトを立ち上げる場合はSEO(検索エンジン最適化)を意識し、検索流入を増やす工夫が必要
- 商品選定とブランディング:差別化できる商材を扱う、デザインやコンセプト、ストーリーなど付加価値を持たせる
5. カフェ経営
カフェ経営は、独立志向の高い方に根強い人気があるビジネスです。おしゃれな内装やこだわりのメニューでブランド力を確立しやすい一方で、飲食店営業許可などの申請が必要となる点は押さえておきましょう。保健所への手続き(各自治体所管)や消防法上の基準など、開業にあたってクリアすべき規制が多いため、事前準備が欠かせません。
【おすすめの理由】
- トレンドや個性を活かして、多くのファンを集めることが可能
- 店舗型のビジネスのため、地元密着型のコミュニティを形成しやすい
【成功させるポイント】
- ターゲット層の明確化:若年層向けのおしゃれカフェ、キッズスペースを備えた親子向けカフェなど、特徴を打ち出して集客につなげる
- リピーター施策:ポイントカードや限定メニューなど、リピート来店を促す工夫が売上安定の要になる
参考:日本政策金融公庫 創業の世界における女性の進出と男女差の縮小
参考:日本政策金融公庫 女性による新規開業の特徴
女性が起業する方法
女性が起業する方法は、いきなり法人化して会社を設立する以外にもさまざまな選択肢があります。以下では、それぞれの方法のメリットと注意点を解説します。
個人事業主として開業する
個人事業主は、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出するだけでスタートできるため、手続きが非常にシンプルな点がメリットです。
会社設立に比べ初期費用も安く済む反面、社会的信用度は法人より低く見られる可能性があります。また、個人と事業の財産が明確に区別されないため、事業で負った債務が個人資産に直接影響を及ぼすリスクがある点は注意が必要です。
代理店制度の利用やフランチャイズ加盟
代理店制度やフランチャイズは、既存ブランドのノウハウを活かして起業する方法です。大手企業と代理店契約を結ぶことで、集客面や広告面での支援を受けられるケースがあります。
フランチャイズの場合はロイヤリティや加盟金、保証金を支払う代わりに、マニュアルやブランド力を利用できるのが魅力です。ただし、そうした費用の支払いによって利益が圧迫される、契約内容によっては自由度が制限される面もあります。
副業としてスモールスタートする
本業を続けながら、副業として起業準備を進める方法も人気です。SNSやクラウドソーシングを活用して少額の投資で始められるため、リスクを最小限に抑えられるでしょう。実績や顧客が増えてきたら、フリーランスとして独立する、もしくは法人化に移行するなど段階的に拡大することが可能です。
ただし、本業が会社員の場合などは副業が禁止されているケースもあります。副業を始める前に、就業規則を確認しておきましょう。副業が認められている企業の場合でも、副業していることで本業に悪影響を与えたり、体調管理が疎かになったりしないよう意識する必要もあります。
女性が起業する職種を決めるポイント
女性が起業する職種を選ぶ際には、多角的な視点から検討する必要があります。以下の項目に着目すると、自身に合った職種を見つけやすくなるでしょう。
自身の強みを活かして働けるか
自分が得意とする分野や、これまでの経験から培ったノウハウを活かせるかどうかを検討することは非常に重要です。
ビジネスの成功は、「どのようなサービスを提供するのか」だけでなく、「自分がどれほど継続的にそのサービスの価値を磨けるか」に左右される面があります。たとえば、美容やデザイン、あるいはコミュニケーション力を活かすサービスなど、自分が情熱を持てる分野を選ぶと長期的に取り組みやすいでしょう。
ランニングコストが低い
起業後の経営を安定させるには、毎月のランニングコストをできるだけ抑えられるビジネスモデルが望ましいとされています。
日本政策金融公庫の新規開業資金では女性、若者やシニア起業家に対して特別利率で融資を受けられる制度を設けているなど、女性の起業における金利負担を軽減する仕組みづくりを提案している例があります。自宅を活用した教室業やオンラインビジネスなど、オフィス賃料などの固定費が少ない職種は経営リスクを軽減しやすいです。
参考:日本政策金融公庫 新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)
開業資金が少なくてもスタートできる
大きな資金を投下して開業すると、回収リスクも高まります。特に、自己資金が少ない状態で融資を受ける場合には、返済計画を踏まえたシミュレーションが欠かせません。
小規模に始められる職種を選択し、実績や売上が見込めるようになってから段階的に拡大することで、資金繰りの不安を抑えた成長を図れます。
女性が起業する際の注意点
女性が起業するうえで特に留意しておきたい点を、以下に5つ挙げて解説します。ただし、これらは必ずしも性別だけに関わる課題ではなく、ビジネスをするうえで誰しもが検討すべき内容でもあります。周囲の状況や自分のライフプランに合わせ、柔軟に対策を練りましょう。
家庭やプライベートとのバランス
起業直後は、事業に時間を注ぎ込む場面が多くなりやすいです。パートナーや家族がいる場合は、相互の理解や協力体制を整えることがスムーズな事業運営につながります。近年は、育児や家事をシェアする家庭も増えており、必ずしも一方だけが負担を担う必要はありません。
公的保育の情報や家事支援サービスを活用しながら、事業とプライベートの両立を目指しましょう。
起業前の十分な準備
「好きなことをビジネスにしたい」という思いは重要ですが、それだけに頼るとリスクが高くなります。
起業前に市場調査や競合分析、収支シミュレーションなどをしっかりと行いましょう。ビジネスモデルを具体化し、目標売上や必要経費、資金調達の方法などを事前に確認しておくことで、必要以上のリスクやあわただしさを避けられます。
経営知識と財務管理の習得
起業後は、売上だけでなく経費や税務申告、キャッシュ・フローなどの管理が不可欠です。特に、キャッシュ・フローが悪化すると事業継続が難しくなるため、日々の入出金を把握する習慣を身につけましょう。
また、青色申告と白色申告の違い、消費税の納税義務が発生するタイミングなど、最新の法律や税制情報は国税庁・日本年金機構などの公式サイトでチェックし、必要に応じて税理士や社労士、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
プライバシーと安全への配慮
起業の形態によっては自宅を拠点とするケースも多く、自宅住所を公開しなければならない場合があります。
そうした際にはバーチャルオフィスやレンタルオフィスを活用し、プライバシーリスクを最小化する方法も検討しましょう。また、取引先や顧客とのやりとりでトラブルが発生した場合に備え、相手方との契約内容や利用規約を明確にしておく、事業主向けの損害賠償保険に加入する、セクシャルハラスメントやモラルハラスメントなどの問題に迅速に対処できる窓口を確保しておくなど、安全面の備えも大切です。
リスクマネジメント
起業には常にリスクがつきまといます。景気変動や競合他社の参入によって売上が不安定になる場合も想定して、複数の収益源を持つなどのリスクヘッジを検討することが重要です。
個人事業主であれば小規模企業共済、経営セーフティ共済などを利用して、将来の資金を積み立てる方法もあります。金融庁や中小企業庁の公的制度を活用できるかどうか、早い段階で確認しておくと安心です。
女性の起業家の成功事例
ここでは、おすすめの職種とも関連性のあるビジネスモデルで成功した女性起業家の事例を2名紹介します。それぞれ独自のアイデアや経験を活かし、新たな価値を創出しています。
近藤 麻理恵氏(KonMari Media Japan)
「こんまり」の愛称で知られる近藤麻理恵氏は、片づけコンサルタントとして国内外で注目を集めました。独自に開発した「こんまりメソッド」を書籍や動画コンテンツなどで展開し、世界40ヶ国以上で翻訳されたベストセラー書籍『人生がときめく片づけの魔法』によって国際的知名度を獲得。TIME誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出されるなど、女性の起業の成功例としても注目度を集める存在です。
自宅から始まったコンサルティング事業がグローバル規模に拡大したことで、女性に限らず多くの起業志望者に希望を与える存在といえます。
経沢 香保子氏(キッズライン)
経沢香保子氏が手がけるのがベビーシッターのシェアリングサービス「キッズライン」です。共働きが当たり前になりつつある時代背景の中、育児を行う家庭が抱える課題に着目し、オンラインでベビーシッターと利用者をマッチングする仕組みを作り上げました。
東証マザーズ(当時)上場企業として注目され、ITを活用することで保育サービスの利便性を高め、多くの利用者を獲得しています。事業拡大のスピードも速く、新しいサービス形態の成功例として知られています。
起業を実現させるために
起業は、自分の強みを社会のニーズと結びつけ、新たな価値を創造する大きなチャンスです。女性に限らず起業には家族との協力体制や資金調達、社会的信用など特有の課題もありますが、自治体や公的機関の支援、専門家のアドバイスを活用することで乗り越えられるケースも増えています。
自分に合った方法とペースで準備を進め、柔軟にリスクヘッジをしながら、一歩ずつ事業を軌道に乗せていきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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